お前(アンタ)と出会ったのが運の尽き   作:死神作者

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第7話 救いに現れる死神

「バンビって伊武紀のこと好きなの?」

 

織姫の家で夕食を食べ、食後にお茶を飲みながら話をしていると、たつきがそう尋ねてきた。

 

紅茶を飲んでいたバンビエッタは思わず、紅茶を吹き出しそうになったが、何とか耐える。

 

「なんでそうなるのよ?」

 

「いや、だってアンタたち常に一緒じゃない。登校も下校も、昼休みも。挙句、休日も一緒に過ごすとか、どう考えてもおかしいじゃん」

 

「別におかしくないでしょ?一緒に暮らしてるんだから」

 

「だとしても、昼休みや休日も一緒に過ごすのはおかしくない?」

 

「それは……まあ、いろいろあってね」

 

「ふーん……」

 

「何よその目は?」

 

「べっつに~」

 

たつきがニヤリとした顔を浮かべると、バンビエッタは不機嫌そうにそっぽを向いてしまう。

 

その様子を見ていた織姫は笑う。

 

「でも、仲が良いのはいいことだよね」

 

「はっ?別に仲良くないわよ、あんな奴と」

 

「またまたぁ。素直になりなよぉ」

 

「うるさい!」

 

たつきにそう言い、バンビエッタは紅茶を飲み干し、席を立つ。

 

「織姫、ちょっとトイレ借りるわよ」

 

「うん、どうぞー」

 

バンビエッタはリビングを出ていき、廊下を歩いていく。

 

(全く、変なこと言わないで欲しいわね)

 

そんなことを思いながらトイレに入ったバンビエッタは、便座に座ってため息をつく。

 

(あいつと一緒にいる時間が多いのは事実だけど……別に好きとかそういう感情はないっての)

 

心の中でそう呟くと、少しだけ胸の奥が痛くなるような気がした。

 

(……気のせいかしら?)

 

首を傾げながらも、バンビエッタは再びため息をつく。

 

そして、織姫とたつきのところに戻ろうとした、その時だった。

 

「!?嘘っ……(ホロウ)の霊圧……!近い……!っていうか、こっちに向かってる!?」

 

バンビエッタは慌ててリビングに戻る。

 

「織姫!たつき!」

 

だが、戻って来て目に入ったのは気を失っているたつきと、(ホロウ)に捕まっている織姫の魂だった。

 

「織姫!?」

 

バンビエッタは驚くも、すぐに冷静さを取り戻す。

 

すぐさま霊子兵装の剣を出し、織姫を助けようと動く。

 

『なんだお前は……お前も俺と織姫の仲を裂くのか……なら邪魔だ!』

 

(ホロウ)は生えている尾を使い、バンビエッタを横から攻撃する。

 

「まずっ!」

 

バンビエッタは咄嗟に、《血装(ブルート)》の《静血装(ブルート・ヴェーネ)》を使い、防御する。

 

「うぐっ!」

 

その衝撃で壁に叩きつけられてしまうが、すぐに体勢を立て直す。

 

だが、その隙を狙っていたかのように、(ホロウ)は再度、尾による攻撃を行う。

 

頭上から尾を叩きつけられそうになるが、間一髪で避けることに成功する。

 

『避けたか……』

 

「当たり前でしょ……!あんな攻撃、何度も食わらないっつーの!」

 

静血装(ブルート・ヴェーネ)》のお陰で、怪我は無いものの衝撃はあったようで、身体中に鈍い痛みを感じる。

 

しかし、そんなことは気にせず、バンビエッタは織姫とたつきの方を見る。

 

(たつきは気絶してるだけ………一番危険なのは織姫ね。でも、まだ“因果の鎖”は繋がってる………あれならまだ助かる!)

 

そう思い、再び剣を構える。

 

『無駄だ、お前じゃ俺は倒せない』

 

「どうかしら?やってみないと分からないと思うけど?」

 

そう言うと、バンビエッタは駆け出す。

 

(ホロウ)は、向かってくるバンビエッタに、尾で攻撃する。

 

「てやあああああああ!!」

 

バンビエッタは剣を振るい、斬撃を放つ。

 

ただの斬撃ではなく《動血装(ブルート・アルテリエ)》を使い、斬撃の威力を上げている為、(ホロウ)の尾は両断される。

 

『なっ!?』

 

「まだまだぁ!」

 

バンビエッタはさらに加速し、今度は蹴り技を使う。アルテリエ

 

