―異質― 日本国の有事防衛組織、その異世界を巡る叙事詩《邂逅の編》 作:えぴっくにごつ
制刻と多気投は、巨大蜘蛛の注意を無反動砲を準備する二人へ向けさせないため、あえてその真正面へと踏み込む。
そしてさらに巨大蜘蛛の意識を分散させるため、二人は巨大蜘蛛の視界の両脇へと別れ、展開した。
「さぁデカ蜘蛛ちゃん、こっちだこっちッ!」
最初に、多気投が巨大蜘蛛に向けて声を上げる。
そして彼はMINIMI軽機を巨大蜘蛛に向けて引き金を引き、数発の5.56㎜弾をその体に向けて注ぎ込んだ。
しかし巨大蜘蛛のその表面は相当に厚くそして硬いのか、注ぎ込まれた5.56弾は全弾漏れなく、弾かれ明後日の方角へと飛んで行った。
「アーオ!案の定、鉛玉は食らってくんねぇみてぇだなぁ!」
「好き嫌いする化け蜘蛛だな。眼の辺りを狙え」
口を尖らせて発した多気投に、制刻は巨大蜘蛛の頭部に集中する、複数の眼を指し示しながら発する。
その指示を受け、眼球の集中する付近に、多気投は再び発砲する。
「ギシャァァァッ!」
無防備な目を狙われ、流石に有効打があったのか、それとも鬱陶しがっただけなのかは不明だが、巨大蜘蛛は鳴き声を上げ、そしてその体を多気投のいる咆哮へと旋回させた。
「おーっとぉ、痛かったかぁ?まずは軽いスキンシップから、ってなぁ!」
巨大蜘蛛と対面する形となり、多気投は巨大蜘蛛の頭を見上げて、軽口を叩いて見せる。
「ギャァァァァッ!!」
その多気投に対して、巨大蜘蛛はその顎を開いて、彼に向けて咆哮を浴びせかけた。
「ワーオゥッ!?怒っちまったかぁ!?ハッハァーッ!!」
しかしそんな咆哮を受けた多気投もまた、アドレナリン効果によりテンションを上げたのか、巨大蜘蛛に対して煽る言葉と共に、大声で笑い返して見せた。
その直後、今度は反対側にいる制刻から、三点制限点射による射撃が行われた。多気投だけに意識を向けさせないためだ。
「どうした?遊んで欲しいんじゃねぇのか?」
そして巨大蜘蛛に向けて煽る言葉を向ける制刻。
その脇腹を銃撃により小突かれた巨大蜘蛛は、再びその巨体を複数の脚を操って器用に旋回させ、今度は制刻の方を向く。
「ギュァァッ!」
そして今度は鳴き声を上げると共に、その前脚の一本を思い切り振り上げ、制刻目がけて振り下ろした。
「っとぉ」
しかし制刻はその前脚が振り下ろされる瞬間に、横方向へと飛んだ。
狙った地点から制刻の姿が消え、対象のいなくなった砂利場に巨大蜘蛛の前脚が叩き下ろされ、その場で砂利と砂埃が盛大に巻き上がった。
「おい、こっちだ!おぉいッ!」
攻撃が空振りに終わってしまった巨大蜘蛛の体へ、その注意を再び自身へ向けるべく、多気投がまたも銃撃を巨大蜘蛛の体へと加える。
それを受けた巨大蜘蛛は、もう一度その体を多気投の方へと旋回させ、そして先に制刻を狙ったのと同様に、前脚の一本を振り上げる。
「投、ギリギリまで見てから飛べ!」
そこへ、制刻から多気投へ忠告の言葉が飛んでくる。
それを受けた多気投は、忠告道理巨大蜘蛛の脚の動きをギリギリまで見る。そしていざその前脚が振り下ろされた瞬間、多気投は脚を踏み切り横へと飛んだ。
直後、一瞬前まで多気投の居た場所に、巨大な前脚が凄まじい破壊力と共に落とされ、砂利と砂埃を巻き上げた。
