ダンジョンで捕食者たちと獲物を求めるのは間違っているだろうかⅡ   作:れいが

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 ベルとエルダー様の修練が終了し、マザー・シップがアポロン・ファミリアの前に姿を現した頃より遡ること数十分前...

 

 ネフテュスはアストレアと一緒にスカウト・シップへ搭乗してバベルへ向かっていた。尚、まだバレてはいけないためクローキング機能で不可視状態である。

 到着する直前、レイに通信を入れてティオナの状況を聞いていた。

 

 「レイ、地上へ出る用意はいつでも済ませてあるって伝えておいてほしいわ。

  それと...ついにその時が来た、というのもね」

 『...わかりましタ。もう少しティオナさんは特訓を続けたいとの事ですから...』

 「わかったわ。それじゃあ...楽しみに待ってるわね」

 「ティオナはどれだけ強くなっているのかしら...」

 「ふふっ...それはもう少し待たないと。ウルフ、30階まで上昇して」

 

 通信を切り、操縦しているウルフにそう指示を出すと重力制御によってスカウト・シップは上昇。

 30階に到達すると後部ハッチが開き、アストレアの手を取りながらネフテュスは降機する。

 

 不可視状態のスカウト・シップはそのまま飛び去っていき、ネフテュスは何気なしに階段を降りていってアポロンを探す。

 

 すぐに後ろ姿からでもわかる変態的な雰囲気を醸し出しているのを見つけ、アポロンが座っている段の1つ上に立った。

 

 「ん?...どえぇえ!?ネフテュス先輩!?」

 

 ロキがそう言った途端に神々も驚愕しながら同じような声を上げた

 ロキは姿を消す技術を知ってはいたものの、いきなり現れたからには驚くのも無理はないだろう。

 

 一方でアポロンは歓喜に満ち溢れた気持ちの悪い笑みでネフテュスを見上げていた。

 

 「ようやく来たかネフテュス!我が愛しき妻よ!皆が逃亡したなどと根の葉も無い噂を広めていたが...

  やはりそのような事がある訳がない!あぁ、早くお前にこの指輪を捧げたいよ...!」

 

 息をハァハァと荒げながら涎を垂らすアポロンにネフテュスは微笑んでいた。

 しかし...神々は気付いている。目が笑っていないと。瞳の色は見下すとも違う、憐むような色をしている。

 

 「...精々、自分だけの世界に浸ってなさい」

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 「ヘスティア様、リリは二度と貴女の言う事には耳を貸しません」

 「んなっ!?唐突に何を言い出すんだいリリ君!ボクが何をしたっていうだ!」

 「何って...ネフテュス・ファミリアに賭けるのを勧めた事ですよっ!

  おかげで大損したじゃないですか!せっかくルアン様との将来を安泰させるために一儲けしようと思ってたのに...」

 

 そうヘスティアに対して愚痴をこぼすリリルカはジョッキを傾ける。尚、中身は無料の飲料水。

 豊饒の女主人で行っている賭博にリリルカもかなりの額を賭けているのだが、何故かルアンの所属するアポロン・ファミリアではなくネフテュス・ファミリアの方に賭けていたのだった。

 

 理由は愚痴で述べている通り、ヘスティアに勧められた事と...

 

 「でも、エスペル君もネフテュス・ファミリアに賭けておけって言われたんじゃないかい?」

 「...そうですよ。理由は定かではありませんが...」

  

 自分の所属するファミリアが負けると言っているようなもので、リリルカにはそれが全く理解できなかった。

 ネフテュス・ファミリアの戦力がわからないため、アポロン・ファミリアとの戦力を考える事はできないもののリリルカとしては純粋にルアンに勝利してほしいという想いで賭けようとしていたのだ。

 しかし、ルアンにそう言われたからには無下にもできないため...なけなしの貯金を半分程ネフテュス・ファミリアに賭けた。

 

 それから戦争遊戯が始まり、姿を見せないネフテュス・ファミリアは逃亡したという噂が流れてきて今に至る。

 

 「よぉ、リリルカ。なーに自棄飲みしてるんだよ」

 「あっ...ライラ様!聞いてくださいよ!リリが汗水流して貯めた貯金が...?」

 

 偶然通り掛かったライラにしがみつく勢いでリリルカは経緯を話そうとした時だった。

 

 ガタガタと床が揺れているのを感じる。地震かと店内の客は倒れないよう椅子から立ち上がって、テーブルや窓枠に掴まる。 

 だが、ライラは地震にしてはおかしいと感じていた。横ではなく縦に空気も揺れているような違和感があった。

 

 「な、なんだありゃああ!?」 

  

 店の外に出ていた男が腰を抜かしながら上空を見て叫ぶ。ライラは男の元に駆け寄ると同じように空を見上げる。

 

 ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴォ...

 

 頭上より遥か上空に浮かび上がる巨大な影。

 雲を吹き飛ばしながら、バチバチと稲妻を発している。

 

 以前に似た様な形状の空を飛ぶ船を見た覚えがあるので、すぐにネフテュス・ファミリの本拠としてるマザー・シップだとわかった。

 

 「な、なんですかあれ!?」

 「そ、空を飛ぶ船かい!?」

 「ライラ、あれは...」

 「ああ。どうやら、やっと始めるみたいだな...

  リリルカ、お前さっき貯金がどうのって言ってたな?」

 「え?あ、は、はい...ネフテュス・ファミリに賭けたので大損してしまったと...」

 「なら心配する事ないぜ。

  終わった後、倍になって返ってくるからな」

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 クローキング機能を解除した事でオラリオの住民はマザー・シップの出現に恐れおののいている様子だった。

 無理もないか。これだけ巨大な宇宙船を見た事もないのなら...

 土や岩などの付着物を振動で船体から振り落とすと全システムのチェックを確認。

  

 船内にオールグリーンと伝えられ、マザー・シップは出撃準備が整った。

 スラスターを全開に重力制御も合わさって流れるように発進し始める。

 

 方角はそのままに地上の住民が逃げ惑うのも気にせず上空を飛行して直進して行く。

 やがて、バベルを通り過ぎようとした時...我が主神がこちらを見ていると気付いた。

 腕を組みながら小さく手を振っているので、僕は頷いてから眉間に拳を当てる。

 

 必ず勝利する、そう誓って...

 

 オラリオを囲う市壁を越え、マザー・シップは一度滞空する。ワープドライビングシステムを起動させたようだ。

 エネルギーを船首下部にある砲身に蓄積させると前方へ発射した。

 

 発射されたエネルギー体はある程度離れた距離で破裂するように、雲を呑み込みながら円形に広がる。

 円の向こう側が現在位置の地上と異なっており、目的地にワープドライビングサークルが繋がったのを確認した事で再び進行して行く。

 

 マザー・シップは完全にワープドライビングサークルを通過し、戦争遊戯を...いや、狩り場であるシュリーム古城跡地から離れた上空に到着した。

 

 準備運動になる訳もないが...さっさと終わらせよう。




インデペンデンス・デイの宇宙船みたいな感じをオマージュ(したかった)

あと出撃してる時に流れてる曲はAC/DCのThunderstruckで。
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