―異質― 日本国の有事防衛組織、その異世界を巡る叙事詩《邂逅の編》   作:えぴっくにごつ

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3-3:「事態一転」

 鷹幅は第37騎士隊の陣地内に招かれ、そこから布陣を終えた第1騎士団の様子を眺めていた。鷹幅の隣にはザクセンが立ち、鷹幅に第1騎士団が行う作戦の概要を説明している。

 

「まず最初に、横隊に布陣した重装歩兵隊が先陣として突撃します。その間、砦からは弓等による応射があるでしょが、後方に控えた弓兵隊と魔法隊がこれに対応します。その援護の元に、重装歩兵隊は砦まで接近して砦の門を確保、突破し砦内部への突入口を開きます。同時に後ろから続く軽装歩兵隊が城壁へと上り、城壁上を抑えます」

 

 そこまで説明すると、ザクセンは片手に持っていた砦とその周辺の地形図を広げる。そしてそれを鷹幅に見せながら、説明を再開する。

 

「城壁内部は開けた空間があり、その中央部に内砦がある構造になっています」

 

 地図で見る砦の構造は、漢字で表現するなら回の字のような構造物の配置になっていた。

 

「突入した重装歩兵隊は、内部の広場で再度横隊に布陣。内部で待ち構えているであろう敵と交戦し、これを排除。最後に内砦へと突入し、これを制圧します。――以上が、第1騎士団が行う作戦の大まかな流れです」

 

 ザクセンの説明が終わったその時、布陣する第1騎士団で動きが見えた。

 布陣する第1騎士団の各隊の中央で、馬に跨るハルエー団長が声を張り上げだした。

 

「皆聞け!今、砦に立て籠もるのは、魔王の軍勢に寝返らんとする我が国の恥さらし共だ!これより我々は砦に踏み込み、奴らを一掃する。心して掛かれ!」

「「「オオオーーーッ!!!」」」

 

 ハルエーの言葉に応じ、騎士団の騎士達は雄叫びを上げた。彼等の声が周辺の空気をビリビリと震わせる。

 

「重装歩兵隊、前へーッ!」

 

 そして発されたハルエーの命令と共に、最前列に位置していた重装歩兵隊が、前進を開始した。鎧の接触する音と足音を響かせ、重装歩兵隊は砦との距離を詰める。彼等が砦と包囲陣の中間程まで達した所で、砦の城壁から彼等に向けて、弓矢による攻撃が降り注いだ。しかし降り注いだ矢の雨は、重装歩兵隊の纏う厚い鎧に阻まれ、重装歩兵隊に傷を負わせることは無い。そして攻撃を受けながらも、彼等は怯むことなく、前進を続けた。

 

「勇敢な重装歩兵隊を援護せよ!弓兵隊、放てーッ!」

 

 重装歩兵隊を援護するべく、控えていた騎士団の弓兵隊が応射を開始した。彼等の放った矢は砦の城壁へと降り注ぎ、その成果か、城壁上からの攻撃が収まる。

 その間に、重装歩兵隊は砦の城門まで到達した。

 

「門を開けろ、道を切り開け!」

 

