やはり俺がシャドーガーデンにいるのは間違っている ver.1.8   作:醤油味のぽんず

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えー。
知ってる人はごめんなさい。
あのアルファは俺も我慢できなかったし、文章力も死んでたから書き直した。
アルファはできるだけ原作忠実に行きたいと思います。
設定に大きな変化は無いので読まなくてもダイジョブです。
読んでくれると嬉しいけど。

知らない人は──気にせんといて。
アレは僕の黒歴史だ。


きっと、俺は書き直したかったんだと思う。

 

 

──カツンコツン

 

 

──カツンコツン

 

 

──カツンコツン

 

 

闇の中、規則的に響く金属音。

 

けたたましい風の中、手すりもない鉄の足場を一人の男が歩き続ける。

 

ここは地面から百メートル以上も離れたビルの階段。

 

落ちれば命は無いはずなのに、男の足に迷いはない。

 

 

──カツンコツン

 

 

──カツンコツン

 

 

──カツンコツン

 

 

今だ工事中のそのビルには窓ガラスがなく、外からの光がダイレクトに男を照らし、その光が眩しいのか手で目を多いながら登り続ける。

 

一息ついても上があり、二息ついても上があり、三息ついても上がある。

 

それでも男は下を向きながら足を止めず、人形のようにただ音を響かせる。

 

あたりには青いビニールシートだけが陽気に羽ばたいていた。

 

 

──カツンコツン

 

──カツンコツン

 

──カツンって。

 

 

 

やってられるかァァァァァ!!!

おかしいだろ!なんでこんな高層ビルの屋上に集合なんだよ!普通に平野とかでいいだろ!

 

しかも工事中だからエレベーターがありません?引きこもりを舐めるな!こちとら外出すら1ヶ月ぶりだぞ。んでもって、風がビュービュー吹いてるし。ここ何階なんだよ。ゆうに30階は超えてるね。常日頃から空気の温度をぶち下げてる俺だから間違いない。

 

あー寒い。超寒い。詩的に表現すると、眼球が風の冷たさを感じて涙するくらい寒い。

 

確か、今回集めたのはシドだったよな、、、。潰す、絶対に潰す。

 

アイツには俺の苦労が分からないんだ。この一人で誰とも話せずただ動き続ける辛さを。なぜなら──

 

 

俺には魔力がないから。

 

 

 

 誰かといても喋らないだろって?うるせえ。人の気配がしないのは本能的に怖いんだよ。人の気配も恐ろしいけど。

 

 しかし、そんなことを言ってても始まらないからまずは屋上につかねば。流石に半分は行っただろう。もうすでに足IS棒なのにまだ半分も行ってなかったらその情報が凶器になる。あと三割くらいだと願っておく。

 

 はぁ、と自然とため息をついた。

こうすると幸せが逃げるとよく言うので、深呼吸をしてその分を取り返す。

 

すぅぅー。

 

 そうすると、少しだけやる気が出てきた。

 視界良好、気分曇天。

 ハチマン──じゃなくて、ヤハタか。

 

「うっし」

 

 と気合を入れ頬を叩く。少しばかり痛みが響き、赤くなりつつある肌を代償に気分だけは先程よりかましになる。

 

 見えるのは灰色に光る段差と時計台を始めとする割と絶景な眼下に広がる夜景。多少の心痛を抱えながらもあと少しで着くと願い、誰もいない虚空の誰かに向かって昔話を始めたい。

 

こんな俺は、きっとあの日から始まったのだと。

 

 

 

 

──朝だ。

 朝昼晩と来ての朝である。皆さんも御存知だろうし、誰とでも馴染みが深いものであろう。かく言う俺も、そんな朝というものには一家言ある身なので結構な割合で憂鬱と感じる。しかし、そんな朝だが、晩昼朝ときて訪れる朝について俺は今、朝朝朝と来ている。

 

 どういうことかって?

 

 3日間三度寝中なう。 

 布団にくるまりぬくぬくと、毎日を消化しているのだ。飯は目の前まで運んできてもらい、トイレはほぼ目の前。着替え洗濯は寝てるときにやってもらえばなんの問題もなし。いや、流石に下着は自分でやるけれども。というわけで、俺は完全なる無敵状態に突入している。

 こんな悠々自適な生活ができているのもひとえに俺を救ってくれたヒキガヤ家ご令嬢、コマチのおかげである。

 

 あんまり過去を振り返るのは好きではないが、俺はかつてそれなりの家の貴族だった。しかし、ある時突然一族が急死。今にして思えば、なにかの伝染病だったんだと思う。けれど、当時の俺のコミュ障度は神がかっていたので、家族からも自主的隔離生活を送っておりとりあえずは難を逃れることに成功。今のところ俺に死ぬ気配はない。全然余裕。今日も今日とてマッカンをガブガブ飲んでる。いつか体壊すかも。