動血装(ブルート・アルテリエ)》を使っているため、脚力が強化されており、強烈な一撃が(ホロウ)に入る。

 

『がっ!!』

 

それにより、(ホロウ)は掴んでいた織姫を離してしまう。

 

「よし!」

 

それを見たバンビエッタはすぐに動き出し、織姫をキャッチする。

 

「大丈夫?織姫」

 

「バンビちゃん……ありがとう……」

 

「いいのよ。それより、下がってて。すぐに終わらせるから」

 

(ホロウ)にとどめを刺そうと、バンビエッタは剣を向ける。

 

だが、その瞬間、(ホロウ)が顔を上げた。

 

仮面の一部を隠していた黒い髪が上がり、仮面の隠れていた部分が割れているのに気づく。

 

「………お兄………ちゃん?」

 

「………え?」

 

織姫の言葉に、バンビエッタは思わず動きを止めてしまう。

 

その隙を逃さず、(ホロウ)はバンビエッタを殴り飛ばす。

 

バンビエッタは勢いよく飛ばされてしまい、壁に激突する。

 

「がっ!?」

 

静血装(ブルート・ヴェーネ)》を使っていなかった為、かなりのダメージを負ってしまったようだ。

 

そのまま倒れ込み、動けなくなってしまう。

 

(やば……油断した……!)

 

織姫の方に視線を移すと、彼女はいつの間にか(ホロウ)に捕まっていた。

 

『捕まえたぞ、織姫……!』

 

「くっ……!」

 

バンビエッタは必死に立ち上がろうとするも、上手く立ち上がることができない。

 

「本当に……お兄ちゃん……なの……?」

 

『そうだよ、織姫。俺だよ。会いたかったよ……』

 

「なんで……こんなことするの……どうしてたつきちゃんやバンビちゃんを傷つけるの………私の知ってるお兄ちゃんは…………こんなことする人じゃなかったのに……!」

 

『それは……お前が悪いんだぞ、織姫……』

 

「私の……せい……?」

 

『お前が、俺のことを忘れるから……!俺のために祈ることをしなくなったから……!お前が俺をこんな風にしたんだ!」

 

(ホロウ)は腕に力を込め、織姫を握り潰そうとする。

 

「うっ……!がっ……!」

 

『俺はお前のために生きてきた!それなのに、お前は俺のために生きてはくれない!なら、俺のために死んでくれ!』

 

そして、一気に力を込めて織姫の魂を潰そうとする。

 

その瞬間、(ホロウ)の肩に何かが刺さる。

 

それは霊子を固めた矢、《神聖滅矢(ハイリッヒ・プファイル)》。

 

放ったのはバンビエッタだった。

 

「させ……ないわよ……!」

 

バンビエッタは痛みに耐えながら、何とか矢を放った。

 

しかし、(ホロウ)は織姫を握ったまま、後ろへ下がる。

 

『ちっ……しぶといな』

 

「アンタなんか……に……織姫を殺させるわけにはいかないのよ……!」

 

バンビエッタはフラつきながらも立ち上がり、剣を構え直す。

 

「友達を……殺させてたまるか!」

 

『そこまでして俺と織姫を引き離そうとするのか………なら、死ね!』

 

バンビエッタは慌てて回避しようとするも、間に合わず、(ホロウ)の拳が直撃する。

 

バンビエッタは殴られた勢いで吹き飛び、壁に激突する。

 

「うぐっ……!」

 

『終わりだ』

 

(ホロウ)は鋭利に尖った爪で、バンビエッタにとどめを刺そうと、手刀を放とうとする。

 

もうバンビエッタには躱すだけの余力は無かった。

 

(ここまで……か………でも、だいぶ時間は稼げた………あとは伊武紀たちが間に合えば………織姫も、たつきも、助かる………)

 

バンビエッタは目を閉じ、覚悟を決める。

 

だが、その時だった。

 

ザシュッ!っと肉を切り裂く音が響いた。

 

その音に、バンビエッタは目を開ける。

 

そこにいたのは、(ホロウ)の手刀を、腕ごと両断して防いだ死神がいた。

 

その後ろ姿に、バンビエッタは見覚えがあった。

 

そして、その人物は振り返り、バンビエッタの方を見る。

 

「悪い、待たせたな」

 

「遅いのよ……バカ」

 

そう言いながらも、バンビエッタの顔は笑っていた。

 

そんなバンビエッタを見て、伊武紀は微笑んだ。

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