アレクシア様を分からせたくて!   作:ゆっくり妹紅

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(この時間帯なら投稿してもバレへんやろ……)

遅くなってすみませんでした()


番外編:ユウトが体験したトラウマや日常話 その壱

その1:スパルタ修行(トラウマ)

 

 

「さて、ユウトよ。お前に修行をつけるにあたって1番の課題になるのはお前の魔力量だ。従って今日から魔力量を解決するための修行も行う」

 

「はい、師匠!」

 

「うむ、いい返事だ」

 

とある森にて、中性的な顔立ちをした剣士とユウトと呼ばれた子供(5歳児)の2人がいた。

師匠呼ばれた剣士は真っ直ぐな目で自分を見つめ気合いの入った返事をした子供に笑みを浮かべると、ポケットから腕輪を取り出す。

 

「師匠、それは?」

 

「さっき言っていた魔力量の修行で使う物だ。ユウト、これからお前はこの腕輪を食事や寝る時、そして私が許可した時以外ずっと付けてもらう」

 

「?はい、分かりました……っ!?」

 

ユウトは師匠から渡された腕輪を受け取ると、なんの躊躇いもなく身につける。すると急に何かを抜き取られるような感覚に襲われ、思わず膝をつきそうになるも彼は根性で耐えた。

 

「い、一体何が……?」

 

(ほう……膝をつかないとは大したものだ。流石、私の魔眼と目をもってしても完成形が分からなかっただけのことはあるな)

 

困惑しながら何とか立っているユウトを見て剣士は満足そうに笑みを浮かべる。なぜなら剣士がこれまで取ってきた弟子の中で、あの腕輪を初めて付けて膝をつかなかったのはユウトが初めてだったからだ。早速自分の予想を裏切った新たな弟子に対して、剣士は更に期待を募らせる。

だがユウトはその様子に気づく余裕はなく、絶え間なく続く慣れない感覚を堪えながら声を出す。

 

「師匠、これは……?」

 

「ああ、説明してなかったな。それは『ドレインブレスレット』と呼ばれている魔導具だ。簡単に言うとそれを身につけている間、魔力を吸収される」

 

師匠と呼ぶ剣士からの説明を聞いてユウトは「なるほど」と理解した。先程感じた感覚は魔力を吸い取られる感覚であり、初めて感じたと思ったのはこれまで魔力を使ったことがないからだろう。

 

だが、それはそれとして聞きたくは無いが聞かなければならない質問がユウトに出来た。恐る恐るユウトは質問を投げかける。

 

「師匠、質問なんですけど吸収した魔力はどうなるんですか?」

 

「ん?そんなの魔力はブレスレットを通して外部に出されるだけだが」

 

「デメリットしかないゴミじゃないですか!……あ、あれ?外れない……?」

 

ユウトは衝動的にブレスレットを外して地面に叩きつけようとするも、ブレスレットは何故か手首から離れずどんなに力を入れても、まるで固定されているかのようにビクともしない。

そしてそれを見ていた剣士は「あ、しまった」と呟きながら──

 

「すまん、それ解呪する前のやつだった」

 

「なんでよりによって呪われてる方を弟子に渡すんですか!?というこれ元々は呪いの装備だったんですか!?そもそもなんでそんなん持ってるんですか!!」

 

「まあそう言うな。ほれ、えんがちょ」

 

ギャーギャー喚くユウトを流しながらその剣士はブレスレットにチョップする。するとブレスレットはあっさりと取れたが、ファンタジーにまだ夢を見ていたユウトからしたらとんでもない光景だった。

 

「解呪って物理なんですか!?こう、魔法みたいな詠唱とかないんですか?」

 

「あるにはあるが殴った方が早いし、そもそも詠唱なんてやってたら時間の無駄だ。それに楽できる方でやった方がいいだろう?」

 

「思ったより現実的だった!」

 

「お前が魔法に憧れているのはわかる。だが魔法と剣、どっちも使ってる私からしたら魔法は詠唱破棄出来ないと不便なものだ。だからお前には詠唱破棄の訓練もさせるというのは覚えておけ」

 

(魔法って詠唱破棄が必須レベルなのか……)

 

さらっととんでもないことを言いやがったな、とユウトは思いつつもこれがこの世界の常識ならば仕方ない、と納得した。それよりとりあえず魔力を抜き取られる感覚に慣れようとそちらに意識を向けようとして──

 

「話は置いといて、今から大剣と重りをつけた状態で素振り1000回と筋トレ100回5セットをやってもらう」

 

「……え?」

 

師匠と呼んでいる剣士が投げた指示と足元に転がる木刀を見て固まる。

 

