笑顔の絶えない世界~道楽の道化師の軌跡~   作:マーキ・ヘイト

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真緒パーティーVSオーク

 「ハナちゃん、一気に決めるよ!」

 

 

 「分がっだぁ!」

 

 

 真緒とハナコはオークに向かって走り出す。

 

 

 「いくよ!スキル“ロストブレイク”!!」

 

 

 「スキル“熊の一撃”!!」

 

 

 真緒とハナコの連携攻撃が、オークへと放たれる。

 

 

 「……フン!」

 

 

 しかし、それを難なく両腕でガードする。

 

 

 「そんな!?」

 

 

 「オラ達の渾身の一撃を……」

 

 

 「威力は申し分ない……しかし、それだけの話だ。我を倒すのは百万年早いわ!!」

 

 

 オークは360度回転して、フルスイングで真緒達を薙ぎ払った。

 

 

 「きゃ!」

 

 

 「うぐっ……」

 

 

 見た目に似合わず素早い攻撃に反応が遅れ、まともに食らってしまう。

 

 

 「マオさん!ハナコさん!よくも二人を……今度は私が相手です!!」

 

 

 リーマは魔導書を開き、魔法を唱える。

 

 

 「“スネークフレイム”!!」

 

 

 リーマの魔導書から、炎で形成された蛇が生み出され、オークに放たれる。

 

 

 「温いわ!!」

 

 

 しかし、放れたリーマの魔法は、オークの足に踏み潰され消滅した。

 

 

 「……っ、やはりそうなりますか、それなら、“ウォーターキャノン”!!」

 

 

 リーマの目の前に、大きな水の塊が形成され、その塊はオーク目掛けて飛んでいく。

 

 

 「片腹痛いわ!!」

 

 

 オーク目掛けて飛んでいく水の塊は、突き出した拳とぶつかり合い、弾け散った。

 

 

 「そんな、これでも駄目なの……」

 

 

 真緒とハナコに続き、リーマの攻撃を意図も簡単に対処するオークに、真緒達は絶望の色に染まっていく。

 

 

 「貴殿達を見るに、相当なステータスを要していると判断する……だがしかし!笑止千万!!そんな物は只の数字にしか過ぎない!真の強者に必要なもの、それは“心”である!!」

 

 

 オークの怒鳴り声は洞窟内である為、反響してより大きく響き渡る。

 

 

 「我には、絶対に守らなければいけない存在がいる。それを守れるなら我はこの命を差し出そう!!命を掛けられない貴殿達には決して負けぬ!!覚悟の違いを思い知れ!!!」

 

 

 オークは真緒達に向けてスキルを放つ。

 

 

 「スキル“ストロングクエイク”!!」

 

 

 オークは両腕を掲げ拳を作ると、そのまま地面に叩きつける。すると、激しく揺れ始めた。

 

 

 「うっ……」

 

 

 「ゆ、揺れでるだぁ」

 

 

 「立ってられません……」

 

 

 「おわ、おわ、おわわわわ」

 

 

 あまりの震動に立つことが出来ない四人。さらに追い討ちを掛けるように、オークが殴り掛かる。

 

 

 「フン!」

 

 

 「がっ!はぁ……」

 

 

 真緒はお腹に強烈なフックを貰い、その場に倒れる。

 

 

 「マオぢゃん!」

 

 

 「余所見している場合か!」

 

 

 「!!」

 

 

 ハナコが真緒の安否を心配していると、既に目の前にはオークが拳を振るおうとしていた。ハナコは咄嗟に両腕を顔の前に立てて、ガードの構えを取る。

 

 

 「甘いわ!」

 

 

 「ゲボァ!!」

 

 

 しかし予測していたのか、オークは拳ではなく足でハナコの横腹を蹴り払った。

 

 

 「ハナコさん!」

 

 

 「案ずるな、すぐに後を追わせてやる」

 

 

 既にリーマの目の前には、オークが立っていた。

 

 

 「まだです!私には音魔法がっ……!」

 

 

