アレクシア様を分からせたくて!   作:ゆっくり妹紅

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修正が終わったので投稿を開始します。

ただ、アレクシアを誘拐された挙句自分は行方不明ということになったルイスくんの処遇に関してはご都合主義になってしまいます。本当に申し訳ありません……


18冊目

 

€月…日

昨日はゼノンをシャドウがぶちのめした後すぐに自分が休んでいる寮にこっそり戻って寝たフリをしていたため日記が書けなかったが、今日は大丈夫そうなので書いてる。

とりあえず、今日聞いた話やあった事を整理がてら書いていこうと思う。

 

まず、アレクシア誘拐事件はアイリス様がアレクシアを見つけたことにより一旦は解決した。しかし、今回の騒動でアレクシアを通じてディアボロス教団のこと、その教団と敵対しているシャドウガーデンという2つの組織があることが遂に王都側にもバレてしまった。これに関してはアレクシアが誘拐されてしまった時点でこうなるのは察してはいた。アルファたちも覚悟していたらしく、これからは王都側とも場合によっては争うことになるのも視野に入れておくべきだろう。

 

次にアレクシアの容態に関してなのだが、見舞いに来てくれたアイリス様たちの話によれば擦り傷などはあるものの軽傷であり、少々体の線が細くなったが明後日辺りにはいつも通り過ごせるようになるだろうとのこと。

これを聞けて本当に安心した。ただ、今回の件は俺の油断と実力不足のせいで攫われてしまったのに相違ないから鍛錬の時間も増やし、アルファたちにも言われた通りスライムスーツとスライムソードも常時持つようにしないと。

 

そしてその次に俺が事情聴取で話したことついてだが……これは俺があの女性に負けてからこの部屋にいるのを見つけた人が起こすまで意識がなかった形、つまりシャドウガーデンに救われた記憶は無いという形で押し通した。ただ、交戦したあの女性に関してはきっちり開示。とてつもない剣の使い手だということ、魔力操作に支障をきたす毒のようなものを持っている可能性があることを全部伝えた。尤も、後者に関してはアルファから教えてもらったものだけど、アイリス様やアレクシアに死んで欲しくないから開示させてもらった。

最初こそ、アイリス様の近くにいたお付の騎士の人は信じられないと言った様子であったが、アイリス様が俺のことは信頼出来ることをフォローして下さりそこは一応何とかなった。

 

そして最後に俺についてなのだが……3日間は安静するだけになった。アレクシアの誘拐を未然に防げなかった挙句行方不明になるという大失態をしたのにも関わらず、お咎めなしというご都合主義を疑う結果だったのだが、これはアイリス様とアレクシアが弁護してくれたのと、ゼノンという実力者が敵にいたことから一介の魔剣士が負けても仕方ない、ということがあったかららしい。

あと安静期間が3日なのは傷自体はほぼ治ってるため経過観察としてということからとの事だった。

 

以上が今日あったことだ。因みにアイリス様からは「無茶しないように」やら「しっかり安静にすること」やら色々言われた。が、1番応えたのは「私はあなたのことを弟のように思っているからすごい心配だった」だろう。

正直そんなふうに思われているとは思わなかったし、そもそも接点もあまり無かったのだ。それでもアイリス様はそうは思っていなかったらしく、剣の相手を初めに話し相手、果てにはアレクシアのことで俺が相談しに来たことなどが積み重なって弟のように思うようになったとのこと。

 

……とりあえず無茶はしないように気をつけようとは思う。無理はすると思うけど。

 

 

€月&日

 

デルタが父さんからの手紙を持って訪ねてきた。直接父さんが来ればいいのにと最初は思ったが、どうやらあの事件の事後処理が忙しいせいで時間が作れず、たまたま父さんを見つけて話しかけてきたデルタにこれ幸いとばかりに手紙を書いて頼んだ、という経緯があるみたいだ。

 