「し、師匠……?今なんて……?」

 

「だから素振り1000回と筋トレ100回5セットだ。ほら、時間は有限なんだからさっさと始めろ」

 

「わ、分かりました……」

 

少し言いたいことはあるものの自分がお願いした結果なため、文句を師匠に言うのは筋違いではある。ユウトはそう自分を納得させていつも通り重りを身につけ、そして鉄製の大剣を持って素振り1000回をこなそうとして──

 

「ちなみに昼前までに2セット終わらなかったらブレスレット追加だ」

 

「それを先に言ってください!!」

 

恐ろしいことを言ってきた師匠にツッコミながらユウトは急いで素振りを開始した。

 

──なおユウトは魔力を吸われているせいですぐに体力が尽きてしまい、そのせいでブレスレットを追加された挙句本当に死ぬかと思うほど魔力を吸われ、走馬灯を見ながら気を失った(本当に死にかけた)

この出来事をきっかけに、ユウトは『ドレインブレスレット』を見る度に体を震わせるようになったとかならなかったとか。

 

なお、その日の師匠特製のご飯はいつもより豪勢だったとか。

 

 

 

****

 

 

 

 

その2:たまにはのんびりと(日常)

 

 

勇者パーティの活躍で魔王軍の前線基地を守っていた魔王軍幹部を撤退させたことにより、彼らは暫し休息の時間を与えられた。

パーティで話し合った結果、各々好きに過ごそうということになり、聖剣の担い手である勇者レイは国から与えられた屋敷で休み、シーフのユラは城下町にある孤児院へと向かった。

そしてユウトとその相棒のポチすけは──

 

「ユウト、エサの付け方教えて」

 

「ん、いいぞー」

 

「ワフゥ……(特別意訳:ご主人に教えて貰えていいなぁ……)」

 

城下町の外にある近くの川で聖女のマリアと魚釣りをしていた。

事の発端はパーティの話し合いが終わったあとにマリアが「何して過ごせばいいか分からない。だから休息の間はユウトについていく」と謎の宣言をユウトにしたからだ。ユウトはマリアからの宣言に困惑した。しかし、とある事情で娯楽をよく知らないマリアの力にはなりたい。

そんな訳でユウト2人と1匹でできることは無いか、と考えた結果自分とポチすけの2人旅でよくしていた釣りならまったり過ごせるだろうと思いつき、現在に至る。

 

「ユウト、魚はいつかかるの?」

 

「それはその時次第だよ。運が良ければすぐかかるし、ダメな時は釣果なしで帰ることもあるから」

 

「そう……そんなのが好きなんてやっぱりユウトは変わり者」

 

「はは、もしかしたらマリアもその変わり者の一員になるかもよ?」

 

「……だといいな」

 

マリアはユウトの返事に対して小さく呟いてからは川に浮かぶウキをじっと見つめ、そんな彼女をユウトは優しく見守る。

 

「………」

 

「…………」

 

「ねえ、ユウト」

 

「んー、なにー?」

 

「無茶してない?」

 

「……別にしてないよ」

 

不意打ち気味に聞かれたマリアの質問に、ユウトは少し間を置いてから答える。確かに開発とまでは言えないものの、自分なりにアレンジしたとある魔法はそれなりのデメリットがある。実際、最初にそれを試しに使った時は吐血した上に全身筋肉痛にもなった。

だが、今ではたまに吐血しかける程度には慣れてきたため、ユウトの中では無茶には入っていなかった。

マリアはこの質問が何となく聞いたということ、間があったとは言えユウトが自分たちに嘘をつくとは思えなかっため納得し、「そう」と言って話を切り上げた。

 

また二人の間に沈黙が流れる。だが、2人にとってこの沈黙は気まずさといったものはない。寧ろたまに吹く風の音やちょうど良い気温も相まって、心地良さを感じていた。

 

「……ねえ、ユウト」

 

「ん、なに?」

 

「こういうのもいいね」

 

「そうでしょ?」

 

「うん。だから次も行く時は誘って欲しい」

 

「ん、いい──あっ、マリア!糸引いてる!!」

 

「あ、本当だ……これは引っ張ればいいの?」

 

「それで大丈夫!俺は網を……」

 

「はあっ!」

 

「ちょっ、マリア!?」

 

 

──この後、マリアは網を使わずに魚を釣り上げるという感覚がクセになったらしく、その日だけに限らず毎回持ち前の馬鹿力を利用して魚を釣りあげまくった。

そしてマリアは後にとある国で行われていた釣り大会で見事1位を取り、大衆の前で満面の笑みでのダブルピース(ユウト基準)をするのだが、この時はそんなそとになるとは誰も思ってはいなかった。