「ウワァーオッ!」
その凄まじい攻撃を跳躍先で見た多気投は、驚きの声を上げる。しかしその言葉色に恐怖は無く、彼のそれはまるでアトラクション感覚であった。
「愉快な虫だな。竹泉、策頼、まだかかるか?」
その光景を反対側から見ていた制刻はそんな言葉を呟き、竹泉と策頼に無反動砲の準備状況を尋ねる。
「やってるさ、黙ってろッ!」
それに対して、竹泉から苛立ち混じりの言葉が返って来た。
「なんて人等だ……」
一方、岩陰から一連の様子を見守っていたディコシアは、色々な意味で常識外れな制刻等の戦いに、目を奪われ、そして思わず言葉を零していた。
「ひ、ひやひやする……!ねぇ、あの人達大丈夫なの!?っていうかそっちはそんな筒で何するつもりなの!?」
そしてティは、見ていられないといった心情なのか、竹泉等に訴えかけ、そして彼等の行動の意図を尋ねて来る。
「うるせぇ、そこでじっとしてろッ!」
しかし竹泉は焦りと苛立ち混じりの口調で、怒号だけを飛ばす。
「――装填、ヨシッ!」
策頼がそんな掛け声を発したのは、その瞬間だった。
彼は竹泉の肩を強めに叩くと同時に、即座に彼の元を離れ、側でディコシア達が身を隠す岩陰へと駆けこむ。
「二人とも、隠れろ!」
「え?――わ」
「ひぇ?――ちょ」
そして策頼はディコシア達に発し、困惑し呆けた声を返した二人を、有無を言わさぬ腕力で、念入りに岩陰へと押し込んだ。
「よぉ自由!準備できたぞ、そこをどけッ!」
一方の竹泉は、立膝の姿勢で射撃準備の完了した84㎜無反動砲を構え、巨大蜘蛛の相手を続ける制刻等に向けて、怒号を発した。
「とっとと撃て!投、離脱だぁ!」
制刻は竹泉に撃つよう指示し、そして多気投に発する。
直後、制刻と多気投は巨大蜘蛛から身を翻し、それぞれの方向に駆け出し離脱。巨大蜘蛛は突然散会離脱した二人を前に、どちらを追うか迷う素振りを見せる。
しかし直後、〝彼〟は自身を狙う、別の存在に感づく――。
竹泉が、構える84㎜無反動砲のその照準に、巨大蜘蛛の姿を収めていた。
「あぁ、無駄に狙いやすい、でけぇ図体だ――」
照準の内径からはみ出ている巨大蜘蛛のその巨体に、呟き声を零す竹泉。
「――死んでろッ!」
そして吐き捨てると同時に、竹泉は無反動砲のグリップを握る手に無意識的に力を込め、そして引き金を引き絞った。
瞬間。
84㎜無反動砲の砲身内で、発射薬が起爆。ほぼ同時に竹泉の背後で、砲の後部から飛び出したバックブラストが広がり、そして砲口からは84㎜対戦車榴弾が発射された。
「うッ!?」
「わひゃッ!?」
突然上がった爆音と爆炎に、岩陰にいたディコシアとティは驚きの声を上げる。
砲口を飛び出した対戦車榴弾は、そのまま巨大蜘蛛へと直進。一瞬の内に巨大蜘蛛へと到達し、弾頭がその巨体へと接触。
――直撃した対戦車榴弾は炸裂。巨大蜘蛛の上で、爆音と爆炎を上げた。
「ギェァァァァァァッ!!!」
直撃、炸裂から一瞬のラグを置いて、巨大蜘蛛からこれまでの物とは明らかに異なる鳴き声――いや、絶叫が上がる。
そして巨大蜘蛛はその巨体を支えていた八本の脚を、次々に力なく崩し、砂利場に音を立ててその胴体を沈める。
やがて崩れ落ちた巨大蜘蛛の上に上がっていた爆炎が晴れる。
