アレクシア様を分からせたくて!   作:ゆっくり妹紅

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という訳でデート回です。





19冊目

 

%月♪日

 

朝アレクシアの髪を整えて見送ったあと、今日は休日ということもあってかシドが俺の部屋に珍しくやってきた。最初は他愛もない話をしていたのだが、途中でアレクシアにぶった斬られたという話を聞いた時はショックで気絶しかけた。

それでそうなったわけを聞いてみたら、「これからも友人として付き合ってくれないかしら?」と聞かれた際に親指を下に向けて断ったらブチ切れられて笑顔と共に斬られた、というのが流れだった。

 

うん、これに関しては今思ってもアレクシアの方が悪い。無論、シドも煽るようなことをしたからアレクシアだけが悪いとは言えないけども、こればっかりは流石になぁ。

 

という訳でこれまでの詫びも兼ねてシドに色々奢ることが決定し、早速明日2人で王都を色々回ることになった。そしてその話を戻ってきたアレクシアに話したところ「あなたの主は私よね?」と圧をかけられたが、これまでシドに迷惑をかけてたことを盾に説得し、無理やり納得してもらった。代わりに今日も一緒に寝る羽目になったんだけど……女子ってよく分からん。

 

もうちょっと愚痴とか書きたいけどアレクシアからの視線が凄いので、ここまでにして寝よう。てか、暑苦しくないのだろうか。俺は暑いのはまだ耐えられるからいいんだけども。

 

 

%月→日

 

久しぶりにお互いの事情を知ってるシドと2人でゆっくり過ごした気がする。

シドとは朝から待ち合わせをし、そこから骨董品店を回って「陰の実力者がもってそうな物」を探したりそれで意見を交わしたり、昼はまぐろなるどに寄って昼飯を奢り、そこからは適当にブラブラしながら雑談をした。

ただ俺の前世の話をする時は街の外に出て誰もいなそうなところでした。

 

シドは俺の前世の話を聞くこと、特に魔王軍幹部の話が色々想像をかきたてられるから特に興味があるらしく、今日は俺がとある貴族の令嬢にハジメテを奪われそうになったところから、魔王軍幹部の1人でありながら四天王の1人である【魔将】と戦ったところまでを話した。今思えばよくユラとポチすけは俺らがバラバラにされた時倒せたな。あの【魔将】は如何にも魔法使いです、って感じの風貌で実際に魔法の腕も一流と表現することすらおごがましいぐらい凄まじいくせして、槍の扱いも一流ととんでもないやつだった。

タイマンだと全盛期なら苦戦はすると思うが倒せるとは思う。代わりに腕1本は覚悟した方がするべきなのだが。

 

そんなこんなで今日は中々楽しかったし、アレクシアには迷惑をかけたし、デルタには命を助けて貰ったからその礼としてミツゴシ商会や商店街で色々買った。

アレクシアには鍛錬用のヘアゴムを買った。ちょっと前に古くなってきたから買い替えようかな的なことも言ってたし、失敗は無いと思う。そしてデルタに関しては……これまでの傾向からして一緒に料理するか、俺が手料理を振舞った方が物をあげるより喜ぶので、今回は今頃書類で埋もれているであろう父さんへの労い弁当も兼ねて材料を多めに買った。

作るのは夏も近づいてきたわけだし、おにぎり、卵焼き、唐揚げとマリネ、後は父さんの好物でもあるきんぴらごぼうにする予定だ。料理する場所についてはシドと別れた後に学園に行き、その学園で授業の時に使う調理室を利用する申請を出して、許可も貰ったから大丈夫だろう。

 

本当は一緒に作りたいところだけど、流石に場所が場所なため今回は断念。やるとしたら実家になるかなぁ……。

 

あと、デルタには学園からの帰りに会ってその時に集合場所と時間を伝えれたのは本当に運が良かった。本当はゼータとかに伝えようと思ってたから良かった。

 

 

 

%月¥日

 

