アレクシア様を分からせたくて!   作:ゆっくり妹紅

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レポートと試験勉強で追われてたはずなのに、何で投稿してるんだろう……

それは置いといて、誤字脱字の報告をしてくださった皆様、評価やお気に入り登録、感想をつけて下さった皆様、本当にありがとうございます。


7冊目

 

°月♪日

 

今日のお出かけは凄かった。

まず、アレクシアがめちゃくちゃ綺麗だった。いや、いつも綺麗だとは思うけど服装も相まって思わず見惚れてしまった。そのせいで感想を言うのが遅れた挙句、敬語が抜けるという大失態を犯してしまったがアレクシアはそれを許してくれて、尚且つ今日だけは敬語はやめて、と頼まれた。めちゃくちゃ不敬だとは思うけど、押し切られて今日1日タメ口で話していた。

 

そこからはアレクシアがいろんな所へ俺を連れて行ってくれた。思えば王都の街並みを今日みたいにゆっくり見たのは初めてだったせいで、子供みたいな反応をしてしまった。今思うとちょっと恥ずかしいが、アレクシアはそれを見て満足そうな笑みを浮かべていたからいいだろう。

 

……そして帰り際、アレクシアの表情を見て俺は前世と同じことを選んだ。よく考えてみれば、どんなに性格が悪くても彼女だってまだ子供であり、今日みたいに同年代の子供と街並みを歩くことなんて今まで経験したことがなかったのだろう。

 

改めて、俺は彼女の友として支えていこうと思う。従者としては勿論だけど、今日アレクシアと一緒に過ごしてこの思いは固まった。元勇者パーティの一員なら心優しい少女一人ぐらい支えてみせないとな。

 

……そういえば、ペアルックのネックレスってよくよく考えてみたらやばくね?

 

 

 

 

°月→日

 

今日の朝、買ってもらったネックレスを付けるべきかめちゃくちゃ迷い、最終的にパッと見では分からないように服の下にしまうような形で身につけた。お陰でアイリス様といった他の人達にはバレなかったまでは良かった。問題はアレクシアと会った時だった。

何と向こうはネックレスをガッツリ見えるように付けていたのだ!そして俺が付けてないように見えたアレクシアは少し落ち込んだ表情を浮かべ、ちょっと目元がうるうるし始めた所で彼女だけに見えるようにネックレスを出して付けているところを見せ、なんで隠しているのかも説明した。

そしたら分かってくれたのか、ほっとしたような表情を浮かべて「隠すのはいいけど、ちゃんと毎日つけなさい」という命令を頂いた。

どうやらアレクシアにとって昨日の時間の証であるネックレスはかなり大事なものみたいだ、これからはしっかり付けておこう。

 

なお、2人きりの時でも敢えて敬語で話していたら、なにか言いたそうにモジモジしているアレクシアは結構可愛く、ついからかってしまった。結果として顔を赤くしながら「タメ口で話しなさいよ!」と怒られてしまったが、普段からあれぐらい愛嬌あればなぁ……

 

 

°月¥日

 

アレクシアとアイリス様の剣は対極にあるものだ。アレクシアは才能がないなりに努力を積み重ねた努力の剣で、アイリス様は才能を存分に活かした才能の剣。

誤解しないで欲しいのは、アイリス様が才能にかまけて努力をしていない訳では無いということで、むしろ常人以上に鍛錬をしている。その賜物か、今の段階で彼女は並の魔剣士程度なら年上でもコテンパンに出来るほどの実力を持っている。

 

だからこそ、あの二人は比べられている。

今日の剣の稽古で俺が忘れ物を取りに行ってる最中の廊下で、使用人たちがアレクシアのことをアイリス様と比べて蔑んでいたのを聞いてしまった。もしかしなくても、アレクシアの性格があの歳で捻り曲がっているのはこれが原因なのではないかと思う。本当であれば、実際に聞いてみることなのだがこれはかなりデリケートなところだ。変に踏み込んで彼女を傷つける訳にはいかない。

 

今、俺に出来ることは彼女のガス抜きに付き合うことぐらいしかない。まあ、それは別としてあの使用人たちには腰が抜けるほどの殺気をすれ違いざまにぶつけてやった。()()()()をバカにされて大人しくできるほど俺は我慢強くないんで。

 

 

1週間ほどアレクシアとどんな話をしたのかというのを中心とした内容が続く。

 

 

°月$日

 

今日はアレクシアが風邪を引いたのでその看病をずっとしていた。

朝になっても起きてこないのが不安で周りが止めるのを聞かずに部屋を開けてみれば、咳をして寝込んでいるアレクシアの姿。すぐに彼女のおでこに手を当ててみれば、熱が出ているとすぐに判断できる程に熱く後を追ってきたメイドさんに急いで医者を呼ぶように指示を出し、その間に俺は執事長に事情を説明、水が入った桶とタオルを準備してもらって医者が来るまで水を絞ったタオルを彼女の額に置き、熱くなったらまた水につけて絞ったら額に置くを繰り返した。

 

