ダンジョンで捕食者たちと獲物を求めるのは間違っているだろうかⅡ   作:れいが

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>∟ ⊦,、 ̄、⊦ 心情

 「...という訳で、全治1ヶ月くらいは掛かるみたいなの。

  アポロン様とヒュアキントス団長にそう伝えてもらえるかな?」

 「わかった。まぁ、アポロン様はあれがあるから...

  帰って来てから伝えとくね」

 「うん。それじゃあ」

 「ご苦労様」

 

 デナトゥスが開催する当日。

 アポロン・ファミリアのホームに訪れていたアーディ。

 対応していたのはダフネだった。

 

 何をしに来ていたのかと言うと昨日、仲間同士の喧嘩でボロ雑巾の様に

 なってしまっていた団員達の状態を伝えに来ていたのだ。

 

 殴り合いの喧嘩でそこまでの怪我を負う事はオラリオの治安上でも

 珍しくはない。

 そのため優しい性格のアーディも慣れている事もあって、報告を

 終えるとすぐに立ち去って行った。

 

 ダフネもホームの中へ入ると、通路を進んで行き団長室へ向かった。

 

 ノックをして入室すると執務をしていたヒュアキントスに先程聞いた

 アーディからの報告を伝える。

 

 「まったく...我がアポロン・ファミリアの名に泥を塗るとは恥曝しもいいところだ。

  即刻、ファミリアを追放したい所だが...

  生憎アポロン様が許す訳がないだろうな。

  ダフネ、入院費を支払いに行け」

 「うん」

 

 顔を逸らした瞬間にダフネはとてつもなく仏頂面になりながら団長室を

 退室するのだった。

 

 「ん?ダフネ、どっか行くのか?」

 「どこかの誰かにボコられた連中のせいでね」

 「そりゃご苦労さん」

 

 ―――――――――――――――――――――――――――――――― 

 「ほな、行って来るで~」

 「はい。お気を付けて行ってください」

 

 移動し始めた馬車の中から門番に手を振るロキ。

 黄昏の館からバベルまでは遠いので馬車を利用するのは、どこの

 ファミリアの主神にとっては当たり前の事だ。

 但し、その当たり前の事が今回は長続きしないとロキは察していた。

 

 デナトゥスでネフテュスが何を話し、何をするのか。

 事前に伝えられた事はイヴィルスの情報を入手した事のみだ。

 それだけでは予測も何も出来ない。

 

 「...ま、ネフテュス先輩が何をしようと...

  ウチらが止めるんは無理やろなぁ...

  それこそ、邪魔しようもんならイヴィルスの巻き添えを喰うかもしれへんし」

 

 そう考えると冷や汗が頬を伝い、背中に悪寒が走った。

 もし仮にだが、ネフテュスの眷族がオラリオを滅ぼす程の力を 

 持っていたらどうなるのか。

 都市の外へ逃げても、他の都市にまで辿り着けるか分からない。

 そもそも他の都市さえも消し去ってしまうかもしれない。

 つまり、逃れるという選択肢そのものが存在しないのだ。

 

 「...うっしゃ!一丁、気ぃ引き締めていかんとな!」

 

 意気込むロキを運ぶ馬車はバベルの影に隠れていった。

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――

 「じゃあ、リリ君。行って来るよ!」

 「はい、行ってらっしゃいませ。ヘスティア様」

 

 リリルカに見送られてヘスティアはバベルへと向かった。

 道行く人々に挨拶を交わしながら軽やかなスキップをしている理由は

 今、着用している服装がそれである。

 

 以前まで着ていた一張羅と言ってもいい安物の服ではなく、リリルカが

 プレゼントしてくれた青のドレス。

 それを早く神々に見せたくて仕方がなかったのだ。

 やがてバベルの入口まで来ると、タケミカヅチに声を掛けられた。

 極東の神なだけあって黒の羽織を着用している。

 

 「ヘスティア、どうした?そのドレスは。見違えそうだったぞ」

 「ふっふっふっ。これはリリ君からのプレゼントなのさ!

  コツコツと貯めたお金で買ってくれたんだよ...」

 

 そう答えると同時にヘスティアは涙を流し始め、突然の事に

 タケミカヅチは困惑する。

 

 「うぅぅ、思い出すだけで涙が...」

 「ハ、ハハハ...そうか、アイツからか...

  よかったな、良い眷族を持てて。似合ってるぞ」

 「ありがとう、タケ!そう言ってもらえるとボクも嬉しいよ!」

 

 泣いていたかと思えばすぐに嬉しそうな笑みを浮かべるヘスティアを

 見て、微笑んでいたタケミカヅチ。

 

 だが、バベルを見上げると真面目な表情に戻った。

 何故なら、これから行なわれるデナトゥスに来る1柱の女神を

 前にするのだからだ。

 二つ名を決める命名式も命のために良い名前を勝ち取らなければ

 ならない。

 

 だが、それ以上に緊張するであろうとタケミカヅチは思わず固唾を

 飲んだ。 

 しかし、タケミカヅチの心情と打って変わってヘスティアはウキウキと

 楽しげであった。

 それに気付き、タケミカヅチは訝りながら問いかける。

 

 「ヘスティア、お前...緊張してないのか?」

 「え?どうしてだい?」

 「いや...ネフテュス先輩が来るのは知ってるんだよな?」

 「もっちろん!だから楽しみなのさ!このドレスを早く見せてあげたいんだ」

 「...そ、そうか。まぁ...きっと褒めてくれるはずだ...」

 「うん!ほら、早く行こうよ!」

 

 先を行くヘスティアの背を見て、苦笑いになりつつもタケミカヅチは

 後を追うのだった。

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