今日は朝から忙しかった。

まず5時に起きて材料をスーツケースにぶち込んでから急いで学園の調理室に行って、弁当を父さんと手紙で知った父さんの小隊の皆さん、そしてデルタと俺の分を作った。ただ、父さんとデルタはよく食べるので2人だけで6人前、小隊の人たちで6人分、そして俺の分が2人前という訳で合計14人前分作る羽目になってちょっと大変だったのだが、料理自体は前々世の頃からの趣味だったから苦ではなかった。後は自分の分を弁当箱にしまってから急いでデルタとの待ち合わせ場所に移動。デルタにお父さんの弁当を彼女の分のお弁当を渡し、父さんたちに届けるようにお願いした。その際に彼女に頭を撫でて欲しいと言われて頭を撫でたわけだけど……やっぱり狼と言うより犬だよなぁ……

 

その後はアレクシアと一緒に登校するために、彼女のところまでまた急いで行き、そのまま学校へ……とはならず弁当箱から匂いが出ていたのか色々問い質されてしまい、デルタにも作ったというのは言わずに白状したところ何故かそれを昼に二人で食べることになった。

それでお昼になって2人だけで食べれる場所に行こうとしたのだが、何故か食堂で堂々と食べる派目になり、周りの視線が痛かった。そして肝心のアレクシアの感想は「すごい美味しかった」と悔しそうに言っていた。てか今思ったけど、これは分からせを遂行できたのでは?やったぜ。

 

ちなみに今日はアレクシアの命令で別々に帰ることになったんだけど、また誘拐事件起きたら元も子もないので、影ながら見守っていた。それでアレクシアは本屋によって熱心に料理本を読んだ後、何冊か買ってたけど、まさか俺に対抗してなんか作ろうとしてるのかな?

……一応明日それとなく聞いてみるか。

 

あ、ヘアゴム渡すの忘れてたわ。

 

 

 

*****

 

 

 

 

アレクシアは激怒した。必ずかのクソボケ唐変木従者のルイスを分からせてやると決意した。アレクシアにはルイスの交友関係が分からぬ。アレクシアはミドガル王国の第二王女である。王女として勉学に励み、姉に憧れ剣を振ってきた。けれどもルイスに向ける想いは人一倍重かった。

 

(だからルイスのカバンからいい匂いしてる理由を聞くのは何らおかしくないわ)

 

アレクシアは自分を正当化しつつ、目の前で目を逸らしているルイスに笑顔で圧をかける。本音を言えば昨日のシドとのお出かけについても小一時間ほど問いただしたいところではあるが、まずはルイスのカバンから出ている唐揚げの匂いの方が先決だ。

唐揚げの匂いがカバンからしているということは、十中八九カバンの中に唐揚げが入っているというのは容易に予想がつく。問題は何故唐揚げがルイスのカバンの中に入っているのか、ということだ。

 

まずアレクシアがこの段階で予想出来たことは2つ。

 

1つはルイスが誰かにあげるために唐揚げを作ってカバンの中に入れている。

 

もう1つは誰かから唐揚げを貰った。

 

正直どれであってもアレクシアの精神衛生上よろしくない。具体的には、前者だった場合は自分ですら食べたことの無いルイスの手作り料理を食べた人間への怒りで、そして後者に関してはルイスは一体誰の従者なのか忘れたのかという怒りで彼女の胸中は荒れ狂う。

 

(それにしても一体誰なのかしら……まさか例のユウナって泥棒猫?いや、もしかしたらシド・カゲノーの可能性もあるわね……どっちであっても許さないけど)

 

「……はあ、分かったよ。話すからその笑顔やめてくれ、ちょっと怖いから」

 

「あ″んっ?」

 

「なんでもないです」

 

アレクシアが相手が誰なのか、あれこれ予想している中ルイスが遂に折れ、一悶着起こりかけたが事情を話し出した。

 

「今頃書類仕事で疲れてる父さんにお弁当作ったんだよ。それで父さんの分を作るついでに自分の分も作ったから、カバンの中からする匂いは俺の分だと思う」

 

「ふーん……貴方、料理できたのね」

 

「まあ、こっちで働く前から料理をやらせてもらってたし、なんならアレクシアの従者になってからもたまに厨房借りて料理してたぞ」

 

「へ、へぇ……ちなみに誰に作ったのかしら……?」

 

「執事長さんや他の使用人さんたちだな。賄い飯ってことで作らせてもらってたし」

 

「そ、そうなの……」

 

