うちの呪術廻戦にはオリ主転生が多すぎる   作:madamu

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思いついたので。


うちの呪術廻戦にはオリ主転生が多すぎる

「おい、高くない?」

初夏のTシャツ姿は快適性というよりも鍛えた身体を見せつける様相である。

 

既に深夜も日付を回り、眠らない街と言われた歓楽街も夜明けに向かって動く時間に近づいていた。

 

キャバクラやホストクラブの立ち並ぶ通りの裏にある隠れ家的なクラブでも夜明け前の終わりの時間だ。

「なぁ、高けーだろ」

4人組。高級ブランドのTシャツやパーカーから垣間見る身体は、筋肉にしっかりついており鍛えていることを想像させる。

 

黒いTシャツが店のボーイに対して会計が不当に高いということを迫っていた。

Tシャツの仲間も、真剣な顔をして「ぼったくり?」「舐めてんの?」「シャンパンの仕入れ値なんてそこまでしねーよ」と囃し立てる。

全員、眉間にしわを寄せている。

 

会計額は614,000円

シャンパンを3本、席についた女の子たちにもそれなりの杯を飲ませた。

店に入ってからたっぷりと4時間は経っている。

黒Tシャツを始め、4人ともお遊びなれた風情でクラッチバックやハンドバックなど、遊び人然とした風体だ。

 

明らかに「イチャモン」である。

「お客さん、遊びなれてるならこういうクラブの相場もわかっているでしょ」

 

ソファに座る黒Tシャツに近づき、店の年長スタッフが笑顔で話す。

言葉はややきついが、表情や声音は優しい。

こういう輩の扱いは慣れたもので、トラブルが手に余るようなら任せる相手も決まっている。

心理的余裕は行動にも表れる。

年長スタッフは客に対してやや厳しい態度で向かい合える。

だが、今回の相手は「イチャモン」の先が目的であった。

 

黒Tシャツの横にいた大柄なデブ、肥満というよりは相撲取りのアンコ型に近く、両腕の筋肉も人の倍どころではない。

デブが立ち上がりながら年長スタッフの腹を拳で突く。

座席から立ち上がりながら痛みで前かがみになったスタッフの髪を掴み頭突きを顔面に入れる。

 

席にいる女たちは悲鳴を上げて席から逃げ出していく。

「おい、ここは客に絡むのがサービスなのかよ」

「店長出せ、ケツ持ちでもいいぞ!」

男たちは立ち上がり、周囲のスタッフや客たちを威圧する。

目的はトラブルだ。

トラブルを起こす。ケツ持ちのヤクザを出す。そこでもトラブルを起こす。

男たちの後ろにいる人間は、男たちとケツ持ちのヤクザのトラブルを望んでいる。

男たちもトラブルは起こすが負けることは考えていない。

 

中部地方では少しは知られた4人組だ。

だいたいの犯罪はした。勿論殺人も含まれている。

札束4つの仕事と思うと、こういった喧嘩仕事は簡単な範疇であった。

 

店の奥ではざわつき、客のいるところでは静寂。

 

そして別の席から客が絡んでくる。

 

「うるせーよ」

「たけーに決まってだろ。ここぼったくりだぜ」

 

1人はよれよれのスーツ姿。いかにも昭和生まれと思わせる中肉中背の男。

眼鏡だけはリムレスをしている。

特徴らしい特徴はない。唯一はそのリムレスの眼鏡だけだろうか。

 

もう一人は、上は黒のトレーナー、は黒のスキニーパンツ。

長身。それだけではなく人とは思えない圧力。

4人が初めて見る”猛獣”だ。

 

黒Tシャツもそれを感じたのか、テーブルの上の空きボトルを手に持ち警戒する。

他にもカバンからナイフを取りだし戦闘態勢をとる者もいる。

 

「チンピラ、喧嘩買うのか」

「喧嘩じゃなくてカツアゲだろ、ゴリラ」

2人の男は視線を絡めず、悪意のある渾名を言いながら一歩一歩4人組に近づいていく。

2人は薄っすら笑っている。

微笑というような陽性の物ではなく、陰性、具体的に言えば悪党的な笑みである。

 

近づく二人に対してデブが唾をのむ。

「おい、店長!終わったら今日の支払いこいつらにつけといてくれ!」

チンピラと呼ばれたスーツ姿が店の奥に向かって声をかける。

 

スーツ姿が文字通りへらへらと笑いながら少し大股で黒Tシャツに近づく。

「オイッ」と鋭く言うとスーツは軽く左のジャブを出す。

黒Tシャツは反射的に手にした空のボトルをこん棒のように振り上げ、スーツの頭に振り下ろす。

 

