Vtuberの陰キャとギャルが百合する話   作:二葉ベス

75 / 75
エピローグ
最終話:青と赤の日常。Vtuberの陰キャとギャルが百合する話


「オキテさんさぁ、なんでわたしのこと好きになったの?」

『え、それいま言う?』

「だって、わたしを追ってVtuberデビューしたんだから、聞く権利ぐらいあるかなー、と」

『あたしの1周年配信でそれ言うかフツー』

 

:草

:草

:デビュー経緯そんな感じなのか

:草

:なんか、重いな

 

 ずっと考えていたことがあった。

 音瑠香のことはイラストを見てほぼ一目惚れだったと言っていたことがある。

 けれど、わたし自身と出会ったのはそれこそ今日の朝田世オキテの1周年配信の1年前ぐらいだ。

 何故わたしのことを好きになったのかが、いまいち分からなかった。

 

『うーん。あたしがVtuberデビューした時は、マジで音瑠香ちゃんが孤独死しないか心配だったからなんよ』

 

:草

:草

:孤独死てww

 

 ま、まぁ。確かにあの時が一番Vtuberやめようかなぁ、と考えていた時期だと思う。

 デビューから1か月、3か月、半年でやめる人が多い時期だし、それを乗り越えられたのは他でもないオキテさんのおかげだ。

 実際に孤独死しなかったのは彼女のおかげと言っても過言ではない。

 

『でもそん時は別に推しー! ってぐらいで、友だちになって後ろから後方腕組古参面しようかなーって』

「ホントにぶっちゃけますね。もっとなんかなかったんですか?!」

『うーん、特には』

 

 興味本位で、ってことね。はいはい。

 ギャルの行動力って流石すぎる。やろうと思って即行動即結果発表って、迅速すぎる対応に誠にありがとうございました。無理しないでくださいマジで。と言わざるを得ない。

 今はちゃんとお財布の管理はしているものの、定期的にパソコンのローンを支払っているらしく、散財はしばらく止まらないみたいだ。

 

:じゃあなんで音瑠香ちゃんと恋仲に?

:どうしてそっから恋人になるねん

:気になるわー、おきねる物語

 

『なっちゃう? なっちゃうよねー! あたしらのドキドキVtuberカップル話!』

「なんかそれカップルチャンネルみたいで、嫌ですね……」

『えー、あたしそのつもりで今もやってるんだけどー?』

「陽キャっぽいし、別れたらアイコン真っ黒になりそうでなんか嫌です」

 

:具体的で草

:相変わらず卑屈なんよなぁ

:これは陰キャ

:でも確かにイメージではないのは分かる

 

『まー、あたしもソロ配信とか、浮気配信とかしたいし!』

「別の人とのコラボを浮気配信って言わないでくださいよ」

『でも次の日めっちゃ甘えてくるじゃん。あれ、嫉妬してるってことっしょ?』

「そ、それは言わない約束でしょう?!」

 

:あー、はいはいてぇてぇ

:流れるようなのろけあざっす

:付き合って半年のおきねるは違いますわー

:俺は最初の初心な感じがよかったなー

 

 ぶっちゃけ恋人も1か月、2か月も経過すれば、熱が冷えていくのは当たり前のことだった。

 最初のうちはメンタルに雲がかかることもあれば、なんでわたしじゃなくて、あの子とコラボしてるんだろう、とかは思ったよ。

 でもその度に話を聞いてくれるし、大切に慰めてくれたりする。

 情けないところをたくさん見せてしまったから、今では割り切りかけているところだ。

 やっぱり、嫉妬するところは嫉妬する。

 

「それを言ったら、わたしよりオキテさんの方が重たいじゃないですか。ちょっとタイムラインで他の人と仲良くしたら『その女、誰?』って鬼のようにDMしてくるし」

『おい、それはライン越えだぞ!!』

 

:あー、めんどくさ

:おんも……

:これが重たいギャルか……。ありだな

:推しが重たくて今日も嬉しいです

 

「まぁお互いさまってことで。で、わたしを好きになった経緯は?」

『……気づいたら好きになってた』

 

:草

:溜めてそれかよwww

:wwww

:乙女かよww

 

『だってこの女、仲良くなったらめっちゃ懐いてくるしさー! 顔がいい癖に天然っていうか、そういうところが全部無意識にやってるところがムカつくわー!』

「えぇ……」

 

:あー……

:それは、うん

:音瑠香ちゃん、周りとか気にしなさそうだし

:無意識下で人を好きにさせるオーラを出してるんだよなぁ

:音瑠香ちゃんは結構ガチ恋勢多いと思うよ

 

「なんで?! ガチ恋勢とか、このギャル以外見たことないんだけど!」

『いや、結構多いよ。あたしのDMにも別れろってメッセ届いたこといくつかあるし』

 

 え、なにそれは。大変申し訳なさすぎる……。

 

『来るから、より一層いちゃついてるわけなんだけどねー』

 

:鬼かww

:草

:やりおる

:見よ、これが秋達音瑠香公認ガチ恋勢のTOPだぞ

:相互ガチ恋勢やからな

 

『何それ! 相互ガチ恋勢とか単語、初めて聞いたわ!』

 

:初めていったからな

:パワーワードすぎるww

 

 たまにやたら絡んできたり、リアルでハグしてきたりするのはそういうことか。

 学校ではもちろん秘密にはしているが、一歩外に出てしまえば、手を繋いで帰ったり、わたしの家に泊まりにきたり。

 ちらりと横を見て、ややため息をついた。

 家には露久沙さんがやってきたとき用のパジャマやら、着替えなどが畳まれているスペースがあるのだ。もはや半同棲状態だ。

 高校卒業後、進路はそれぞれ別々の大学だけど、キャンパスの間ぐらいの位置で2人で住まないか? という話も出ている。まだ物件は見つけていないが、その過程もまた嬉しく思う。