これを聞いた時思ったのが本当にデルタは()()父さんを見つけたのか、という事だったのだが……楽しそうにこちらに話しかけてくる彼女を見ていたら言う気も無くなり、水に流して話していたところアイリス様がやってきた。

ぶっちゃけ問題はここからだった。アイリス様はドアの外に「面会謝絶」と書いておいた貼り紙を貼っておいたらしいのだが、それを無視して入ってきたデルタのことを警戒し始め、一方でデルタもアイリス様を見た途端に敵意むき出しで唸り始めたから生きた心地がしなかった。

とりあえず体を起こして2人の間に入って落ち着くように何とか説得し、一旦落ち着いたところでデルタのことを「幼馴染みのユウナ」として紹介し、彼女が来た理由も父さんからの手紙を預かったからと説明したところ、アイリス様が「私の早とちりでした」と謝罪して下さり、そしてデルタには初対面の人に敵意を出さないこと、と俺から言ってその場は納まった。

 

その後は俺とデルタの馴れ初めをアイリス様から聞かれたので、前々から打ち合わせしていた通りに説明した。地元の街で1人で歩いていたところを俺が声をかけたら親がいないという事だったので、家に招待してそれからの付き合い、という内容だったけど普通に納得してもらったので結果オーライだ。

あ、あと俺とデルタが互いのことどう思ってるか聞かれたな……俺は「大事な幼なじみ」って答えて、デルタは「大好きな人なのです!」って答えた瞬間、アイリス様が額に手を当ててため息吐いてたけどどうしたんだろうか。あと、デルタの大好きは友愛的な方だとは分かってるが、勘違いしかけた自分が本当になぁ……非リアを拗らせるとこんなことになるって身をもって体感したくなかった。

 

なんか悲しくなってきたのでもう寝よう。

 

ちなみに父さんからの手紙の内容は例の事件の後処理で暫くこちらにいるから、何かあったら直接言いに来る、またはユウナに頼んで手紙を出してくれというものだった。

 

……副団長の座を蹴飛ばした理由、書類仕事が嫌だからとかじゃないよな?

 

 

%月☆日

 

今日はアレクシアが訪ねてきた。来るとは思ってなかった+部屋に入れたら嫌な予感がしたのでドアを直ぐに閉めたら「ルイスが私に酷いことをしたってアイリスお姉様に言いつけるわ」というとんでもない脅迫が飛んできたため部屋に入れてしまった。

 

その後は紅茶を出して暫く雑談していたのだが、シドと別れたこと、自分が目指す剣が見つかったこと、自分が剣を振る理由が見つかったことをアレクシアは話してくれた。特に目指す剣が見つかったことを話していた時は、憑き物が取れたかのようにスッキリした様子で話してたからとりあえず安心した。……シドと別れた理由に関してはゼノンがいなくなったからとしか話してくれなかったし、剣を振る理由に関しても「まだ秘密よ」とウィンク飛ばされて誤魔化されたし、ちょっとモヤッとだけど。

 

そしてそんなアレクシアだが、明日が休みというのを利用して俺の部屋で一夜を明かすつもり満々みたいで1人用のベッドにもう入ってこちらをジーッと見ている。俺の嫌な予感の正体はこれだったのかもしれないな。つーか、前とは色々違うのに一緒に寝る気満々なの本当にどうなんだ?異性との距離感間違えてない?デルタもそうだけど今どきの子の距離間分からねぇ……アイリス様に聞いたらなんか酷い目に合いそうな気がするし、シドに聞くのはなんかおかしい気がするから、アルファやガンマ、ゼータ辺りに今度聞いてみるか。

 

 

 

*****

 

 

 

「すー……すー……」

 

「全く……よくこの状況で寝れるわね……」

 

互いの体が密着出来るほど距離が近いというのに、呑気に寝息を立てて寝ているルイスにアレクシアはため息を吐きながら答えた。

1人用のベッドに2人、しかも15歳とそれなりに成長している人間が2人も入っているのだ、普通に考えて狭くないわけが無い。事実アレクシアの胸がルイスの背中に思いっきり当たっていた。

