お前(アンタ)と出会ったのが運の尽き   作:死神作者

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第6話 同居人の居ない日

一護が死神代行として活動を開始した。

 

日中は高校に通い、夜は尸魂界(ソウル・ソサエティ)から来る(ホロウ)の知らせを受け、討伐に向かう。

 

そして、その討伐には伊武紀も同行している。

 

基本的には、伊武紀が(ホロウ)に対する囮をし、それを一護が倒す。

 

伊武紀は護廷十三隊もとい尸魂界(ソウル・ソサエティ)を追放となってる身。

 

その為、あまり目立つ行動は控え、直接的な戦闘は一護がしている。

 

今日は休日。

 

一護はルキアに連れられ、公園で対(ホロウ)戦の特訓を行い、伊武紀もそれに付き添っている。

 

その為、折角の休日だというのに、バンビエッタは1人自宅で過ごしていた。

 

(あ~暇……)

 

そんな事を考えながらベッドの上でゴロゴロとしている。

 

いつもなら、伊武紀と口喧嘩しているか、映画を見てるか、ゲームをしてるか………どちらにしろ伊武紀と過ごしている。

 

しかし、今日はその伊武紀がいない為、何もする事がないのだ。

 

「アタシ……1人の時って何して過ごしてたっけ?」

 

伊武紀と出会って5年。

 

もう、伊武紀と一緒に居る事がバンビエッタの中では当たり前となっていた。

 

「まぁ……アイツが居ない方が静かだし良いんだけどね」

 

そう呟きながらも、どこか寂しさを感じる。

 

今まではずっと伊武紀と2人で生活してきた。

 

1日だけとはいえ、こんなにも静かな空間は初めてだ。

 

(そう言えば、心なしか伊武紀の奴なんか楽しそうだったわね)

 

ここ数日の伊武紀はと言うと、「あまり死神の姿にはなりたくない」と言いつつも、何処か楽し気だった。

 

「たっく……早く帰ってきなさいよ………」

 

思わず本音が漏れてしまう。

 

別に伊武紀に対して何か特別な感情がある訳ではない。

 

ただ、なんとなく傍にいて欲しかった。

 

「あー!もう!!腹立つ!!」

 

抱き締めていたクッションを投げつけ、八つ当たりをする。

 

だが、そのクッションは虚しくも壁にぶつかっただけで終わった。

 

すると、バンビエッタの携帯が鳴った。

 

「誰よ?」

 

と思いつつ画面を見るとそこには『井上織姫』の文字があった。

 

井上織姫はクラスメイトだ。

 

一護の幼馴染の“有沢竜貴”の親友で、一護と連む以上、竜貴とも知り合うし、その結果、織姫とも知り合った。

 

最初は織姫の事をウザいと思いながらも、バンビエッタは気付けばウザいという気持ちは無くなり、友人として普通に接していた。

 

「もしもし?どうしたの?」

 

『あっ、バンビちゃん!今から、たつきちゃんとウチでご飯食べるんだけど、バンビちゃんも来ない?』

 

「たつきが?そうね………」

 

バンビエッタは時間を見る。

 

時刻は夕方。

 

今日の夕飯準備は伊武紀なので、バンビエッタが家に居なくても問題はない。

 

「いいわよ、丁度暇してたし」

 

そう伝え、織姫との電話を終えるとバンビエッタは出掛ける準備をする。

 

「あ、伊武紀に連絡………書き置きでいいか」

 

伊武紀への書き置きを残し、家を出る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「帰ったぞ」

 

バンビエッタが家を出て1時間後、伊武紀が帰宅した。

 

リビングに行き、部屋を見渡すがそこにバンビエッタはいない。

 

キッチンや洗面所等を確認するも、やはりいない。

 

(どこ行ったんだ?)

 

そんな疑問を抱きながら伊武紀が部屋に入ると机の上に一枚の紙が置かれていた。

 

「ん?なんだこれ?」

 

手に取って見るとそこには一言、『ご飯に誘われたから、織姫の家に行ってくる』と書かれていた。

 

「井上の家に行ったのか。それならそうと、連絡の1つでもしろって」

 

ブツブツと文句を言いながら伊武紀は夕食の準備を始める。

 

「やらかしたな…………」

 

伊武紀は目の前の料理を見て、思わず呟く。

 

そこには、2人分の夕食が作られていた。

 

「ついバンビの分まで作っちまった………」

 

バンビエッタと暮らし始めてからはずっと2人分を作っていた為、癖で2人分作ってしまったのだ。

 

「仕方ねぇ……冷蔵庫に入れとけば明日食えるだろう」

 

伊武紀は作った食事をラップで包み、冷蔵庫に入れると、自分の分だけを食べ始める。

 

しかし、いつもより味気のない食事に感じた。

 

バンビエッタと出会ってからというものの、ほぼ毎日のように一緒に食べている為、1人での食事に違和感を感じてしまった。

 

「アイツ……いつ帰ってくるんだよ……」

 

伊武紀は無意識にそんな言葉を漏らす。

 

そして、ハッと我に返り、首を横に振るう。

 

「何を言ってるんだ俺は……」

 

伊武紀は自分が言った言葉を否定するように呟いた。

 

1人での食事を終え、後片付けをし、風呂に入る。

 

後はもう寝るだけだ。

 

「帰って来ねぇな……泊りか?」

 

伊武紀は時計を見ながら、バンビエッタの事を考える。

 

「一応確認するか?………いや、別にそこまでする関係でもないしな。それに、ガキじゃないんだ。心配する必要もないだろ」

 

伊武紀は自分に言い聞かせるように言うと、携帯が鳴る。

 

「誰だよ?」

 

携帯を手に取ると、そこには『黒崎一護』と表示されていた。

 

「一護か……」

 

伊武紀は小さく呟き、電話に出る。

 

「一護、どうした?(ホロウ)か?」

 

『伊武紀!大変だ!井上が危ねぇ!』

 

「井上が?どういうことだ?」

 

『とにかく急いで井上の家に向かってくれ!井上が(ホロウ)に狙われてるんだ!』

 

何故、(ホロウ)が織姫を狙うのか。

 

その理由を問い質す前に、伊武紀は動いた。

 

義魂丸を飲み、死神となり部屋を飛び出す。

 

(井上の家にはバンビが居る!)

 

そう思うと自然と足が速くなる。

 

滅却師(クインシー)であるバンビエッタに限って、(ホロウ)に後れを取るなど、伊武紀は思っていなかった。

 

むしろ、バンビエッタがいるなら安全だろうとすら思っていた。

 

それでも、伊武紀は1分1秒早く向かいたかった。

 

「無事でいろよ………!」

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