このまま最終話まで朝7時更新目指します。
私は後藤ひとり。
立てば幽霊。座ればゾンビ。歩く姿はエヴァ●ゲリオン。そんな女。
ここ最近の悩みはバンド内の微妙な空気について。
やっぱり前々から感じていたみんなの変化は、間違いじゃないみたいだった。
虹夏ちゃんは前よりぐっと距離が近いし。
喜多さんも前よりぐわっと距離が近いし。
リョウさんの視線はちょっと憎しみこもってるし。
店長さんは……えっと、優しすぎて気持ち悪い。
演奏自体は前より良くなっている。
それは認めるところだけど、これは良い変化じゃないと思う。
実際、虹夏ちゃんと喜多さんが喧嘩してるの見たし、
リョウさんも虹夏ちゃんの前でオロオロする頻度が増えた。
喜多さんも前よりリョウさん推しじゃなくなった気がするし、
店長さんは……目線がちょっと気持ち悪い。
それはともかく。
私はこの変化について全く心当たりがなかった。
マイぼっちブレインは『私が好かれてるから』なんて見当外れの答えしか出さないので、誰かに相談せざるをえないと思っている。
でも誰に?
お母さんやお父さん……に言うのはなぁ。
ふたり? あの子にはまだ大人の話は早い。
ジミヘン……聞き上手だけど答えは「ワン」か「ワワン」だけだし。
1号さんや2号さんだったら多分、親身になって答えてくれるだろうけど……。
『何か悩み事でもある? 相談乗るよʕ•ᴥ•ʔ』
ひぃっ!? もう来た!? 私まだ何も送ってないんですけど! こういうのが怖くて相談できないんだよぉ!
「はぁ~~~~~~~~~…………──────」
時刻は15時。場所は金沢八景。
弁財天様がおわす場所で私はうなだれていた。
ため息とともに奏でてしまう哀愁漂うエレジー。
それに今日一番の悲しみをのせて、歌っていた。
からい潮風よ。そしてほのかな陽光よ。
近くでカサつくフナムシよ。
哀れに思うなら同情しておくれ。
ただ息するだけ消えてく体力。
曲がる背中。つのる不安。曇る希望。
人間関係いそがしい。
人間関係むずかしい。
人間関係シャボン玉。
(×3 ループ)
私はそれでも生きてます。
どうすればいいっていうんだろう。oh...wow...。
「あぁ……相談相手、いないかなぁ……」
「じゃあ~、きくりおねーさんが相談のってあげよっか~~~?」
「※▲%×☀□@&~~~~~~ッ!?」
どぅわっ!? お、おおお姉さん!?
どっからでてきて……うぐっ、今日も酒臭……っ!
「ぼっちちゃんいい曲歌ってくれたからさ~、おねーさん心がきゅ~ってなっちゃったよ~。しんみり~! だからお礼に相談乗ったげるね~~!」
「え、い、いやいやいやいやいやそんなお姉さんに悪いんで全然大丈夫ですはいお姉さんの手をわずらわせるような話じゃないのでアハハハハ私の悩みなんてAHOO知恵袋の質問となんらかわらないですよもうその言葉がベストアンサーですありがとうございましたーいやぁあぁ今日も練習頑張らないとなあぁぁ」
「うわー相変わらずぼっちちゃんだなぁ」
お姉さんは音楽の先輩で、私なんか全然及ばないけどすごい人……なんだけどいつも酔ってるしちょっとなぁ……あれ、でも私の周りで唯一変わらない人ってお姉さんだけなんじゃ? ででででもでも二人きりで話すのはまだちょっと怖いからやっぱり別の機会に──、
──どん。
──どどん。
──どどどどどん。どぷん。
「パック酒よーし、一升瓶よーし! おつまみOK~! それじゃBARきくり開店~! きくりママが悩める子羊の相談をじ~っくり聞いてあげるよ」
BARきくり開いちゃったかぁ……。
長時間コースだこれ……。
もう仕方ないので観念することにした。
小さな階段を店に見立てて、私はぽつぽつと語る。
お姉さんは私が喋っている間はずーっと相槌を打つだけで、茶化さずにしっかり聞いてくれた……。
「……そっかぁ。うんうん。でもあるよね。そういうの」
「! お姉さんも……あるんですか?」
「そりゃ~あるよ~。お姉さんもバンド組んで何回も人間関係に悩まされたことか~。些細な事から大事まで色々だよ。特に私だとお酒やめろーとか、ライブ中に飲むなーとかもう散々でさー」
「いや、それはまっとうな意見のような……」
「そんでねそんでね~……結局は『音楽性の違い』だ~なんつって解散しちゃうんだよー。実際はそんな事ないのにねー! 大体はさー、カネとか宗教とか、あと圧倒的に男女の関係で揉めて、ばらばらーの空中分解ッ!」
(……男女の関係で……か、解散!?)