 リーマが音魔法を放とうとする前に、オークがリーマの喉を掴み上げる。

 

 

 「魔法使いの長所は、魔法が使える事。ならばその魔法を唱えさせなくすればいい。悪いが喉を潰させてもらう」

 

 

 「がぁ……ぁ……」

 

 

 ミシミシという嫌な音を立てながら、徐々にオークの掴む力が強くなっていく。

 

 

 「本当にすまない……」

 

 

 「……ぁ……ぁ……」

 

 

 「流石に、見過ごす訳にはいきませんね~」

 

 

 「!!?」

 

 

 突如、オークの背後から声が聞こえてくる。急いで振り返るとそこには、いやらしい笑みを浮かべる道化師が立っていた。

 

 

 「ほい!」

 

 

 「ぐお!?」

 

 

 エジタスは、オークが振り返ると同時に、持っていたナイフで腕を切りつけた。あまりに突然の出来事に思わず、掴んでいた手を離してしまう。

 

 

 「大丈夫ですか?」

 

 

 その一瞬の隙を見逃さず、リーマを救出した。

 

 

 「ゲホ、ゲホゲホッゲホ、ゲホ、ゲホ……エジタスさん、助けて頂きありがとうございます」

 

 

 「いえいえ、気にしないでください。これが私に出来る唯一の事ですから」

 

 

 「エジタスさん、お願いします。マオさんとハナコさんも助けてやってください」

 

 

 「それは、出来ませんね~」

 

 

 「え……?」

 

 

 まさかの返答に戸惑いを隠せないリーマ。

 

 

 「何だ、貴殿は闘わないのか?」

 

 

 「はい、無駄な事はしない主義なので~」

 

 

 「何で……何でそんな事を言うんですか!!」

 

 

 エジタスが仲間を見捨てる様なことを言うなんて、信じたくなかった。

 

 

 「そりゃあ……ね~」

 

 

 エジタスは倒れている真緒とハナコに目を向ける。すると……。

 

 

 「はぁー、ビックリした」

 

 

 「「!!」」

 

 

 

 「痛がっだなぁ」

 

 

 「「!!!」」

 

 

 真緒とハナコは何事も無かったかのように起き上がる。

 

 

 「いったい、どういう事だ!?」

 

 

 「ステータスは只の数字。真の強者に必要なのは心、確かにそうかもしれませんね~。しかし、ステータスの数字というのは、事実を突きつける為の表示形式なんですよ」

 

 

 「何が言いたい……」

 

 

 「いえ、ですから~…………あなたの攻撃力では、マオさん達は殺せないんですよ」

 

 

 「!!」

 

 

 真緒達のステータスを上回るステータスでなければ、ダメージを与える事は出来ない。その事実を知ってしまったオークは、ショックのあまり俯いてしまうが、すぐに顔を上げた。

 

 

 「だとしても、貴殿達が我を倒せるかどうかは別の話だ」

 

 

 「……師匠、悔しいですけど、奴が言っている事は正しいです」

 

 

 「そうですね~。いくらステータスが高くても、それに似合った技術が無いと意味を成しません」

 

 

 「ですので、どうか私達にお力をお貸しください」

 

 

 真緒は倒す術として、エジタスに転移や滑稽な躍りをしてもらい、その間に倒す事を考えていた。

 

 

 「駄目ですよ~、毎回助けがあるとは限らないのですから、頑張って自分の力だけで達成してみてください」

 

 

 「そんな~……」

 

 

 エジタスに断られてしまい、真緒は頭を抱え別の方法を考えていた。

 

 

 「そうですね~、助言するとすれば……スキルや魔法は、攻撃目的に使うだけではない……でしょうかね~」

 

 

 「「「!!」」」

 

 

 三人は顔を見合わせ、ヒソヒソと小声で話し合う。

 

 

 「……試してみる?凄く危険な賭けだよ」

 

 

 「オラは信じでいるがら、大丈夫だぁ……」

 

 

 「私も、やってみる価値はあると思います」

 

 