 

 だが、困難はここからだった。一族が急死したのだ。さあ、ヤハタどうする?と、なった時さすがに部屋に引きこもっていられる俺じゃない。その部屋がなくなっちゃうもん。それでも、なんとか人に出会わずにすむ方法はないかと頑張って頑張って頑張って探して、、、諦めて死を覚悟した時──仕方ない、その時の俺のコミュ障度は神がかっていた──一通の手紙が届いた。

 

 実はそれを受け取るのにも壮大かつ盛大なドラマがあるのだが、今回はそれを割愛させていただき、なんとか玄関に匍匐前進でたどり着いて開けてみると、そこにはヒキガヤ家からの、というか神からの手が差し伸べられたのです。

 

 曰く、大変らしいね、手ぇ貸してあげようか^^(多少の意訳が含まれます)

 

 当時、ヒキガヤ家には男の子供が生まれなかったらしく、かねてより親交があったということで俺を養子として引き取ってくれるということ。そんな三流二次創作みたいな適当な設定のことあるのかよ、と心では無信全疑でやり取りをしてみたところ、マジらしい。親交があったのは事実だし、俺も何度かヒキガヤ家に行ったことあるよ?でもさ、まさか俺を引き取りたいだなんて普通思わないじゃん、引き取ると言うか、引きこもりだよ。しかも、結構有名だよ。それでも。俺の前に垂らされた唯一の蜘蛛の糸である。取りたくなくとも取らないという選択肢はない。仕方がなしに、お引越しをすると──そこには天使がいた。

 

 お隣さんが天使なのではなく、義妹が天使なのである。重要なことなのでもう一度。義妹が天使なのである!

 

 仙人もかくやというレベルの俺の俗世からの離れっぷりではあまり外のことを知らなかったのだが、ほう、女の子は生まれていたんだなと初めて知った。もし、コレが普通の浪費と自己主張に腐心する女子なら俺はパーセク距離を離れていた。だが、俺の前に現れたのはコマチという名の天使だった。逆だ。天使がコマチなんだ。傾国の少女である。俺がたとえ天文単位で離れても、人とは違う存在である彼女に通じるはずがない。よって、コミュ障から脱却した。

 

 聞くとところによると、これに最も絶望したのはヒキガヤ家の現当主だっだらしい。もともと、なぜ俺が呼ばれたのかと言うとコマチの代理にするためで、それは現在の男性社会が原因だ。どうしても、女が当主だと見くびられてしまう。なら、紙の上だけでも男にしておけばいい。それも、何も口を挟まないような人が望ましい。ということで、引きこもり界のエースである俺が呼ばれたということだ。なのに、コマチにあった瞬間公正。コミュ障からレベルアップして、ただの陰キャ(レベルマックス)になったことでコマチともよく話すようになってしまい、逆にコマチがあまり当主と話さなくなったため、当主のメンタルはズタボロ。

 

 まあ、というわけで、俺はのんびりしているわけなのです。こうしている方が当主から殺意の目を向けられないし、俺も楽して行きていける。まさにWINWINの関係。掴み取った我が栄光。さらば、不安定な日常たちよ。俺の世界はここにあり!

 

 

 けれど、その楽園は突如として終りをむかえた。

 

 お迎えが参りました。

 

 

 

 

 別に誰かが死んだというわけではない。確かに、俺の周りの奴らはいきなりあの世へと連れ去られていったわけだけれど、第二波が来たわけではないし、もちろん俺が死んだということでもない。そんな疫病神になれるとも思っていない。物理的に、現実的に、形而下的になんの比喩もなく連れ去られているのだ。

 

 文目も分からぬような暗闇。一筋の光すら届かないこの場所は、例え陰キャマスターな俺でも躊躇するし、怖気がする。聞こえるのはカラカラという車輪の音だけ。こういうことはたまにあるのだが、いままでならあるはずの前もった連絡がない。それに、いつもならちゃんと俺の席が用意されていて、それなりの自由があったはずなのに、今回はガッツリと拘束され目隠し、それに体を縄でグルングルンにされた上に折りの中に入れるという徹底した仕様。なんか、いつもと違くなーい?と、ノリノリで言おうにも猿轡によって口まで閉ざされる始末。最近は特に何もしてないのに、なにかアイツラの琴線に触れたかな。だとしてもやりすぎじゃね?