ゴスっと鈍い音が響くと思ったが、ボトルがまるで薄いガラスのように砕ける。

映画用の疑似ボトルではないし、黒Tシャツも同様の方法で何人もの頭蓋骨に致命的な一撃を加えてきた。

今までにない手ごたえに黒Tシャツは手の内にあったボトルの残りをその場に投げ捨てた。

「は~い、正当防衛。やっておしまい、ゴリラ」

「寄るな馬鹿、酒臭い」

 

猛獣を思わせる男は眉をひそませスーツから一歩距離を置く。

隙を突こうとデブが言葉を発さず、”猛獣”へと近づく。

だが、猛獣は慌てず一瞬でデブの顎を掴む。

 

「むぐぐぐ」

一瞬で顎を掴まれ、万力の如き握力でデブは痛みと圧力で膝をつく。

普通であればここで、殴るか蹴られるかして距離を置くことになるが、デブの顎から猛獣の手は離れずに、どんどんの力が強くなっていく。

 

「よっと」

黒Tシャツがデブの方を向いているうちにスーツは黒Tシャツの膝を目がけて関節蹴りを繰り出す。

ピシッと黒Tシャツが自分の膝周りの筋が立ててはいけない音をしたことを体内で聴いた。

「あ、ううう」

膝を抱え込んで倒れる黒Tシャツ。本能的に負傷して膝を抱えで倒れることが安全だと感じたのだ。

 

バキ

 

渇いた音。

その場にいた暴力を生業とする男たちは即座にデブの顎の骨が握り潰されたと思った。

 

「あ~あ、流動食」

スーツの男が残念がるように茶化す。

デブは手足をバタつかせ、時に猛獣の掴んだ腕を叩き逃れようとするが徒労に終わった。

 

「涎つけるなよ」

破壊音から30秒ほどしてから猛獣はゆっくりとデブの顎から手を離す。

デブは痛みにより泡を吹いて気絶している。失禁していないだけマシだ。

 

「甚爾さん、十蔵さん」

「今日の支払いは無し、来月のお札代にクリーニング料乗っけるからな」

店の奥から出てきた店長は心配げにスーツと猛獣に声をかけた。

スーツからは返答代わりに、請求の話が戻る。

 

「おい、お前らの雇い主にこの店のケツには関東お祈りの会がいるって伝えとけ」

そういってスーツはそばに居たデブの腹を蹴飛ばし、残りの三人を睨む。

ケツ持ちのお祈りの会と敵対するということは、暴力、呪殺なんでもありの泥沼抗争をすることで、日本でやくざ者でお祈りの会に勝てる者はいない。

 

関東の繁華街、裏街道関係の店で起こる霊障やオカルト染みた事件のお祓いをやっている宗教法人が【関東お祈りの会】である。

スーツは関十蔵、お祈りの会の事務局スタッフという名の荒事専門の呪術師。

猛獣は伏黒甚爾、今はお祈りの会のバイトスタッフとして軒先を借りている用心棒。

 

彼らは日本呪術界のはみ出し者。落伍者。

そして3年後に発生する渋谷事変の問題の種となる二人である。




関十蔵:転生者
保有チート:超人的肉体、武神の加護、軍神の加護、闘神の加護、ヘルメスの加護(詐術、体育、盗人)を持つ。
呪力もあるがこちらは今ひとつ。加重術式を使えるが平凡。
呪術高専東京校の卒業生。

伏黒甚爾と同い年で腐れ縁。
伏黒甚爾が禅院家から出たときに衣食住の世話を少しした。

呪力と闘気を全開にすると伏黒甚爾以上の肉体となり、武術の腕を含めれば文字通り「史上最強の体術家」となる。
ただし、伏黒甚爾のように呪力ゼロではないので呪力を縛る術式には縛られる。

呪術廻戦1巻時点で、「関東お祈りの会」の事務局長(十蔵が昔譲り受けた小さな宗教法人。祓い屋として表と裏の世界でそこそこ名前をはせている)をしている。
1年前までは呪術高専京都校の体術指導のパート教師をしていた。

現在はお祈りの会の主任祈祷役(会の会長)を夏油にやらせて裏でこそこそしている。
好きなものは本番のない風俗。甘めのタバコ。ハイボール。ちょっと昔の映画。

呪術界については「くそ喰らえ」とは思いつつ、五条や夏油のように改革しようと行動は起こしておらず、呪術界中核とが距離を置いている。

「馬鹿言ってんじゃねーよ。何が御三家だ。マネロンでうちの宗教法人使わせてやってんだぞ」
「スクネ?ホントか。やべーな。一抜けた」
「五条、業も負えない奴に呪術を教えるな。地獄に落ちる覚悟もない奴は表の世界で生きてろ」
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