 到達した重装歩兵隊は、その鎧に覆われた堅牢な体を用いて、砦の門に体当たりを敢行する。数回の体当たりが行われた後に、砦の扉はついに破られた。

 開かれた門から重装歩兵隊がなだれ込み、同時に後ろから続いていた軽装歩兵隊が、城壁に梯子を掛けて、城壁上を抑えるべく登っていく。

 砦の内部では、想定した通り反乱を起こした砦の守備隊が待ち構えていた。それに対応するべく、雪崩れ込んだ重装歩兵隊は砦の内側で再び横隊を組み直す。

 そして重装歩兵隊は、待ち受けていた守備隊とぶつかった。

 重装歩兵隊と守備隊は、激しく剣を振るい合い、槍を薙ぎ合う。

 そして砦からは守備隊の弓兵隊による攻撃が重装歩兵隊に降り注ぎ、それに対抗すべく、抑えられた城壁上に上がった騎士団の弓兵隊が、重装歩兵隊を援護する。

 戦況の変化はすぐに訪れた。守備隊は軽装歩兵主体であり、騎士団の重装歩兵隊の堅牢さの前に苦戦を強いられ、押され始める。そして守備隊の作っていた隊列の一角が突き破られると、そこを起点守備隊の陣形は崩壊を始めた。その期を逃さずに、重装歩兵隊は攻撃の手を一層増し、押し上げを始めた。騎士団の容赦ない攻撃に、守備隊の陣形はやがて総崩れとなり、守備隊の兵達は後退を始め出した。

 

「よし、私達の出番だ!」

 

 そこへ、重装歩兵隊の背後に控えていた一騎の騎兵から声が上がる。それはミルニシアだった。彼女の発した掛け声ち共に、彼女の配下である数騎の騎兵達は、後退を始めた守備隊の中へと切り込んだのだ。

 彼女達の役割は、後退を始めた敵の中へと切り込み、再編成を阻害する事に遭った。

 

「こ、この――ぐぁッ!」

「甘い!」

 

 守備隊の兵たちは、少数で切り込んで来たミルニシア達をどうにか排除しようとするが、彼女達は愛馬を華麗に操り敵の攻撃を回避。そして敵を馬上から薙ぎ払ってゆく。

 元々多い数では無かった守備隊は、総崩れになった所へ騎士隊や重装歩兵隊の追撃を受け、見る見るうちに数を減らしていった。そしてまともに応戦する能力を失い、わずかに残った兵たちは、その場を完全に放棄して、砦の奥側へと逃げ去って行った。

 

「ふん、軟弱者どもめ」

 

 ミルニシアは馬上で逃走する兵達の背中を見ながら、吐き捨てる。

 

「ミルニシア」

 

 そこへ彼女を呼ぶ声がする。彼女が振り向けば、馬を操りこちらへと駆けて来る、ハルエー団長の姿があった。

 

「主だった抵抗戦力は排除できたようだな。砦の内部は軽装歩兵隊が制圧に掛かる。お前は、砦の北門を抑えに行ってくれ」

「は!」

 

 ハルエーの命令に凛とした声で返すと、ミルニシアは配下の騎兵達を引き連れ、砦の奥へと向かった。

 

 

 

 内砦にも軽装歩兵隊が突入し、砦内部は順調に制圧されつつあった。

 

 「く……」

 

 その内砦の上階の一室で、焦燥の色を浮かべる中年の男がいた。男は、魔王勢力への寝返りを企てていた、五森の公国の官僚であった。企てが発覚して追われる身となりこの砦に逃げ込んだ彼は、今現在は少数の砦の守備兵と共に、砦上階の一室に立て籠もっている状況にあった。

 一室の入り口にはバリケードが築かれているが、外から騎士団の兵たちが扉を蹴破ろうとしているのだろう、バリケードと扉は何度も音を立てて揺れている。

 

「ッ、これ以上は無理だ!」

 

 バリケードを支えている守備隊兵の一人が、悲痛な叫び声を上げる。

 

「くぅ……〝まだ〟なのか……」

 

 守備隊兵の声を聞いた官僚の男は、願うように零しながら、一室の壁に設けられた小窓から外を見る。

 

「……!あれは!」

 

 その時、官僚の男の目が、小窓から見えたその先の光景に、声を上げる。

 

「ふふふ……間に合ったようだ……形勢は我々の方へと傾いたぞ!」

 

 そして官僚の男は、下卑た笑みを浮かべて言い放った。

 

 

 

「おい、なんだあれ……?」

 

 砦の北側の城壁上。その場を抑えた騎士団の軽装歩兵達は、そこから見える光景に困惑の声を零していた。

 砦の北側、両脇を谷に挟まれた道をこちらへと迫る、正体不明の一団の姿があったからだ。

 

