ダンジョンで捕食者たちと獲物を求めるのは間違っているだろうかⅡ 作:れいが
「うわぁ!うわぁ!気持ち悪い虫が来てる!沢山来てるわよ!
何か光ってるのもうわぁ!危ない危ない!」
「これはまた図体のデカい。いや、デカ過ぎる...
ゴライアスよりも巨大な化け物か」
「うお、これ見てるだけで目が回ってくるな。
...てか、緑の変なモン撃たれてるのに大丈夫なのか?」
「は、速い...!何という動きをするんだ、この黒い生き物は...
しかし、それを上回るベルも凄まじいですね...」
「これはターミネーターとは違う類いのロボットなのですか?
...ディセプティコンと名乗る金属生命体?」
「何故、真正面に居てこの化け物は気付いていなかったんだ?
...なるほど。確かに目があれだけ離れていれば、死角になるな」
「危険な生き物が沢山居ますが...
とても美しい星なのですネ。パンドラという星ハ」
記録映像を1つずつ鑑賞し、アリーゼ達は異なる世界の見た事もない
風景、生物、文明に舌を巻いた。
何もかもが自分達の居るこの世界とはかけ離れているからだ。
魔石産業の利益によって一国をも上回る発展を遂げているオラリオは
世界の中心とされる都市と称されている。
だが、そんな敬称など異なる世界では極小さな街のあだ名程度にしか
感じられない。
尚、ベルが同一個体と遭遇したというパラレルバースでの記録映像は
見せなかった。
混乱を招かないようにするためでもあり、アリーゼが会ってみたいと
言いかねないのをベルが危惧したからだ。
曰わく、自分の同一個体の存在しないパラレルバースなら未だしも
同一個体と会ったがために迷惑を掛けてしまってはならない、との事。
恩義を重んじる男、それがベル・クラネルなのである。
やがて、記録映像が途絶えて何も移らなくなった。
「あ、終わりですか?」
「いいえ、ここからが本番よ。
聖地で執り行った成人の儀での雄姿を見せてあげるわ」
そう告げたネフテュスはガントレットを操作し、続きとなる記録映像を
流し始めた。
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最初の映像はベルが砂漠を進んでる途中でサンド・ワームを瞬殺し、
坑道を進んで行って聖地へ辿り着く所だった。
不思議な事にハラム又はピラミッドを見て、誰もそれが何なのかを
問いかけなかった。
先程まで見ていた記録映像のせいか、聞く必要が無いと思ったのかも
しれない。
聖地へ入り、立体映像の後を追って行くと成人の儀が開始するまでに
待機する部屋へ入った。
その部屋の奥に設置されている石製の正方形な箱の前に立つ。
その中に収められていたコンビスティックを手に取り、固定器具が
閉じた事で別の入口が出現した。
「何故、槍が収められていたのですか?」
「要約すると、ベル達にとって槍は神聖且つ狩人の象徴的な武器なの。
一から手作りして成人の儀で使う...太古からの伝統みたいなものね」
「槍かぁ...アイツなら食いつきそうだな。
魔剣並みに色々ぶっ飛んだ仕掛けがありそうだしよ」
ライラの予想は正しく的中している。
しかし、説明してしまっては楽しみが減ると思ったようでネフテュスは
微笑みを浮かべるだけで話そうとしなかった。
別の入口である階段を降りていき、最下部に到達すると目の前の通路を
進んで行く。
左右の石像を見渡していると、生体感知センサーが反応した。
その瞬間、黒い2つの影が飛び掛かってくる。
『ギ ビャ ァ ア ア アッ!!』
『ギ シャ ァ ア ア ア ア アッ!!』
「キャァッ!...あ...」
「...どうした?シャリア?私達は見てはおりませんが?」
「ああ。めちゃくちゃビビって何も聞こえなかったぞ。なぁ?リオン」
「え?...は、はい。貴女の悲鳴も何も聞いていません」
何故、誰のと言ってしまったのか、墓穴を掘ったリューに迫る
フィルヴィス。
驚く間もなくリューは自身の耳に走る感触で背筋に悪寒が走った。
「聞いてるじゃないか...!ハッキリとこの耳で聞いてるじゃないか!」
「ひぃあ!?み、耳を引っ張らないでください!シャリア~!」
「ちょっと2人とも静かにして!聞こえないから!」
珍しくアリーゼが真剣な表情となって叱咤する。
それに驚いてリューとフィルヴィスは静かに頷き、座り直すのだった。
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最初に狩った虫との戦いは狩りの基礎基本を思い出すに丁度良かった。
ケルティック達からの教訓も活かす事が出来て、尚且つ緊張感を持って
士気を上げられたのも経験になった。
僕自身の体感時間では5分間、虫と殺し合っていた様に思えていたが
記録映像ではたったの2分で仕留めていた。
興奮していたからズレていたんだろうか...
「おいおい...死骸からブチ撒かれた変な液体で壁とか床が溶けてるぞ」
「そういう体液なのよ、この...ゼノモーフという生物は。
エイリアンとも呼称していいわ」
「エイリアン...名前の由来はどういった意味があるのですか?」
「そのままの意味では異邦人ね。
この星には本来存在してはならないという旨趣もあるわ」
つまり大まかに引っくるめれば僕や純粋な人間であるルノア達を除いて
ヤウージャの皆もエイリアンと呼べる。
但し、ヤウージャという固有名があるのでエイリアンと呼ぶのは
不敬だ。
そう思っていると次に犬の虫を狩る場面が映し出される。
この虫も素早いだけで、そう手子摺らなかったな...