アレクシア様を分からせたくて!   作:ゆっくり妹紅

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今回読む前に注意出させておきます。

今話でオリキャラの女の子がいきなり出てきます。それがちょっと嫌だな、って方はブラウザバックの方お願いします。




21冊目

 

 

%月+日

今日はアレクシアがアイリス様の作った「紅の騎士団」に入ると言い出し、俺らの説得も虚しく入るのが決まってしまい、そのアレクシアを守るために俺も入らざるをえなくなった。アレクシア様は俺が入るのも否定的だったけど……まあそこは条件付きだけど入らせてもらったからいいだろう。

 

しかし問題はその後だった。

 

グレンさんと話が長引いたせいで、門限までにガンマから話を聞いて寮に帰れないと判断した俺はスライムスーツを身につけて自室の寮の窓からこっそり外へ出たのだが、途中で剣と剣がぶつかりあう戦闘音が聞こえたためそこへ向かうと、アレクシアがこの前会った通り魔と同じ服装をしている人物4人と戦っているところを見ているシャドウを発見。アレクシアが怪我をしたタイミングでシャドウを説得し、すぐに介入して戦闘を中断させた。

その後アレクシアは気絶してしまい、怪我をそのままにすることなんて出来ず急いで応急処置を施し、近くの騎士団の駐屯所に連れていき彼女を外に下ろしてから窓を叩いて中の騎士に外を見てもらうようにしむけ、彼らがアレクシアを回収したのを見届けてからその場を後にした。

 

この後、本当はシャドウと合流したかったけどあいつの魔力は何故か寮の方へ向かってたし、さっきアレクシアを傷つけたバカの方はシャドウガーデンのメンバーの一人であるニューの魔力が近くにあるのがわかったので、そちらへ向かうと丁度尋問が終わったのかニューの足元には事切れた先程の男の死体があった。

そしてニューから情報は受け取れたのだが、今回こちらの名を騙って通り魔をしていたのはチルドレン3rdという教団側が持つ戦闘員の中でも使い捨て扱いされている雑兵だったせいで情報は特に取れなかったとのこと。今回の事件はこちら側を誘い出すのを目的としたディアボロス教団が関与している可能性が高いこと、そして先日、王都でネームドのチルドレン1st『叛逆遊戯』のレックスが確認され、彼らは何らかの目的をもって集結しているという情報を貰った。

 

かなり有益な情報を貰ったが少し頭が痛いモノでもあった。

チルドレン1stというのはディアボロス教団によって拾われた子供が厳しい訓練と洗脳教育、そして数多の薬剤投与の果てに精神が安定し実力も伴ったエリート兵士だ。実力としては世界規模で見ても上位に位置する程と言われており、その中でもディアボロス教団に貢献した者はネームド・チルドレンと呼ばれている。

今回はそのネームドであるレックスがいるというのだから、明らかにろくでもないことを起こそうとしているのは嫌でも予想できる。

 

ニューには俺の方でも警戒しておくことを伝え、その場は解散することになったがこれは近いうちに向こうは行動を起こしてくるだろう。スライムスーツとソードは寝る間も身につけるようにした方がいいな、これは。

 

 

 

%月×日

 

今日は負傷したアレクシアとずっと過ごした。

応急処置を施したとはいえ浅い傷ではなかったため、暫く安静することになり、今日は学園の方にもアレクシアの方を優先したい旨を告げて休ませてもらった。

 

左脇腹の方を怪我したため左腕を動かすと痛みが走るらしく、左腕を前々世でいう確かアームホルダーだっけ、あんな感じの物を使って吊っていた。

ではそうなるとどうなるのかというとアレクシアは必然的に右腕しか使えなくなる。では片腕しか使えないとどうなるのか、簡単に言ってしまえば色々と不自由になる。じゃあ、そうなると我が主の腹黒ドS王女は何をしてくるのか。

 

知らんのか。俺にあれこれするように命令してくる。

 

ベッドから起きるのに俺の手を借りるのは分かる。片手だけだと意外と難しいし、変にやろうとすると痛いからな。

 

ご飯を食べさせて欲しいは、まあ1万歩譲れば分かる。片手だけだと思ったより食べずらいもんな。でもやる側は恥ずかしいし、夜は料理人さんが気を利かせて片手でも食べれるサンドイッチにしてくれたのにも関わらず要求するのはおかしいと思う。

 

そして、着替え手伝っては一生分かんないねん。頼むから恥じらいを持って欲しい。断ったら断ったで「主の命令に背くのかしら?」とまるで俺が悪いかのように言ってくるし、頭が痛い。昨日応急処置した際に間違えて頭のネジを抜いてしまったのだろうか。結局メイドさん呼んで代わって貰ったけど。

 

とりあえず、この着替えの件はアイリス様にチクるか。あ、でもアイリス様は結構初心ってことをアレクシアから聞いてるし、話している最中でなんかツッコまれそうだな……うーん、どうしたものか。