 

 

 

 


 

キャラ紹介

 

ユウト:本作オリ主の前世。幼い頃にドレインブレスレットで何度も死にかけたため、魔力吸収に関しては不快感が出てくる程度には嫌な思い出。

なおこの世界での趣味は釣れればその日の食料にもなる+肉より魚派+なんか落ち着くという理由で釣り。釣り道具はそれなりに凝っているらしく、マリアに買ってあげたのも結構いいもの。

なお自分が吐血する程度は無茶には入らない。

 

師匠:弟子のユウトに解呪されてないブレスレットを渡すというボケをしたり、一歩間違えたら死ぬ鬼畜な修行させたりと結構厳しい一面もあれば、ご飯を豪華にしたりと優しい面もある。なお、魔眼を持っているらしいが……?

 

マリア:勇者パーティの聖女。感情を表に出すことはなく、表情もほとんど出ない。だが勇者パーティのメンバー、特にユウトは彼女の感情や表情には鋭く、またとあることがきっかけでマリアはユウトのことを無自覚ながら恋い慕うようになる。

釣り竿はずっとユウトがくれたものを使っている。

 

ポチすけ:「これ以上のもふもふにはこれから先出会えない」とユウトが自信を持って言うぐらいにはもふっもふ。特殊能力の念力で寄りかかるユウトが心地いいぐらいの温度と湿度の空間、そして最高のモフモフ具合を作ってる。正に特殊能力の無駄使い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その3:とある聖女の誓い

 

──私は孤児だ。

私を拾ってくれた教会の人たちが言うには、雨が降っている日に教会の前に捨てられていたらしい。

 

だが、私の出生なんかは正直どうでもいい。問題なのはその教会が未来の聖女を育成するための教会だということだった。

私は……いや私たちはそこで拷問のような日々を送った。

かつて世界を救った歴代の聖女達のように美しく、そして強くあるために様々なことをやらされた。

 

それこそ聖女らしく傷を癒すための魔法や防御魔法といった白魔法の習得、いざと言う時に前線に出るための戦闘術、そして聖女らしい立ち振る舞いや表情の作り方など色々あった。そして少しでもミスや出来ないことがあれば「禊」という名目でムチで叩かれ、罵詈雑言を浴びせられた。特に私の場合は、子供たちの中ではずっと1番魔法がダメだったから毎日のようにムチで叩かれ、罵倒された。

そんな厳しい日々を送れば、人によっては精神を病んだり、ムチで叩かれた時に死ぬこともある。実際、私より先にいた子、一緒に入った子、後から入った子関係なく居なくなっていったし、ある1人の例外を除けば残っていた子も作った微笑み以外の表情は浮かべることはほぼ無くなった。無論、私も例外なく喜怒哀楽が無くなった。

 

 

いっそ死んだ方がマシだと思えた日々だったのが急に変わったのは、私と一緒の時期に入っていながらも明るかった例外の子が死んだ時の事だった。

あの子はどんなに辛くても作った笑みではない明るい笑みを浮かべて私たちを励まし、誰よりも真面目に魔法や戦闘の訓練を受けていた。だから、聖女になるのはあの子だろうと思っていたし、生き残って欲しいとも思っていた。

そんなあの子が死んだ時、言い表せないような胸の中がぽっかりと空いた痛みを感じそれと同時に私の魔力が体が一気に吹き出した。

 

これは勇者や聖女、もしくは神に選ばれた者のみが起こせる現象らしく、その日を境に私は『白魔法を上手く使えない聖女』になった。

 

 

そしてそれから数年後、私は『勇者』のレイ、『密偵』のユラ、そして偶然仲間になってくれた『魔法戦士』のユウトと『フェンリルの子供』のポチすけと魔王軍を倒す旅に出た。

 

──そう、私が人生でただ1人だけ愛したユウトと出会えたお陰で私は『聖女』ではなく『1人の人間』になれた。

 

───ユウトは私が浮かべる笑みが作っているもの、感情の起伏がないことに誰よりも早く気づき、私のこれまでを聞いてからは私によく話しかけてくれた。

 

───ユウトは魔王軍幹部との戦いであの子の幻影を見せられて折れかけた私を引っ張りあげてくれた。

 

───ユウトのおかげで人と一緒にご飯を食べる温かさを知れた。

 

───そして、ユウトのおかげで私は人を愛することを知れた。

 

他にも私はユウトのおかげで色んなことを知れた。だからこそ、私はユウトと……いや、皆で平和な世界を過ごしたいと心から思っていたし、過ごせるとなんの根拠もない自信を持っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でも、ユウトは死んだ。