尤も、アレクシアはこの状況を最初から狙っていた訳なのだが。

 

(……これで少しは意識させることが出来るかと思ってたけど、そう甘くは無いみたいね)

 

アレクシアは昨日姉のアイリスから「ユウナ」という獣人の少女がルイスとの距離がかなり近いこと、そして異性としての好意を持っている可能性があると聞き、危機感を募らせてこうして行動に出た訳だが、当のルイスは普通に寝ている始末。

 

「んっ……んん……」

 

「ちょっ……!?」

 

そんな中ルイスはモゾモゾと動いて寝返りを打ち、アレクシアと真正面から向かい合うような形になった。

アレクシアは急に目の前にルイスの顔が来たことに驚き、それで早く鼓動している自身の心臓を気にしないように意識したところで、ふとルイスの心臓辺りに自身の耳を当てる。

 

──トクンッ、トクンッ……

 

一定のリズムで鳴る心臓にほっとし、そのままルイスの背中に腕を回すと彼の体温をより強く感じるために思いっきり抱きしめる。

アレクシアは確認したかった。ルイスが生きていること、そして彼が自分の傍から居なくなっていないことを。エルと呼ばれていたルイスにどこか似ているような気がする男と姉であるアイリスからルイスの生存を聞いていたとはいえ、この目と手で触って確かめるまでは完全に安心出来ていなかった。本当であれば直ぐに会いに行きたかったのだが、囚われの身であったことや少なからず怪我をしているせいでそれは叶わなかった。

 

(大丈夫、ルイスは生きてる。でも……)

 

アレクシアは不安だった。アレクシアはルイスという人間をずっと近くで見てきたからこそ分かる。もし、目の前でルイスにとって大事な人が危険な目に合いそうな場合彼は自分の身を投げ出してでも首を突っ込むだろうと。

そして実際にルイスは攫われたアレクシアを助けるために戦闘を行い、返り討ちにあっている。

 

結果論ではあるが、もしアレクシアが誘拐されるほど弱くなければルイスが怪我を負うことはなかった。その考えが最初、頭によぎった時はアレクシアは自身の無力さが悔しくて力をもっとつけねばと思い、そしてかつてルイスが言っていたことを思い出した。

 

「『才能がない、って言われたけどそれでも守りたいものがあったから、俺は剣を振るい続けられたんだ』……本当に私は貴方に救われてばっかりね」

 

アレクシアはその言葉を思い出した時、あっさりと胸の内にあったモヤモヤが消え去っていた感覚がした。そしてその言葉のお陰でアレクシアは自分にとって譲れない想いが何なのかを定めることが出来た。

 

 

「ルイス。私はね──」

 

少女の決意はそのまま月の光が照らす夜の中へ入っていった。




次回はデート回です。

キャラ紹介

ルイス
大失態犯してるのにお咎めなし。なお、アレクシアがベッド・インしてるのに普通に寝れてるのはとあるワンコ系獣人のせい。

アレクシア
メインヒロイン。ルイスのせいで覚悟きまちまった。それはそれとしてライバルが出てきたことで若干焦ってもいる。

デルタ
アピールしてるのに気がついてくれないルイスに対して不満はあるが、頭を撫でられたり、一緒に過ごすと直ぐに忘れる。

アイリス
色々な問題が出てきて頭を抱えていた矢先、とんでもねえやつが出てきてアレクシアが無事にルイスと付き合えるか不安になってきた。なおルイスのことは1人の剣士としても人間としても認めている。そろそろ呼び捨てでも……

アイク
ルイスのお父さん。久しぶりの膨大な書類を目の前に苦笑いを浮かべている。書類仕事はどちらかというと好きでは無い。

番外編としてバレンタインの話を……

  • これもまた愉悦(書く)
  • やめろカカシ、それは効く(書かない)
  • 撃沈もまた愉悦(どっちでもいい)

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