ダンジョンで捕食者たちと獲物を求めるのは間違っているだろうかⅡ   作:れいが

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プレデターの間では上司に殴りかかるのが優秀とされているはず。


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 僕はエルダー様と共に船内にある闘技場へ足を運んだ。アハを行うために。

 ヘルメットからガントレットと鎧も脱いでスタンドに掛けると、用意されていた油を全身に塗っていく。

 

 準備が整って僕はエルダー様と対峙し、眉間に拳を当てる。エルダー様も同じ動作をしてから、お互いに構えた。

 先に仕掛けるべき、か...!? 

 

 ドゴォッ!

 

 「グウッ・・・!」

 

 そう思った時には膝蹴りがボクの鳩尾にめり込んだ。

 鉄の杭が突き刺さったような鈍痛が走り、胃液が食道から逆流しそうな感覚に襲われる。

 更にエルダー様の肘打ちがボクの顎に直撃し、軽い脳震盪が起こる。

 

 歯を食いしばり、僕はエルダー様へ反撃する。しかし、簡単に避けられた挙句にカウンターの蹴りをまた鳩尾に食らってしまう。

 土俵を転がってすぐに立ち上がるも、既にエルダー様は僕に目掛けて飛び蹴りを放っていた。

 避けられないと悟り、両腕をクロスして防ごうとするが...その防御を簡単に突破されてエルダー様の飛び蹴りが肩部に直撃する。

 

 バキリという音が聞こえてきて鋭い痛みが走った。どうやら鎖骨が折れたらしい。

 

 これくらいなら覚醒した際の治癒でどうとでもなる。僕は直ぐに立ち直り、呼吸を整えながら身構える。

 対するエルダー様は悠然と構え直して、こちらの出方を窺っていた。

 自ら動かず、守りに徹するのはヤウージャにとって恥だ。 

 

 ボクはエルダー様へ突進する。右のストレートを繰り出してその動作を囮に回避した所で左フックを顔面に叩き込もうとする。

 だが...それも見切られていたようで拳を受け止められてしまった。

 

 カカカカカカ...

 

 ...まだまだ未熟だと、エルダー様は嘲笑する。その嘲りを否定出来ない事実にボクは歯軋りをした。

 ならば...お見せしよう。この力を...!

 

 「ヴオ゙ォ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙ッ!!」 

 

 全身の筋肉を構成している細胞が沸騰するかのように熱を持ち、浮かび上がっている血管が破裂しそうなほど肥大化。

 毛穴から噴き出る汗と全身に塗っていた油が蒸発して白い蒸気が立ち込め始めた。

 

 受け止められた拳を引き、再び拳を突き出す。

 またも受け止められるが腕は完全に伸びきった状態ではなく、少し曲げた状態にしていたので今度は一歩前進してもう一段突き出すとエルダー様を押し込んでいく。

 エルダー様は動ける方の腕を振り下ろしてきた。拳ではなく尖った爪による攻撃だ。

 

 僕はそれを空いてる方の腕を上げて受け止めた。人間の皮膚くらいなか容易く裂ける爪だが、今の状態ならめり込む程度に留められている。

 

 「ヴオ゙ォ゙オ゙オ゙オ゙オ゙ッ!!」

 

 その腕を振り払い、屈強な皮膚がヘコむ威力でボディーブローを何発も叩き込んだ。

 鈍い音が響き渡り、エルダー様が一歩後退するのを見て好機だと悟った。

 姿勢を低くしたまま突進して腰に抱き着くように捕まえると、そのまま押し倒そうとする。

 

 だが、エルダー様は倒れる事なく足を踏ん張らせて耐えられていた。どれだけ押そうとまるで倒れる気配がない。

 これは意地の張り合いだ。どちらが先に音を上げるかという我慢比べになる。

 

 ドゴォンッ!

 

 その時、背中の一点に衝撃が走り、膝が崩れそうになった。エルダー様が肘打ちを叩き込んできたようだ。

 僕は息を止めて歯を食いしばって何とか踏み止まる。

 

 押し倒すのは無理だ。なら...!

 前後にしていた足の位置を左右に股を開く姿勢となり、足腰に力を入れながら勢いよく上半身を起こす。

 それによって持ち上げられたエルダー様を後方へ投げ飛ばした。

 

 ドダァアンッ!

 

 背中からエルダー様は床に叩き付けられて無防備となる。

 僕は飛び掛かって空中で身を翻しながら顔面に肘打ちを叩き込もうとするも、エルダー様は両腕を交差させて受け止めた。

 やはり簡単には攻撃は通用しないか...けれど、まだ床に背を付けている。

 

 即座に馬乗りになると、拳を振り下ろして顔面をガードしている両腕を殴打する。

 ガードを崩しさえすれば...そう思っていると、エルダー様は両膝を曲げて足を浮かせ始めた。

 それによって僕は体勢が前のめりになった途端、エルダー様が僕の頭を掴んで上半身を上げる勢いを乗せた頭突きを叩き込んでくる。

 

 「グゥウウッ...!」

 

 鼻骨の骨が折れ、眉間辺りの骨にも罅が入った。軽い脳震盪が起きて怯む僕をエルダー様は平手打ちで真横へ叩き飛ばした。

 数回転がり、顔を振って意識をハッキリさせると折れた鼻骨を強引に拳で叩いて戻してから覚醒による治癒で罅の入った眉間の骨を治す。

 

 立ち上がってエルダー様を見やると、悠然とした様子でこちらを見ていた。

 強い...だけど、まだ僕は動ける。拳を握って構え直すと、エルダー様も構え直して対峙してくれた。

 

 どちらかが倒れるまで続けてくださるんだ。...力を出し切らなければならない。

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