アレクシア様を分からせたくて!   作:ゆっくり妹紅

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流石にアレクシア様出てないのはまずいと思ったので初投稿です。


2冊目

 

 

♪月×日

 

ついに王都へ行く日となった。

お見送りとしてうちの家の執事やメイドたちを初めに、カゲノー一家の皆様が来てくれた。アルファは来てないことにちょっとだけ落ち込んだが、馬車の中で1冊目の日記帳を読み返していたら手紙が入っており、そこに自身を助けてくれたこと、再会を約束することが書かれていたことで俺は思い出した。

俺、一年に一度はこっちに戻ってこれること言ってなかったじゃん。

 

……とりあえず次アルファに会ったら謝り倒すしかないな。

あー、悩みの種が新たにできたせいで明日にはアレクシア王女に会うってことなのにもうお腹痛い。頼むからシドみたいな癖が凄いやつじゃありませんように!これ以上増えたら俺の胃が死ぬから……マジで頼む。

 

 

 

 

 

 

 

 

♪月÷日

 

 

ただのクソガキじゃねぇか!!

 

 

 

 

 

 

 

♪月<日

 

アレクシアの従者生活2日目。

アレクシアのクソガキぶりに我慢できなくて思わず昨日の日記に、クソデカ文字で汚いことを書いてしまったが、これは仕方ない。

いやね、顔合わせした時はなんか取り繕ってるような気はしたけども、普通に礼儀正しい子だなーって思ったんだ。これなら胃が爆発せずに済むと思ったんだ。

 

でも悲しいかな、俺のそんな考えは2人きりになった瞬間ぶっ壊れた。

彼女の本性は腹黒かつ性悪で、目つき悪いやら、身長低いやら、笑顔が下手くそやら、めちゃくちゃボロクソ言われた。一体どんな日々を送ったらあの歳であそこまでひねくれるんだ、ってぐらいやばかった。

そしてこの本性について他人にバラすな、と言われた時に思わず口を滑らしてしまい、笑顔のグーパンを有難く貰った。美少女のグーパンはご褒美って前世で聞いたけどそんなことは無かった。というか王家の教育はどうなってんだ、教育は!

 

……まさかアレクシアも転生者じゃないだろうな?

 

 

♪月=日

 

アレクシア様の従者生活3日目。今日はアレクシア様の剣の稽古に付き合う羽目になった。一応彼女の剣を見させてもらったが……はっきり言って俺よりはあるとは思うけど、平均的に見たら才能はないと思う。けど、努力を積み重ねた真っ直ぐなもので、俺自身もさらに研鑽を積もうと感じたほど、彼女の剣は個人的に好きなものだった。ちょっとだけ見直したよ。

 

あと今回のことで確信したけど、この世界の剣術……というか武術と言うべきものは前世、前々世と比べるとまだ未熟なところがある。これは最終的に魔力量によるゴリ押しが出来てしまうからというのがあるが、これってやっぱり脳筋じゃ……

まあ、それはともかく模擬戦の時に抜刀術のようなものは変に使えなくなったということは確かだろう。その剣技をどこで教わったって聞かれても返答に困るし。

というわけでここで俺の数少ない切り札が使えなくなるのはかなり痛いところではあるが……まあ、割り切るしかないか。模擬戦で使う事態にならなければいいわけだし。

 

よし、明日も張り切ってこー!

 

 

 

 

 

暫くアレクシアのことや彼女のからかいに関する内容が続く

 

 

 

 

 

♪月〆日

アレクシア様の従者生活10日目。何となく彼女の人となりが分かってきたかなーと思っていたのだが、そんな主は何が面白いのか、今日も俺の休憩時間にやって来ては性懲りも無く俺の目つきの悪さについてめっちゃ貶してきた。

仕方ないだろ!!この死んだ魚のような目つきの悪さは生まれつきなんだよ!!前々世からの呪縛は2回転生しても解けないんだよ!!これも全部前世の魔王が悪い!……いや、流石に可哀想だな。やめておこう。

 

いやでもね?俺は思うんだよ。余計目つきが悪くなってるのはクソガキアレクシア様やうちの親のせいもあると思うのよ。

 

まず、この従者の仕事めちゃくちゃブラックなんだよ。拘束時間がなんと朝5時から夜の9時までと脅威の16時間!そしてさっき書いたように休憩時間の合間にアレクシア様がからかいに来るから実質休憩時間はなし!!こんなん大人でも体と心が壊れるだろ。前世の寝ずの張り込みを3日やったとか、魔族の精神攻撃で廃人になりかけたといった極限状態と比べたらマシだけどさ……。あれ、前世でもろくな目にあってない?

