ダンジョンで捕食者たちと獲物を求めるのは間違っているだろうかⅡ 作:れいが
...ダメだ。思い浮かばない...
自室で僕はディスプレイを前に頭を抱えていた。
ヘルメットの修復をしてもらう事にしたのだが、ビッグ・ママに
新たなデザインにしてみてはどうかと提案された。
僕が使っていたヘルメットは皆からしても一般的且つシンプルな物で
氏族の長となるのなら、特徴的なデザインにする方がいいとの事だ。
最初こそは僕もやる気があって色々と考えていたけれども...
何も思い浮かばず、時間だけが経していた。
皆に相談してみるか悩んだが、絶対に兎を連想してからかうのは
目に見えていたから論外とした。
...今すぐにとは言われていないんだ。今日は考えるのをやめよう。
ディスプレイを消して就寝しようとしたが、扉がノックされて
レックスが訪ねて来た。
どうしたのかと思いつつも、扉を開けて話を聞いた。
「ビッグ・ママにヘルメットの事を聞いたわよ。
それで、貴方の事だから悩んでいそうだし相談に乗ってあげようと思って」
...僕の事をよくわかってくれているな、レックスは。
感心しつつ僕はまだ1本線すら描き始められていない事を
告げると、流石のレックスも予想外だったのか困惑していた。
「...何かモチーフを思い浮かべてみる所から始めてみたらどう?
何も無しからじゃ、余計に難しいと思うから」
モチーフか...確かにそれはありかもしれない。
他にアドバイスはないかと聞いた所、レックスは少し考えた後に答えて
くれた。
「まずは身近な物を観察して、そこからインスピレーションを受けてみるといいかも。
ヴァルキリーのヘルメットも、そうして飾り付けをしたらしいわ」
なるほど...確かにあんなにも装飾だらけの奇抜なヘルメットは
皆の中でも唯一無二と言っても過言では無い。
僕はそれを覚えておく事にし、レックスにお礼を述べた。
「いいのよ、お安いご用だから。
あ、それよりもベル。エイナの所にまだ行ってないでしょ?
早めに会っておきなさい。音信不通で心配してるでしょうから」
...そう言われてみればそうだ。
成人の儀が行なわれる日よりも...パラレルバースで鍛練をしに
行った日よりも前からエイナという女性と会っていない。
「彼女には私から貴方の事を教えておいたわ。ネフテュス様に言われてね。
だから、素顔を見せても大丈夫よ」
そうか。それなら...しっかり面と向かって話してみよう。
僕が明日、会いに行く事を告げるとレックスは頷いておやすみ、と
言い残し去って行った。
僕は改めて、ベッドの上へ横になると目を瞑り、意識が落ちていくのを
薄ら感じながら眠りに就いた。
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「あら、ウルフ。...今日もお務めご苦労だったようね」
カカカカカカ...
「イヴィルスの巣窟...
クノッソスの事は誰もまだ知らないけれど、何れバレるでしょうね。
そうなったら、悪巧みをする連中が現われるかもしれない」
暗黒期を知るレックスだからこそ、そう危惧していた。
イヴィルスとは別の邪神が現われれば、十分に有り得るからだ。
「そのためにも...早くしないとね。今度、私も一緒に手伝うわ」
カカカカカカ...
「ええ。それじゃあ、私は寝るわね。
おやすみなさい」