ダンジョンで捕食者たちと獲物を求めるのは間違っているだろうかⅡ 作:れいが
「じゃあ、またねレイ。ししょーとナルヴィにもよろしくって伝えておいてほしいな」
「はイ、わかりました。皆さんお気を付けくださいネ」
「ありがとう。君もなるべく冒険者に見つからないようにするんだよ?」
荷造りを済ませたロキ・ファミリアは地上へ戻る準備を進めていた。
今回の遠征で起きた事をロキやギルドへ報告するためにもいち早く出発できるように。
冒険者が立ち入らない林の中で、見送りに来たレイはティオナとフィンの2人に握手をしてから里へと戻って行った。
2人が野営地へ戻った頃には出発の準備が整っており、先行した第一班の姿は既に無かった。
第二班の中にティオナとフィンは加わっているため、遅れたという事はなくフィンの号令で第二班も出発した。
階層を登りながらティオナはティオネとアイズ、そしてレフィーヤと会話を弾ませており、久しぶりに明るい笑顔を浮かべていた。
先を歩いているフィンとリヴェリアは内心その笑顔を見れて安堵すると、顔を見合わせて薄く笑みを浮かべた。
見た目は違えど、普段と何も変わらない彼女であると改めて認識出来たからだろう。
順調に登って行き、17階層に到達する時だった。
ドゴォオオオオオオオオンッ!!
凄まじい衝撃音が響き渡ってきて、ティオナ達は一斉に警戒態勢を取りながら17階層へ繋がる出入口から出た。
そこで目にしたのは...少数のパーティーがゴライアスに挑んでいる光景だった。
しかも、モンスターレックスとも呼ばれる怪物が膝をついてドーム状の結界により動きを封じ込められている。
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「...っ!解除します!ご準備を!」
「離れる際の援護は任せてください!」
「よっしゃあ!行くぜ桜花ッ!」
「応っ!」
結界が解かれて動けるようになったゴライアスだが動きが鈍い。恐らく重圧によって体に掛かっていた負荷が未だに残っているためだろう。
それを狙って赤髪の青年と筋骨隆々な黒髪の青年が突撃し、それぞれが持つ得物でゴライアスの首元周辺を斬り付けた。
硬い皮膚によって簡単には深手を負わせられないものの、少しずつ弱らせていく。
やがてゴライアスが動き出そうとした時、右腕に装備しているボウガンを構えた少女にフィンは視線を向けた。
装填されている矢には直径1インチ、長さ1.5インチの円錐型の鏃が取り付けられている。
「ルアン様...力を貸してくださいっ!」
パシュンッ!
ドガァァァアアアアアアアアアアアンッ!!
放たれた矢は一直線にゴライアスの右目に突き刺さると黒煙を上げながら爆発した。
あの円錐型の鏃に爆薬が仕込まれていたと考えられるが、あんな小さな鏃にも関わらず驚異的な威力だと若干度肝を抜かれたフィンであった。
尚、放った本人も驚いて目を白黒させていた。
だが、ゴライアスは予想だにしていなったその攻撃で怯み、その場で悶え苦しみ始める。
「槌へと至り土へと還り、どうか貴方へ祝福を。大きくなぁれ。舞い踊れ】」
「ありがとうございます。春姫!」
「頑張って、命ちゃん...!」
仕留めるなら今しかないと、親友の力を借りた長い黒髪の少女は影を留めさせない程の俊足で駆け抜ける。
「命!お前が決めろッ!」
「はい...っ!」
投げ渡された剣を受け取り、地面を蹴って飛翔する。振り翳されたその剣は決意と呼応するように燃え上がった。
仲間達は巻き込まれないよう退避し、決着の瞬間を見届けようとした。
そして、渾身の力でゴライアスの首を一閃。
その余波は凄まじく、着地して刀身が地面にぶつかると周囲に熱風を巻き起こした。
ズズンと巨大な首が落ちてから、首を失った巨体も平伏す様に倒れる。
残心を欠かさず、剣を構えていた命はふぅーと一息つく。
「や...やったぁあ~~~!命様が倒しましたぁー!」
「いよっしゃぁあ!」
「よしっ...!よしっ!」
「や、やったぁ...!春姫ちゃん!勝ったよ!」
「はい...とても勇壮な...私にとって英雄譚に残るような戦いでした...!」
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大喜びしているパーティーをフィン達と一緒に遠目から見ていたティオナはその勝利に称賛を送っていた。
「今でこそ私達は普通に倒しててるけど...あれが本当の冒険者としての在り方なんだろうね。
仲間と一緒に戦って、泣いても傷ついても諦めず立ち上がって...最後に勝って喜ぶのって」
「...ああ。初心を忘れてはならない、それが大事なのだからな」
「うん。...だから、あたしも...今度こそ勝つよ」
その決意を固めた瞳にはゴライアスを打ち倒した少女を称えて抱きしめ合っているパーティーの姿が映っていた。
そして、雰囲気を壊さないようひっそりとティオナ達は17階層を後にするのだった。
「にしてもよ、リリ助。あの爆発した矢は...どこで手に入れたんだ?」
「それは...乙女の秘密という事で。えへへ...」
「なんだそりゃ...」
「まぁまぁ、ヴェルフ殿。そこはそっとしておく事にして...」
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1階層の巨大な螺旋階段を上り、バベルを出たティオナ達は先行していた第一班と合流。
特に問題なく地上へ戻る事が出来たのをその場で簡易的に確認するとヘファイストス・ファミリアの面々は現地解散する事に。
「ありがとう、椿。また参加してもらえると助かるよ」
「もちろんだ!先の事になるだろうが、頼みにしているぞ」
代表として椿は笑みを浮かべながらフィンと握手を交わして、自分達の拠点へと向かった。
そうしてフィンもロキが待つ黄昏の館へ帰還すると号令を出す。
漸く帰れると団員達は安堵のため息をつき、ティオナもずっと特訓続きだったために疲れを癒そうと考えていた。
...すれ違いざまに冒険者が話していた噂を聞くまでは。
「おい、アポロン・ファミリアが戦争遊戯をするんだってよ」
「またあの問題神がやらかすのか...で、どことやるんだ?」
「何でもネフテュス・ファミリアって、ほら。例の素性がよくわからない所」
リリの使った矢はランボー 怒りの脱出からのオマージュ。
5日前になりますが、ご存知の方はいらっしゃると思います。
この小説に伴って映画をあげますと「プレデター」にてディロン役を演じられたカール・ウェザース氏が2月1日にお亡くなりになりました。
不意打ちされずに果敢に挑む姿と最後に居場所を伝えるために叫んでいた男気がカッコよかったです。
ロッキーで演じられていたアポロや遺作となったマンダロリアンのグリーフ・カルガも魅力的な役柄でどの作品にも欠かせない存在だったと思っております。
マンダロリアンは映画化が去年決定されていただけに出演が叶わなくなってしまって残念に思います。
長くなってしまいましたが、ご冥福をお祈り申し上げます。R.I.P