 

「そっか。でも気づいたら、かぁ……」

『そっ! クリスマスん時にはもう超ラブ好き好きって感じだったし!』

「……そですか」

 

:これは照れてますね

:クリスマス配信、アーカイブで見たけど、よいものだった

:美少女2人がひたすらいちゃつく配信だったからな

:今年は2人とチキン食べるか

 

『いいねー! 今年もクリスマス配信すっか!』

「ですね。コーラとか鮭とか持ってきて」

『そこはいつまで経っても鮭なのか』

 

 そっか。今年ももう少し経ったらクリスマスがやってくるんだもんね。

 受験ももうすぐで、頑張ってポートフォリオを描いたり、勉強したり。

 しばらくしたら、受験休みもやると思う。でも前の惰性で続けていた時期とは違って、必ず帰ってくるビジョンが見えるんだ。

 なんだかんだで見てくれる人がいる。リスナーも、同じVtuberの友だちも。

 それから、わたしの最愛の露久沙さんも。

 

 Vtuberを何故続けているのですか?

 たまにこういう質問を聞かれることがある。

 

 みんなそれぞれ立派な考え方を持っていて素晴らしいと思う。

 でもわたしたちには敵わないんじゃないかな。

 

「だって好きなんだもん!」

 

 わたしのことを好きな人がいるから。だから続けられるんだ。

 

『でもそれ鮭のことでしょ! もっとチキンの話もしてよ!』

「じゃあチキンの中に鮭入れよう!」

『どんな拷問なのさ!!』

 

:草

:wwww

:生命への冒涜で笑う

:まるでキメラなんだよなぁ

:ウケる

 

 こんな風に好きなみんなと笑いあいながら、友だちと切磋琢磨して……、それから……。

 

『おっけい! じゃあクリスマス配信はどっちが美味しいかプレゼンってことで!』

「いいねぇ! 絶対参ったって言わせるし!」

『あはは! 楽しみだね!』

「…………うん、ですね!」

 

 わたしの大好きなオキテさんと、露久沙さんと一緒に過ごしたい。

 だからわたしはVtuberを続けられるんだ!

 

 かけがえのない、たった1人の君だから。

 

 ――Vtuberの陰キャとギャルが百合する話  完

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

【完結&3章リメイク中】VRMMOで【食屍姫】になった無職だけど、現代ダンジョンでも化け物扱いされ始めて嬉しいです!   (作者:ちんこ良い肉)(オリジナル現代/冒険・バトル)

「働かずに食う飯は美味いか?」「めちゃくちゃ美味いに決まってるわよね?」▼親の小言に白米を頬張りながら満面の笑みでそう返してしまった玉織紬(たまおりつむぎ)は鉄拳制裁と共に毎食をもやしに変えられた。▼大学を中退し、実家で生もやしを主食に生きる無職の玉織紬は、日雇いバイトすらまともにこなせない社会不適合者だった。▼だが、胡散臭いVRMMO【エリュシオン・オンラ…


総合評価:4145/評価:8.53/完結:84話/更新日時:2026年06月09日(火) 23:32 小説情報

魔法少女はニチアサ展開に付き合いたくないって話。(作者:暁真)(オリジナル現代/冒険・バトル)

▼一宮弍乃(いちみやにの)は歴戦の魔法少女である。▼日常をこよなく愛し、面倒事を忌み嫌う彼女は定期便の如く現れる異世界からの侵略者にキレながら今日も今日とて魔導士(マギスター)ユノとして戦い続けている。▼そんなある日、偶然見つけた自分とはまるで系統が違う魔法少女を見て彼女は思った。▼「あの子ニチアサ主人公じゃん、関わりたくねぇ」▼世界がニチアサ時空である事を…


総合評価:18939/評価:8.88/連載:63話/更新日時:2026年07月30日(木) 07:05 小説情報

TS転生人外ロリ、厭世魔法少女の使い魔になる(作者:蓋然性生存戦略)(オリジナルSF/冒険・バトル)

とりあえず地球が爆散して転生することになった人間が一人。▼元凶を名乗る自称神様モドキに願いを聞き届けてもらい、TS転生人外ロリになった彼は、転生直後に浮かれた気分だったためにボコられ、とある魔法少女の使い魔にされてしまう。▼最初は死にたくないがための投降だったが、次第に魔法少女《エンドロール》の私生活の彩りの無さに対し、お世話魂に火がついた。▼これは、厭世家…


総合評価:5032/評価:8.73/完結:12話/更新日時:2026年05月15日(金) 14:40 小説情報

成り代わりセイアは未来が分からない(作者:ロリコンではない。好きな子がロリなんだ。)(原作:ブルーアーカイブ)

なお本人はかなり楽観的。それに加えてセイアエミュのクオリティはお察しのため順調に原作と異なるルートを辿っている模様。


総合評価:7458/評価:8.86/連載:5話/更新日時:2026年07月21日(火) 21:00 小説情報

七囚人『災厄の狐』(成り代わり転生者)(作者:百合って良いよねって思う)(原作:ブルーアーカイブ)

七囚人『災厄の狐』狐坂ワカモに成り代わったブルアカユーザーが、色々破壊しつつ頑張ってキヴォトスが滅ぶのを阻止する話。▼なお、若干二名ほどは彼女が先生であった時の記憶がある模様。▼一部、年齢や神秘などに関して独自設定・独自解釈があります。▼途中からガッツリ百合要素入って来る予定なので注意です。▼ほぼないも同然ですが性転換要素があります。▼また、「先生に惚れてな…


総合評価:9360/評価:8.81/連載:14話/更新日時:2026年06月19日(金) 18:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>