ダンジョンで捕食者たちと獲物を求めるのは間違っているだろうかⅡ   作:れいが

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 ̄、⊦>'<、⊦ 親交

 「それで、皆を助けに行ったって所かな。

  ナルヴィとししょーが居たからよかったけど...」

 

 いくつかのファミリアも協力関係である事、レベル50へランクアップとオルナが自分の前世である事、そしてベルとエイリアン・クイーンの激闘などのまだ内緒にしてほしいと言われた事を除いて話し終えるティオナ。

 なるべく混乱しないようにというネフテュスの配慮が伺える。

 

 「不幸中の幸いだったとしか言えないのが正直な所だな。

  尤もティオナが力を解放出来るまでに強くなっていた事こそが勝因だろう」

 「それに関しては僕もそう思うよ。キングコングや精霊ナルヴィもだけど...

  ティオナが来てくれなかったら全滅していたはずだからね」 

 「そうじゃのう。散々心配かけさせた分の説教はチャラにしておくか」

 

 これまで行方知れずになっていたティオナを心配する団員達を宥めていたガレスであったが、実際の所は自身が心配していたのだ。

 ティオナはそれを聞いてホッとした様子でため息をつく。リヴェリアよりも、ガレスの説教の方が長ったらしいため、そっちの方が嫌だと内心思っているに違いない。

 

 だが、リヴェリアは簡単には許そうとは思っていないようで、眉間に皺を寄せたままティオナに叱咤しようとした...その時だった。

 

 「...っ!?」

 「ア、アイズさん!?」

 「っ、どうしたんだ?いきなり...うん?」

 

 突然の行動に驚くレフィーヤと苦言を言おうとしたリヴェリア。

 しかし、背後から近付いて来る気配に気付いて同じく立ち上がると杖を構える。

 他の団員達も続々と背後を振り返りつつ、その正体を見る。

 

 ナルヴィだ。

 ロキ・ファミリアの頭上をユラユラと飛行しながら、やがて降下してティオナの隣に立つ。

 突然現れた空飛ぶ女性に団員達は驚きつつ警戒するが、ティオナは立ち上がってナルヴィに話しかける。

 

 「どうしたの?ししょーと一緒に戻ったんじゃ...」

 「うん。だけど、コングが心配だからやっぱり行ってくれって頼まれたの」

 「そっか...まぁ、それは仕方ないよね。

  あ、皆。この人がさっき話した精霊のナルヴィだよ」

 

 ティオナに紹介されてナルヴィは微笑みながら軽く会釈をした。

 

 その途端にエルフ達は深々と頭を下げ始める。エルフにとって精霊とは特別な存在であるからと他ならない。

 ナルヴィは畏まるのも程々にと言ったように手で制して、見渡すとアイズを視界に捉えて見つめる。

 対するアイズも自分を見ている精霊に警戒心を強めたまま見ていた。

 

 「...やっぱり勘違いじゃなかった。貴女は...アリアと同じ血が流れてる...」 

 「...お母さんを、知ってるの...?」

 「もちろん。だって」

 「ま、待てっ!待つんだ精霊ナルヴィ!

  ...コホン。取り乱してすまないが、少しいいだろうか?」

 「少し込み入った事情があるものでね...」

 

 首を傾げつつナルヴィはリヴェリアの元へ近寄る。フィンとガレスも輪になって何やら話し合いを始めた。

 気になったティオナは聞き耳を立てようとするも、フェルズに引き離されて阻止される。 

 暫くすると、ナルヴィを納得させたようで話し合いが終わり、ティオナの隣に戻ってきた。

 

 「...何を話していたの?」

 「んー...内緒って事になったから、ごめんね?でも、いつかわかる日は来るよ」

 「...本当に?」

 「神の分身である私が言ってるんだから、信じてほしいな」

 

 アイズは不満そうにするものの、リヴェリア達と話し合っていた事から重大な何かがあると思い、頷くしかなかった。

 執拗に知ろうとして手を焼くかもしれないと思っていたリヴェリア達は、それを見て安堵したようだった。

 すると、ティオネが近寄ってきて頭を下げながら謝罪をする。

 

 「うちの愚妹がお世話になったみたいで...本当に申し訳ないわ」

 「全然。ティオナの成長を見続けて、寧ろ...大いに楽しめたのだから」

 

 ナルヴィは特に気にした様子もなかった。寧ろ謝られる理由が分からないといった様子だ。

 寛大な対応をしてくれたナルヴィにティオネは感謝しつつ、もう一度頭を下げる。

 