 

まあ、なるようになるか。アイリス様のことだから大丈夫やろ、うん。

 

 

%月÷日

 

今日は時間を見つけてアイリス様のところに行き、昨日のアレクシアの件で相談したのだが、面白かった。

ベッドから起きる時のことはセーフだった。でも食べさせてあげるところからもうアイリス様からしたらアウトらしい。王族としての意識が云々から始まり、恥じらいが足りないやら、そういうのは恋仲になって2ヶ月経ってからやるべき事やら色々言っていた。

そしてその時俺は興味半分で着替えの話をしてしまった。するとアイリス様は顔を真っ赤に染めて余計に騒ぎ始めたから面白かった。

 

でも今思うとあまりにも耐性無さすぎだろ。これ、アイリス様の旦那になる人めちゃくちゃ苦労するやん。流石に子供はコウノトリが運んでくるとか、キスしたら出来るとかそんなことは思ってないとは思うけど、なんか不安になってきたな……まあ、これは未来の旦那様に全て任せよう、ヨシ。

 

まあ、それはさておき近いうちに開催される選抜大会にエントリーされていることが今日アレクシアと話している時に判明した。そう、人の意見を聞かずに勝手にエントリーしやがったのだ、あの腹黒王女様は。

理由を聞いたら、「私が出れなくなったからその代わりよ。あなたならいい線行けると思ってるから楽しみにしてるわ」と笑顔で言いやがった。

色々言いたい気持ちにはなったが、裏を返せばそれだけ俺の実力を買っているということになる。あまり目立つ訳には行かないから初戦でさっさと負けたかったんだけど、そうもいかなくなったな……クレアと当たった時いい感じに負ける感じで行くしかないな、これ。

 

 

%月<日

 

今日は1人で学校に行った。

本当はアレクシアの看病をしたかったのだが、メイドさんに「勉学を疎かにするな」という旨のありがたい言葉が飛んできたので渋々向かった。

それで登校したらクラスメイトが一斉に集まってきて大変だった。まあ、アレクシアが休んだことが気になって聞いてきた感じだったんだが……まあ、これは知らないを貫き通らせてもらった。シドのモブ友達であるヒョロとジャガも色々聞いてきたが、適当にあしらった。

 

その後、学園に用事があって来ていた父さんと少し話していたところ、この前通り魔に襲われているところを助けた女子生徒の子が「この前のお礼です!」って言ってミツゴシ商会のチョコレートを渡しに来た。

ミツゴシ商会のチョコレートは大人気なため中々買えないことで有名で、いくらお礼といえど貰うのは凄い気が引けたため気持ちだけで十分だということを根気強く言ったのだが、向こうは中々折れてくれずどうしたものかと頭を抱え込んだところ、父さんが「2人で食べたらどうだろう?」と提案したことでそれに決定。その後はその女子生徒───アンナさんと俺の部屋でお茶をすることになった。

 

アンナさんは学術学園の2年生であり、魔力に関することを専門に研究をしているとのこと。話してみた感じ、前々世でいうギャルみたいな雰囲気だったものの、アレクシアの取り入るために近寄ってくる奴らと比べたら下心を感じなかったためかなり話しやすかったし、リラックスして話すことができたと思う。

そして話題は近日行われる選抜大会のことになり、アンナさんから俺は出るのかどうか聞かれ、出るということを答えたところ「応援してるよ!」と激励されてしまった。どっかでわざと負ける予定だから罪悪感で胸が痛い……。まあ、それはそれとして前々世では全く縁のなかったギャル系女子とお近付きになれたのはなんか嬉しい。

 

そういえば、アンナさんとの出来事をアレクシアに話したらティーカップからコーヒーが零れるぐらい震えてたけどどうしたんだろうか。熱はなさそうだったけど、ちょっと心配だなぁ。

 

 

 

*それからアンナと話したことやそのことを話す度にアレクシアが変な挙動を取ったことを書いた内容が続く*

 

 

 

 

 

 

****

 

 

 

 

 

選抜大会当日、ルイスは順調に試合を勝ち進んで行っていた。ルイスの実力を考えればこれは当然の結果ではあるが、他の人間からしたらそうはいかない。何故ならルイスは1年生であり、彼の評価はアレクシアの近くにいる従者、人によっては金魚のフンというものであり、学園の稽古の授業でも魔力をそんなに込めずに剣を振っているのを知っている人物からすれば、強いと思う人間はいない。

だが、蓋を開けてみればどうだろうか?ルイスは優勝候補とはいえずとも、学園の中では上位の実力に位置する上級生の魔剣士相手に圧勝とは言わずとも危なげなく勝っている。そのため、生徒たちの中でルイスの評価はだんだんと変わってきていた。

 

「ねえ、ルイスくん凄くない?」

 

