お前(アンタ)と出会ったのが運の尽き   作:死神作者

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バンビが修行中の話です


第12話 調子の出ない死神

「なぁ、伊武紀。バンビの奴、どうしてるんだ?」

 

バンビエッタが浦原と修行を開始して数日が経ったある日。

 

屋上で伊武紀、ルキアの2人と昼食を摂って居た一護が伊武紀に尋ねる。

 

「あ?何が?」

 

「この間から休んでるだろ?何かあったのか?」

 

「何もねぇよ。ちょっとしたアイツ個人の野暮用だ。1週間もすれば戻ってくるよ」

 

「1週間か……長いな」

 

「長くねぇだろ。てか、そんなにバンビに会いたいのか?」

 

「ちげぇよ。むしろ、お前のこと心配してやってんだよ」

 

「は?なんで?」

 

「だって、お前、バンビ居ねぇと調子出ねぇじゃん」

 

一護の言う通り、伊武紀はバンビエッタが一緒にいないと調子が狂う。

 

しかも、これはバンビエッタにも同じことが言える。

 

普段は口喧嘩などして仲が悪いように見えるが、実の所、伊武紀とバンビエッタはお互いに数時間一緒に居ないと調子を悪くする。

 

伊武紀の場合は無気力気味になり、バンビエッタの場合だと不機嫌になる。

 

「別にそんなことないけどな……」

 

「いや、あるだろ?この前だって、バンビが風邪で休んだ時、お前休み時間置きに連絡してたじゃねぇか」

 

「風邪引いて寝てるんだから、安否の確認ぐらいするだろ?」

 

「だからって、何度も連絡する必要なくね?」

 

(そうは言っても、俺が連絡しなくてもあっちから連絡来るし………)

 

バンビエッタからの授業中に来る不在着信履歴を思い出しながら、伊武紀は思う。

 

しかし、それを口に出してしまえば、また面倒なことになると分かっているため、あえて言葉には出さない。

 

「なぁ、一護。このジュースとやらはどうやって飲むのだ?」

 

すると、紙パックのジュースの飲み方がわからないルキアが一護にそう聞いてくる。

 

「どうって、ストロー差してに決まってんだろ」

 

「あれ?また一緒に居る。随分仲が良いんだねぇ」

 

そこに、水色が弁当を持って訪れる。

 

「水色。これが仲良い様に見えるか?」

 

「そう見られたくないなら、もうちょっと周りの目とか気にしなよ」

 

「俺が周りの目気にしてたら、とっくに髪の毛を黒に染めてるっつーの」

 

「それもそうだね」

 

そういい、水色が一護の隣に座り込む。

 

「こんにちは、朽木さん」

 

「あ、こんにちは、えっと……小島くん?」

 

「当たり!名前覚えてくれたんだね。改めて、僕は小島水色15歳。趣味は「女漁りだ」ってちょっと!人聞き悪いこと言わないでよ!」

 

「本当の事だろうが」

 

「失礼な。ちゃんと相手は選んでるよ。それに、僕は年上の女性にしか興味ないの!同年代や年下にとっては安全な子なんだから!」

 

「だからだよ」

 

一護の言う通り、ルキアは一護たちと同年代に見えて、100歳を優に超える年齢だ。

 

「おーす!一緒に飯にしようぜぇ!」

 

すると、そこに啓吾も現れる。

 

「って、ああ!そこに居るのは、転入生の朽木さん!どうしてここに!?」

 

「一護と伊武紀君が口説き落として連れて来たんだよ」

 

「なっ!?ちがっ!」

 

「なんだとぅ!一護、伊武紀!グッジョブ!」

 

「あ……お、おう……?」

 

一護が困惑気味にしていると、突如、啓吾が何者かに蹴られる。

 

「いって!なんだよって………大島!?」

 

突如現れた大島は、舎弟と思われる男子生徒と一緒に一護を見る。

 

「よぉ……黒崎」

 

「大島……お前、停学とけたのか………」

 

「てめーには話してねぇよ」

大島は、啓吾を退かし、一護の前に立つ。

 

「黒崎、いい加減その髪、黒に染めろって言ってんだろ。いつなったら染めてくんだ?俺とキャラが被るんだよ」

 

「被るも何も地毛だって言ったんだろ。第一、被ってもねぇよ。このヒヨコヘッド、雄雌判別されてぇか?」

 

「上等じゃねぇか、コラァッ!!テメーとは決着付けねぇといけねぇって思ってたんだ。今ここで、白黒ハッキリつけてやるれ!」

 

大島は、メリケンサックを付けて、そう叫ぶ。

 

(今、「やるれ」って言った……)

 

(これ、ツッコんだらダメだね………)

 

一護と水色が心の中でそう呟くと、伊武紀が口を開く。

 

「おい、「やるれ」ってなんだ?」

 

((言いやがった!?))