『──ぼっちちゃん、私と喜多ちゃんどっち取るの?』
『私ですよね、ひとりちゃん?』
『えっ、あ、あのあの……どどどど、どっちも取るとかとらないとか、そそ、そういう関係じゃ……』
『なんで! やだよぉ……ぼっちちゃん一人にしないでよ……!』
『あわわ! に、虹夏ちゃん、わわ、私がついてますから……!』
『ひどいよ……ひとりちゃん、私の事なんてどうでもいいのね……?』
『ふええ、どどど、どうでもよくないです! き、喜多さんのことも私は……ひっ!?』
『……ぼっちのせいで。虹夏がこっちを見なくなった……ぼっちのせいで……ぼっちのせいで……!』
『あわ。あわわわわ……っ、て、てて店長さん助けて……!』
『ぼっちちゃん怖かったか? うん。うん。大丈夫だぞ……じゃあずっとうちに来なよ。高校も中退していいぞ。夢だったんだろ? それで私の抱きまくらに永久就職しようか』
『ひ、ひぃぃぃ……ひあああぁぁぁぁ……!』
『ひとりちゃーん♪』『こっちにおいでひとりちゃん、怖かったよね♪』『『大丈夫、私達がずーっと飼ってあげるね♪』』
──最終的に後藤ひとりは取り合いになり──
──その五体は、全員に均等に分配されるのだった──
『後藤分の花嫁』 終
B T R
──う、うわああああああぁぁぁぁ! こんなおしまい嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だぁ!? 後藤ひとり、お前はドバイで石油王達の前で毎日個室ライブ開く女なんだろぉ!? 絶対に回避しろ絶対に回避しろ絶対に回避しろ絶対に回避しろ……!
「ご、ごめんごめんって、物のたとえだから本気にしないでー! あくまで例えね、例えー! ほ、ほらお酒飲む? いい日本酒あるよー?」
「あっ未成年なんでいいです」
ふぅ。つ、つい取り乱してしまった。
ま、まあ流石に今の妄想は本当にはならないと思うけど……第一私がそこまで好かれてるわけがない。流石にうぬぼれがすぎて皆に失礼過ぎる。
「でも……話を聞くとぼっちちゃんが問題の起点かな~って思ったよ」
「うぇ……っ!?」
「あ、いやいやぼっちちゃんが悪いって言ってるわけじゃないんだよ? ただぼっちちゃんって勘違いさせやすいとおねーさん思うんだよ」
「か、勘違い……じ、実は陽キャだって勘違いされて……?」
「あはははは何いってんのキミ私よりひどいごりごりの陰キャでしょ~! そーゆーことじゃなくてギャップがあるっていってんの~」
うぐっ、ひどい……。
でも私にギャップ……あるのかな……?
「そ。ぼっちちゃんって普段はダメダメなのにライブの時だとキリっとしちゃうじゃん? 女の子はそーゆーとこに弱いんだよ~。分かるな~」
「……?????」
「うんうん~。自覚ないところも含めて完璧な無自覚たらしだ~。こりゃみんな夢中になっちゃうわけだ」
え。えええ。いやいや、そんな私がありがちなハーレムキャラみたいな訳がないですよ。そんなの天地がひっくり返ってもありえない……!
「しっかし先輩もぼっちちゃんに夢中なのはちょっと笑っちゃったよ」
「うぇ、て、店長さんですか? 店長さんは私が陰キャ過ぎて監視してるだけじゃ……」
「違うって~先輩可愛いもの好きだからだよ~。ぼっちちゃん可愛いしね~。……おねーさん妬けちゃうなぁ」
くやし~。ちゅぅ~ってパック酒を飲むお姉さん。
えぇ……そうなんだろうか? これって本当に信じていいもの……?
