ダンジョンで捕食者たちと獲物を求めるのは間違っているだろうかⅡ 作:れいが
星屑の庭の広間にて4名の来客がアリーゼ達と談笑していた。
アスフィ、フィルヴィス、ナァーザ、そしてレイ。
3人はともかく、ダンジョンに居るはずのレイが何故地上へ出ているの
かというと、通信機を持っているリドを経由してネフテュスから
呼び立てられたからだ。アスフィ達も同様である。
ちなみに地上へ向かう際にはアスフィが迎えに来てくれていたという。
「でも、レイまで呼ぶなんて...何かあったのかな?」
アリーゼの問いかけに、レイはある可能性が浮上してきてしまい不安を
過ぎらせた。
「まさカ、私達の存在がバレてしまったのでしょうカ...?」
「いえ、そういった話題が出回っていませんので...
別の理由で呼ばれたのだと思います」
「ギルドも言葉を話すモンスターを見つけたって情報は流していないから、大丈夫だと思うよ」
それを聞いたレイは、そうですか、と安堵して紅茶を啜る。
仮にゼノスの存在を知られてしまったとしても、ウラノスが情報規制を
行うはずなので一方的に深刻な事態にはならないはずだ。
「もしかしたら...捕食者に関する話しがあるのかもしれないな」
「修練から戻って来たという事ですか?」
『正解よ。フィルヴィス、リュー』
突然、返答されたのに驚くフィルヴィスとリュー。
その場に居る誰かの声ではないので、余計に驚いたのだろう。
輝夜とライラは面白おかしそうに笑いを堪えているが、2人は
そんな事も気にする余裕もないようだ。
しかし、アストレアはその声の主を一番に知っているので、椅子から
立ち上がると嬉しそうに呼び掛けた。
アスフィとフィルヴィスもアストレアの反応を見て、正体に気付いた
らしく立ち上がっていた。
「ネフテュス様」
...ヴゥウン...
「こんにちは、アストレア。それに皆も」
ピピッ ピピッ ピッ
ピッピッピッピッ
最初にネフテュスがクローキングを解除して姿を見せ、次にベルも姿を
現す。
返答してきた正体に気付いた2人は恥ずかしさからか、咳払いをして
先程の驚きようを誤魔化そうとした。
その様子にまた輝夜とライラは笑いそうになる。
しかし、ベルの姿を改めて見ると息を呑んで笑みを消した。
彼女達だけでなく他の全員もそんな様子だ。
身形こそ変っていないが、一番に目に付いたのは当然ヘルメット。
目元部分に亀裂が入っている上、体の至る所に傷跡があり、猛者と
認識されている彼がどんな相手と激戦を繰り広げてきたのか、誰にも
想像出来なかった。
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どうやら今の僕の姿を見て、彼女達は酷く驚いているようだった。
目立った傷は応急処置として塗り付けた焼灼剤で隠しているのだが、
反ってそれが目を引いてしまっているか...
そう思っていると、アリーゼという女性が前に出て来た。
いつも見せる屈託のない笑みを浮かべながら。
「お帰りなさい!捕食者君!長旅ご苦労様だった、みたいだね」
「あ、ああ。よく戻って来たな...大変だったんだろう」
アリーゼという女性の後に続いてフィルヴィスという少女が僕に
労いの言葉を掛けてくれた。
「死にかけたくらいには大変だったのよね。
でも...そのおかげで強くなって名誉ある狩り人にもなれたのよ」
我が主神の言う通りだ。
死から生還して、彼女達が知る僕の時よりもより強くなった。
何より...我が主神が望む力を手に入れた事を嬉しく思う。
「彼が死にかけるとは...一体、どんな強敵だったのでしょうか...」
「確かに気になる所ですね。
あの怪物すら一瞬で倒した彼を追い込む程の怪物なんて...」
「大丈夫?今、ポーション持ってるからあげるよ...?」
アスフィという女性とリューという女性が考察している中、心配そうな
面持ちのナァーザは腰に掛けているポーチを開けようとしているのを
見て、僕は首を横に振り、制止させる。
深い傷は既に治ってきているので、しばらくすれば焼灼剤も剥がして
問題ないだろう。
そもそもポーションを使う事は掟に反する。
使えるのはヘルスシャードだけだ。
「あ、あノ、捕食者さン。目の方は大丈夫なんですカ...?」
「そのヘルメットもアダマンタイト並に硬かったよな?
それに亀裂が入ってるなんて...かなりやばかったって事か」
「というより、見せてはならないお顔が見えてしまうのでは?」
...輝夜という女性はとにかく僕の顔が気になるのか?
まぁ、それは置いておくとしてレイというゼノスとライラという少女は
ヘルメットの亀裂を見てそれぞれがそう答える。
僕は頷いて、大丈夫な事をレイに伝えた。彼女は疑念を残している様な
表情のままだが頷き返してくれた。
確かにヘルメットだけでなく、胸部のアーマーも破損したのだから
クイーンとの戦いは言った通り死にかける程の死闘だった。
それでも僕は狩る事が出来た。それに伴って長になる事も認められた。
「さて、皆の考えている事をこれから教えてあげる...
前に嬉しいお知らせがあるわ」
「おっ?何ですか?捕食者君の顔を見せてもらえるとか?」
「それ以外でしたら、あまり興味が湧かないのですが」
「アリーゼ、輝夜...いい加減に彼の顔の事は」
「ええ、見せてあげるわ」
素っ気なくお答えした我が主神にリューという女性は二度見して
呆気にとられた。
彼女だけでなく、アリーゼという女性と輝夜という女性も...
いや、この場に居る全員が驚いていた。
それを気にせず我が主神はアイコンタクトで外すよう、僕に指示を
出してくださった。
カチッ
プシューッ...
頷くと、僕は左側前頭部に接続されているパイプを引き抜いて両手を
ヘルメットに掛けつつロックを解除し、顔から引き剥がす様に外した。