お前(アンタ)と出会ったのが運の尽き   作:死神作者

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第5話 死神代行となった親友

翌朝、なんとか目覚まし時計の破壊を回避し、時間通りに起きた伊武紀は寝てるバンビエッタを起こさない様に、服を着替える。

 

制服に着替え終えると、台所に向かい弁当を作り始める。

 

昨日のうちに下準備をしておいたので、弁当箱に詰めていくだけだ。

 

「よし……」

 

弁当作りを終えた伊武紀は、バンビエッタを起こしに行く。

 

「おい、起きろ」

 

伊武紀が声をかけると、バンビエッタは布団の中でごそつく。

 

「聞こえなかったのか?さっさと起きろ」

 

「ん~……後5分………」

 

「そう言って起きた奴を俺は知らないんだよ。いいから起きろ」

 

ベッドから引きずり下ろし、洗面所に放り込む。

 

その間に朝食の準備をする。

 

準備を進めていると、ようやく制服に着替えたバンビエッタが出てきた。

 

「ふぁ~……おはよ……」

 

「おはよう。さっさと席に座れ。朝飯だ」

 

伊武紀の言葉に従い、椅子に座りテーブルに着くバンビエッタ。

 

「いただきます」

 

手を合わせ、食事を開始する二人。

 

食べながら、伊武紀は口を開く。

 

「今日の放課後、一護に色々説明するつもりだ」

 

「ふ~ん、あっそ」

 

「他人事だな。お前にも関係ない話じゃないぞ」

 

「はっ?なんでよ?アンタが死神だとかの説明するのに、アタシは関係ないじゃない」

 

「いや、お前にも関係あるだろ。同居してる以上、お前が俺を死神だって知らないってのは無理がある。なら、いっそのこと最初から全部話しちまった方がいいだろ」

 

「………はぁ、面倒ね……」

 

バンビエッタは溜息を吐き、憂鬱そうに味噌汁を啜った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっはよ─う!伊武紀にバンビ!」

 

教室に着くと、啓吾がハイテンションで挨拶をしてくる。

 

「朝っぱらからテンション高い挨拶してくんな」

 

「朝からアンタの相手したくないのよ。ウザいから黙ってて」

 

「辛辣!?」

 

二人の反応にショックを覚える啓吾だが、すぐに立ち直る。

 

「まあいいか!それより聞いたか!?今日、転校生が来るってよ!」

 

「「転校生?」」

 

首を傾げる伊武紀達を見て、水色が補足説明をする

 

「なんでも、職員室でそう言う話を通りすがりに聞いたそうでさ」

 

「なんでも女子らしいぜ!いや~、楽しみだよな!どんな子が来るのかな~♪」

 

暢気にそう言う啓吾に、伊武紀とバンビエッタは嫌な予感がした。

 

「ねぇ、伊武紀、アタシ、なんか凄く嫌な予感がするんだけど……」

 

「奇遇だな……俺もだ………」

 

そんな2人の不安をよそに、チャイムが鳴ると同時に担任の教師“越智”が入ってきた。

 

「はいはい、静かにしろー。ホームルーム始めるぞ」

 

越智先生の言葉を聞いて、生徒達は自分の席に戻る。

 

全員が着席すると、越智先生は教壇に立つ。

 

「えーと、黒崎は欠席か。まぁ、アイツなら大丈夫でしょ。間違っても問題は起きないだろうし」

 

そう言って、越智先生は雑に出欠確認を終わらせる。

 

「じゃあ、転校生の紹介するぞ」

 

そして、転校生が教室に入って来る。

 

その人物を見て、伊武紀とバンビエッタは絶句した。

 

「朽木ルキアと申します。家庭の都合で、この様な中途半端な時期転校してきました。皆様、どうかよろしくお願いいたします」

 

転校生はルキアだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホームルームが終わり、授業が始まる僅かの時間。

 