 

 と揺られること八時間。もちろん、時計など持ってきていないので体感時間なのだが、寝ているときの体感時間には王国一の自信があるので多分それくらい。体、いてぇ。足、もげるぅ。ただなんとか、モゾモゾしてたら目隠しが取れたので周りの様子を確認する。──なにもない。というか見えない。

 

 けれど、すでに動いている様子はなく、外からは和気あいあいとした宴会の騒ぎ声が聞こえた。おいおいいいのかよ。そんなことしてても怒られねぇのかよ。それから漂ってくる肉の匂い。ジューシーに焼かれた気持ちほどの肉の匂い俺の折にまで届いてきて、腹の虫を絶叫させる。やることがなさすぎる俺は、あ、ちょっとイヤーンッ。そこはダメぇぇと。と一人脳内で趣味を満喫するくらいしかやることがない。やれやれ、今日も今日も一人で楽しむとしますか。

 

 

深夜二時──

 

あ、ちょっとイヤーンッ!

 

そこはダメぇぇ!!

 

 

、、、これは俺じゃないからな。

 外から聞こえてくる阿鼻叫喚の声。大の大人が泣きわめく悲鳴には命乞いも聞こえるが、そんなことでは彼らの祈りは通じない。ただ手足を残忍に切り裂かれ吹き出るような血の音だけが、俺のさえ切った聴覚を刺激する。剣の打ち合う音すらせず、ただ蹂躙されていく人々。俺を連れて行こうとしていた奴らがやったのか。それなら趣味が悪いな、と思っていたが、どうやらそうではないらしい。

 

「ヒャッハァァァーー!!逃げるやつは盗賊だ!!!」

 

「逃げないやつはよく訓練された盗賊だァァ!!」

 

「ここには弱腰なやつしかいないのか!!!」

 

 というやつだけやけに威勢が良かったからだ。そして、たった数分で周りが静かになり、たった一つの足音がこちらに近づいてきた。

 

「ん?、、、檻かな?奴隷だったらどうしようもないんだけど──?」

 

 少年が掛けられていた布をはぎ、中にいたヤハタの姿を開放する。

 俺と少年の視線が交差した。闇のような漆黒の髪に透明感のある黒い目。まだ幼さを残した顔立ちで、歳は十歳にになるかどうか。つまり、俺と同じくらい。

 

「やっぱり奴隷かなぁ。なら、とりあえず」

 

 そうして、彼は軽々と檻を壊し(???)俺につけられていた猿轡と手かせ足かせをいとも簡単に破壊してみせた。

 俺は久々の開放に体の動きを確かめながら立ち上がり、改めて彼に向き直る。

 

「h,はじめまして。ヤハタって言いまふ」

 

 噛みました。猿轡せいで呂律がグッバイ宣言。

 

「あ、はじめまして。それじゃ僕は帰るから。あんまり人に言わないでねー」

 

 そう言って笑顔で手を振り、帰らせようとするとする彼。ふと周りを見ると、その背景にはつい先程まで息があったのか激しく地面に血を垂らしている死体が文字通り山のようにあった。宴会をするほどの人間の数だ、そのすべてが殺されたのならその数は両手では収まりきらないだろう。

 彼はその幼い年齢でありながら、アレだけの殺人をしてなんでも無いように平然としていて、まるで蚊を殺したときのようにその身に一切の罪悪感を感じていない。人間観察は得意技だ。だからこそ分かる、彼の自然体。全く揺れていないその心。

 

 

きっと、それ故なのだろう。

 

 

俺が彼にこう尋ねてしまったのは。

 

 

「お前の──名前は」

 

「僕の名前?知りたいかい?」

 

 俺はコクリとうなずく。

 すると、突如として彼の纏う空気が変わった。

 暴力的で押さえつけられそうな魔力の渦。それを目の前で見せつけられる。天にまで伸びるその魔力の大きさに俺は絶句した。

 

「聞いたら戻ってこれないかもしれないぞ」

 

「構わん」

 

「それに、もし聞くなら、相応の対価として我の助手になってもらおう」

 

「え、それは流石にちょま──」

「そうか、、、そうか、、、

 

 

 

シャドウ」

 

「シャドウ?」

 

「ああ、それが我の名前。魔人ディアボロスを崇めるディアボロス教団を壊滅を目的とするものだ」

 

 あーね。

 ディアボロス教団の壊滅を目論むシャドウさんねー。いるいるそういう人。ちょくちょくそういう人がいてこっちも困ってるんですよね。こっちの身にもなってほしいと言うか。なってほしくないと言うか。ホントやめてほしいですけど〜。

 

 

 

 

は?