で、でもさっきのが本当だとしたら……ご、後藤分が現実になる!? どどどどどうすれば!?
「だーいじょうぶ大丈夫、きくりおねーさんがとっておきの方法を教えてあげるって~♪」
「ほほほ、本当ですか?」
「うん、全員と
「
や、やめろ──ッ!
その卑猥な指の形をすぐに元に戻すんだ──ッ!
「いやー、まじでこれが一番早いんだって~、ほんとほんと~。私の時は一発だったよ~? だーいじょぶだいじょぶいくらキャンついててもベッドで抱き寄せて耳元で『お前だけだよ』、ってつぶやいたらシュンコロだし~。私なんか○△×の頃からさ────」
ろっく、ロックの世界ってやっぱりこういう事なんだ……大人の世界なんだ……ろろろ、ろっく怖い。ろっく怖い! ろっく怖いいいぃぃいぃ!
「むむむむむむむむむむむむりですそんなのむりです私にはまだ早すぎますごめんなさい帰りますありがとうございましたそれではおねーさんまた会う日まで」
「待って待って帰らないでごめんって~~!! 今のはちょっとした冗談だから本気にしないで~! このままじゃダメアドバイスしか出来ないクズな大人になっちゃうじゃん~~~!! ねっ? ねっ? も、もっといい方法きっとあるから、一緒に考えよっ?」
「……」
「ぼっちちゃん可愛いし、えーっと……真面目だし。ほ、ほらしっかりしてるしきっと上手くいくって!」
「……そ、そう、ですかね?」
「そうそう! ぼっちちゃん本気で美少女だよ! それに真摯かつ冷静だし? ギターテクもあるし? 虹夏ちゃんも喜多ちゃんもリョウちゃんもぜーったい分かってくれるはず! むしろ秒で仲良くなると思うな~~!」
「……え、えへ……いや~。そ、そんな秒で解決なんて、出来ないですよ~……」
「いよっ! 下北沢の堕天使! ぼっちちゃんなら出来るよ! ほら作戦会議しよしよ~~!」
よ、よしてください……堕天使は褒めすぎです。
そこまで言うならおねーさんとちょっとくらい話をしても。
こうして私はああでもない。こーでもないと、どうすればいいのか話し合いをしたのでした。
その話し合いは夕方を過ぎ、夜になり。
そして、そして──
──目が覚めたらボロボロのアパートにいた。
「あれ……?」
見覚えのない天井。
見覚えのない部屋。
見覚えのない壁。
ちゅんちゅんと朝を知らせる鳥の声が、
私を急速に覚醒させる。
起き上がり、うっすい煎餅みたいな布団がずれると、私の半裸がまろびでた。
「……え?」
「んがっ……ぐごー……ぐごー……」
隣にいるのは死んだように眠るお姉さん。
だらしなく布団をかぶってるお姉さんも、何故か裸のようだった。
「……………………え?」
きくぼ概念増えろ……増えろ!(挨拶)
きくりおねーさんと一緒にお酒飲みたいだけの人生だった…
本当キャラデザも設定も最高にツボ過ぎて私大好きなんですよね
ちゃらぽらんな所も最高だし、〆るところはきっちり〆るところとか惚れるしかない。すきぴ。
一緒にお酒に飲みに行って恋愛相談するついでにそれとなく告白したりして「それってあたしのことじゃーん! あははは何々あたしと付き合いたいのー? じゃあもう一軒つきあってくれたらね~!」とか軽い気持ちで承諾して胸踊らせながら潰れるくらい飲んで、その後路地裏とかでお互い朝に起きて二日酔いベロベロの中、彼氏っぽくふるまったら「え……そんなこといったっけー……やべー、おぼえてねー……」って当然覚えてなくて、「あーごめん、酒の席のことだしさー! あれなしで!」っててへぺろ程度の謝りで一瞬で失恋して、表面上気にしてないフリしながらダメージ受けてえよなぁ。ってなった。あわよくば付き合いたかった。(血涙)