【最難関】ぼっち・ざ・ろっく!のギャルゲーで喜多ちゃんを攻略してみた【一年目攻略】 作:くじょう
「国語87点。英語85点。他が0点……何だこの点数」
「寝坊したせいで三科目受けられなかったんだって。まったく、せっかく国語と英語で良い点数とったのにもったいないよ」
「ぐうの音も出ねえ……」
期末テストが終わり、全科目の答案が返却された日の夜。久々に伊地知家で夕食を世話になっていた俺は二人の視線から目を逸らした。
大抵のことは笑って誤魔化せるが、いくらなんでも寝坊して三科目補習決定は間抜けすぎて死ねる。穴があったら入りたいし、そのまま埋まってしまいたい。
テスト中の教室に入った時の視線なんてトラウマものだった。あの奇異な物でも見るような目は今でも鮮明に思い出せるくらいには応えたし、きっと一生忘れることはないだろう。
回想で自爆して、思わず頭を抱える。
「……最悪だ。クソ恥ずかしいし夏休みも消えた」
「自業自得でしょ。これに懲りたら普段から規則正しい生活を心がけること。分かった?」
「イエス、マム!」
「何がマムだよもう……」
苦笑して麦茶を飲む虹夏。対する俺も、熟れたリアクションを残念に思いながらコップに手を伸ばす。
その時、静観していた星歌さんが爆弾を落とした。
「カンナが朝弱いならお前が毎朝起こしに行ってやればいいじゃん。どうせ学校行く時に家通るだろ」
「ぶっ————!」
瞬間、虹夏は盛大に麦茶を吹き出した。彼女の正面に座っていた俺は、当然その飛沫をモロに受ける。
「うわ、汚ね」
「お姉ちゃんが変なこと言うからでしょ! ……って、ごめんカンナくん! すぐタオル持ってくるから!」
「急がなくていいよ。こういう時はアレだ。『我々の業界ではご褒美』とか言うといいってリョウが」
「あぁもう! 変なこと吹き込むな山田ァ!」
叫びながら洗面所へ走る虹夏。それ見る星歌さんは愉快そうな表情だった。アルコールが入っているからか、かなり気分が良いように見える。
「……星歌さん結構酔ってるでしょ。後で虹夏にしっぺ返し食らっても知りませんよ」
「大丈夫大丈夫。その時はその時だよ」
ビールが入ったアルミ缶を揺らして笑う。こう言っては失礼かもしれないが、そんな擦れた大人のような仕草は星歌さんの雰囲気によく似合っていた。
「あ、そうだ。勉強だの遅刻だのはどうでもいいとしてさ。最近ギターの方はどうなんだよ」
「ぼちぼち、ってところですかね。まだ始めたばかりなので、今はとにかく上達するのが楽しいです」
「そっか。そりゃ良かった」
「俺、星歌さんを驚かせるくらい上手くなりますから。期待して待っててください」
「お、言うじゃん。楽しみにしとく」
星歌さんに啖呵を切って笑うと、洗面所から戻ってきた虹夏が俺の頭にフェイスタオルを被せてわしゃわしゃと拭き始めた。
嗅ぎ慣れた柔軟剤の匂いが鼻腔を蕩かす。
虹夏の近くにいたり、すれ違ったりするとこういう安心感のある匂いがする。
心地よくてされるがままに任せていると、突然鼻をつままれる。タオルをどけると、眼前には少しむっとしたような虹夏の顔があった。
「そんなこと言って私には聴かせてくれないじゃん」
「まだ人前で弾けるほど上手くないんだよ」
「ふ~ん。じゃあリョウがカンナのギター聴いたって言ってたのは?『カンナは絶対とんでもないプレイヤーになる』とか絶賛してたけど。なんでリョウの前では弾いてるの?」
指摘されて目を逸らした。
アイツには口止めをしておいたはずだが無駄だったらしい。……今度から施錠には気をつけよう。
「それは別に俺が呼んだわけじゃないというか、気付いたらアイツが部屋いたというか……」
「……? どういうこと?」
「玄関の鍵かけ忘れたままギター弾いてたんだけど、たまたま通ったリョウがそれに気付いて勝手に部屋に上がってたんだよ」
「いやそれ普通に犯罪じゃん」
言いながらため息をつく。
それが俺の防犯意識の低さに向けられたものか、リョウの奔放すぎる性質に向けられたものかは知れないが、ともかく呆れていたのだけは確かだった。
「……まぁ、私だけ仲間はずれにしてるんじゃないならそれでいいや。お姉ちゃんに演奏聴かせる時は、ちゃんと私も誘ってね?」
「もちろん。約束する」
真っ直ぐに目を見て言うと納得してくれたようで、笑顔になって踵を返す。
その途中、虹夏はまた振り返って言った。
「——あ。あとカンナくんは毎朝私が起こしに行くことにしたから! 後で合鍵貰うね!」
「なんで……?」
未完でごめんよ。後編はすぐ上がります。(当社比)
テストの準備とかレポートの準備とか(ブルアカとか)する合間に簡単なプロットを書いてみました。とりあえず育成パート編でやりたいことは定まったんですが、多分あと5話くらい喜多ちゃんが出ません。
あと投稿ペースの方なんですけど再来週くらいから上げられたらなぁと思ってます。