 

 

 

 後日、ヒキガヤ家に戻ってシャドウのことを調査してみた。ちなみに、俺がいなかったことは気づかれていなかった。ショック。

 彼の顔は割れているし、割とここから近い人だったから調査ははかどり、難なく彼のことについて知ることができた。

 

 シド・カゲノー。カゲノー男爵家の長男で才能豊かな姉と比べ、平凡な少年。特に特殊ということはなく、どこにでもいるようなごくごく普通の下級貴族。もし、この彼とシャドウが同一人物なら、彼は実力を隠して力を身につけたということになる。

 

 

──おかしい。彼の言ったことが事実なら俺の耳に届いていないとおかしいのに。

 

 

けれど、そんなことを言っても始まらない。時間も少ない。彼がラストチャンスかもしれないんだ。なら、好機か危機かは分からんが最後の機会だ。

 

そろそろ、死に場所を決めなきゃな。

 

 

 

 

 

 ん、思い出したくないことまで思い出してしまった。

 あともう少しで屋上にたどり着くというところで思考をもとの絶望な状況へと戻す。でも、先程よりかは遥かにマシだ。つきのひかりが階段の端を照らし、確実にこの無限とも思われた足の上下運動に終止符が打たれることを確かに示してくれているのだから。途中からは足が棒を通り過ぎて枯れ枝みたいになったし、半分くらい自動で動いてたけど、それでも辿り着けそうなことには希望を超えて興奮する。

 

 しかし、あれからいろんなことがあったなあ。シドが実は頭おかしいだけだったり、アルファの妹みたいなのに出会ったり、隠れんぼで殆どの子からスルーされたり、女子たちからヒキガヤ菌と言われたり、コマチに反抗期が来たりと。後半関係ないじゃん。確かに、シドがあの時にシャドウと名乗り始めたなら、俺の耳にも届いていないわけだ。

 

 と、やっと最後の一段を上りきる。

 

「はぁ、はぁ、ついた」

 

「あら、アナタ一人でここまで来たの?」

 

 そう問いかけるのは美しい長い金髪を持ったエルフ、アルファ。

 

「すまん、てか、ここに呼んだやつのせいだろ」

 

「おかしいわね。デルタに運んでくるよう頼んだんだけど──」

 

「アルファ様!ヤハタ、見つからなかった!!」

 

 と、壁を駆け上がり飛び出してくるのは乱暴にも毛を月光のもとではためかせる獣人、デルタ。

 

「だから言ったんだ。ワンちゃんじゃ無理だって」

 

 出てきたデルタにそう答えるのは白い毛並みをもつ同じく獣人、ゼータ。

 そういった途端、デルタは明らかに苛立ちを表情に出し二人の間に不穏な空気が流れる。

 

 いつもならこのまま戦闘、という流れになるのだが、今日は静止の声がいつもよりも早く聞こえた。

 

「ほら、ふたりともシャドウが来るわよ。早く位置について」

 

 そうすると、渋々ながらも互いから目を話す二人。

 彼女たちはアルファに逆らわない。アルファの鶴の一声だけが、彼女らを止めることができる。

 

 すると、アルファはこちらを向いてきて。

 

「アナタには申し訳ないわね。今度からは違う人を送るわ」

 

「なぁ、実はこうなると分かってデルタ送った?」

 

「さあ、どうかしらね。ただ、一言付け加えるなら、私はあなたに先週食べられたプリンについて未だに根に持っているわ」

 

「おい、あれは不可抗力だ。名前が書かれていなかったんだから仕方がないだ──」

 

「黙って、シャドウが来るわ」

 

 そういった瞬間、虚空からシャドウが現れる。時空を捻じ曲げるように出現した彼に、一同は気を引き締める。俺も、シャドウの直ぐ側に寄り、道化としてここに立った。

 

「すでに包囲は完了しているわ。奴らに逃げ場はない」

 

「すべて主様のご賢察どおりに」

 

「その遠慮深謀には感嘆の言葉しか浮かびません」

 

「久しぶりの大きな狩り、楽しみなのです!」

 

「容赦はしません」

 

「、、、」

 

「皆、主様の号令を持っています」

 

「ふ、いいだろう」

 

 すべての七陰が声を上げ、皆がシャドウの言葉を待つ。

 夜闇の中で、彼女たちはそれぞれの信念に誓っていた。

 

 一方、男どもは。

 

 足超痛い。by俺。

 

 何がいいのかわからないけど、多分いいんだろう。byシド。

 

「I need more power──我が目指す頂きは唯一つ。行くぞ」

 

そういって、ビルの上から駆け出す面々。その光景は青紫の流星のように輝いて見えたのだろう。これから先の彼らへの願いを乗せて。

 

 

 

ちなみに、誰が見ていたのかはわからないが一つだけ流星ではなく隕石があったらしい。

 

「だから、足が痛ぇんだよ!」

 

 




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