お前(アンタ)と出会ったのが運の尽き 作:死神作者
「バンビって伊武紀のこと好きなの?」
織姫の家で夕食を食べ、食後にお茶を飲みながら話をしていると、たつきがそう尋ねてきた。
紅茶を飲んでいたバンビエッタは思わず、紅茶を吹き出しそうになったが、何とか耐える。
「なんでそうなるのよ?」
「いや、だってアンタたち常に一緒じゃない。登校も下校も、昼休みも。挙句、休日も一緒に過ごすとか、どう考えてもおかしいじゃん」
「別におかしくないでしょ?一緒に暮らしてるんだから」
「だとしても、昼休みや休日も一緒に過ごすのはおかしくない?」
「それは……まあ、いろいろあってね」
「ふーん……」
「何よその目は?」
「べっつに~」
たつきがニヤリとした顔を浮かべると、バンビエッタは不機嫌そうにそっぽを向いてしまう。
その様子を見ていた織姫は笑う。
「でも、仲が良いのはいいことだよね」
「はっ?別に仲良くないわよ、あんな奴と」
「またまたぁ。素直になりなよぉ」
「うるさい!」
たつきにそう言い、バンビエッタは紅茶を飲み干し、席を立つ。
「織姫、ちょっとトイレ借りるわよ」
「うん、どうぞー」
バンビエッタはリビングを出ていき、廊下を歩いていく。
(全く、変なこと言わないで欲しいわね)
そんなことを思いながらトイレに入ったバンビエッタは、便座に座ってため息をつく。
(あいつと一緒にいる時間が多いのは事実だけど……別に好きとかそういう感情はないっての)
心の中でそう呟くと、少しだけ胸の奥が痛くなるような気がした。
(……気のせいかしら?)
首を傾げながらも、バンビエッタは再びため息をつく。
そして、織姫とたつきのところに戻ろうとした、その時だった。
「!?嘘っ……
バンビエッタは慌ててリビングに戻る。
「織姫!たつき!」
だが、戻って来て目に入ったのは気を失っているたつきと、
「織姫!?」
バンビエッタは驚くも、すぐに冷静さを取り戻す。
すぐさま霊子兵装の剣を出し、織姫を助けようと動く。
『なんだお前は……お前も俺と織姫の仲を裂くのか……なら邪魔だ!』
「まずっ!」
バンビエッタは咄嗟に、《
「うぐっ!」
その衝撃で壁に叩きつけられてしまうが、すぐに体勢を立て直す。
だが、その隙を狙っていたかのように、
頭上から尾を叩きつけられそうになるが、間一髪で避けることに成功する。
『避けたか……』
「当たり前でしょ……!あんな攻撃、何度も食わらないっつーの!」
《
しかし、そんなことは気にせず、バンビエッタは織姫とたつきの方を見る。
(たつきは気絶してるだけ………一番危険なのは織姫ね。でも、まだ“因果の鎖”は繋がってる………あれならまだ助かる!)
そう思い、再び剣を構える。
『無駄だ、お前じゃ俺は倒せない』
「どうかしら?やってみないと分からないと思うけど?」
そう言うと、バンビエッタは駆け出す。
「てやあああああああ!!」
バンビエッタは剣を振るい、斬撃を放つ。
ただの斬撃ではなく《
『なっ!?』
「まだまだぁ!」
バンビエッタはさらに加速し、今度は蹴り技を使う。アルテリエ
《
『がっ!!』
それにより、
「よし!」
それを見たバンビエッタはすぐに動き出し、織姫をキャッチする。
「大丈夫?織姫」
「バンビちゃん……ありがとう……」
「いいのよ。それより、下がってて。すぐに終わらせるから」
だが、その瞬間、
仮面の一部を隠していた黒い髪が上がり、仮面の隠れていた部分が割れているのに気づく。
「………お兄………ちゃん?」
「………え?」
織姫の言葉に、バンビエッタは思わず動きを止めてしまう。
その隙を逃さず、
バンビエッタは勢いよく飛ばされてしまい、壁に激突する。
「がっ!?」
《
そのまま倒れ込み、動けなくなってしまう。
(やば……油断した……!)
織姫の方に視線を移すと、彼女はいつの間にか
『捕まえたぞ、織姫……!』
「くっ……!」
バンビエッタは必死に立ち上がろうとするも、上手く立ち上がることができない。
「本当に……お兄ちゃん……なの……?」
『そうだよ、織姫。俺だよ。会いたかったよ……』
「なんで……こんなことするの……どうしてたつきちゃんやバンビちゃんを傷つけるの………私の知ってるお兄ちゃんは…………こんなことする人じゃなかったのに……!」
『それは……お前が悪いんだぞ、織姫……』
「私の……せい……?」
『お前が、俺のことを忘れるから……!俺のために祈ることをしなくなったから……!お前が俺をこんな風にしたんだ!」
「うっ……!がっ……!」
『俺はお前のために生きてきた!それなのに、お前は俺のために生きてはくれない!なら、俺のために死んでくれ!』
そして、一気に力を込めて織姫の魂を潰そうとする。
その瞬間、
それは霊子を固めた矢、《
放ったのはバンビエッタだった。
「させ……ないわよ……!」
バンビエッタは痛みに耐えながら、何とか矢を放った。
しかし、
『ちっ……しぶといな』
「アンタなんか……に……織姫を殺させるわけにはいかないのよ……!」
バンビエッタはフラつきながらも立ち上がり、剣を構え直す。
「友達を……殺させてたまるか!」
『そこまでして俺と織姫を引き離そうとするのか………なら、死ね!』
バンビエッタは慌てて回避しようとするも、間に合わず、
バンビエッタは殴られた勢いで吹き飛び、壁に激突する。
「うぐっ……!」
『終わりだ』
もうバンビエッタには躱すだけの余力は無かった。
(ここまで……か………でも、だいぶ時間は稼げた………あとは伊武紀たちが間に合えば………織姫も、たつきも、助かる………)
バンビエッタは目を閉じ、覚悟を決める。
だが、その時だった。
ザシュッ!っと肉を切り裂く音が響いた。
その音に、バンビエッタは目を開ける。
そこにいたのは、
その後ろ姿に、バンビエッタは見覚えがあった。
そして、その人物は振り返り、バンビエッタの方を見る。
「悪い、待たせたな」
「遅いのよ……バカ」
そう言いながらも、バンビエッタの顔は笑っていた。
そんなバンビエッタを見て、伊武紀は微笑んだ。