 「…………野暮な質問だったね。じゃあ、作戦開始!」

 

 

 真緒の掛け声と同時に、オークを取り囲む。

 

 

 「作戦会議は終わったみたいだな。だが、言ったであろう。貴殿達では我を倒すのは不可能だ!」

 

 

 「ええ、分かっています。“私達では”倒せません。スキル“ロストブレイク”」

 

 

 真緒はスキルを放つが、オークではない在らぬ方向へ放った。

 

 

 「……何をしている?」

 

 

 「ハナちゃん!」

 

 

 「行くだよ!スキル“熊の一撃”」

 

 

 ハナコはスキルを放つが、それはオークにではなく、真緒と同じオークの頭上にある洞窟の“天井”に向かって放った。

 

 

 「!!まさか……貴殿達の目的は!」

 

 

 「仕上げです、リーマ!」

 

 

 「はい!“ウォーターキャノン”!」

 

 

 リーマの目の前に、大きな水の塊が形成され、その塊はオークの頭上目掛けて飛んでいく。

 

 

 「クソ!」

 

 

 オークは、急いでその場を離れようとすると……。

 

 

 「逃げてはいけませんよ~。スキル“滑稽な踊り”」

 

 

 「ぐっ!……」

 

 

 オークは強制的に、エジタスから視線を外せなくなり、一瞬動けなくなった。そして、その一瞬が重要であった。オークの頭上にヒビが入り天井が崩れ落ちてきた。

 

 

 「ぐおおおお!!!」

 

 

 オークは崩れた土の下敷きになった。

 

 

 「やったー!!作戦大成功!!」

 

 

 「オラ達、勝でだんだぁ!」

 

 

 「嬉しいです!!」

 

 

 三人が勝利の酔いに浸っていると……。

 

 

 「うおおおおおお!!!」

 

 

 「そんな!?」

 

 

 

 突如、崩れ落ちた土が吹き飛び、四方八方へと飛び散る。そこに立っていたのは、息を荒くしているオークであった。

 

 

 「はぁ、はぁ、はぁ、まさか……我にではなく、その頭上にある土塊を攻撃して崩れさせるのが目的だったとはな………しかし、我は今こうして生きている!貴殿達には負けてはおらぬ!!…………ぐっ」

 

 

 しかし、そう言ったオークは片膝をついた。

 

 

 「…………我の負けだ。止めを刺してくれ」

 

 

 「…………」

 

 

 真緒は、無言のまま持っていた剣をオークに向ける。剣を高く掲げ、振り下ろそうとした瞬間!

 

 

 「やめてーーー!!」

 

 

 「!!」

 

 

 オークの目の前には、数十人の子供達が両手を広げ、オークを庇うように立ち塞がる。

 

 

 「皆、退いて!危ないよ!!」

 

 

 「いやだ!!どかない!だって、おーくさんは、なにもわるいことしてないもん!!」

 

 

 「そうだよ!おーくさんは、あたしたちをたすけてくれたんだよ!」

 

 

 「何を言ってるの?……オーク、あなたがこの子達を拐ったんじゃないの?」

 

 

 拐われた筈の子供達は、オークを庇うような行動を取った。その事に戸惑いを見せる真緒達。

 

 

 「何を言ってる……貴殿達こそ、この子達を拐うよう命令されたのだろう?」

 

 

 「命令なんかされていない!私達は拐われた子供達を助け出してほしいって、村の人達から頼まれて……」

 

 

 「まさか……お互い勘違いをしていたのか?だとしたら、貴殿達は騙されている!その村人達は………ぐぁ!!!」

 

 

 「おーくさん!!」

 

 

 その時突然、オークの肩に斧が突き刺さった。

 

 

 「どうしたの!?」

 

 

 真緒達が突然の出来事に混乱していると、後ろの方から聞き覚えのある声が響き渡る。

 

 

 「いやー、皆さんご苦労様でした」

 

 

 「そのオークの始末は我々に任せてください」

 

 

 そこにいたのは、村の入口で助けを求めてきたあの、村人の二人組だった。




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