そして、対戦車榴弾により胴の頭部に近い部分穴が開き、その周辺が破損、変形し焼け焦げた巨大蜘蛛の様子が露わになった。
「――ヨッシャッ!」
しばらく無反動砲の照準越しに様子を伺っていた竹泉は、巨大蜘蛛のその姿を見て、無力化を確信。無反動砲の砲身を下げ、そして歓喜の声を上げた。
「ハッハァーッ!焼き蟹、一丁あがりだなぁッ!」
そして退避していた多気投の笑い声が響いて来る。
「本当かよ……」
「何今の……?高位の攻撃魔法?あいつ、なんかの術者?」
一方、ディコシアとティの二人は、その胴に穴を開けられ焼け焦げた巨大蜘蛛と、それを成してのけた竹泉を見比べながら、呆けた表情を浮かべていた。
「ざま見ろ、バケモンがッ!」
「焼いてみたはいいが、マジで食えたりはしねぇか?」
各員は念のため、巨大蜘蛛の体を遠巻きに観察している。そして竹泉が罵声を投げつけたり、多気投がふざけた考えを口にしたりしていた。
「……ギィィ……」
しかしその時、巨大蜘蛛が小さく力なく鳴き声を上げた。
「ッ!まだ息があります」
それに真っ先に気付いた策頼が、制刻に向けて、険しい表情で端的な報告の言葉を上げる。
「とんでもねぇ、生命力だな」
それを受け、呆れた口調で発する制刻。
「おぉい、大人しくくたばれよ!」
そして声を荒げる竹泉。
その姿を見るに、満身創痍でありすでにまともに動けないであろう事は明確であったが、各員は警戒の視線を巨大蜘蛛へと集中させる。
「ギ……」
「ッ!動く!」
巨大蜘蛛は掠れた鳴き声と共に、脚を一本だけおぼつかない動作で立ち上げ、そしてその頭部をもたげる。
「――ギョォォォォォォォォッ!!!」
そして次の瞬間、巨大蜘蛛は叫び声を上げた。
「ヅッ!」
「きゃッ!?」
その叫び声に、竹泉やティ等は思わず声を零し、そして耳を塞ぐ。
それは森全体に響き渡ったのではないかと思える程の叫び声であり、それまでの方向とも、先に対戦車榴弾を受けた時の悲鳴とも、また別種の物であることが、嫌が応にも感じ取れた。
そして巨大蜘蛛はそれまでにない異質な叫び声を上げたかと思うと、立ち上げた一本の脚ともたげていた頭部を、まるで糸が切れたように地面に落とし、砂埃を微かに上げる。
その姿に誰もが、巨大蜘蛛が完全に事切れた事を理解した。
「――ッ……!最後までうっせぇな、ボケ蜘蛛がぁッ!」
「断末魔――か?」
鼓膜を損傷するのではないかというレベルの巨大蜘蛛の絶叫に、竹泉はば罵声を発し、策頼は推測の言葉を呟く。
「――やべぇぞ」
しかしそこで、制刻だけは何かに感づいたように言葉を発する。
「あん?」
「ワッツ?」
藪から棒に発せられた制刻の言葉に、竹泉や多気投は訝しむ声を零す。
しかし直後、その答えを示すように、〝それ〟は聞こえ来た。
「――はぁ?」
聞こえ来た音に、竹泉が表情を引きつらせ、声を零す。
振動音だ。
それまでも再三聞いて来た、巨大蜘蛛が姿を現す際に聞こえ来た接近音。それが巨大蜘蛛の無力化に成功したはずの各員の耳に、またしても聞こえ来たのだ。
「オーゥ――リァリィ?」
「――おい、冗談だろぉ……!」
多気投もまた若干引きつった表情で言葉を零し、竹泉は顔をより顰めて悪態を零す。
振動音は眼前を流れる川の対岸、その奥に広がる森の向こうから聞こえ来ていた。
「竹泉、策頼。もっぺん装填しとけ!」
