アレクシア様を分からせたくて!   作:ゆっくり妹紅

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おまたせしました。

今回は愉悦要素がないため、代わりに自分がドラク○10で泣きながらレベル上げをしたっていうのをここで言っておきます。レベル100にしないといけないのあと14職も残ってる……(殆どレベル40止まり)





20冊目

 

 

%月$日

今日の朝早速アレクシアに料理本を買った理由をすったもんだの末に聞いてみたところ、俺に対抗心を抱いて買ったとのことらしい。

なんか照れ気味で言われたから不覚にもちょっと可愛いと思ったし、キュンとしてしまった。デルタのわんこっぷりを思い出せなければ死んでいたと思う。

その後色々話した結果、俺が料理を教えることになった……というか味見役に任命された。具体的に何をするのかというと、基本的に俺は作ってもらう料理を指定し、アレクシアが料理している間はあまり口を出さず、味見の時だけ指導しろ、ということだ。うーん、なんか不安だけど……まあ大丈夫だと信じたい。

 

因みに今日アイネさんを通して昨日の弁当はかなり好評だったことが分かった。ただ話によるとかなり辛い状況だったらしいから、毎日は無理だけど週一でお弁当作ろうかな?

 

あ、あとなんか最近通り魔事件が起きてるっていうのを聞いたけど、どの世界でもそんな輩はいるんだなって思った。

 

 

 

*それから暫くアレクシアの料理指導が主な内容が続く。

 

 

%月・日

 

今日帰りにミドガル学術学園の生徒がシャドウガーデンを名乗る人物に襲われているところに介入した。

 

そうなった経緯を書くと、あの時俺はアレクシアに次の料理を指定するにあたって道具の準備や何を作らせるか考えて商店街を歩き回っていた。それであれこれ考えながら歩いていた結果、辺りが暗くなる時刻になったのに気がつくのが後れ、近道で路地裏を通っていたら悲鳴が聞こえ、急いでそこに向かったら、黒い外套を来て片手に剣を持った人物に襲われているのを発見。すぐに声を上げて注意をこちらに向けさせて、剣を叩き込んだがすぐに逃げられてしまった。

追えなくはなかったが、襲われていた人を置いていくのは流石に出来なかったのでその人の護衛も兼ねて騎士団の詰所に行き、先程のことを話した。その中で、あの外套を羽織った人物が「我らはシャドウガーデン」と言っていたこと、そしてその人物による通り魔事件が出ているという情報を聞いたため、帰ってきた今少し頭を悩ませている。

 

さて、あの人物がシャドウガーデンのメンバーである可能性に関してはほぼ無いとみていい。単純に俺らが一般人を襲うメリットがないのが1つ、次にシャドウガーデンのメンバーに俺とシドを除いたら男性はいないというのがあるからだ。

この2つから考えられるのは恐らく相手はディアボロス教団のメンバーと考えられる。向こうの目的は全ての責任をシャドウガーデンに擦り付けて有耶無耶にしようとしている、もしくは俺らがシャドウガーデンが動くのを誘っていると言ったところか。

 

これは明日辺りガンマの所に行って色々情報を聞く必要があるかもしれない。

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

「アイリス様、大変申し訳ないのですが私も『紅の騎士団』に入らせて頂けないでしょうか」

 

「……ルイスもですか」

 

学園にある自身に与えられた部屋の中でアイリスはため息を吐いた。

この結果が、シェリー・バーネットにとあるアーティファクトの解読を頼みに行く時にアレクシアとルイスの同伴を許してしまったからというのをアイリスは分かったからだ。

アーティファクトの解読を承諾を貰ったまでは良かったのだが、あろうことかアイリスの妹であるアレクシアがシャドウガーデンやディアボロス教団に対抗するために、調査団を兼ねた独自の騎士団「紅の騎士団」に入らせるように言い出したところで流れは怪しくなった。

アイリスとしてはアレクシアがこれ以上危険な目にあって欲しく無かったのだが、彼女の覚悟は本物であり最終的にアイリスの方が折れてアレクシアの加入を認めた。

 

そしてシェリーとの会談が終わった後、アレクシアの従者であるルイスから「後でお話があるのですが、いつ頃なら空いていますか?」と聞かれ、嫌な予感がしつつも時間帯的に放課後になっている15時を指定した訳なのだが。

 

「……ルイス、私としては貴方には入ってもらいたくないです」

 

「心配かけたことに関しましては本当に申し訳ございません。ですが、私の主を守るためでもあります。私では力不足かもしれませんが、アレクシア様のことが私も心配なのです。どうか、お許しください」

 

「…………」

 

アイリスの否定に対して、ルイスは彼女を真っ直ぐ見すえて自身の想いを言う。アイリスは暫くルイスの事を黙って睨みつけたが、ルイスは全く動じずにアイリスのことを見つめる。

