やはり俺がシャドーガーデンにいるのは間違っている ver.1.8   作:醤油味のぽんず

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まずは、やっと帰ってこれました。
マジ疲れた。楽しかったけどね。




第一章 
第一話 やはり、俺のラブコメは間違っている。(嘘)


 

青春とは、嘘であり悪である。

青春を謳歌せし者たちは常に──以下略!!

 

 

 

「で、これはどういうことなのか聞いてもよろしいですか?」

 

「いや、だから言ってるじゃないっすか。俺が入学早々長期休暇を取ったんでそれに対する宿題として課されたやつですよ。題材は確か、、、」

 

「『これからの学生生活について』ですよね」

 

「それです。これになにか問題でもありましたか?」

 

「いえ、問題しか無いでしょう、、、」

 

上品な珈琲の匂いが漂うこの部屋。

そこかしこにある調度品は我が家ではお目にかかれないような超一流のものばかり。

部屋自体にも嫌味にならない程度に緻密な装飾がなされている。

扉からカーテン、食器と言った細部に至るまでに職人の技が光る。

 

全く税金を何と心経ているのか。

羨まし──ゲフンゲフン。

 

ふん。

本来なら俺のような人間にはなかなか敷居が高いところだし、まったくもって来たいとも思わない。

それなのになぜこんなところにいるのか。

というか、呼び出されたのか。

 

その原因は、例の作文である。

入院中、先生が持ってきた宿題なのだが面倒くさすぎてさっさと終わらせてしまった代物。

 

お前が読むならもう少し丁寧に書いたのに、と思うもののすでに後の祭り。

賽は投げられたとカエサル風に嘆いても前の彼女には通じない。

 

というのも、彼女は──ミドガル王国第一王女アレクシア・ミドガルなのだから。

 

 

彼女について語れと言われたら、まずはじめに出てくるのは彼女の強さだろう。

王国最強と名高いその力は幼少期から評判であった。

世にいう天才肌であり、常に王国の剣として王国中から信頼されている。

 

正義感が強く、なんでも率先して行う事のできる、まあ、端的に言って上層部からは扱いづらい人物だ。

それを本人も自覚しているのか、最近はそのへんを切り分けて、自分は象徴だと理解しているらしい。

詳しいことは知らん。

 

なら、なぜそんなビックネームと知り合いなのか。

ほら、いつぞや語ったであろうカクレンボの話。

最後までいた子、それが彼女だ。

 

それからというもの、たまに話したりしている。

話す内容は様々で、今の情勢からマッカンの勧誘まで幅広い。

なんでも、彼女のような王族だと自分の目で街を確かめることができないため、今何が起きているのか、どんな雰囲気なのかがつかみにくいらしい。

だから、俺がそういうのを見て、感想だったり意見だったりをしている。

 

人選間違えてないか?と思わんでもないが、ここにある高級珈琲を飲むためなら頑張れる。

 

そう、これ。

 

これがなんとも王室専用らしく、俺のような中途半端なものでは一生縁がなかった味。

これを初めて飲んだときはやばかった。

マッカンはもちろん旨いのだが、それとはまた別の旨さがある。

なんというか。コクがね、たまらんのですよ。

 

ずずっとそれを一口飲みながら、アイリスに話をふる。

 

「俺が書けと言われたのは学生生活についてです。テーマに沿っているはずですよ」

 

「確かに、テーマではありますが、、、。普通こういうのは目標とかを書いてくるものでしょうに」

 

そう言いながら、頭がいたいのかこめかみを押さえる。

獅子のような赤い髪が揺れるたびに思うのだが、何があったらそんな毛量になるのだろうか。

シドの父に分けてやれよ、、、。

手入れも大変だろうし、もっと短いほうが色々と楽だろう。

長いほうが好きか、短い方が好きかと聞かれたら俺は長いほうが好きだが、女にとっては割と面倒くさい話なのだろうか。

それとも、それくらいは手間のうちに入らないみたいなもんなのか。

 

どうしたものかと言いたげな彼女だが、別に俺と彼女はそんなに中のいい間柄ではない。

それに付き合いたいと思うような人柄でも地位でもない。

 

重ねていうが、彼女はこの国の第一王女であり、本来ならば雲の上のような人──は言いすぎかもしれないが(こいつの妹は結構ラフに市街地に出る)それでもお偉いさんなのだ。

政権争いとか面倒くさそうなことにつきあわされたくは無い。

こちとら、今の事情だけでも手一杯なのに王女様の色恋になんて付き合う気にはなれないのは仕方がないと言えるだろう。

 

てか、普通に年下のほうが好き。

 

 

なんて、ちょっとばかし失礼なことを考えていると、突然アイリスは何かを思いついたように顔を上げ、手をぽんと叩く。

頭に電球が光った気がする。

そして、我天啓を得たりといった感じで話しかけてきた。

 

ちなみに、こういうときは基本的にあるいことしか無いから良い子のみんなはこうなる前に逃げておくことを推──

 

「あなた、紅の騎士団に入らない?」

 

「嫌です」

 

何か頼まれたら基本NO。

はい、と一度でも言ったらアレヤコレヤと言い訳されて結局想定以上のことをやらされるのが世の常である。

だから、まず最初に断ることが重要。

ソースは父。

 

きっと、昔に何かあったんだろう。

 

「いえ、入りなさい」

 

「遠慮させていただきます」

 

「王女命令です」

 

「ぐ、卑怯な、、、だいたい、紅の騎士団ってなんすか。既存のものにそんな厨二病みたいな騎士団はなかったはずです──」

 

風が吹いた。

グーだ。ノーモーションで繰り出されるグー。

これでもかというくらいに見事な握りこぶしが俺の頬をかすめていった。

 