 

……これ以上考えると悲しくなってくるからもうやめよう。

とりあえず休憩時間の時に見つからないような場所を複数見つけておくか……。

 

 

 

☆月#日

 

(ミミズがのたくったような字が書かれていているが、なんて書いてあるか分からない)

 

 

☆月○日

 

昨日の日記が謎の暗号みたいな感じで終わってしまっていたがこればっかりは仕方ないと思う。昨日、休憩時間中に突如現れたミドガル王国の第一王女であるアイリス様から模擬戦の誘いを受けた。アレクシア様のちょっかいよりは100%マシだと思った俺は了承し、お互い木剣を使った模擬戦をやったのだが。

 

アイリス様、歳の割には強すぎ+体力ありすぎ。

 

あの年齢であそこまでの強さとか、ヤバいだろ。才能が大きな要因だとは思えるが、それに驕ることなく研鑽を積み重ねて得た剣、つまりレイと同じタイプだ。結果としては今のアイリス様よりももっと上の存在を知っていたこと、前世の戦闘経験のおかげで何とか全部引き分けまで持ち込めたが、時間や体力を気にせずドンドンせがんできたのは末恐ろしい。そしてそれを見ていた執事長の計らいでその日は早上がり出来たが子供の体で全盛期と同じ動きをしたせいで、部屋に着いてからはすぐに眠ってしまったという訳だった。

 

後、昨日のことでわかったけど前世の頃と同じように、常に2手先を予測しながら戦うというのはこの体ではキツイみたいだ。結果としては課題点が見つかったことが分かったことは大きい。とりあえずマルチタスクの練習も追加しないとなぁ……あれ苦手だから気乗りしないけど。

 

因みにアレクシア様のちょっかいの方が1000倍マシだと思った模擬戦だったのだが、今日会ったアイリス様から「これからもよろしく頼む」と言われてしまった。

 

どうやら神は俺に死ねと言っているらしい。

 

そして何故か不機嫌なアレクシア様から「タマ」と呼ばれ、投げたお金を咥えて拾ってこいというまさかの犬扱いを受けた。

 

うん。

 

 

 

 

 

あのクソガキ、絶対分からせてやる!!

 

 

 

 

****

 

 

「初めまして、今日からアレクシア様の従者となりましたルイス・エアです。よろしくお願いします」

 

ルイスの第一印象はパッとしないやつだった。死んだ魚のような目のせいでお世辞にもカッコイイとは言えない容姿。

 

「ええ、よろしくお願いします」

 

と、そんな風に彼とコンタクトを交わしてから少し話してみるとルイスは反応が中々面白い。試しにちょっとからかってみると口調こそ丁寧ではあるものの、口元が思いっきり引き攣っていて、その様子が面白くてつい笑ってしまった。そして今の私のことを誰にも言わないように命令したら「性格ブサイクかよ」と真正面から言われ、思わず手が出てしまったのは仕方ないと思う。

 

彼が従者になって7日目、今日も彼が()()()()()()()()()()()()ためそれを止めさせる為にからかう。これを見つけたのはたまたまで、彼にとっての休憩時間と呼ばれる時間帯はいつも私の前からコソコソ隠れながらどこか行くものだから、何か弱みでも握ってそれでからかおうと思って探し、そして見つけたと思ったら1人で剣を振るうルイスの姿。私が初めて見つけた時は、仮想の敵でも想像しながら戦っていたのかとても素振りとは思えない剣の振りや身のこなしをしていた。

素直に凄いと思った。どれだけ努力をすればそこまでいけるのか分からないけれど、想像できないほどの研鑽を重ねてきたのは分かった。

でも、この調子で休憩時間も潰してまで鍛錬なんてしたらルイスの体は壊れてしまう。そう思った私は彼をからかって鍛錬を止めさせるといったことをしている。……無論、そこに彼の面白い反応を見たいというのもあるが。

 

「ルイスの目つきって本当に悪いわよねぇ。ただでさえ愛嬌ないのに余計に無愛想に感じるわ」

 

「あんまり言わないでくださいよ、気にしてることなんですから……」

 

「そしたらムスッとせずに笑顔見せればいいじゃない」

 

「人の気にしてるところを突いてくる人に見せる笑顔はないです」

 

「……あんた、いい度胸してるじゃない?」

 

自分が誰の従者なのか分かってるのかしら?

