フジキセキと彼女の妹であるアグネススペシャルが過ごす大晦日と元旦です。
アグネススペシャル
身長:141
B:71
W:50
H:75
大晦日、それは一年の最後を締めくくる特別な日。暦で見れば何の変哲も無い12月31日。でも、一年にさよならを告げ、新たな一年を迎える準備をする日でもある。
ここは、日本のウマ娘たちが憧れ、レースで一番を目指すべく、切磋琢磨する日本ウマ娘トレーニングセンター学園、通称トレセン学園である。大晦日の時期は冬休みとなっており、基本的に学園内には誰もいない。
「理事長、仕事が、仕事が終わりません!」
「迂闊! もっと……しっかりと仕事を片付けておくべきであった……」ガクッ
「理事長―!!!」
……まあ、理事長とたづなさんは相変わらず休日返上で残業をやっているようではあるが。
だが、今回は他のウマ娘たちがどのような大晦日を過ごしているのか、ある姉妹にフォーカスして見ていこうと思う。
ここは、東京都内にある一軒家。そこでは、ウマ娘の姉妹が家族と一緒に食卓を囲んでいた。
「それで、スペシャルは今年を振り返ってどうだった?」
「うーん、まあボチボチといったところかな。お姉ちゃんはどうだった?」
「私? 私は大変だったかな。大学の授業は結構難しいし、ドリームトロフィーリーグが年に2回あるからそのトレーニングも同時並行で行わないといけないしね」
「ふーん、お姉ちゃんも大変なんだね」
「そうだよスペシャル」
二人のウマ娘が、ホットプレートで焼き肉を焼きながら話し合っている。
青鹿毛でボーイッシュなショートヘアのウマ娘はフジキセキ。『幻の三冠ウマ娘』と呼ばれ、過去にはトレセン学園で栗東寮の寮長を務めていたことがある。今はトレセン学園の一つであるトレセン大学に入学し、勉学に励んでいるほか、ドリームトロフィーリーグにも精力的に参加し、常に上位の成績を残している。勿論、トレセン学園時代からファンは格段に増えている。
一方、栗毛のロングストレートヘアを靡かせるのはアグネススペシャル。フジキセキの妹なのだが、その体型は全くの正反対。その身体はとても小さい。下手すれば、親子に見えるくらいの体型である。彼女も現在トレセン大学に進学し、フジキセキと同様勉学に励んでいるが、ドリームトロフィーリーグには出走していない。
そんな二人は、大晦日に焼き肉を焼いていた。何故焼き肉かというと、二人の母親が『大晦日と言ったらやっぱり焼き肉でしょ!』という、如何にもすごいノリで焼き肉を始めたのが全ての始まりである。それ以降、フジキセキの家では大晦日に焼き肉をするというのは一種の風習になっている。
「あ、お姉ちゃんのお肉焼けたよ」
「そう言うスペシャルの肉も焼けているよ」
「あ、ホントだ」
「はいはい二人とも、早く食べないと肉が冷めちゃうよ」
「「はーい」」
どうやら、気がつかぬうちにお肉が焼き上がっていたようである。二人は、家族に混じって自分のお肉を皿に取り分ける。
「それじゃあ、いただきます!」
「「いただきまーす!」」
母親の一声で、大晦日の焼き肉パーティーは幕を開けたのであった。
当たり前だが、ウマ娘の食べる量は人が食べる量とは比べものにはならない。そうなると、当然ながら肉の量も多くなるわけである。母親の隣には、山積みになったお肉がどっさりと置いてある。しかも、安いお肉ではない。ちゃんとしたブランドもののお肉である。この日のために母親が吟味した大量のお肉を、フジキセキとアグネススペシャルはどんどん食べている。二人とも、大学生とは言え育ち盛りのウマ娘。食べる量も尋常ではないのだ。あっという間に肉の山がどんどん削られていく。僅かな時間のうちに、焼き肉をたらふく食べた二人であった。
焼き肉を食べたあとは、大晦日のテレビ番組の特番を見て過ごす。特に、今年のトゥインクルシリーズとドリームトロフィーリーグのレースを纏めた総編集と、ライブを纏めた番組は必見である。中には、その年に行われた全てのウイニングライブを一気見せしてくれるというすごいチャンネルまで存在する。ちなみに、そのチャンネルはURA公式だったりする。
「お姉ちゃん」
「ん?」
大晦日の特番を見ながら、アグネススペシャルがフジキセキに話しかける
「私さ、大学に入学して分かったことがあるの」
「どんなこと?」
「私さ、お姉ちゃんのようにあまり足が速くなくて、背も高くないけど、大学に入学して、精一杯する他の先輩や同期の姿を見て、私も頑張って、何か違う形でウマ娘たちに貢献していきたいな、と思うようになったの」
「スペシャル……」
「あと、私はURAに入りたい。正直、入るのはとっても難しいというのは理解している。でも、ウマ娘のためにつくしたいと考えているの。だから、私は例えそれが茨の道であろうとも、その夢を目指してみたいの」
アグネススペシャルが話したことは、大学についてと今後の進路である。実際、彼女はトゥインクル・シリーズで思った以上に成績を残すことができなかった。姉のフジキセキと同じように大学に進学し、そこで様々な想いを持つウマ娘たちをこの一年でたくさん見てきた。そこで、アグネススペシャルも走ることだけが全てではない、と思うようになったのである。さらに、ウマ娘のために尽くしたい、その一心で今は就職先をURAに定めて勉学に励んでいる。URAに就職できる確率はトレーナー試験とほぼ同じレベルとも言われている。それくらい難しい就職先なのだが、彼女は弱音を吐かず唯ひたすら前を見据えて頑張っていた。
「お姉ちゃん、どう思う?」
