やはり俺がシャドーガーデンにいるのは間違っている ver.1.8   作:醤油味のぽんず

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第三話 実は、俺の命は割と危ういのかもしれない。

 

授業中。

眠い、眠い、眠いの三拍子を首を刻々としながら数える。

倒れそうになると意識を取り戻せるものの、すぐにまた手放してしまい再び倒れる姿は、さながら赤べこ。

チクタクとなる時計と美しき二重奏をかなで、ただ時がすぎるのを待つ。

 

かの偉人、ナツキ・スバルは言いました。

『春は眠いことに文句を言い、夏は暑いことに文句を言い、秋は松茸が高いことに文句を言い、冬は寒いことに文句を言う』と。

故に、春の眠たさはは夏の暑さや冬の寒さと同じレベルの必然。

もはや現象とも言える。

すなわち別に何ら眠ることに問題はなく、もし糾弾したいのなら小笠原気団やオホーツク海気団が来ることに真面目にキレているのと同義というわけになる。

実際、今教鞭を取っている奴らに関しても、どうかんがえても学生時代には俺や周りの奴らのように夢の中で踊っていたことだろう。

それだから人に怒るなとは言わんが、軽い注意くらいが妥当と言える。

叩き起こすなんてもってのほかだ。

俺たちの楽園を返せー。

 

けれど面白いことに、夢というのは一期一会なのだ。

たとえ起きてから、すぐさまもう一度寝ても夢のつづきを見れた試しはほとんどない。

二度と巡り合うことのできない一つ一つの大事な宝物。

そんなものだから、我々は寝ているときの『夢』と将来の『夢』に同じ文字を振り当てたのではないだろうか。

 

ただの他愛のない妄想だったが、こんなことを夢で考えていた。

おやすみ。

 

 

おはよう。

一時間目から寝続けるのはいいものだ。

教師や同級生からのアイツまじかよという視線──死線ともいう──をくぐり抜け、いつもどおりの帰宅中。

しかし、いつもと違う点として今日は徒歩で帰っている。

 

大きくあくびをして、外気を取り込み、その匂いや味を感じる。

朝に動き、その疲れで午前中はあまり動かなかったので、午後は動きたくなった。

学校から寮までの距離は数km。

ちょっとした運動には最適であり、いつもとは違う景色を眺める。

 

そこそこ歩くと、八百屋や雑貨店などが立ち並ぶここの市場についていた。

小さな子供が親にコレがほしいアレがほしいとせがむ姿に心温まる。

ほかの子どもたちも騒いでおり、転ぶなよと見守りながら通り抜けていく。

カラフルな三角の布がここにしかない空間を作り出していた。

 

しかし、それは良くも悪くもといった感じであり、一本奥の路地を見てみると、先程とは打って変わって重たい空気が流れている。

都市というのは往々にしてこういうところがある。

というよりも、都市だからこそこういうところができると言ったほうが正しいか。

金があるところに金がない人が一攫千金を狙って集まり、結局失敗して選択肢がなくなる。

家が無い奴らはそうするしかないしそれに関して思うところがないでもないが、別に俺がなにかしたところで何も変わらないと知っているから、見なかったことにしてただ歩き続ける。

 

俺だけじゃない。

家族連れのひとも、お金持ちの人も、はたまたきっと昔彼らと同じだっただろう人でさえ、彼らには手を差し伸べない。

自業自得だと決めつけて無関心なふりをする。

 

きっと、彼らはそれになれきってしまっていて不思議に思わない。

どんなことでも巻き込まれないのがいい。

余計な負担は負いたくない。

 

俺もその一員だし、否定はしない。

ただ、嫌なものを見ちゃったなとちっぽけな正義感がチクチクと己を蝕むだけだ。

それくらいの痛みは痛みと形容するほどでもない。

 

あえて無視をする。

自分にか、それとも他人にか。

 

 

とかまあ、一端に語ったところで俺の歩みは変わることはなく。

ただほっつき歩いていると、あるカフェが目に止まった。

古民家風の静かなカフェ。

 

どことなくセンスを感じる店構えなのだが、この場合についてはカフェに目が止まったと言うよりも、そこにいた女性に目が止まったと言ったほうが正しいだろう。

 

銀髪青目泣きぼくろの美少女エルフ。

そう彼女は自称していたけれど、それは別にわざわざ訂正の余地がないほどには自称にしては出来すぎていた。

 

七陰第二席のベータ。

 

何でもそつなくこなすタイプで、まあ、色々と目に優しい。

 