 

あっさりとツッコんだ伊武紀に、一護と水色は心の中でツッコむ。

 

「てめー!バカにしてんのか?ああん?ぶっ殺すぞ!!」

 

「バカにしてねぇよ。ツッコむ所だったから、ツッコんだだけだ」

 

「テメー……阿由葉、テメーも黒崎と一緒に葬ってやる………ぜ?」

 

最期の言葉を言い終えた瞬間、大島は背後に投げ飛ばされ。、屋上の地面を滑りながら倒れる。

 

「レイちゃん!?だから、止めようって言ったのに!」

 

舎弟は、大島ことレイちゃんを抱え、屋上を後にする。

 

「あ、チャド」

 

「よぉ」

 

レイちゃんを投げ飛ばしたのは、茶渡泰虎ことチャドだった。

 

「来るの遅かったな。どうしたんだ?」

 

「ああ、ちょっとな」

 

そう言うチャドは体が怪我していた。

 

「その怪我、どうしたんだ?」

 

「ああ、頭のは昨日、鉄骨が落ちて来て………手とかはさっきパン買いに行った時、オートバイと正面衝突して……」

 

「そ、それは災難だな」

 

「俺は平気だ。それより、バイクの人が重傷だったから病院までおぶって行って、遅くなった……」

 

説明を終え、チャドは背負っていた鳥かごを降ろす。

 

「なんだ、その鳥?」

 

啓吾は、チャドの持ってきたインコに興味を持つ。

 

そんな中、伊武紀と一護、ルキアの3人はそのインコに霊が入っているのに気づく。

 

『コンニチハ ボクハ シバタユウイチ オニイチャン ノ ナマエハ ?』

 

流暢に喋るインコに、全員が驚く。

 

啓吾はもうインコに夢中で、あれこれと話しかけ、水色も興味深そうに見る。

 

「なぁ、チャド……あのインコ、どうしたんだ?」

 

一護は、霊の入ったインコをどうしたのか、チャドに聞く。

 

「昨日………貰った」

 

「お前、面倒だからって説明を省くなよ………」

 

呆れる一護だったが、インコが危険な存在なのではと思い、警戒する。

 

「心配するな」

 

そんな一護にルキアが声を掛ける。

 

「確かに、何か入っているが悪いものではない。大方、寂しがっている霊だろう」

 

「それでも、いつ(ホロウ)になるか分からないからな。今夜あたり、魂葬した方がいいな」

 

「そうか……りょーかい」

 

一護は面倒そうに了承するが、どこか安心した表情になり、昼食を食べ終える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後

 

伊武紀は商店街で買い物をして帰ることにした。

 

贔屓にしてる店に訪れる度に「最近、バンビちゃん見ないけどどうしたの?」「喧嘩でもしたか?」「なんかあったの?」など質問攻めに合い、うんざりしながらも適当に答える。

 

「ただいまー」

 

返事の帰ってこない部屋に向かってそう言い、冷蔵庫に材料を放り込む。

 

「どいつもこいつも、俺がバンビと一緒に居ないと調子が出ねぇっとかそんな訳ねぇだろうが」

 

ぶつぶつと独り言を言い、制服を着替える。

 

「さてと、夕飯作るか」

 

そう言って台所に向かおうとすると、足の小指を何かにぶつける。

 

「いっつ!なんだ?って、ああ、バンビの化粧品セットかよ。おい、バンビ!自分のモノはちゃんと片付けろって………今、居ねぇじゃんか」

 

そういい、伊武紀は溜息をつく。

 

「はぁ……何してんだかなぁ俺」

 

そう呟き、伊武紀は料理を始める。

 

「………調子でねぇなぁ」

 

ふと口から零れたその言葉は、殆ど無意識に発せられた言葉で、伊武紀は気づかなかった。

 

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