二人の間にどれくらい沈黙が流れていたのか分からないほど重い雰囲気の中、先に言葉を出したのはアイリスだった。

 

「……分かりました。あなたの加入を認めます」

 

「アイリス様、ありがとうございま──」

 

「ただし、条件があります」

 

「条件、ですか」

 

やはりそうなるか、とルイスは考える。ルイスはアイリスが自身の加入に対して否定的なのは予想通りであったし、彼女が王女という立場を使って問答無用に入団の拒否をしてこないことも予想通りであった。だからこそ、アイリスが条件を付けて入団させないようにするか、自分の動きを制限してくることは予想出来ていた。

 

(さて、どんな条件が──)

 

「絶対にアレクシアと一緒に生きて帰って来てください」

 

「……はい?」

 

ルイスはアイリスが出した条件に思わず間抜けな声が出てしまった。ルイスは達成するのが困難なものが来ると思っていたのもあって、彼はアレクシアですら数えるぐらいにしか見たことがない程間抜けな顔をしていた。

アイリスはそれにクスリと笑みを零すも、すぐに真剣な表情に戻る。

 

「これが条件です。これが守れるというならば、あなたの加入を認めましょう」

 

「……分かりました。必ず生きて帰ってくることをここに誓います」

 

ルイスは少し思案した後、頬をかきながらアイリスの出した条件を飲み、そしてそれを受けたアイリスは軽くため息を吐いたのだった。

 

 

 

 

****

 

 

 

時刻は日が暮れ、街灯が街を照らす中スライムスーツを身にまとったルイスは屋根の上を音を立てずに走っていた。

アイリスとの会話の後、ルイスは「紅の騎士団」のメンバーであるグレンとマルコに挨拶しに行ったのだが、自分の父親であるアイクの元部下だったというグレンの会話が長引いてしまった。そのせいで門限前までにガンマの所へ話を聞きに行けなかったルイスは寮長と軽く談笑してから寮を抜け出し、ガンマがいるミツゴシ商会の所へ向かっていた。

次の日に聞きに行く、というのも選択肢の一つとしてはあったものの、今回は早めに情報を入手したかっためルイスはこのような行動をとっていた。

 

(それにしてもアレクシアのやつ、俺とアイリスの言葉を振り切ってまで騎士団に入るなんて……心配するこっちに身にもなって欲しいよ)

 

ルイスがそう内心で主へ文句を言っている中、彼の耳に剣と剣がぶつかりあう音が入った。

 

(誰かが戦闘してる?……昨日のこともあるし、もしかしたら今度は魔剣士学園の生徒が襲われてる可能性もあるし介入するか)

 

ルイスはそう結論付けると音がした方へ移動を開始するのだった。

 

 

 

 

*****

 

 

 

「はあっ!!」

 

アレクシアの振った剣が黒い外套を羽織った男の剣を弾き飛ばした。

カランと乾いた音を立てて転がる剣を尻目にアレクシアは剣を男に突きつけた。

 

「貴方は何者?何故こんなことをするの?」

 

「我らはシャドウガーデン……」

 

「さっきからそればっかりね……」

 

アレクシアはため息を吐く。とりあえず拘束して目の前の男を騎士団の駐屯所に連れていこうとしたところで、後ろから気配がしすぐに振り返った。

 

「……なるほど、お仲間さんの登場ってわけね」

 

同じ服装の男が剣を持って3人立っており、アレクシアに向けて明確な殺意を向けていた。1対4という圧倒的な人数不利を背負ったことにアレクシアは冷や汗を流す。

 

一人一人の実力に関してはアレクシアの敵ではない。だが、4人を同時に相手にするとなればいくら彼女でも苦戦は避けられない。

 

(……4人全員を倒すのはほぼ不可能と見ていい。そしてこの時間で手に入れられた情報はそこまで有益では無いけど、ここで死んでその情報すら共有できないのが1番最悪なパターン。ここは何としても逃げなきゃダメね)

 

アレクシアは冷静に状況とこれからすべき事をまとめると息を吐いて剣を構える。

 

「っ!」

 

それと同時に男達が一斉に動いた。

 

アレクシアはまず1人目の刺突を身体をずらして躱しつつ足をひっかけてバランスを崩させる。次に自身の回避先に振り下ろされた2人目の男の剣を受け流して位置を変える。

そして3人目の男の一撃を躱すのも受け流すのも難しいと即座に判断し、剣で受け止め力づくで押し込まれる前に相手の力を利用して受け流し、無防備な背中に一撃を加えようとして、それを援護するかのように既に別の男が剣を振り上げて接近しているのが目に入った。

 

「ちっ!」

 

剣を頭上に掲げるように横にして男の縦振りを防ぐも、その直後に別の男の蹴りがアレクシアの腹に放たれた。

 