アレクシアは声の震えを出来るだけ抑えつつ会話を続ける。まさか使用人たちにすら先を越されていたというとんでもない事実に、彼女は動揺しまくっていた。と、同時にふとルイスの料理の腕が気になった。ルイスの口ぶりからして使用人たちに振舞ったのは1度だけでは無いのは確かであり、そして何度も作るのを許されるほどとはどれくらいなのか。

 

「それなら、そのお弁当私にも頂戴」

 

「え」

 

「貴方が料理出来るの初めて知ったんだし、自分の従者がどれ程の腕前か主として把握しておくべきでしょ?」

 

アレクシアは堂々とルイスにそんなことを宣い──

 

 

 

 

 

(な、なにこれ……すごい美味しい……!)

 

 

 

お昼の時間帯でルイスが作ったおかずを食べて完全敗北していた。少しでもダメなところがあったらダメだししてやろう、と思っていたのにも関わらずルイスの弁当は彩りやおかずの置き方など全てが完璧だった。味は少々濃いめではあるものの、昼前に行ったのが剣の稽古だったことから寧ろ味の濃さが好ましく感じる。おにぎりや唐揚げ、マリネ、卵焼きも美味しかったが特にきんぴらごぼうは味がしっかり染み込んでいながら、唐辛子のピリッとした感じがさらに食欲をそそり、アレクシアは気がついたら完食していた。

 

「…………」

 

「どうでしたか?」

 

(っ、ルイス……!)

 

人前ということもあり敬語ではあるものの、少しニヤついているルイスを見てアレクシアは少しだけイラッとしたものの、ここで言わないのは流石に失礼なため正直に感想を述べることにした。

 

「凄い美味しかったわよ……悔しくなるぐらいに」

 

「お口にあったなら何よりです」

 

最後に呟いた言葉は聞こえていなかったのか、柔らかい笑みを浮かべるルイスからアレクシアは視線を外し、とあることに気がついた。

 

(待って。私、ルイスを堕とす計画のうちに料理も入れてたけど……あれ以上に美味しい物を作らないといけないわけ……?)

 

ダラダラと背中で汗が流れる。アレクシアは王女という立場上料理をしたことはあまりない。というよりしようとしたら周りにとめられた。今では物を壊すことは無くなったものの、ルイスレベルの物を作れるかと聞かれたら悔しいが否定しかできない。

 

(……料理本買って、練習するしかないわね)

 

アレクシアはそう判断すると、目の前で呑気にお茶を飲んでいる従者に対して放課後は自由にするように命じるのだった。

 

 

 


という訳でシドくんとのデート回でした。

 

キャラ紹介

 

ルイス

我らがクソボケ。シドとは男同士+転生者同士というのもあって仲は良好。料理に関しては前々世からやっていた+前世ではパーティの皆がよく食べるため大量に作るのに慣れているため、その腕前はかなり高い。だが、お菓子作りに関してはイプシロンと比べると劣る。久しぶりにアレクシアを分からせた。ちなみに前世では勇者が4人前分、聖女が5人前分、シーフが3人前分、ポチすけが3人前分と装備よりも食費関連がかなり大変だった模様。

 

一応勇者パーティの面々も手伝いはしていた時期があったが、3人とも料理スキルがお世辞にもそこまで高くなかったため、ルイスへの負担がかなり多かった。なんならポチすけの方が念力で火加減調整や次の調味料などを最適なタイミングで渡すなど出来たため脳筋三人衆よりも役に立ってた。

 

シド

我らが原作主人公。ルイスの前世話はかなり有用。それはそれとしてアレクシアとデルタ、ルイスをギャルゲーのヒロインと主人公に見立て、自分はモブっぽい動きができるよう考えてる。どちらかというとデルタ派。

 

アレクシア

ルイスを堕とす作戦の内1つがかなりの難易度になってしまい困ってる。ちなみに描写外でルイスとシドのデートを尾行しようとしたが、察知したアイリスに捕まって失敗に終わった。

 

デルタ

ルイスの手作りお弁当貰って喜んでる。本人いわく、「エル様が作ったのはずっと食べれる」とのこと。

 

 

 

 

 

 

 

 

*オマケ*

 

 

 

「ふぅ……久しぶりの書類仕事は疲れるね……」

 