数十分後にはかかりつけの医者が来てくれ、診断結果は季節の変わり目が原因と思われるただの風邪だった。それにほっとしつつも基本的な世話は俺がすることになった。流石に着替えや体を拭くのはメイドさんに任せたが。

そして本来は部屋に戻っている時間にも関わらず俺はまだアレクシアの部屋にいる。何故かと言うと、日記を書く1時間前に起きた彼女が小さい声で「おいていかないで」と言って俺の服の端を掴んでいるからだ。

 

……あの「おいていかないで」は恐らく俺に対してではなく、アイリス様に対してだと思う。2人は仲のいい姉妹で、楽しそうに話しているところや剣の稽古をしているところを見たことがある。でも、才能という不公平な物が2人の距離を少しずつ離していて、それが先程の言葉となって出たのだろう。そして、その気持ちは俺もある程度は分かる。

 

先程様子を見に来た執事長に事情を説明してここで一晩過ごす許可は出たので、今日はこの状態で寝ようと思う。俺が傍にいるだけでも多少マシにはなると信じて。

 

 

 

……ちなみに、ご飯を食べさせている時のアレクシアはかなり可愛かった。

 

 

 

 

 

****

 

 

 

 

 

「待って!お姉様、待って!!」

 

───少女はひたすら走っていた。遠くなっていく、尊敬していて大好きな姉の後ろ姿に追いつきたくて必死に手を伸ばし、声を出しながら走っていた。しかし、姉は止まることも無ければ振り返ることすらせずどんどん進んでいき、距離はさらに離れていく。

 

「待って……きゃっ!」

 

それが嫌で少女は足をもっと動かそうとするも疲れで足の動きは鈍く、遂には転んでその場に倒れてしまった。痛みに顔を顰めながら前の方を見ると、そこに先程まで追っていた姉の背中は豆粒のように遠く追いつけないことが嫌でもわかった。

 

「お姉様……」

 

何で私はお姉様に追いつけないのだろう、どうして私に才能がないのか、どうして周りは自分と姉を比較してくるのか、そんな想いが彼女を蝕んでいく。そして口から弱々しく───

 

「おいていかないで……」

 

諦め半分でその言葉を出した時、急にその腕を掴まれたかのような感覚をした。驚いてそちらを見れば、自身の従者である少年が心配そうな目付きで立っていた。

 

「あっ……」

 

───立てるか。と言われたかのような感覚を覚えながらも、少女は彼の手を借りて立ち上がる。少年はそれを確認すると彼女の方にいつの日か見せた優しい笑みを向けながらゆっくりと歩き出す。

 

それが、少女───アレクシアにとってはとても心地よく、そして少年の顔を見ながら隣に立つように歩き出し───

 

 

「………」

 

アレクシアは気がついたら起きたらいつも見る天井を見ていた。何か大事な夢を見ていたような気がするが、どんな内容だったかは思い出せない。

 

(……そういえば、風邪を引いて寝てたんだっけ)

 

アレクシアは朧気に覚えている記憶を手繰り寄せて自身の状態を思い出す。今は風邪特有のだるさや喉の痛みなどはまだ残っているものの、かなりマシになっている。とりあえず、体を起こそうとして自身の右手を誰かが握っていることに気がついた。誰なのだろう、と思い右側を見ると。

 

「ルイス……?」

 

「スー……スー……」

 

静かな寝息を立てながら椅子に座っている大事な従者の姿。自分のおでこにタオルが置いてあることから、ずっと自分のことを看病してくれていたのだろう。その事にアレクシアはバカ真面目な彼に呆れると共に、仕事だとしてもずっと傍にいてくれたことに嬉しさを感じ笑みを零す。

 

「本当、バカなやつね……」

 

アレクシアは嬉しそうに呟きながら、滅多に見ることの無いルイスの無防備な寝顔を彼が起きるまで見ていたり、頬をつついたりと好き放題するのだった。

 

……なお、この後ルイスにも自分の寝顔を見られていたということに気が付き、恥ずかしさで赤面するまであと1時間。




まだアレクシアの脳みそを破壊するタイミングじゃない……だから我慢しろ、ワイの指……!

Q.アレクシアは装飾品を付けるのを好まないのになんで付けてるの?
A.幼少期の段階ではまだそこまでストイックじゃないのでは?と思ったため。

キャラ紹介

ルイス
実は我慢弱い男であることが判明。アレクシアのことは分からせ対象とは思いつつも、彼女のことは大事な人認定している。ちなみに2人きりの時になると、決まって最初は敬語で話してアレクシアが恥ずかしそうにタメ口で話せ、と言うまでからかうのが最近のマイブーム。

アレクシア様
ルイスのことを夢で見ちゃうぐらいには彼のことを意識しているのが現状。なお、彼女の中ではまだ彼のことを異性としては意識していない、異性としては。でも見られて恥ずかしいものは恥ずかしい。ルイスの頬は思ったよりつつきがいがあったとのこと。


ルイスの秘密:5
実はずっと乙女座。

番外編としてバレンタインの話を……

  • これもまた愉悦(書く)
  • やめろカカシ、それは効く(書かない)
  • 撃沈もまた愉悦(どっちでもいい)

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