「〝雪星瞬く公国〟の部隊か?」

「今回の件を聞きつけて、部隊を寄越したのでしょうか?」

「そんな報告は聞いていないがな……?」

 

 兵たちは、隣国が事態鎮圧のために部隊を派遣して来たのかと、予測の言葉を発する。

 しかしそれが間違った解釈であると知るのは、その直後であった。

 

「――ぐぁッ!?」

 

 城壁上にいた軽装歩兵の一人が、悲鳴を上げて崩れ落ちる。彼のその首には、矢が突き刺さっていた。

 

「な、隊長――ぐッ!?」

 

 城壁上に次々と矢が降り注ぎ、その場にいた軽装歩兵達が射抜かれ、倒れてゆく。それはまごう事なき、攻撃で会った――。

 

 

 

「隊長!城壁の上の軽装歩兵隊が!」

「隊長、あれは敵です!」

 

 ミルニシアの耳に、部下からの報告の声が次々に飛び込んでくる。

 その彼女の目にも、開け放たれた城門の先から迫る、軍勢の姿が見えていた。

 

「何だあれは……正規軍規模じゃないか……!」

「隊長!敵は見る限りで、我々の倍以上はいます……!このままでは……」

 

 動揺して声色で、部下の一人が報告の声を上げる。迫る軍勢は、300~400程の数を有していた。

 ミルニシア達も、籠城する一団が何かの助けを待っている事は察していた。しかしここまでの大規模な部隊が、堂々と隣国の領地を行進して来るとは流石に想定外であった。

 目の前の光景に、ミルニシアは表情を険しくして奥歯を噛み締める。

 

「た、隊長……」

「狼狽えるな馬鹿者!重装歩兵隊に伝令を出せ!城門で布陣し、奴らを迎え撃つんだ!」

 

 形勢が一転し、圧倒的に不利な状況に置かれた彼女達。しかしミルニシアは自らの役目を果たすべく、部下に発し、そして迫る軍勢を睨み、行動に移った。

 

 

 

「妙だな……」

 

 砦を囲う包囲陣から、ザクセンが訝し気な表情で砦を見つめていた。

 騎士団の突入後、一度は収まった喧騒が、少しの間を置いて再び聞こえ着て、その度合いを増していたからだ。

 

「何か――あったようですね」

 

 ザクセンの横に並ぶ鷹幅も、砦を見つめながら神妙な面持ちで発する。

 そんな彼等の目が、砦の南門から一騎の騎兵が飛び出してくる姿を見る。包囲陣の方向へと走って来たその騎兵は、包囲陣内へ駆け込んで来たかと思うと、その場で落馬し、地面に崩れ落ちる。

 

「お、おいどうした!」

 

 ザクセン始め、周囲にいた第37騎士隊の兵達が騎兵の元へと駆け寄る。その騎兵は、背中に矢を受けていた。

 

「ッ……看護兵を呼べ!」

 

 それを見たザクセンは、側にいた兵に命じる。

 

「峨奈三曹、こちらで負傷者発生だ。着郷一士をこちらへ寄越してくれ」

 

 鷹幅はインカムに向けて衛生隊員を寄越すよう指示を発すると、ザクセン等の背後から負傷兵の様子を伺う。ザクセン等に囲われている負傷兵は、掠れた声で何かを訴え始めた。

 

「ぐ……と、砦に……奴らの援軍が来た……!数は、300以上……」

「何!?」

 

 負傷兵のその言葉に、ザクセンは目を見開く。

 

「皆で迎え撃ったが、押されている……!」

 

 負傷兵は傷を負ったその体に鞭を打ち、目を見開いて訴える。

 

「頼む……皆を助けてくれ……!」

「落ち着いて、それ以上喋らない方がいい」

 

 必死に訴えかけてくる負傷兵に、鷹幅は落ち着かせる言葉を送る。

 