ひとしきり話し終えたアグネススペシャルは、フジキセキの方を見る。フジキセキはアグネススペシャルの方を向くと
「スペシャル……」
アグネススペシャルを抱きしめた。
「お姉ちゃん……」
アグネススペシャルは思わずフジキセキに聞き返す。
「スペシャル、それはとても素晴らしいことだと思う。お姉ちゃんも色々と頑張っているけど、スペシャルの頑張りはもっと素晴らしいと思う。これからも、もっと頑張っていって」
「お姉ちゃん……」
「大学の授業はトレセン学園の授業よりも難しい。でも、スペシャルなら絶対に成し遂げられるはず。お姉ちゃんは信じている」
「お姉ちゃん……、ありがとう」
フジキセキは、妹の頑張りを聞き、シンプルに凄いと思っていた。彼女は寮長という立場上、夢敗れてトレセン学園を去っていくウマ娘を数え切れないほど目にしてきていた。そして、彼女たちの苦しさも分かっていた。だから、彼女はアグネススペシャルのことをすごいと思ったのである。
「スペシャル。勿論、勉強は大切だよ。だけど、時には息抜きも必要さ。だから、今は目一杯今日という日を楽しもうよ」
「お姉ちゃん……うん!」
そういうと、二人はテレビを見て、一晩を過ごすのであった。休養は、時に必要なのだ。
そうこうしているうちに、もう今年もあと少しになってきた。二人は、家族と一緒にカウントダウンイベントを中継している番組を見ていた。
「スペシャル、今年も色々あったね」
フジキセキがアグネススペシャルに話しかける。年が変わるまで、残り5分となっていた。
「うん! 私にとって、今年は色々あったよ。だけど、来年も今年と同じように、ううん、今年以上にいい年にしたいな!」
「ふふっ。スペシャル、そうだね」
「うんっ!」
思えば、一年という時間はあっという間に過ぎ去っていったものだと、アグネススペシャルは心の中で振り返っていた。その中で、色々な事があった。様々な発見もした。だから、来年はもっといい一年にしていこう。アグネススペシャルはそう心に決めたのであった。
「10、9、8、7、6、5……」
一方、カウントダウンイベントはもう秒読みとなっていた。番組ではアナウンサーが秒読みをしている。二人は、互いに寄り添い、手を繋いでいた。
「4、3、2、1、……」
そして……
「Happy New Year !!!!!」
一年が終わり、新たな一年が幕を開けるのだった。
「スペシャル、あけましておめでとう」
「うん! お姉ちゃん、あけましておめでとう!」
二人は新年の挨拶を交わす。新たな一年が始まった瞬間でもある。
『さようなら、昨年。そして、ようこそ今年!』
心の中で、アグネススペシャルは一人新年の挨拶をするのであった。
「ほら、スペシャル、早く行こう!」
「ちょっと待ってよお姉ちゃん!」
家の中で、フジキセキがアグネススペシャルを呼ぶ。二人の姿は、さっきまでのパジャマ姿ではなく、振り袖姿である。ちなみに、時間は年が変わってからそんなに時間が経っていない。何故かというと……
「初詣、早く行こう!」
「お姉ちゃんめっちゃノリノリだね……」
そう、初詣だ。なんだかんだ言って、二人の母はとにかく日付が変わったら初詣に行く派閥なのである。そのため、日付が変わったらすぐに行くのだ。そのため、二人は振り袖に着替えていたのだ。ちなみに、ノリノリになっているのはアグネススペシャルよりフジキセキの方であった。これにはアグネススペシャルもちょっとびっくりしている。
フジキセキは、富士山をモチーフにした振り袖、アグネススペシャルはスイートピーをモチーフにした振り袖を着ている。
「それじゃあ、神社へレッツゴー!」
「おー!」
ノリノリなフジキセキを筆頭として、家族みんなで神社へと向かうのだった。
「わあ……!」
神社に着くと、既に人だかりの山ができていた。神社はここらへんでは大きい方で、かなり人気な神社の一つだ。そのためなのか、屋台も出ていて、活気に満ちている。
「ほらスペシャル、並ぼう」
「うんっ!」
神社に着いたアグネススペシャル一行は、列に並び、順番がくるのを待った。
「ねえスペシャル」
「なぁに、お姉ちゃん?」
「ぎゅー」
「お姉ちゃん!?」
列に並び順番が来るまでの間、フジキセキはアグネススペシャルに抱きついていた。
「お姉ちゃん、いつも私に抱きつくよね。まあ、悪いわけじゃないけど」
「だってスペシャルの身体、暖かいんだもん♪」
フジキセキは、アグネススペシャルの体温が心地よいのである。ホッカイロ代わりにぎゅーっとしていた。ちなみに、アグネススペシャルはいつものことなので普通に気にしていない。二人はそのまま順番がくるまでそのままでいた。
「ほら、お姉ちゃん。私たちの番だよ」
「あ、着いた?」
「うん」
気がついたら、アグネススペシャルたちの番であった。フジキセキはアグネススペシャルから離れ、財布からお賽銭を取り出す。アグネススペシャルも、財布からお賽銭を取り出していた。
チャリーン♪ カランコロン♪
『ドリームトロフィーリーグで勝てますように』
『URAでみんなに貢献できることができるようになりますように』
二人はそれぞれ今年の抱負をそれぞれ心の中で唱え、一年の抱負を心の中で語るのであった。
「今年もよろしく、スペシャル」
「私こそよろしく、お姉ちゃん」
神社からの帰り道、二人は改めて新年の挨拶を交わすのであった。一家のことは、満月だけが見守るかのように夜空に浮かんでいた。
2023年、今年も何卒よろしくお願いします。
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