ダンジョンで捕食者たちと獲物を求めるのは間違っているだろうかⅡ 作:れいが
カカカカカカ...
「大丈夫。疲れて寝てるだけみたい」
レックス達を含め、スカー達がベルの自室に居て容態を気にしていた。
長となったベルに祝言を伝えに来た所、倒れているのを見つけたので
ダフネとヴァルキリーに診断してもらっていた。
外傷は無く、内臓器官などに異常は診られないとの事だった。
それを聞いてその場に居る全員は安堵する。
「もう...心配させるんだから...」
「まぁ、あんな力を使ったのに疲労だけで済んでるのはすごいわよ」
「ああ。ゆっくり寝かせておこうぜ」
「そうしとこっか...お疲れ様、ベル。
クイーンを1人で狩るなんてやるじゃん」
ルノアは眠っているベルの頭を撫でながら称賛した。
クイーンを倒した事のあるスカーも同様に。
初対面でいきなり泣き喚いていた幼き頃の面影はもう残っていない。
けれど、あどげない顔立ちはあまり変っておらず、共に狩りをしてきた
弟のような存在である事に変わりはないとルノアは思った。
そうしてスカー達はベルの自室から出ると、オープンスペースへ
赴いた。
玉座に座っているネフテュスは何かをしていたが、スカー達が来た事に
気付くと手を止めて話しを聞く姿勢となる。
『ベルは眠っているだけなので、心配はご無用です。
しばくすれば目を覚まします』
「そう...それなら安心したわ。よかった...」
目を伏せつつネフテュスはベルの安否にほっとした様子だった。
死の淵まで魂が堕ちていたものの、アルフィアの叱咤によってベルは
生還し、覚醒する事が出来た。
これ以上になく嬉々たる子供の成し遂げた偉業。
神々に自慢したいという気持ちは大いにあるが、まだ抑えなければ
ならない。
2日後に行なわれるデナトゥスで集まった神々の驚愕する顔をその目で
見るためだ。
「(ん~...でも、アストレアには見せてあげたいわね。
もちろんアリーゼ達も居たなら...
ベルが起きたら一緒にホームへ行きましょうか)」
「ネフテュス様、気になったんですけど...
長になったらベルは狩りが出来なくなるんじゃないですか?」
その質問をしたのはショーティだった。
スカー達の中では最古参であるため、ヤウージャ達の文化には
精通しているので誰よりも気になったのだろう。
ベルが任命された氏族の長とはクランリーダーとも呼び、クランを
形成するメンバーの最高指揮者である。
本来ならパックリーダーというクランリーダーの代行指揮者が
選ばれる事もあるのだが、今回はとにかく異例だ。
覚醒という人間を捨てた事でクイーンを狩る事に成功した、ベルの
実力が認められたからこそ選ばれたという事なのだろう。
しかし、クランリーダーは狩りをしてはならないという暗黙の了解が
あると聞いた事がある。
なので、その事を踏まえてショーティはネフテュスに聞いたのだ。
尚、そのパックリーダーの立ち位置にケルティックが就いており、
その次のランクにはエリートというパックリーダーと同位のランクで
実質的に実力はパックリーダーよりも上のヤウージャが就いている。
そのエリートがウルフだ。実はメンバーの中でショーティの次に
古参なのである。
「...何だか皆、勘違いしているようね。
してはいけない、って決め付けてはいないのだから問題はないわ。
そもそも違反になってるならトップノットやヴァイパーだって罰してるはずでしょう?」
「それもそうでしたね。野暮な事聞いてすみません」
謝罪するショーティにネフテュスは微笑んで許した。
これで誤認が解かれただろうと期待したからだろう。
スカー達がオープンスペースを後にして、座ったままのネフテュスは
肘掛けにあるタッチパネルを操作する。
映し出されたのはベルが自らに刻み込んだ刻印。
それを見つめ、顎に手を添えると
「クランの名前も考えないといけないわね。まぁ、妥当に考えたら...」
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通路を歩きながら、これからスカー達はどうするかを話していた。
既に午前を回っており、太陽が昇った外は明るくなっている。
「ウチは明日まで戻らないって言っといたから...アップグレードでもしとこうかな」
「それなら付き合うわよ。
ベルが色々新種の生物を持って帰ってきたから教えてあげる」
「じゃあ、私も明日は休暇にしてもらってるし、一緒に行くとするか」
「ん~...俺はアイツに会ってくるかな。ウルフ、お前らは?」
カカカカカカ...
「そうか。じゃ、またな」
話し合いが終わると各自別々に移動していく。