お前(アンタ)と出会ったのが運の尽き   作:死神作者

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第4話 かつての部下との語らい

「で、どういう事?」

 

(ホロウ)を倒し、一護の家族に今夜の記憶を消し、代替記憶を与え、一護には後日説明をすると告げ、伊武紀はその場をルキアと共に後にした。

 

そして、アパートに戻り、バンビエッタに事の詳細を説明をした。

 

「どうもこうも、言った通りだよ。一護と一護の家族が(ホロウ)に襲われて、一護がコイツ、朽木の力を受け取って倒した」

 

バンビエッタの視線がルキアに注がれている。

 

「……死神になるとか、一護も数奇な出会いをするわね」

 

「その……阿由葉副隊長……この者は?」

 

ルキアは、バンビエッタを見て、伊武紀に尋ねる。

 

「ああ、こいつはバンビエッタ。訳合って、今一緒に暮らしてる」

 

「そうですか……」

 

ルキアは、何故一緒に暮らしてるのか聞かず、ただ納得した。

 

「で、バンビ。こいつは朽木ルキア。俺が護廷に居た頃の、部下だ。もっとも部下だったのは数年程度だけどな」

 

今度は、バンビエッタにルキアを紹介する。

 

「護廷十三隊十三番隊所属、朽木ルキアです」

 

「ふ~ん、あっそ」

 

バンビエッタは、ルキアに興味無さげに、そう言う。

 

「で………朽木、お前、これからどうするんだ?」

 

伊武紀は改めて、ルキアに問う。

 

「どうっと言われましても………」

 

「お前も知ってるはずだ。人間へ無断での死神の力の譲渡は、重罪。流石に死罪とまでは行かないが、百数年は投獄される可能性がある」

 

「そうですね……」

 

ルキアもそれは知っていた。

 

だが、あの時はそうするしかなかったのも事実。

 

伊武紀が近くに居たとは言え、それそ知らなかったルキアは、あの場を切り抜ける為にも、一護に死神の力を譲渡する必要があった。

 

「四十六室は、自身の保身しか頭に無い老人共しかいない。どんな事情があるにせよ、お前には重い刑罰が科せられるはずだ」

 

「でしょうね………しかし、四十六室相手にそのような言い方は…………」

 

「良いんだよ。俺はもう、護廷を抜けた身なんだからな」

 

「あ、そうです!」

 

伊武紀の言葉に、ルキアは何かを思い出したかのように声を上げる。

 

「どうした? なんか思い出したのか?」

 

「どうしたじゃありません!阿由葉副隊長!何故、何も言わず居なくなってしまったのですか!」

 

ルキアの言葉に、伊武紀は僅かに目を細める。

 

「5年前、突如何も言わず十三番隊から消え、浮竹隊長もひどく心配していたのです!一体、何があったのです?」

 

ルキアの言葉を聞きながら、伊武紀は何も答えない。

 

そんな伊武紀を見て、バンビエッタは小さく溜息をつく。

 

「朽木って言ったっけ?コイツはもう十三番隊の副隊長じゃない。ただの死神よ」

 

「だ、だが……!」

 

「これ以上詮索するって言うなら、それ相応の覚悟をしなさいよね?」

 

バンビエッタはギロリとルキアを見る。

 

その瞳を見ただけで、ルキアは背筋に冷たい汗が流れるのを感じた。

 

「落ち着け、バンビ」

 

だが、伊武紀がバンビエッタを宥めるように言葉をかける。

 

「朽木、正直な所、浮竹隊長には申し訳ない事をしたと思ってる。志波副隊長亡き後、新たに副隊長の座に就いたってのに、副隊長の責務を果たせず、浮竹隊長の気持ちを裏切る様な事をしちまった。浮竹隊長だけじゃない、朽木や小椿に虎徹、多くの十三番隊隊士の気持ちもだ。お前らには本当に悪いと思っている。すまなかった」

 

伊武紀は頭を下げ、謝罪した。。

 

「阿由葉副隊長……」

 

「俺だって好きで護廷を去った訳じゃないんだ。でも、去らざるを得ない事情があったんだ」

 

「……その理由を聞いても良いですか?」

 

「………悪いが、今は言えない」

 

ルキアの問いに、伊武紀は首を横に振る。

 

「そうですか……。では、仕方がないですね」

 

ルキアは残念そうな表情を浮かべるが、それ以上追求する事は無かった。

 

「すまない。それと、俺の事は他言無用で頼む。勿論、浮竹隊長にも、他の隊士、ましてや総隊長にだって言うな」

 

「総隊長にもですか?」

 

「ああ、そうだ。理由は言えないがいずれは話そう」

 

「分かりました。約束します」

 

ルキアの言葉に伊武紀は静かに笑うと、「ありがとうな」と言う。

 

「それで、朽木はこれからどうするんだ?死神の力を失った以上、尸魂界(ソウル・ソサエティ)には帰れないだろ?」

 

「それについては色々考えがありますので、ご心配には及びません」

 

ルキアはそう言うと、夜も遅いからと伊武紀とバンビエッタの家を後にした。

 

伊武紀は、遅いから泊って行けばと誘ったが、ルキアはそれを断り、去って行った。

 

ルキアを見送った二人は、家の中へと入ると、バンビエッタが口を開く。

 

「あの子、大丈夫なの?」

 

「さぁな。ま、朽木なら大丈夫だろう。ああ見えて、意外とタフだからな」

 

「そっちじゃないわよ」

 

そう言うと、バンビエッタは伊武紀に指を突き付ける。

 

「あの女が、チクったりしたらどうするつもりよ?」

 

「そんなことか。それなら大丈夫だ。朽木は、易々と約束を破る奴でもなければ、人を売る様な奴でもない」

 

「……随分と信頼してるのね」

 

「まぁな………アイツとの付き合いは、僅か数年程度でしかないけど、それでも信頼出来る奴だと俺は思ってるよ」

 

伊武紀はどこか懐かしむような目をしながら、笑みを見せる。

 

その笑顔は、かつて共に戦った仲間に向けられた物だった。

 

その伊武紀の笑顔に、バンビエッタは少しだけモヤっとした。

 

(いい笑顔しちゃって……そんな笑顔、一度も見せたことないのに……なんかムカつく)

 

モヤッとしたと思った瞬間に、イラっとし、バンビエッタは思わず伊武紀の尻に蹴りを入れる。

 

「いってぇ!何するんだよ!?」

 

「別にぃ~。ただ、なんとなく蹴っただけだから」

 

「なんだよ、その理不尽な理由……!」

 

「なんか疲れたし、もう寝るから」

 

そう言うと、バンビエッタはベッドに入り、布団を被る。

 

「変な奴だな………」

 

唐突な理不尽な暴力に、ぶつくさと文句を言いながらも伊武紀はそれ以上何も言わず、自身も布団を轢き、部屋の電気を消す。

 

「明日は目覚まし時計壊すなよ……おやすみ」

 

「うっさい。アンタこそ、あたしより先に起きなさいよね……おやすみ」

 

互いに挨拶を交わした後、部屋の中には静寂が訪れた。




オリ主の伊武紀は、海淵殿の後任の副隊長設定です。

海淵殿が亡くなったのがいつなのか、調べてもよく分からなかったので、一心が十番隊隊長をしている頃にはもう亡くなってると考え、オリ主が副隊長をしていた時期は比較的短い設定です
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