 

 

 

そして次の日、また私の目を盗んでどっかで鍛錬しているであろうバカ従者を探していたところ、激しく何かをぶつけ合う音が聞こえたためそこの方へ行ってみると。

 

「はああああっ!!」

 

「ふっ!」

 

お姉様と木剣で打ち合っているルイスの姿。恐らく模擬戦をしているのだと思うが、私が驚いたのはあのルイスがお姉様相手に引けを取らない試合をしていることだった

こう言っては失礼だと思うが、ルイスの剣は基礎に忠実な剣だ。だからこそお姉様相手にはすぐ負けるだろうと思っていたのだが、現実はお姉様の攻撃をルイスは全て防ぐだけではなく、反撃までしていた。

 

そしていつまで続くか攻防は唐突に終わりを向けた。

 

「せあっ!」

 

「はあっ!」

 

──バキッ!!

 

互いに持っていた木剣が折れた。鍛錬用の木剣が折れるなんて聞いたことないけど、それほど2人の剣戟が凄まじかったということなのだろうか。だが、私はこの後さらに驚くことになる。

 

「……また折れましたね」

 

「そうですね、これで3本目ですか」

 

3本目。2人は確かにそう言った。つまり、あの二人は先程のような激しい戦いを3回もしていたことになる。だが、そんなことよりも。

 

「アイリス様はお強いですね」

 

「ふふっ、貴方の方こそ見事な剣でしたよ」

 

なんで、なんでお姉様とそんな仲良く話しているんだ。ルイスは私の従者じゃないのか。なんでお姉様はルイスとそんな楽しそうに話すんだ。

 

──なんでお姉様に対してはそんな笑顔を向けるんだ。

 

何故だか分からないけどそんな想いが込み上げ、胸が苦しくなるような感覚に襲われた私はその場を走り去った。

 

 

 

 

──次の日、何ともない顔で現れたルイスがムカついたから「タマ」と呼んで、投げた金貨を犬のように拾ってくるように命じ、そしてそれを実行した彼を見たらなんか満足出来た。




多分(続か)ないです。

キャラ紹介

ルイス
本作オリ主。分からせ思考に至るまでたったの12日というRTAを走った。アレクシアのことはクソガキだと思ってはいるが、努力を怠らないところは好感持てるし、分かりづらいが気遣いできる優しさがあるところから、認めているし忠誠心もある。どんぐらいかと言うと、彼女に凶刃が飛んできた際は反射的に庇えるぐらい。どんな風に分からせようか考え中。現段階ではアレクシアより3cm低い。
現段階での疲れの溜まりやすさ
アイリスの模擬戦>>越えられない壁>>アレクシアの相手>>越えられない壁>>鍛錬(寧ろストレス発散になり回復してる気分になってる)

アレクシア・ミドガル
突如来た従者ことルイスのことは、王女である自分に対しても素直な反応を返してくれるため+ありのままの自分を見て離れないことから面白い男認定している。が、次の日姉と楽しそうにしてる所を見せられて脳みそを破壊された。

アイリス・ミドガル
アレクシアの姉で所謂天才。アイリスがルイス相手に善戦できたのはルイスの体が本来の戦闘スタイルができるほどまで完成してない+武器がないこと、ルイスがアレクシアのような天才の剣が苦手だからというのがある。
なぜならルイスは天才の剣を理解できなかったから





ルイスの秘密:2
実は作り笑顔が大の苦手

番外編としてバレンタインの話を……

  • これもまた愉悦(書く)
  • やめろカカシ、それは効く(書かない)
  • 撃沈もまた愉悦(どっちでもいい)

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