ルキアの周りには、大勢の生徒が詰めて来た。

 

その様子を見ながら、伊武紀とバンビエッタは小声で話す。

 

「……どうなってんだ……?なんで、朽木がここにいる……?」

 

「……知らないわよ……ていうか、なんであの女は学校に来れるのよ……」

 

「それはこっちの台詞だ……」

 

伊武紀達の疑問を余所に、クラスメートに囲まれていたルキアは、伊武紀の姿を見つける。

 

「阿由葉くんと、バスターバインさんですね?越智先生から、何か困ったことがあれば貴方達に聞くようにと言われましたの。どうか、よろしく」

 

そう言って、ルキアは手を差し出す。

 

その掌には、文字が書かれていた。

 

『騒いだら殺す』

 

その文面に、伊武紀とバンビエッタは戦慄する。

 

((マジだ……))

 

2人は、ルキアが本気で言っていることを察し、何も言わずに席に戻った。

 

それから時間が経ち、3限が始まる直前に一護がやって来た。

 

「一護、遅かったな」

 

「何かあったの?」

 

「ああ、家にトラックが突っ込んだ」

 

「は?一護、お前何言って……」

 

伊武紀は一護が変なことを言うので何かと思うも、すぐに理解した。

 

今はバンビエッタが近くに居る。

 

少なくとも、今の一護はバンビエッタが死神の話を知らないと思っているので、家族に与えられた代替記憶通りにトラックが突っ込んだと説明した。

 

「それより、3限目ってなんだ?」

 

「現国だぞ」

 

「なら、越智サンか。なら、ごちゃごちゃ聞いて来ねぇな」

 

自分の席に着き、一息入れようとする一護。

 

「貴方が黒崎くん?」

 

そんな一護に、隣の席のルキアが声を掛ける。

 

「なっ!?おまっ!なんっ!」

 

一護は驚き、叫びそうになる。

 

「初めまして。私、朽木ルキアと言います。それと、初対面で申し訳ないんですけど、私、まだ教科書とかないの。貴さ……貴方のを見せてもらってもいいかしら?」

 

そう言いルキアは、伊武紀とバンビエッタにしたように掌を見せる。

 

そして、一護もまた戦慄した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どういうつもりだよ!」

 

授業が終わるなり、一護はルキアを連れて校舎裏に移動する

 

「まぁ怖いー私何かされるのかしらー」

 

「うるせぇ!ていうかまずはその気色悪い喋り方を何とかしろ!」

 

「失礼だな。一晩で習得したにしては上出来だろう?」

 

「とにかく!どういうつもりか説明しろ!」

 

「説明?」

 

「そうだ!お前の仕事はもう済んだんだろ!なら、尸魂界(ソウル・ソサエティ)ってとこに帰ればいいだろ!なんでここにいるんだ!」

 

「朽木は帰らないんじゃない。帰れないんだ」

 

一護の疑問に答える様に、伊武紀がバンビエッタと共に現れる。

 

「伊武紀……それに、バンビまで!?伊武紀、なんでバンビまで一緒なんだよ!」

 

「その事も含めて、全部説明する」

 

伊武紀は一呼吸の間を置いて、話をする。

 

「まず、俺の説明からだな。護廷十三隊十三番隊副隊長、それが俺の5年前までの肩書だ」

 

「5年前って……つまり、今は違うのか?」

 

「ああ。ちょっと複雑な事情があってな。簡単には説明できない。取り合えず、現在の俺は尸魂界(ソウル・ソサエティ)を追放された哀れな死神って覚えておけ」

 

「お、おう………なぁ、バンビの前で説明するって事は。もしかしてバンビも……」

 

「いや、バンビは死神じゃない。だが、俺の正体については知ってるし、尸魂界(ソウル・ソサエティ)の事も多少は知ってる」

 

「そ、そうなのか……なら、一体………」

 

一護はバンビを見る。

 