 「精霊ナルヴィ、僕からもお礼を言わせてほしい。あの時は本当に助かったよ、ありがとう」

 「いいよ。ロキの眷族なのだから私にとっても子供と同じだもの」

 「ロキを知っているのか?いや、その前に...私にとってとは、どういう意味だろうか?」

 「ナルヴィはロキの分身だから、そういう意味になるんだよ」

 

 ティオナのさり気なしに言った返答に、リヴェリアだけでなくフィン達も一斉に耳を疑った。

 容姿は似ても似つかない上に口調から雰囲気まで全く違うため、そうなるのも無理はない。

 しかし、ナルヴィは信じてもらうべく咳払いをしてから答えた。

 

 「せやで?うちはロキの分身で、ナルヴィ言う名前は嫁ちゃんと一緒に考えてもろたんや」

 「...間違いないな。その妙な喋り方は正しく...ロキの分身なのか」

 「じゃが、待ってくれんか?嫁ちゃんとは...誰の事かのう?」

 「ロキの妻だよ。ロキが夫で父なら...母に当たるのかな?」

 

 数分の静寂。それを破ったのはフィンが言い放った疑問だった。

 

 「ロキは女神のはずだけど...?」

 「神々にとって性別なんて意に介さない概念だから、女神同士での結婚は普通だよ?」 

 「つまりは...はぁ?アイツ既婚なのか?私を散々行き遅れと煽っていたのはそれが理由か?」

 

 ワナワナと怒り心頭になり、握り締める杖がミシミシと音を立てていた。

 あまりの形相にエルフの団員達は悲鳴を上げて恐れ戦く。レイとアイズも思わず、ティオナとレフィーヤの後ろへ隠れてしまう程だ。

 

 何とかフィンとガレスは宥めに入るが、ブツブツとロキにどんな制裁を下そうかと独り言を言い始めるリヴェリア。

 

 そんな時、ティオネがナルヴィに問いかけていた。

 

 「アイズが認めた後に、こんな事聞くのもなんだけど...

  ナルヴィもゼノスが私達と仲良くなれるって...そう願ってるの?」

 「うん。キングコングに助けられたから、っていう理由だけでは思っていないよ?

  レイやゼノスの皆が決意した事だからこそ、私は支えてあげたいの」 

 「...そう。野暮な事聞いたわね、ごめんなさい」

 

 ティオネは納得したように頷きながら謝ると、ナルヴィは微笑んで首を振るのだった。

 

 「ティオナの話は以上になるが...1つだけ注意を。

  当然ながらゼノスの事はまだ公には出来ないため、口外しないと絶対に約束してほしい」

 「皆さんにご迷惑をおかけする事になってしまいましたガ...

  どうかお願いしまス」

 

 頭を下げながら懇願するレイにフィンは微笑みながら答える。

 

 「君が気に病む必要はないさ。助けられた恩も、ティオナが世話になった恩もある。

  だから、約束は守るよ。ヘファイストス・ファミリアにも伝えておく」

 「全員、その旨を忘れたりしないようにな。いいか?」

 

 リヴェリアの呼びかけに団員達は一斉に頷く。

 レイは感謝しながら、ロキ・ファミリアに向かって頭を下げた。

 その雰囲気に嘘はないと信じ、フェルズも頷くのだった。

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 話し合いが終了して、フィンは各自休息を摂るように団員達に告げた。

 尚、フィン達幹部はヘファイストス・ファミリアに先程の話を伝えに行くとの事。

 

 ナルヴィとフェルズも無事に話はついたとキングコングやゼノス達へ伝えるべく、ロキ・ファミリアに別れを告げてそれぞれ73階層と隠れ里へ向かって行った。

 レイはロキ・ファミリアと親交を深めたいそうで野営地に残る事にした。

 

 「レイにもティオナが世話になったのよね。ありがとう、この馬鹿の面倒見てくれて」

 「いエ、ティオナさんと一緒に楽しくお話をしたリ、ご飯を食べたりして楽しかったですかラ」

 「それならよかったけど...しっかし、ホント何でこんなデカくなるんだか...」

 「えへへ~。捕食者に負けないようにってミルーツをすっごい食べちゃったからね」

 「...私も食べたら追いつけるかしら?」

 

