ダンジョンで捕食者たちと獲物を求めるのは間違っているだろうかⅡ 作:れいが
降下準備のためにハンガーへ向かっている最中、ビッグママに呼び止められて何かを手渡された。
これは...ヘルメットの拡張パーツか。急遽作成してもらったが、流石に手慣れているだけある。
僕はそれを口部分に押し当てる。すると、拡張パーツは自動的に顎と頬部分に固定し、空気を抜く事で気密性を高めつつ完全に外れないようにされた。
首を動かしてみてどこにも干渉しないと確かめてから、あの機能も搭載されているのか問いかけるとビッグママは頷いた。
それなら試すのに丁度いい獲物があの城に蔓延っている。今後の狩りで使えるか試してみよう。
僕は眉間に拳を当てビッグママに礼を言った後、ハンガーに向けて再び進み始めた。
バンカーに着くとレックスとルノア、スカー達が待っていた。その傍には搭乗するブレード・ファイターも用意されている。
『おっ?それって新しくしたヘルメット?中々イカしてるじゃないの』
『ルノア、改宗は我が主神に戻してきたのか?』
『当然。でもって、アンタのクランに入る事にしたから...今後はリーダーって呼ばせてもらうよ』
『私もエルダー様のクランだけど一時的に入る事になったわ。ウルフと同じ感じで...
ショーティとダフネもそうする事にしたみたいだから、長としてしっかりね」
カカカカカカ...
年齢で言えばショーティの方が僕らよりも上だが、指南役としてそうなったんだろう。
会話もそれぐらいにして...狩りと行こうか。
3機の内、中央のリーダー専用マークが描かれているブレード・ファイターに搭乗し、コックピットを保護する上部カバーを閉じた。
ブレード・ファイターは文字通り、小回りが利くよう設計された機体の先端に巨大なブレードを装備した地上戦闘用小型ビークルだ。
先端のブレードは時速500kmもの速度で飛行すれば障害物などを貫き、機体を回転させて遠心力による攻撃も可能。
更には左右に開いたブレードの中央に捉えた標的を挟み込んで真っ二つにする。
座席の右側上部にはミサイルキャノン。機体左右の下部にはプラズマ・ガンが装備されている。
僕はレックス達も乗り込んだのを確認し、ハッチを展開するよう指示を出した。
スカーがパネルを操作して船体表面が割れるようにハッチが展開する。
ハッチの上部にあるカウントダウンがゼロになると同時にカタパルトから同時に僕らは射出され、機体の姿勢制御を行いながら降下していく。
地表まで10Mの高度に到達すると、ハンドルを引いて機体下部のサブスラスターを噴かす。
落下速度を弱めてからハンドルを戻すと両足の底にあるレバーを踏んでメインスラスターから火を噴かし、目的地であるシュリーム古城跡地に進路を向けた。
岩山が連なり、周囲には草木も何も生えていない荒野をマッピングシステムの誘導で突き進む。
途中、コックピットのモニターに左折するよう表示される。どうやら岩山で直進はできないと判断したようだ。
当然ながら僕はエンジンを全開にして岩山目掛けて突進。急加速した勢いを利用し、ブレードによる突貫で岩山を砕いた。
障害物が無くなった事でレックスとルノアは後に続き、僕らはシュリーム古城跡地に向かって突き進んでいく。
やがて最後に岩山をカーブした先に城門を見つけた。城壁にはアポロン・ファミリアが弓を番えている。
『城壁の奴らを一掃する。足元より下に着弾させろ』
僕はパネルを操作してミサイルキャノンを起動、照準を城壁の中央辺りに合わせる。レックスとルノアも起動、城門の左右にある城壁に狙いを定めた。
十分な距離まで接近し、発射ボタンを押してミサイルキャノンからミサイルを放った。
3基のミサイルは城壁に直撃して大爆発を起こし、その衝撃で弓兵達が吹き飛んで城壁は内部を覗かせて破壊される。
城門の前に着くとエンジンを切ってメインスラスターを止め、ブレード・ファイターを着陸させた。
僕達が降りていると、城門が開き始めたので堂々とそこから敷地内へ入っていった。