 

 

 

 

魔王が苦し紛れに放った魔弾からレイを庇ってあっさり死んだ。

 

地面に倒れ込んだユウトは死ぬ間際だというのに、まるで「私たちが無事でよかった」と言わんばかりに優しくて、そして何処か満足したような笑みを浮かべながら死んだ。

 

最初はユウトがいない世界が嫌で死のうと思った。

 

そうすればユウトにも、あの子にも会える気がしたから。

 

でも───

 

『俺は世界をゆっくり見て回りたいかな』

 

『俺が遠慮なく世界一周やれるためにも、レイたち皆無事でこの旅を終わらせよう』

 

いつの日か話した平和になったら何をしたいか、ということでユウトが優しげな表情で言っていたことを自殺する間際に思い出して、死ぬに死ねなかった。

何故ならここでそのまま死んでしまえばユウトがやりたかった夢を踏みにじるような気がしてしまったからだ。

 

そして死のうとしてその度にユウトの夢を思い出しては留まってを数ヶ月繰り返した後、私は教会からの許可を得てから旅に出た。

皮肉にもユウトが死んだあの日に傷を癒す力に目覚めたから、教会は私が1人で旅に出ることを拒むと思っていたけども、予想外にもすぐに承諾の返事が来た。

理由は分からないけども、許可がすぐに出たのは有難かった。ユウトがエンチャントしてくれたモーニングスターとローブ、そして釣竿と冒険用道具を持って襲ってきた魔物や魔族を倒しながら各地を回った。

 

そしたらどうだろうか、皆笑顔で過ごしていた。

 

とある地方の村では子供たちが元気よく広場を走り、夜になれば大人たちが酒を飲みながら楽しそうに話していた。

 

とある国の城下町では子供たちが「勇者ごっこ」をしていて、大人たちは「魔王が倒されて平和になってよかった」と安堵していた。

 

そして私たちが以前魔王軍の魔族たちから助けた村では、私を歓迎してユウトの死を悼んでいた。特にユウトのお陰で命を助けられた見張り兵や、魔族に連れ去られそうになったのを助けられた幼い兄妹はより一層悲しんでくれていた。

 

ここの村だけじゃない。色んなところでユウトの死を悲しむ人が大勢いて、それが何だか嬉しくて同時にここに彼がいないというのが余計に悲しかった。

 

 

 

ユウトは今頃天国で穏やかに過ごせているのだろうか。もしくは生まれ変わって変わらず誰かのために生きているのだろうか。

私には今彼がどうしているのか分からないけども、この旅を通して彼が、私たちと彼が守ってきたものを認識できた。

 

 

 

だからこそユウトに誓おう。

 

 

私は貴方が守ったものを生命尽きるまで守り続けていく。

 

そして何かしらの奇跡が起きてあなたに会えたら───

 

 

 

 




キャラ紹介

マリア:ユウトがいた代の勇者パーティの聖女。生まれが生まれなため表情筋が死んでいたが、ユウトや勇者パーティの面々、そして旅を通して徐々に感情と色んな表情を出せるようになった。ユウトに対しては無自覚な恋心を抱いていたが、ある日のガールズトークで自身の恋心を自覚。それをきっかけにユウトを1人の異性として愛するようになり、平和な世界で穏やかに暮らすことを夢見ていたが……
魔王討伐後はぐちゃぐちゃになりながらも、ユウトの夢のお陰で何とか持ち直し、ユウトが「マリアのために」とエンチャントした武器とくれた釣竿を持って世界を旅し、彼に誓いを立てた。

とある聖女:ある代の勇者パーティの聖女。歴史書では彼女は最初こそ癒しの魔法が苦手だったが、歴代聖女の中で唯一前線で敵を倒し、魔法も戦いの中で覚醒、そして魔王との決戦では仲間を守るために魔王の最期の一撃を受けて瀕死となった勇者の命を救ったとされている。
魔王討伐後は休養後に傷ついた人々を癒すための旅に出たとされている。

才■なき英■:とあ■代の勇■パー■ィにいた■雄。神■選■れた訳もなければ、特■な才■もないただの凡■であった魔■戦■。しかし、彼■旅先で積■的に■助■を行い、時には■を負うことを厭わ■力なき■のためにその身で数■の攻■を受け■めたとされている。
少なくとも彼のその精神は英雄であった。
───とある古文書より。

番外編としてバレンタインの話を……

  • これもまた愉悦(書く)
  • やめろカカシ、それは効く(書かない)
  • 撃沈もまた愉悦(どっちでもいい)
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