お前(アンタ)と出会ったのが運の尽き   作:死神作者

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第10話 修行をする滅却師

「それでは、バンビエッタさんの修行を始めましょうか」

 

浦原はどこから持ってきたのか、移動式ホワイトボードと机、椅子を用意し、バンビエッタを座らせた。

 

「なんでそんなもん用意してんの?」

 

「いやあ、せっかくですし、こういう機会でもないと使えないかと思いましてね」

 

「ふーん……まあいいわ。早く始めなさいよ」

 

「えっとですね……じゃあ、まずは基本中の基本である事から行きましょうかね」

 

そう言うと、浦原はホワイトボードに「鎖結」と「魄睡」と書く。

 

「「鎖結」と「魄睡」。この2つが何かわかりますか?」

 

「馬鹿にしてるの?魄睡が霊力の発生源で、鎖結がブースター、要は霊力の出力を司る器官でしょ」

 

「はい正解です!流石バンビエッタさん!」

 

「こんなの、滅却師(クインシー)に限らず、死神も知ってる常識じゃない」

 

「そうっスね。じゃあ、本題に行きましょう」

 

浦原は再びペンを取り、「鎖結」と「魄睡」の文字の隣に上向きの矢印を書き、矢印の下にUPと書く。

 

「早い話、強くなるなら鍛えるのが一番っすね。「鎖結」と「魄睡」、この2つの機能を鍛えれば、自然と霊力は強くなります」

 

「どうやって鍛えるのよ?鍛えようとして鍛えれるものじゃないわよ」

 

「簡単ですよ。「鎖結」と「鎖睡」の機能を上げるには、その機能を使う事が一番いいんです」

 

「どういうことよ?」

 

「例えば、バンビエッタさんは速さを伸ばす時、どうしたらいいと思います?」

 

「そんなの、走ったり、筋トレとかじゃない?」

 

「では、走るにしろ、筋トレするにしろ、何が共通点ですか?」

 

浦原に言われ、バンビエッタは少し考える。

 

「………あ。負荷、とか?」

 

「大正解っす!要は、「鎖結」と「魄睡」の2つに負荷を掛け、強化するというわけです」

 

「へぇ……でも、どうやって負荷を掛けるのよ?」

 

「それは、これっすね」

 

そう言って浦原は、懐からスポーツウェアを出す。

 

「こら、アタシが開発したものでね、「鎖結」と「魄睡」の2つの器官に負荷を掛け、制限するんです」

 

「なるほど……」

 

「まあ、とりあえずやってみてください。最初は軽くやってみましょうか」

 

「わかったわ」

 

バンビエッタはスポーツウェアを受け取り、着替る。

 

「それで、軽くなにをすればいいの?」

 

ストレッチをしながら、バンビエッタは浦原に尋ねる。

 

「簡単ですよ………(ウルル)!」

 

「はい、浦原さん」

 

「え!?ちょっと!?」

 

いつの間にか現れた(ウルル)に驚くバンビエッタ。

 

「バンビエッタさんがする修行その1………今から(ウルル)と鬼ごっこをしてもらいます」

 

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」

 

「大丈夫っスよ。(ウルル)は優しいんで、怪我する事はないっス」

 

「そういう問題じゃなくて!」

 

「じゃあ、頑張って下さい!スタート!」

 

「行きます……」

 

浦原のスタートの合図を聞き、(ウルル)は10mの間合いを一瞬で詰める。

 

「うわっ!?」

 

 

突然目の前に現れた(ウルル)に驚きながらも、バンビエッタは《飛廉脚》を使い、後方に下がる。

 

「ぐっ!?」

 

だが、《飛廉脚》を使った瞬間、バンビエッタの体が重くなり、息苦しさも感じる。

 

「言ったでしょ?負荷を掛けると。そのウェアを着てる間、霊力を使えば使うほど、負荷は増し、動きづらくもなります。まあ、慣れれば平気になると思うんで、頑張ってください」

 

「くそぉ!」

 

バンビエッタは(ウルル)の猛攻を躱し続け、何とか3時間逃げ続けた。

 

「ぜぇ……ぜぇ……」

 

(ウルル)の攻撃を避け続け、疲労困ぱいのバンビエッタを見て、浦原は声をかける。

 

「お疲れ様です。それでは今日はこの辺にしておきましょうか」

 

「はぁ……はぁ……そうしてもらえると助かる……」

 

