お前(アンタ)と出会ったのが運の尽き 作:死神作者
「たっく……朝から酷い目にあった……」
授業を終え、昼休みの時間。
伊武紀は教科書やノートを片付けながら、溜息を吐く。
「それはこっちの台詞だっての……」
バンビエッタが、隣の席でブツブツと文句を言う。
「アンタの所為で、あたしまで怒られたじゃない」
「何が俺の所為だ!そもそもの話、お前が目覚まし時計を壊さなきゃ良かったんだよ!」
「あー!はいはい!聞こえない聞こえない!」
耳を塞ぎ、そっぽを向くバンビエッタ。
その態度に、伊武紀は怒りを通り越して呆れてしまう。
(ったく……相変わらず、可愛げのない奴だよ。まぁ、慣れたけどな)
「相変わらずだな」
そんな伊武紀とバンビエッタに、ある少年が声を掛ける。
オレンジ色の髪(地毛)とブラウンの瞳の少年の名は《黒崎一護》
伊武紀とバンビエッタの友人だ。
「よぉ、一護」
「何よ、一護」
一護の登場に、伊武紀とバンビエッタは不機嫌そうな顔を向ける。
「ホント仲良いなお前ら」
「冗談じゃねぇぞ?俺はこんな女願い下げだっつーの」
「こっちこそごめんねー。あたしだってアンタには興味ないし?」
バチバチと火花を散らす2人。
「喧嘩すんのはいいけどよ、それより飯にしようぜ?」
「ああ、そうだなって、今日弁当ねぇじゃん………」
「そうじゃない……あ~、お腹空いた」
「てか、今日の弁当はお前の担当だろ!それなのに、目覚まし時計ぶっ壊して優雅に二度寝か!?」
「うわっ、キレるとか最悪。マジウザッ……」
「正当な怒りだろうが!」
ギャアギャアと言い合う2人を見て、一護は苦笑する。
「仕方ねぇし、飯奢ってやるよ……啓吾が」
「えっ!?俺なの!?」
一護の背後で、昼食の準備をしている浅野啓吾が驚く。
「悪いな、啓吾。ご馳走になる。卵サンドと焼きそばパン、後コーヒー牛乳な」
「あたしカツサンドとメロンパン、それにいちご牛乳」
「奢るのは決定なの!?」
啓吾は泣きながら購買まで走って行き、伊武紀とバンビエッタの要望の品を買ってきた。
無事昼食が届き、伊武紀とバンビエッタは一護と啓吾、そして、もう1人の友人“小島水色”と昼食を摂る。
「ところで、伊武紀くん」
ふと、水色が伊武紀に声をかける。
「なんだ、水色?」
「今更なんだけど、伊武紀君とバンビさんって、どうして一緒に暮らしてるの?」
水色の言葉に、伊武紀とバンビエッタの動きが止まる。
「なんでまたそんなことを?」
「いや、ちょっと気になってね」
「そう言えばそうだな。なんでなんだ?」
水色と一護の2人から尋ねられ、伊武紀は口の中のパンを飲み込む。
「別に大したことじゃないけどな……」
伊武紀はバンビエッタの方を見る。
バンビエッタは黙って、カツサンドを食べている。
伊武紀はそのまま話を続けた。
「バンビの両親が海外に赴任することになったんだよ。それで、両親と一緒に行くかどうか聞かれたらしいんだが、バンビの奴『面倒だから行かない』とか言って断ったらしくてさ」
「へぇ、バンビさんらしいと言えばバンビさんらしいね」
「それどういう意味よ?」
水色の言葉に、バンビエッタはムッとする。
「そう言う意味だろ?で、バンビの両親が1人で暮らさせるのは不安があるからって事で、従兄弟の俺と一緒に暮らすことになったんだよ」
「へぇ~、そうだったのか」
勿論嘘だ。
そもそも、死神である伊武紀と、
だが、そんなことは一護達には分からないし、一護達も納得したので、伊武紀とバンビエッタは良しとした。
「まぁ、そんな感じ」
「でも、いいよなぁ~」
すると、パンを食べていた啓吾がそう言う。
「経緯はどうあれ、可愛い子と同棲なんて羨ましい!」
「はっ!見た目はともかく、性格の所為で帳消しの様な女だぞ?性格がありとあらゆる+要素を打ち消して0にしてるコイツのどこがいいんだよ?」
「そりゃあ、胸が大きいところだろ!」
「死ねばいいのに……」
「その一点に関しては激しく同意だ」
バンビエッタの呟きに、伊武紀も同意した。
「なにおう!男ならみんな大きいの好きだろ!」
「お前は本当に最低だよな……」
「うん……僕も同意見だね」
一護、水色の2人が啓吾に軽蔑の眼を向け、啓吾は落ち込んでしまった。
「……少しくらい夢見させてくれたっていいじゃねぇかよ……」
「夢見る暇あったら現実見ろ、現実」
「そんなに夢見たかったら、家に帰ってベットの中でどうぞ」
冷たく言う伊武紀とバンビエッタに、啓吾はメソメソと泣き出す。
「ひでぇよぉ~……」
「おい、泣くな鬱陶しい」
「急に泣き出すとかウザッ」
「うぅ~……」
啓吾の泣き声を無視し、伊武紀とバンビエッタはコーヒー牛乳といちご牛乳を飲み干す。
「2人っていっつも口喧嘩してるけど、本当に仲いいよね」
「仲良い過ぎて口撃力がエグイけどな……」
「はぁ?冗談じゃねぇぞ?こんな女と仲良い訳ないだろ?」
「それはこっちの台詞だっての」
「ほれみろ。息ピッタリじゃねぇか」
「「全然違う!!」」
一護の指摘に、伊武紀とバンビエッタは同時に否定した。