「いや、私はルイスくんは凄い人だって思ってたし?それによく見ればイケメンだと思ってたし?」

 

「…………………」

 

が、それを聞いていて面白くないのがルイスの主であるアレクシアだ。本当であれば自室で安静にすべきなのだが、ルイスの晴れ舞台を見ないなんてことはしたくなかったため、無理を言ってこの場に変装して来ていたのだが。

 

「ルイスくんって考えてみたら結構優良物件じゃない?アレクシア様の従者でお父様は騎士団の元副団長らしいし!」

 

「それになんか一途っぽい感じするよね~。ほかの男子みたいに変な目で見てこないし」

 

「…………………」

 

先程から耳に入ってくるのはルイスを賞賛する声。別にルイスのことを褒めるのは悪いことでは無いし、アレクシアとしても自分の従者はすごい人間というのを分かってもらえているのが認識できるから良い。

 

だが、ルイスのことを異性として見て優良物件だのなんだの言っていることが気に食わなかった。

 

───貴方たちはルイスの何を知っているんだ?

 

───貴方たちはルイスと長い時間過ごしてきたのか?

 

───貴方たちはルイスの欠点を知っているのか?

 

アレクシアは好き勝手言う生徒達に色々言いたいのを堪えつつ、準決勝の試合が始まるのをまだかと右手の指で膝を叩きながら待つのだった。

 

 

 

 

****

 

 

 

「ふぅ……疲れた」

 

ルイスは控え室で少し疲れたように息を吐いた。結果を言えばルイスは準決勝であたったシドの姉であるクレアに敗退した。無論、なるべく接戦を演じた上での敗北だったのだが、これがルイスにとってはなかなか難しくクレアの実力もそれなりにあるせいで調整でかなり神経を尖らせていたのだ。最終的にはクレアが自分が敢えて作った隙を突かせて剣を弾き飛ばされる、という形で終わらせたので無様な負けではないだろうと内心思う。

 

そしてその一方で全力で相手をしなかったことに罪悪感も覚えていた。元々、ルイスは手を抜いて何かをやるというのに抵抗を覚える性格をしており、今回は自身の置かれている立場などを考えてやむを得ず手を抜いてわざと負けたのだが、そこで理解はできても納得し、何も感じないか言われたらそれは難しい話であった。

 

(……あれこれ考えるのはよそう。これは俺が自分で選んだ上でやった事なんだから、被害者ぶるのはダメだ)

 

ルイス頭を振って思考を切り替えると、控え室の扉を開け。

 

「やっほー、ルイスくん!お疲れ様~!」

 

「……アンナ先輩?」

 

明るい調子で声をかけてきたアンナが目の前に出てきたことにルイスは目を丸くさせた。

 

「うん、私だよ~。ルイスくん、この後予定ある?」

 

「え?いや、特にないですけど……」

 

「それならこれからお疲れ様会やろー!場所はもう決めてあるからさ、行こ!」

 

「あ、ちょっ!?」

 

ぐいっ、とルイスの手を掴んで強引に歩き出したアンナにルイスは驚きの声をあげるも、抵抗することも出来ずそのまま引きずられて行ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は?」

 

 

 

それを見ていた人物がいたというのを気づかずに。

 

 

 


 

 

アレクシアやデルタたちにモブ子を庇った結果、血だらけで倒れるルイス見せたいな~(こういうほのぼのラブコメっぽいのいいですよね~)

 

キャラ紹介

 

ルイス

なんか気がついたらフラグを建てていたアホ。シドがローズに全力でボコられにいっているのを見た時はドン引きしていた。ちなみにギャルに対しての耐性はほぼ皆無。自称童○くんさぁ……

 

アンナ

20冊目の%月・日にて通り魔に襲われているところをルイスに助けられた女子生徒。イメージ的にはサイドテールで制服の上着を腰に巻いているギャルっぽい感じ。彼女視点の話は次辺りになる予定。

 

アレクシア

健闘したルイスを褒めようしたらぽっと出の女に連れてかれて思考停止中。

 

 

アイク

息子がモテモテっぽいことにちょっとだけ危機感を募らせている。

 

 

 

次回予告。

 

やめて!アンナと仲良く食事してデレデレしているのをアレクシアやデルタに見られたら、ルイスへの好感度がバグってる2人の手でルイスとアンナが大変な目に遭っちゃう!

 

お願い、デレデレしないでルイス!

 

あんたが今ここでデレデレしたらアレクシアの精神とデルタのまだ残ってるなんでも言うこと聞く約束はどうなるの?

 

猶予はまだある。デレデレしなければ、後日個別でアレクシア、デルタとデートするだけで済むんだから!

 

 

次回「ルイス死す」デュエルスタンバイ!

 

 

番外編としてバレンタインの話を……

  • これもまた愉悦(書く)
  • やめろカカシ、それは効く(書かない)
  • 撃沈もまた愉悦(どっちでもいい)

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