アイク・エアは自分らの小隊に与えられた部屋の中で終わる気配のない書類の山と死んだ目で作業をしている部下たちを見て、少し疲れたように呟く。アレクシアが誘拐された事件と王都で起こった強力な魔力の爆発による被害、そしてディアボロス教団という組織が使っていたとされる施設から押収した証拠品を集めていた倉庫の火事の後処理に関する書類のせいで全く終わる気配がなかった。

 

(元々、書類仕事は好きじゃなかったけど余計嫌いになりそうだな……)

 

アイクは疲れた目元を揉みながら息を吐く。

今回の件で息子であるルイスが行方不明になったこと、ルイスの幼馴染であるシドが容疑者として尋問されているという情報を聞いたアイクは、直ぐに王都に行きシドの弁護をし、さらに今回の事件の捜査に加えて欲しいと直談判。結果としてアイクの騎士団復帰を条件に特例として認められたまでは良かったが、小隊の隊長というそれなりの責任のある立場になったせいで業務に殺されかけている。

 

そんな中、ふと時計に目を向けると時刻は丁度お昼時であった。普段であればそのまま食堂に言ってご飯を沢山食べたいところではあるが、アイクはそこまでお腹が空いていないこと、部下達を置いて自分だけ食べに行くのは憚れたため、今日も昼抜きで良いかと思った時、ノック音が部屋の中に響いた。

 

「どうぞ」

 

「失礼します、ご主人様」

 

アイク隊の部屋に入ってきたのはエア家から代表してやってきた使用人の1人であるアイネだった。それだけだったなら別になんとも思わないが、手に3つ持っている長方形のものを包んだと思われる風呂敷の存在感がアイクの意識を割いた。

 

「アイネ、それは……?」

 

「こちらはルイス様が作ったお弁当です。ユウナ様が朝方に私に届けに来てくれましたので、只今お持ちしました」

 

「ルイスが……?」

 

アイネから聞いた話を聞いてアイクは目を見開く。アイネはそんな彼を他所に風呂敷を空いている机に置くと、風呂敷を開いた。中からは3段積みの重箱が現れ、それを順に開けて行くと1番上には所狭しと置かれたおにぎり、2段目には卵焼きや唐揚げ、そして3段目にはマリネときんぴらごぼうが入っていた。

部屋には唐揚げの美味しそうな匂いが漂い始め、書類仕事で食欲が無かった全員の空腹を誘う。

 

「そしてこちらのもう2つの分はご主人様がお世話になっている、ということで小隊の皆様の分でございます」

 

「え、自分たちにもですか!?」

 

まさか自分たちの分もあるとは思っていなかった小隊のメンバーも驚きの声を上げる。

それを見たアイクはふっ、と微笑むとペンを置いて立ち上がった。

 

「よし、皆書類は一旦そこまでにしてお昼にしよう。まずは英気を養うところからだ」

 

『はい!』

 

アイクの号令を聞いた騎士たちは一斉にペンを置くと、机の上を片付け始める。

 

これはとある騎士小隊のお昼の出来事であった。

 

 

 

「この唐揚げ美味しい……!どんどん食べれるぞ……!」

 

「おにぎりの塩加減も丁度いい……久しぶりにこんなに美味しいおにぎり食べたな……」

 

「卵焼きは少し甘めだけど、なんか疲れが取れる気がするなぁ……」

 

「アイク隊長!きんぴらごぼうすごい美味いです!」

 

「そうだろう?なんたって僕の息子が作ったんだから、美味しいに決まってるさ(……料理が得意なところも、察しが良かったり気配りができるのも妻に似ているな)」

 

 

こうしてアレクシアの知らぬところでルイスの手料理を食べた人物は増えていくのだった。




キャラ紹介

アイク
きんぴらごぼうが好物なお父さん。息子の行動や弁当から自身の妻の面影を見ていた。それはそれとしてお弁当は3人前分ペロリと平らげた。

アイクの部下の皆さん
ルイスによって胃袋を掴まれた。

番外編としてバレンタインの話を……

  • これもまた愉悦(書く)
  • やめろカカシ、それは効く(書かない)
  • 撃沈もまた愉悦(どっちでもいい)
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