「また明日もやりましょうか。今日は初日なんで3時間程度で終了ですけど、明日からは。毎日6時間、間に1時間の休憩を挟んでやりましょう」

 

「は?冗談じゃない!そんなにやってたら、こっちの身が持たないわよ!」

 

「え~……だって、強くなりたいんっすよね?」

 

「ぐっ!」

 

「じゃあ、決まりですね!」

 

「はあ……わかったわよ」

 

「じゃあ、次のステップに行きましょうか。今度の修行は、頭を使う修行っスよ」

 

そう言うと、浦原は再びホワイトボードを取り出し、今度は「死神」と「滅却師」と書く。

 

「バンビエッタさん、「死神」と「滅却師(クインシー)」の違いは何ですか?」

 

「は?そんなの、(ホロウ)を殺すか殺さないかでしょ?」

 

「それもあります。では、戦い方では?」

 

そう聞かれ、今度はすっと答えが出なかった。

 

「簡単に言えば、死神は自身の霊力を、対して滅却師(クインシー)は周囲の霊子を使って戦います」

 

「なるほど………で、それがどうかしたの?」

 

「ここが修行のポイントです。斬魄刀の創り方はご存じで?」

 

バンビエッタは首を横に振る。

 

「斬魄刀は、元は「浅打」と言う無銘の刀です。この刀と寝食を共にし、練磨を重ねることで魂の精髄を刀に写し取ることによって"己の斬魄刀"が創り上げられます。つまり、斬魄刀は文字通り、所有者の魂なんです」

 

「ふむ……で?」

 

「斬魄刀には様々な能力があります。直接攻撃系、鬼道系、炎熱系、氷雪系、流水系等々。ここで注目すべきなのは、何かしらの属性がある斬魄刀、炎熱系や氷雪系、水流系ですね。炎熱系の斬魄刀なら炎を出し、氷雪系なら氷、水流系は水………つまり、死神は己の魂である斬魄刀を介して、無色である霊力もとい霊子に属性を付与してるんです。ここまで言えば、アタシの考える次の修行は、わかりますよね?」

 

「なるほどね……要するに次の修行は霊子に属性を付与するってことね」

 

「ご名答……では、さっそく始めましょう」

 

「いや、ちょっと待ちなさいよ」

 

さっそく、次の修行を始めようとする浦原に、バンビエッタが待ったをかける。

 

「どうしたんっスか?」

 

「霊子に属性を付与するって簡単に言うけど、具体的には何するのよ?」

 

「先ほども言いましたが、霊子には決まった方向性はなく、無色です。バンビエッタさんがするのは、その無色の霊子に属性という色を足す。それだけです」

 

「それが難しいって言ってるの。そもそも、霊子に属性付与とか、やったことないし、できるかも怪しいのよ」

 

「だから、それを可能にする方法があるんっスよ」

 

そう言うと、浦原は仕込み杖から、自身の斬魄刀を抜く。

 

「起きろ『紅姫』」

 

浦原の斬魄刀、紅姫を出す。

 

「何よ?まさか、斬り合って、追い込んで、根性で会得しろとか言うの?」

 

「やりませんよ、そんなこと。やるのは……これです………卍解『観音開紅姫改メ』」

 

なんと浦原は、卍解を発動し、髪の長い巨大な女性が浦原の背後に現れる。

 

「これが、アタシの卍解。能力は、『触れた物を作り変える』です」

 

「はぁ?どういう意味?」

 

「例えば……目などの部位を失った場合でも、その部位を『作り変える』ことで治療できる。また、閉鎖空間の出入り口を作るなどもできます。ただ、これはあくまで卍解を発動してる間しか有効じゃないんです。一時的な強化は出来ても、鍛えることはできない」

 

「それでどうするのよ?」

 

「この能力でバンビエッタさんを、霊子への属性付与が出来る身体へと作り変えます。バンビエッタさんは、アタシが卍解を使ってる間、霊子への属性付与の仕方をその身で覚えてもらいます」

 

「は!?なに言ってんの!?」

 

「大丈夫っス!ちゃんと死なないようにしますから!」

 

「そういう問題じゃなくて!!」

 

「大丈夫っスよ!痛くないっスから!」

 

「そういう問題でもないっつーの!!あーもう!わかったわよ!なんでもやってやるっての!こうなりゃ、とことんやってやるわよ!」

 

こうして、「鎖結」と「魄睡」の強化訓練と、霊子への属性付与の2つの修行が始まった




浦原さんの卍解ってこう言うことでいいのかな?
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