「アタシの正体が気になるんでしょうけど、今は話す気ないから。ま、気が向いたら教えてあげるわ」

 

「そ、そうか……」

 

バンビにそう言われ、一護はそれ以上追求できなかった。

 

「それで、朽木の話に戻るが」

 

「そうだ!帰れないってどういう事だよ!」

 

尸魂界(ソウル・ソサエティ)に帰れるのは死神だけだ。今の私は、死神の力を全て失ってる」

 

「はぁ!?」

 

ルキアから語られた言葉に、一護は驚く。

 

「昨日、朽木から死神の力を受け取って(ホロウ)を倒しただろ?あの時、半分だけ渡されるはずだった力は、殆どお前に吸い取られたんだよ」

 

「な、なにぃ!?」

 

「今のお前は、私から殆ど吸い取った死神の力によって、魂が死神化している。お陰で、今の私には鬼道を使う程度の力しか残されていない。今もこうして、義骸に頼らねばならない程だ」

 

「ギガイ?」

 

「力が弱まった死神が緊急時に入る仮初の身体の事だ。弱くなった死神は、これに入って力を回復させるんだよ」

 

伊武紀からの説明を聞き、一護は納得する。

 

「なるほどな………それで、弱り切った死神サマが俺に何の用だ?」

 

「決まっている!貴様には、これから私の力が戻るまで、死神の仕事を手伝って貰う!」

 

「…………はぁ!?」

 

「当然だろ?今、死神の力を持っているのは貴様なんだ。勿論、私も補助はする。言っておくが断る権利は貴様には「断る!」………なんだと?」

 

一護が即決で断ると言ったため、ルキアは驚く。

 

「昨日の事は感謝してる。死神の力が無ければ、家族を守れなかったからな。だが、ソレとコレは別だ!昨日は、自分の家族が襲われたから、あんなのと戦えた。だけどな、見ず知らずの他人の為にあんな化け物なんかと戦えねぇ!俺はそこまでやれる程、できた人間じゃねぇんだ!期待を裏切るようで悪いけどな」

 

そう言い残し、一護はその場を去ろうとする。

 

「………ならば、仕方がない」

 

するとルキアは、捂魂手甲と言う、肉体から魂を抜く指ぬきグローブを取り出し、一護の身体に触れる。

 

一護の魂は、一護の肉体から抜け出し、死神の一護が現れる。

 

「うをっ!?何だこりゃ!?魂が抜かれてる!?」

 

「おい、ついて来い」

 

驚く一護を他所に、ルキアはそう言う。

 

「はあ!?なんでだよ!?」

 

行き成りの事に、一護は反抗的になるが、それを伊武紀が宥める。

 

「まぁ、取り敢えず行って来いって」

 

「伊武紀……でもなぁ」

 

「良いから行け。その上で、どうするかお前が決めろ。仮に、お前が死神の仕事を代行しないとしても、俺が代わりにするだけだ。だから、気楽に考えとけ」

 

そう言って伊武紀が背中を押し出すと、一護は渋々ながらも付いて行くことにした。

 

「で、これどうすんのよ?」

 

バンビエッタは、地面に転がる魂抜きの一護の身体を足で突っつく。

 

「取り敢えず、俺達で確保しとくか。こんな所に置いといたら、事件騒ぎになる」

 

一先ず、一護の身体を回収し、一目の付かない所で一護の帰りを待つ。

 

一時間程度で一護たちは帰って来て、一護の顔を見て伊武紀はふっと笑う。

 

「決まったみたいだな」

 

「ああ。死神の覚悟だとか使命だとか、そんなの分かんねぇ。でも、受けた恩を返さない程、俺はクズじゃねぇからな。あいつの力が戻るまで、死神代行として手を貸してやるよ」

 

「流石は一護だな。ま、俺も手伝ってやるよ。これでも、元副隊長。それなりの腕だから期待してくれ」

 

「頼りにしてるぜ伊武紀!」

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