さすが王国最強というべきか。

その速さにちょっとだけビビった。

チビッたかも。

 

「次はないと思いなさい」

 

「すいませんでした。言い直します。中二──」

 

暴風が吹いた。

あたりの書類は吹き飛び、魔力を込めた握りこぶしが俺の目の前で止まっていた。

赤く輝く魔力は彼女の心情を表しているかのようにギラギラと燃ている。

 

「だれが文字でないとわからないようなボケをしろと言いましたか?私は目の前にいるのですが」

 

「すいません。マジで反省します」

 

怖え。

隣の部屋からもガタガタって音が聞こえたんだが、多分棚とか倒れてるぞ。

余波ありきでもそうはならんでしょう。

人間災害ですか。

 

「心配無用です。私の周りの部屋は基本的に、勝手に倒れないよう壁などに固定されています」

 

災害公認かよ。

災害対策バッチリの日本でも人間災害対策はしてねえぞ。

ならば、きっと棚の中が悲惨な状況になった音だろう。

落ちているよりか何倍もマシだが、それでもお高いものが壊れたのなら、、、まあ、別になんとも思わんか。

ん、ということは俺の飲んでいた珈琲は、、、?

 

「安心してください。あなたの分はしっかりと私が保護していますよ」

 

と、見てみると彼女の手には俺が先ほど飲んでいた珈琲がある。

カップからはのんきに揺れる湯気が見える。

 

「はい。どうぞ」

 

「ん」

 

「では、これと交換で騎士団に入団ということで」

 

「は?!おいおいそれはどう考えてもおかしいだろ。、、、だいたい、その、なんすか。紅の騎士団ってやつは」

 

「新しく新設される予定の騎士団です。ちなみに、私直々の提案です」

 

笑顔が怖い。

だがなるほど。

だからそんなに怒られていらっしゃっていたのね。

そら、自分が作ったものを中二病呼ばわりは起こるでし

 

どうせ髪の色から取ったのだろうが、紅の騎士団──っふ。

まあ、分かりやすいのはいいことですし。

どんな辺境の村でも、紅の騎士団と聞いて彼女が現れたら一発でわかるだろう。

 

「なんですか、そんなにジロジロ私の髪を見て」

 

「いえ、なんでも。まあなんにしろ、俺には無理ですよ。知ってるでしょう。俺は魔力が使えないこと」

 

別にわざわざ隠すようなことではない。

魔力を日常的に使わない人間はいくらでもいる。

なくても基本的に何ら問題ないのだ。

 

ただ、そのせいで王都武神流は卒業まで第七部が確定しているのだが。

剣技自体では劣っていないのだが、実践となるとそうも行かない。

別に剣が得意というわけではないし。

それだけ魔力が無いというのは不利なのだ。

 

だが、この事実はこの場では説得材料だ。

使えない人員では、たとえ王女様といえど簡単には入れられないだろう。

それに、まだ新しくできたばかりの騎士団にアイリス。

どちらも実績がない。

分かっているだろう。

ほら、さっさと諦めるんだ。

 

「確かに、実戦では足手まといかもしれませんね」

 

「ですよね、じゃあ俺はこれで──」

 

「しかし、文官としてならどうですか?」

 

、、、え?

 

「あなたは確か、国語が得意でしたよね」

 

「ちょっと待って下さい」

 

「それに戦闘的なことはない」

 

「だから待って」

 

「ご実家の方からもなにか良い職は無いかと内々に相談を受けることもありまして」

 

「ちょま」

 

「これで良い配属先ができましたね」

 

最高の笑みで語りかけてくるアイリス。

手を合わせ心から笑っているように見えるも、その中身は悪魔としか思えない。

そういった詰め方はむしろアレクシアのほうが得意だろうに。

この乱雑な詰め方。

 

しかし、結局は俺がうんと言わなければ始まらない。

そんな暴君な国ではなかったはず。

これでも王女だ。

きっと民の心を無下にはしない、、、よね?

 

「どうしても、無理ですか?」

 

「嫌ですね。両親がなんと言っていたかは知りませんが、自分の職は自分で見つけます。いくらただの飾りの役だとしても外を見れる数少ない機会でしょうから。」

 

とりあえずそれっぽいことで逃げていく。

自分の職=コマチの食客。

なんでもいい方次第だよね。

 

これで諦めてくれると嬉しいのだが。

正直、これ以上は泥仕合の匂いがする。

 

「そうですか。なら仕方ないですね」

 

といって、彼女は席を外す。

 

ん?

やけに物わかりがいいな。

アイリスも俺をやっと諦めてくれたか。

 

そう思っていると、アイリスは自分の机へと近づく。

そして、取手を引き中からファイリングされた何枚かの紙を取り出した。

 

おいおい、それはなんだよ、と目で疑問を投げかけると──

 

 

「コマチさんへの婚約者候補です。このままだと、彼女はこの中の男性から選んでもらうことになるでしょうけど、あなたはそれでもいいですか?」

 

────。

 

 

 

一瞬の沈黙。

 

それから俺はズカズカと彼女の前に立ち、その紙を奪う。

 

ビリビリビリ。

 

もはや紙くずとなったそれを宙に投げ、彼女に膝まづき頭を下げ、臣下の礼を取った。

 

 

「入団させていただきます」

「なんでラブコメ主人公ルートに入ってるんだよぉぉぉぉ!!」

「こちらこそよろしくお願いします」

 

勝者は最初から決まっていたようなものだった。

白い紙の吹雪の中で、卑怯だと言いたげな顔をするヤハタと勝ち誇った笑みのアイリス。

 

外からの悲鳴を完全にスルーして、これからそんな彼らの間違ったラブコメが始まる。

 

※始まらない。




二期おめ
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