「着郷一士、来ました」

「ここだ、彼を見てやってくれ」

 

 そこへ衛生隊員の着郷がその場に到着する。着郷は負傷兵の姿を確認すると、彼の元へと近寄り、応急手当を開始する。やがて第37騎士隊の看護兵達も到着し、負傷兵は彼等の手によって、後方へ搬送されていった。

 

「糞、なんてことだ……」

 

 砦の状況を知らされたザクセンは、言葉を零す。

 

「応援を待っているとは考えたが、まさかそこまでのまとまった数を――」

 

 対する鷹幅は、砦に視線を送りながら分析の言葉を発する。

 

「300だって……?俺達の倍以上いるじゃないか……」

「どうするんだ……」

 

 この場にいる五森の公国側の兵力は、第1騎士団、第37騎士隊両隊を合計しても、150に満たない。その内、第37騎士隊の内訳は約50名程度だ。圧倒的に不利な状況となった現状を前に、第37騎士隊の隊兵達は狼狽える声を上げる。

 

「決まっているだろう!すぐに我々も、砦へ援軍に向かうべきだ!」

 

 そこへ第37騎士隊の1隊隊長である騎士の男が声を上げる。しかし直後に、ザクセンがそれを否定した。

 

「いや、ダメだ。我々の数で無闇に突入すれば、返り討ちに遭う事は目に見えている。それに数を揃えた奴らは打って出て来る可能性もある。それを防がなければ、次に襲われるのは木漏れ日の町だ!」

 

 ザクセンの言葉に、それを聞いた第37騎士隊の兵達は息を飲む。

 

「俺達は、ここで迎え撃つ体制を取るぞ。木漏れ日の町に伝令を出し、この事を伝えろ。そして各隊は、防戦準備だ!」

 

 第1騎士団の救援を断念し、防衛に専念する非情の決断を下すザクセン。それは彼にとっても決して軽い決断ではなかった。

 

「――は!聞いたな皆?かかれ!」

 

 その心中を察した1隊隊長はザクセンに代わって声を張り上げ、隊兵達はそれを受けて散ってゆく。

 

「タカハバさん……申し訳ないが、あなた方にも協力をお願いしたい」

 

 ザクセンは、藁にも縋るような面持ちで、鷹幅に願い入れる。

 

「もちろんです、私達も準備しましょう」

 

 鷹幅はその言葉を受け入れると、インターカムに指示の声を発し始めた。

 

 

 

 砦の城壁の内側の各所で、第1騎士団の兵達は分断され、包囲されていた。

 最初の内こそ城門に布陣し、迫る正体不明の敵兵とぶつかり合っていた第1騎士団だったが、数の暴力にやがて彼等の陣形は破られ、砦内部に雪崩れ込まれ、現在の状況に陥っていた。

 

「やぁぁッ!」

「ぐぁッ!?」

 

 ミルニシアは馬上から剣を振るい、何人目かも分からぬ敵兵を切り倒す。その場にはミルニシアと、同様に馬に跨る彼女の部下数名の姿がある。彼女達は敵の包囲の中で円陣を作り、自分達に向かってくる敵兵を迎え撃っていた。すでに多数の敵兵を倒していたが、それでもなお、彼女達を囲う敵の包囲が崩れる気配は無かった。

 

「くッ、隊長!敵が多すぎます!」

「弱音を吐くな!持ちこたえるんだ!」

 

 部下の吐いた弱音に怒声を飛ばし、ミルニシアは敵兵の群れを睨む。

 

「クソッ、こいつら手練れだぞ……!」

 

 一方の敵兵側には多数の死傷者が出ており、彼等は怯み始めていた。

 

(敵は怖気づいている……この調子なら……)

 

 その様子を見てミルニシアはこの場を乗り越える微かな可能性を見出す。

 

「ほう――これだけの数を相手に立ち回るとは、さすがは近衛部隊といった所か」

 