 ティオネはそう呟くと、頷いて肯定したのに早速どこにあるのか問いかけられて焦るレイ。

 73階層の事なども秘密にしなければならないため、どうしようかと答えようとしている時だった。

 全速力で走ってきた椿が3人の前で急ブレーキをかけるように止まりながらやって来た。

 

 「っとと...ん?おぉ、お主がレイだな。フィンから事情は聞いているぞ。

  手前から仲間にはくれぐれも気を付けるよう言い聞かせておいたから、安心してくれ」

 「は、はイ、ありがとうございます」

 「それはそれとしてだ。ティオナよ!お主が背負っている武器を見せてくれぬか!?」

 「え?あ、うん。いいよ」

 

 ティオナは椿に言われるがまま、背鰭の武器を手に取って椿に差し出す。

 震い付くような様子でしっかりと柄の部分を握りながら、椿はじっくりと先端から根元まで舐め回すように見る。

 

 「何とも...荒々しい作りとなっているか、お主に適した得物と言えるな。

  まぁ、大双刀を模しているのに変わりないが」

 「うん、やっぱりその形がしっくりくるからね!

  大双刀と違うとしたら、魔法の熱を吸い取って威力が増す事かな?」

 「ほほう!やはりあれは見間違いではなかったのか!まさか魔法をぶった斬るとは恐れ入ったぞ」

 

 ティオネもあの時の光景が鮮明に思い出された。

 

 ティオナが構えていた背鰭の武器から凄まじい熱気と光が溢れ、それが刃の形となって精霊の怪物を真っ二つに斬り伏せる。

 あれを見てしまっては最早疑う余地はないと言えるだろう。

 

 椿も興奮気味に食い入るように見つめている事から余程驚いた事が伺える。

 

 「是非とも、手前もこの背鰭を打って...いや、加工は出来そうにないな」

 「多分。普通の鍛治道具だとそっちが壊れちゃうかもしれないからね」

 「うむ。だからこそ、これが最適な形なのだろう。お主が自ら考えて作ったのか?」

 「ううん?キングコングししょーにアドバイスをしてもらいながら作ったよ」

 「なんと!?武器の作り方まで考えるとは...ゼノスも侮れんな!手前も精進せねばな!」

 

 感銘を受けた椿はそのままティオナへ返すと、すぐさま自身のファミリアが設置したテントへと向かうのだった。

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 「えっと、これは使い物にならなくなったから処分するとして...

  アキ、こっちはどうするっすか?」

 「あっちに運んでおいて。それは未使用で、次回の遠征で使うから」

 「了解っす」

 

 休息を摂った団員達は帰還の準備を始めており、ラウル達2軍メンバーが率先して荷造りをしていた。

 そのまま地上へ帰還するという事ではなく、18階層でもう一度休息を挟むそうだ。

 

 なるべく早く向かうために不要な物は放棄し、荷物を軽くする作業を並行して行ってドロップアイテムや未使用の備品を纏めていた。

 59階層での激闘を繰り広げたラウル達はアナキティ達から休むよう言われていたものの、動かないと落ち着かないと言って重たい荷物を運ぶ。

 アリシアもその内の1人で、空き瓶を片付けていると背後から声を掛けられて振り向く。

 

 「あら、レイさん。どうかされましたか?」 

 「そノ...私にも何かお手伝いさせていただけませんカ?

  せっかく皆さんと仲良くなれる機会だと思いますのデ...」

 

 両手の人差し指同士をイジイジとしながら、恥ずかしそうに言うレイ。

 その仕草は可愛らしくもありながら、どこか庇護欲を掻き立てるものがあった。

 アリシアは思わず笑みを浮かべながら頷くと、ラウルに何か手伝えそうな事はないかを確認する。

 

 「それじゃあ...この木箱をあっちに運ぶのを手伝ってもらえるっすか?

  無理はしないようにお願いします」

 「はイ、わかりました...!」

 

 レイは嬉しそうに頷くと、ラウルの指示通り木箱を運び始める。 

 無理はしない、という言いつけは守っているつもりなのだろうが、周囲の団員達は愕然とする他なかった。

 何故なら...最低でも2つ重ねてやっとの重さの物を、レイは5つ重ね且つ片手で軽々と持ち上げて運んでいたのだから。

 ラウルも唖然としてその様子を見ていたが、すぐに我に返って彼自身も木箱を運んで行くのだった。




まだアイズの出生がハッキリしてないから苦し紛れですが内緒という事に。
独自設定あるからいいんじゃね?と思ったけどやめておきました。

神話通りにロキの嫁さんはシギュンです。
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