「ぐうっ!?」

 

アレクシアは蹴りの衝撃を少しでも防ぐために体のくの字にするも、殺し切ることが出来ず後方へバランスを崩し、そしてその隙を逃さなさ買った3人目の男がトドメと言わんばかりにアレクシアの心臓へ突きを放つ。

 

「ぁぐぅっ……!」

 

彼女の心臓を貫くはずだった一撃は直前に体を逸らしたことで、心臓ではなく脇腹を貫いた。アレクシアはその痛みを押し殺して、カウンター気味に男に向かって剣を振るって男の胸を軽く斬り裂いた。

 

「はぁ……はぁ……」

 

アレクシアは血が流れる脇腹を抑えながら状況が更に悪くなったことに内心舌打ちする。敵側の1人だけ負傷してるものの3人は無傷、こちらは脇腹を刺され重傷。幸いなのは行き止まりの方へ追い込まれていないことであるが、今の状態で4人から逃げ切れるかと言われたらそれはかなり難しいところではあった。

 

(……遠距離から攻撃出来る手段があれば、逃げ切れる確率あがるのだけれど)

 

アレクシアの脳裏にその考えが浮かぶも、彼女はそれを直ぐに除外し鞘を投げつけて牽制でもしようかと考えたその直後だった。

 

「よく1人で持ち堪えた、強き女剣士よ」

 

その言葉ともに黒い影が2つその場に舞い降り、そして同時に先程までアレクシアを襲っていた男たちのうち2人の体が2つに分かれ鮮血の花を咲かせた。

 

「シャドウに、エル……!?」

 

「お前のおかげで我らの名を騙る愚か者を見つけることが出来た……感謝する」

 

「我らの名を騙った罪、その命で贖うがいい」

 

(どういうこと……?この2人はシャドウガーデンと名乗ったあの男たちと敵対している?それに名を騙る……?ということは今回の事件の黒幕はシャドウガーデンではないってこと……?)

 

「く……」

 

アレクシアはシャドウとエルの登場とこの2人が男達と対立していることに困惑している中、残った二人の男はすぐに上へ跳びその場を離脱した。

 

「……エル、行くぞ」

 

「ま、待ちなさい!」

 

男たちの後を追おうとするシャドウとエルはアレクシアの声を聞いて止まった。二人はアレクシアの方へ向き彼女をとてつもないプレッシャーを与えながら見据える。

 

アレクシアはその圧に屈しそうになった。膝は震え、いつ殺されてもおかしくないという恐怖心が彼女の中でピークに達し、更に先程貫かれた脇腹の痛みで気を失いそうになるも、首に掛けているネックレスを握りしめて自身の意識を繋ぎ、覚悟を決める。

 

「私はアレクシア・ミドガル。この国の王女よ」

 

シャドウとエルはただアレクシアを見据えていた。

アレクシアは自身の命を刈り取る死神の鎌が自分の首に添えられているような錯覚に陥るも、それに抗うようにネックレスを握りしめる力をさらに強める。

 

「あなたの目的を教えなさい。その力を何のために振るうのか、何と戦っているのか、そして……この国に牙を剥くつもりなのか」

 

「関わるな。その方が幸せだ」

 

「っ!まちな……さ……っ」

 

シャドウがアレクシアの質問を斬り捨てその場を去ろうとし、アレクシアは呼び止めようとするもついに限界がきて彼女の視界は暗くなり意識が無くなる直前。

 

「ア…ク……!」

 

ここに居るはずのない従者に似た声がアレクシアの耳に入った。

 

 

 

この後、アレクシアは騎士団の駐屯所の外で壁によりかかって気絶しているところを発見された。

制服の脇腹付近が血で染っていたことからすぐに医者を呼び治療を開始したのだが、ほぼ完璧と言えるレベルで応急処置が施されており、これは新たな謎として残ったのだった。

 




番外編でバレンタイン編書こうか迷ってたり。
あとルイスの前世の一幕とか需要あります?

キャラ紹介

ルイス(エル)
アレクシアに対してキュン死しかけたがデルタのおかげで助かった。最後のは流石に迂闊すぎたと反省している。ちなみに嘘をつく時かなりの頻度でしてしまう癖がある。

アレクシア
4対1という原作より劣勢だったものの何とかなった。これに関してはルイスとも稽古しているから原作より強くなっているからというのがあったり。

シャドウ
最後急に相棒が大声でアレクシアのことを受け止めに行った時はバレるんじゃね?ってちょっと焦った。

アイリス
ルイスは約束を破ることはしないと信用している。

番外編としてバレンタインの話を……

  • これもまた愉悦(書く)
  • やめろカカシ、それは効く(書かない)
  • 撃沈もまた愉悦(どっちでもいい)

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