うぇぇぇぇぇい、みんな見てる~~!? 廣井きくりお姉さんだよ~!
バンド『SICK HACK』のベース兼ボーカルやってま~~~すいえぇぇぇい!
好きな飲物は「おにころ」で~、好きな場所は居酒屋で~、好きな楽器はベースなんだよ~。
んで私のベースがスーパーウルトラ酒呑童子EXってんだよ~! この子は私の命より大事なんだ~いいでしょ~! 多分居酒屋に置いてきたから今はないんだけどさ~! あはははは!
それはともかく~。
今日はね~。いつものようにフラついてたらなんとぼっちちゃんを発見しちゃって~。
それですっっっっごく切ないミュージックを奏でてたから~ついつい隠れちゃったんだ~。
哀愁漂うってこういう事を言うんだね~。おねーさん最近涙腺ぼろぼろだから思わず泣きそうだったよ~うっうっ。
そんでねそんでね!
ぼっちちゃんが「相談相手、いないかなぁ……」な~んて呟くもんですから。
そりゃもう大人としてね! 私が一肌脱がなきゃと思ってねー! 始めたんですよ人生相談~! ぱちぱちぱち~!
で、聞いたら何と驚きだよね~。
結束バンド、というかぼっちちゃんを中心に修羅場になってんの!
先輩まで関わってるのは流石におねーさん笑いそうになっちゃったよ~。
聞くに、虹夏ちゃんは心許す相手としてぼっちちゃんを求めて。
喜多ちゃんは甘酸っぱい恋心をぼっちちゃんに秘めていて。
山田ちゃんは虹夏ちゃんが取られたくなくって。
先輩はぼっちちゃん可愛すぎて何かストーカー発症していて~。
ファンの人達は……うん。酷いようだったら警察に相談した方がいいと思ったな……。
こんな若々しいバンドでドロドロに修羅場るなんて、なっかなかないよね~!
それに、こじれてるけどなんか楽しそう! うん! 青春!
(でも先輩ったらほ~んと薄情だよね~。私に見向きもしないでこんな若い子に首っ丈なんてさ~)
私結構、わかりやすく好意見せてる筈なんだけどな~。
やっぱお酒でぐだぐだなのがいけないのかな~。
……ま。もー過去の話かぁ。
うーん、幸せループやめれらんないや~。
「そ、そそそれでですね。虹夏ちゃんがですね~……ほんとに頑張っていてですね……」
おっと。ぼっちちゃんの話を聞かないと。
っていっても聞けば聞くほど惚気にしか聞こえないんだよね。
メンバーの赤裸々な話が分かっちゃうのはおねーさん的には楽しいからいいんだけど~。
(にしても、本当に無自覚なたらしだね~)
いや、実際はどうかはわからないよ?
分からないけど、その片鱗は随所に感じた。
きっとぼっちちゃんはメンバーにクリティカルな何かをしたんだろーなって。
虹夏ちゃんだと寂しさをくすぐる何かを。
喜多ちゃんだと恋愛心を刺激する何かを。
山田ちゃんだと嫉妬させるような事を。
先輩は……結構勘違いしやすいし抜きで。
だから私は、人生観に沿ってそれっぽ~いことを答えてあげた。
(……あれ。私ってこんなに世話焼きキャラだったっけ?)
な~んからしくないな~私。
気づかぬ内に私もぼっちちゃんに引き寄せられてたのかなぁ。
確かに、ぼっちちゃんってなーんか気になっちゃうんだよねぇ。ほっとけないっていうか目が放せないっていうかー?
私目線で言えば元陰キャっていう共通点があるせい?
でも、うん。私とぼっちちゃんで違うのはベースとギターくらいかもね。
鬱屈した感情を乗せ。その激情を余すことなく伝えるテクニックと才能が、この子にはある。
きっとこの子は上がってくる。
だからこそお世話を焼きたくなっちゃうんだろうねぇ~。
「──おっとっと~、日が暮れてきたね。ぼっちちゃん
「え? ど、どこいくんですか……?」
「い・ざ・か・や♪」
「え゛。」
いい答えといい音を出すには色んな経験が必要不可欠!