 しかしその時、敵兵達の後方から、その名声が響き聞こえた。

 ミルニシア達を包囲していた敵兵達の一角が割れ、そこから一人の男が現れた。

 

「しかしまぁ、ずいぶんとたくさん伸してくれたものだ」

 

 男は周囲に散らばる兵の死体を見渡して発する。

 

「貴様がこの軍勢の将か!?」

 

 現れた男に、ミルニシアは問う。

 

「将などと大したものではないが、一応こいつ等の指揮官だ。ラグスという、お見知りおきを――ミルニシア姫」

 

 自己紹介と共に、そのような呼ばれ方をしたミルニシアは、あからさまに不快そうな表情を作る。

 

「私を姫と呼ぶな!――ふん、指揮官がノコノコと出て来た事、後悔するがいい、その首、貰い受ける!」

 

 ミルニシアは高々と発すると、跨る愛馬を操り、敵指揮官のラグスに向けて切りかかろうとする。

 

「おっと、大人しくした方がいいと思うぜ?こいつ等の事を思うならな?」

 

 しかしラグスはその身を一歩横へと引き、そして背後を指し示して見せる。そこに見えた物に、ミルニシアは手綱を引いて愛馬を急停止させた。

 

「ミルニシア隊長!すみません……」

「くっ、放して!」

 

 そこにいたのは、敵兵により拘束された、ミルニシアの部下の女騎士達の姿であった。おそらく別の場所で戦いに敗れ、囚われの身となったのだろう。

 

「な――お前達!」

 

 ミルニシアは驚愕して身を見開き、そしてラグスを睨む。

 

「この、卑怯者ッ!」

「戦いの基礎だよ、基礎。捕まえたのはこいつ等だけじゃない。行商とかの人質も、俺達が再び抑えた。そのことを考えれば、聡明な姫隊長様なら、そうすればいいか分かるよな?」

「ッ……」

 

 不敵な笑みを浮かべて発するラグス。対するミルニシアは、敵の卑劣な手を前に、奥歯を噛み締める。

 

「……皆、武器を捨てろ」

 

 そしてミルニシアは苦渋の決断を下した。

 

「そんな、隊長!」

「仲間や人質の命には代えられない!捨てるんだ……」

 

 意義を唱える部下に発し、ミルニシアはその手にしていた剣を捨て、愛馬から降りる。渋りを見せていた部下達も、しかしやがてそれに続いた。

 

「よし、捕まえろ」

 

 ラグスの言葉を受け、ミルニシアを包囲していた兵達が、ミルニシア達に接近。

 

「コイツ!」

「散々てこずらせてくれやがって!」

 

 兵達は恨みの言葉を吐きながら、ミルニシア達を拘束して行く。

 

「ぐッ!」

「おいお前達、仮にも姫様だ。丁重に扱えよ」

 

 拘束され苦悶の声を上げるミルニシアを前に、ラグスはそんな言葉を発する。しかしその顔には、にやにやとしたサディスティックな笑みが浮かんでいた。

 

「下衆めぇ……!」

「はは、怖いお姫様だ」

 

 そんなラグスを、ミルニシアは鋭い目つきで睨みつけたが、ラグスはそれを一笑して返すのみだった。

 

「ラグス隊長」

 

 そこへラグスの元に、伝令の兵が訪れる。伝令兵はラグスに、砦は内部、城壁共に制圧がほぼ完了。残るは城壁の壁際で抵抗を続ける、一部の重装騎兵隊のみである事を告げた。

 

「よし、第1百人隊には早急にその残党共を片づけるよう伝えろ。第2、第3百人隊は砦の南側で布陣を開始、準備が出来次第、奴らの包囲陣に突入、制圧させろ。本陣の到着前に、周辺を全て掌握する」

 

 ラグスは伝令兵に命じると、未だ自身を睨み続けるミルニシアを再び一笑。「連れていけ」と命じる言葉を発し、身を翻してその場を後にした。

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