制刻は対岸の森を睨みながら、竹泉と策頼に無反動砲の再度の準備を指示する。
「了!」
「あぁ、畜生!」
それを受け、両名は飛び掛かるように無反動砲の再装填に掛かる。
「ま、まだ……いるの?」
再三聞いて来た接近音を、少なからず安堵していた所へ再び聞かされ、狼狽の様子を見せるティ。
「――さっきより、大きくないか……?」
一方、ディコシアは接近しつつある音が、これまでよりも大きい事に感づく。
その音はさらに大きくなり、同時に振動がリズムを刻んで伝わりくる。さらに、御多分に漏れずのミシミシという木がかき分けられ、倒されているであろう音。どんどんと大きさを増す全ての音は、しかしある所で、ピタリと鳴り止んだ。
「止まった……?」
不思議そうに声を上げるディコシア。
「いや――」
しかし制刻は、その先を予測し、否定の一言を発する。
周囲には川のせせらぎだけが響き、緊張が各員に走る。
――その直後、対岸でまるで爆発のような現象が巻き起こった。
「うわぁッ!?」
「ひッ!?」
ディコシアとティからそれぞれ、恐怖の色すら混じった驚愕の言葉が零れる。
巨大な振動音と共に、対岸の砂利場と森の境目にある木々が、いくつも勢いよくなぎ倒された。いや、今度はそれだけではない。木々のいくつかは勢いで跳ね飛ばされて、土砂と共に中空に投げ出された。そして投げ出された木々や土砂は川に落下し、水柱を上げる。
そして多数の木々が薙ぎ倒され、吹き飛ばされて、強引に森の境目に作られた開口部から、その現象を起こした主は姿を現した。
蜘蛛。
それも先に無反動砲により屠った巨大蜘蛛を、遥かに凌ぐ巨大さを誇る超巨大蜘蛛だ。
推定全高7~8m、脚幅、胴の全長共におそらく20m弱。単純推察でも先に屠った巨大蜘蛛の三倍の巨大さを持つ。その巨体が動く様は、まるで移動要塞であった。
「――ギャァオオオオオオオオオオッ!!!」
姿を現したその移動要塞のような巨大蜘蛛は、対岸に各員の姿を――そして屠られた先の巨大蜘蛛の姿を見つけると、その巨大な顎を開口させ、咆哮を吐き出した。
「ヅッ!」
「うッ!」
先の巨大蜘蛛とは比べ物にならない咆哮、その音量とビリビリを空気を揺さぶる衝撃に、ディコやティは苦悶の声を零して、耳を塞ぐ。
「ウッワァォ!?」
そして多気投が驚きの声を上げ、無反動砲へ装填作業中の竹泉や策頼も、その顔を酷く顰めた。
「仲間――いや、親か?」
無反動砲への装填を行いながらも、策頼は超巨大蜘蛛へと視線を向け、推測の言葉を発する。
「つまりPTAのお出ましだなぁッ!」
策頼の推測の言葉に、多気投がそんなふざけた解釈の言葉を上げる。
「怒ってるのか……?」
ディコシアはその耳に聞いた咆哮に怒りの色を感じ取り、そんな言葉を零す。
「虫にんな感情あってたまるかッ!」
しかしディコシアのその言葉を、竹泉は悪態の言葉で否定する。
「――装填、ヨシ!」
そのタイミングで、無反動砲への弾薬の再装填が完了。策頼は竹泉の肩を再び叩き、そして彼の元から離脱する。
「二人とも下がれ」
それと同時に制刻がディコシアとティに促し、二人を安全のため後ろの離れた場所へと下がらせる。
「さっきよりも良い的だ――くたばれッ!」
竹泉は無反動砲の照準に超巨大蜘蛛の胴を収め、発すると同時に引き金を絞った。