城門を開けてくれたらしい不機嫌そうなショーティの文句を聞き流し、ダフネがどこに居るのか聞いていると彼女は城壁を飛び移って目の前に着地してきた。
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2人の装備が入っているケースを渡してあげていると、向こうから複数人のアポロン・ファミリアの団員達が近付いてきた。
手には得物としている剣、戦斧、槍を握っており、ダフネから伝えられた目印となる白、赤、黒の布が腕に巻かれている。
「ダフネ!ルアン!貴様ら...どういうつもりだ!?」
「どうもこうも...な?見ての通り、お前らとは縁を切らせてもらうぜ。
長い間、散々こき使ってくれてどーもな」
衣服を全て脱いだショーティはネットメイルを着こみ、左肩と胸部を覆うアーマーを装着してブーツを履く。
両腕にガントレットを装備し、最後にヘルメットを被った。
通常のタイプで特殊ではないものの、もぎ取ったゼノモーフの下顎をヘルメットの下側に嵌め込んで飾っている。
バーナーを左肩の装甲とサイドアームにあるコネクタへ固定し、動作チェックを行った。
確認を終えると、腰の左右に装備したプラズマピストルを手に取る。バーナーを改造した特注品だ。
「まさか裏切るというのか...!?我々を...いや、アポロン様を!
この...アポロン・ファミリアの恥晒しめ!」
「裏切る?...最初からうちらはアポロンなんかに忠誠心なんて持って無いし、そもそも...
ウチがあんな変態糞神に忠誠を誓ってると思ったら大間違いだから」
ダフネは衣服を破り捨て、アーマーやブーツなどは身に付けず、胸には布を巻いて腰に草摺を履くだけで終わる。
旧式のガントレットを装着し、ヘルメットを被ると短くなっていた赤い髪の毛が数十本ずつ互いに巻き付きながら伸びていく。
そのヘルメットはアメンギの頭部の皮を剥がして頭骨にコンピューターを内蔵させている仕様で、外見から僕でも不気味に見える。
肩を回して準備が整ったダフネは、仲間が裏切ったと憤慨しているエルフの方へ向き直ると口を開く。
...言葉を発するという意味ではなく物理的な意味合いだ。上唇と下顎の全体がそれぞれ左右の上下に裂け、その端に鋭い牙が生えた。
ダフネのヘルメットは口元がオープンとなっているので、その変化が見えるようになっているんだ。
「な、何なんだお前は...!?」
憤慨していたエルフは顔を蒼褪めさせており、他の団員達も普通ではあり得ない光景に息を呑んでいる。
尤も、僕やルノアから見ればなんて事もないものだ。
何故なら、ダフネは人間とヤウージャの遺伝子を組み合わせたハイブリット。
そして、様々な生物の遺伝子をも取り込む事ができる合成人間だからだ。
人間の遺伝子はルノアから、ヤウージャの遺伝子はビッグママで構成されている。
「ウチとこいつはネフテュス様に忠誠を立ててる
クソアポロンに近付いたのは、この事態が起きるのを密偵するためだよ」
『そういうこった。お前ら...喧嘩する相手を間違えちまったな』
ダフネの後に続いてショーティが声を低めながら言うと、団員達の顔は歪んで恐怖に染まり始めた。
密偵が忍び込んでいるとは思ってもみなかったのだろう。
『それと、俺の名前はルアンじゃない。俺の本当の名は...』
ショーティは間を空けてからヘルメットの音声機能を最大にした答えた。
その声からして活き活きとした笑みを浮かべているようだ。
『ルアーノだ!栄光なるフィアナ騎士団の1人だ!』
魔改造ダフネの元ネタはカリン・ドラクロワとフィアラル。
人間とプレデターの遺伝子だけでなく、まさかのエイリアンの遺伝子まで入ってる女性。
3人が乗ってきたブレード・ファイターはネカシリーズより発売されたビークル。
超カッコいい。
最後に、ルアン君ではなくショーティはルアーノ君でした。
何でこの時代まで生きてる理由は...大体わかりますよね。