おねーさんがキミの悩みをふっとばすくらいの、素敵な素敵な思い出を作ってあげよ~!
ということできくりおねーさんとの実地学習のお時間だよ!
夜の街にぃ~レッツゴー!
「──あはははは! おっちゃんそれマジ受けるー!」
「がはははは! だろ!? おう嬢ちゃんも呑みな呑みな! 俺のおごりだから!」
「あ。あは……あははは。あ。あのお酒は結構ですぅ……」
まずは何か盛り上がってる全然知らん人達に勝手に混ざって、タダ飯とタダ酒を楽しんで~。
「おっちゃんおっちゃん、どーお? 弾き語り! 今ならこの可愛いおねーさん達がなんでも弾いちゃうよ!」
「お、いいねえ! んじゃ酒と
「あいよー! ギターと孤独と蒼い惑星ねー!」
「え。そ、それいいんですか……?」
酔っ払い相手にぼっちちゃんと二人でセッションして~。
「(まんがタイム☆きららMAXでは表現不可能な汚い音)」
「うぇぇえええええん! ごめん。ごめんってぇぇぇぇ! ぼっちちゃんべーってして、べーってしてぇぇぇぇ! おねーさんがわるかったよぉぉぉぉぉ……!!」
間違ってお酒飲んじゃったぼっちちゃんをかいほーして~。
「ほ、ほら~~ぼっちちゃん。うちそこだから~、あと少しだから~」
「う゛う゛う゛う゛ぼぉぉぉぉ……見える、世界の真理が見えるぅぅぅ……」
ぶっ潰れちゃっらぼっひちゃんをわがやに連れて行って~いって~。
「ほ~らふく脱がすよぼっちちゃ~ん。汚れてるままだとだめだからさ~」
「ごめんなさい、ごめんなさいぃぃ……お願いですから組になるタイプの競技だけはぁ~……!」
「はいばんざ~い。……うわ、ぼっちちゃんでっか! さいきんの子って発育いいって本当だねぇ~。やわらか~」
「地球温暖化に貢献してごめんなさい……妄想でテロリストを学校に呼んでごめんなさい……」
「んじゃぁ~この服は~あとでコインランドリ~っと。とりあえず水洗いしておこ~……んぐんぐ」
よごれひゃっひゃぼっひひゃんあらっへ~。
「あ~あたしのもよごれら~。じゃああたしのふくもシンクにどぼーん! それでごしごしごし~! うお~、めっりゃあわわってら~あははは! あ~なんかのみたりないからもーちょいのも~!」
「……」
「……はれ? ぼっひひゃーん? なんではだかでねてんの~? そんなところへ、ひっく、ねへるとあぶないんらよ~」
「……」
「あ~~~そうだぁ~さっきいえなかったんだけどねぇ~~! きみがね~、そこまでみんなに愛されへるのはさぁ~。コミュしょーだからじゃないし~。ギターがうまいからでもないとおもうんだよ~。きみが『きみ』だから。『ぼっちちゃん』らからすかれてるんだよ~」
「……」
「らからね~。こたえてあげよ~よ。つたえてあげよ~よ。そうすればみんな~。かいけつするとおもうな~」
「……」
「でへへへ~。わらしけっこ~い~こといったっしょ~~。それりゃおやしみぃ~~~」
それれ~~それへ×△@¥$☠☀───。
──目が覚めたら家で寝ていた。
「あれ……?」
見覚えのないギター。
見覚えのないスマホ。
見覚えのないでっかいブラ。
ちゅんちゅんと朝を知らせる鳥の声が、
私を急速に覚醒させる。
起き上がり、うっすい煎餅みたいな布団がずれると、私の半裸がまろびでた。
「……え?」
隣にあったのは誰かが寝ていたであろう乱れた布団。
長いピンクの髪の毛が残っており。
多分誰なのかが分かってしまうのが嫌だった。
「………………」
目立つピンクジャージはシンクに沈んだまま。
でもぼっちちゃんはどこにもいない。
そして私の尻の下にあった彼女のスマホが、さっきからひっきりなしに震えていた。
「やべ」
とりあえず私は。
おにころを口に運ぶことにした。
きくぼの夢は……終わらねえ!