再度、バックブラストが彼の背後に広がると共に、対戦車榴弾が咆哮から飛び出し、川を越え、対岸の超巨大蜘蛛へと飛ぶ。
先よりも巨大な目標への照準は容易であり、対戦車榴弾は超巨大蜘蛛の胴上部へと容易くその弾頭を接触させ、次の瞬間に炸裂した。
「――あ?」
しかしそこで、竹泉は訝し気な声を上げる。
対戦車榴弾は確かに目標に命中した。
――しかし、先と違い、超巨大蜘蛛はその八本の巨大な脚を、一つとして崩す事は無かった。
程なくして、超巨大蜘蛛の胴体上辺を覆っていた爆炎が晴れる。
そして現れたのは、健在である超巨大蜘蛛の全形であった。
「あぁ!?」
「……無傷だ!」
超巨大蜘蛛のその姿に、驚きの声を上げる竹泉や策頼。
超巨大蜘蛛は、爆炎によりその胴の表面こそ多少焦がしていた。しかしそれであった。対戦車榴弾の着弾箇所と周辺は、それ以上に穴が開くことも破損変形もしておらず、超巨大蜘蛛が致命傷を受けた様子は、まるで見受けられなかった。
「ふざけやがって――おい策頼、再装填――」
竹泉は冷や汗を一筋流しながらも、策頼に向けて再装填を要求する言葉を発しかける。
「――ギュワァァァァァッ!」
しかしその言葉を遮るように、瞬間、超巨大蜘蛛が咆哮を上げた。
そして超巨大蜘蛛はその巨体を支える八本の脚を動かし始めた。その巨体に似合わぬ素早い動きで、森を抜けだして砂利場を越えると、対岸とこちらを隔てる川に、その脚を突き入れて水しぶきを上げた。
「渡ってくる気だ!」
その姿を見たディコシアが叫ぶ。
「畜生がッ!策頼、次の弾を――」
そして竹泉は策頼に向けて再度、次弾装填を要請しようとする。
「いや、いっぺん退避だ!」
しかし、制刻の言葉がそれを遮り、そしてその場の全員に、退避を指示する声を張り上げた。
「アォッ、また鬼ごっこかぁッ!」
「あぁ、畜生畜生畜生ッ!」
指示の言葉を聞き、多気投は少し愉快ではなさそうな顔で発する。そして竹泉は悪態を吐き連ねながら、慌てた動作で無反動砲を肩にかけ直し、広げた弾薬類を掻き集めて、弾薬袋に突っ込み始めた。
「行け、森に避難しろ!」
「あ、あぁ……!」
ディコシアとティは制刻に促され、動揺の様子を見せながらも、森に向かって駆け出す。
「策頼、グレネードを全種類出せ!」
「了!」
そして次に制刻は、策頼に向けて言葉を飛ばす。そして二人は、手榴弾、閃光発音筒、発煙筒といった現在所持しているグレネード類の全種類を繰り出し、それ等のピンをまとめて引き抜く。
そしてそれ等のグレネード類をまとめて、今まさに渡河を終えて、こちら側の岸へと脚を着けた超巨大蜘蛛目がけて投擲した。
投擲された多種多数のグレネードは、全てが超巨大蜘蛛の近辺に落ち、そして一斉に起爆炸裂した。
「ギュァァァァッ!」
手榴弾の爆発と飛び散った破片が超巨大蜘蛛を襲い、そして閃光発音筒の強烈な閃光と爆音が、視界を奪い聴覚を麻痺させる。いずれも致命傷を与えるには程遠かったが、超巨大蜘蛛の行動を一時的に封じ込める事には成功した。
そして少し遅れて発煙筒から上がる煙が、超巨大蜘蛛を覆うように充満し始めた。
「おぉし、行け!」
各種の妨害に超巨大蜘蛛は動きを鈍らせた。
その隙を突き、各員は川沿いの砂利場を踏み切り駆け、そして再び森の中へと退避した。