窓から見える彼女の横顔はアルファとはまた違った可愛さを出してくれる。

その白銀の髪は眩しすぎるほどに彼女を際立たせていた。

 

そんな髪が左右に揺れている。

どうやら、なにか原稿に書いているようでなにをしているのだろうと思ったが、少し考えてから彼女が作家として活動しているのを思い出した。

しかも、かなりの売れっ子として。

 

今では書店に行けばどこでも店頭に彼女の作品が置かれている。

さぞ印税をもらっているんでしょうね。

 

そんな邪推をしたところで俺はこの場を立ち去ろうとする。

別に彼女のことが苦手というわけではないけれど、ほら、なんというか、誰かに見られると気まずいじゃん。

下校中なわけだし。

俺に変な噂とか立つと、シドが迷惑しちゃうから仕方ない。

そう、これはしかたないことなのだと意を決して歩きだすと、急に彼女が顔を上げた。

 

「あ、ヤハタさんもどうですか?」

 

なんの悪意もなく向けられるナイススマイル。

そんな彼女から離れるという選択肢を、俺は持ち合わせていなかった。

 

 

 

 

「お久しぶりですね」

 

「ん。そうかもな」

 

ふーふーってして立ち上る湯気を遠ざけ、奢ってもらったカフェオレに口をつける。

どうやらここのイチオシらしい。

あまり飲むわけではないが、一口飲んだ瞬間自然と体に染み入ってくるような自然な味わいがする。

コレはたしかに人に紹介できる旨さだと感じた。

 

「で、何して──」

 

「伏せてっ!」

 

ガツン!

 

と、いきなり机に思い切り頭をおさえつけられる。

めっちゃ痛い。

 

「おい、いきなり何が」

 

「すいません。しばらく静かにしててください」

 

と、耳元で天使のように囁いてくる。

 

許す。

水瀬い○りボイスには勝てない。

というか逆なんだよ。

水瀬いの○が天使のようじゃなくて、天使が水瀬○のりのようなんだよ。

至福。

やばい。

心が洗われるんじゃぁ〜〜。

 

しかし、語彙を殺していられるのもつかの間、俺の頭をおえていた手はあっけなく逃げていってしまう。

ああ、もう少し肉体コミニュケーションを、、、。

 

「はあ、大丈夫ですか?出版社の方が来ていたのでつい、、、」

 

「まあ、大丈夫かどうかと聞かれたらむしろ絶好──」

 

調、と言いかけたところで先程まで埋まっていた机を見る。

直後見なければよかった、と後悔してしまうもの。

 

恐怖。

 

なぜなら、俺は文字通り──埋まっていたからだ。

 

普通なら皆さん、押さえつけられたと言っても机に顔をぶつけるくらいだろ。

それでも十分に痛いが、別に衝撃を受けるほどじゃない。

バラエティーでもちょくちょく目にする光景ではないだろうか。

 

だがしかし、俺が見た机は正しく陥没していた。

地盤沈下と言ってもいい。

 

どのような言い方にしろ、通常ではありえない深さで木でできた机が凹んでいた。

なんで、それだけ凹んでこの机が壊れないんだよと突っ込みたい。

 

ベータ、恐ろしい子。

 

「あ、店員さーん。お願いします」

 

一方、この状態がまるでよくあることのように落ち着いた様子で片付けを頼む銀髪美少女エルフ、もとい銀髪美少女ゴリ、、、っんふん!

危ない、危うくベータを猛獣扱いするところだった。

そうすれば全世界100億人の水○いのりファンから殺される。

間違いない。

ステイ俺。

 

「ここ、シャドーガーデンの店なんだな」

 

「ええ、そうですよ。正確にはミツゴシ商会の、ですけどね」

 

ほえーん、と再び頷き再びカフェオレを飲み始める。

俺の方からは特に話すことがないので、どうしても相手から話題を振ってもらわないと困ってしまう。

美少女相手はきついて。

 

すると、そんな雰囲気を察してくれたのか、そういえば、と話しかけてくれる。

 

「最近、どうでうか?」

 

「どうと言われてもな」

 

「どんなことでも。シャドウ様のお姿とかシャドウ様のご気分とかシャドウ様の行動とか」

 

「俺のことじゃないのかよ、、、」

 

と、彼女の中の自分のキャパシティーの狭さに悲観すると彼女はクスクスと笑い、

 

「冗談ですよ。、、、ただ──我々はシャドウ様の日常を知る機会が少ないので、そういうことを教えてくれると助かりますね」

 

口はなおもクスクスと笑うものの、目が笑っていない。

どことなく行き過ぎた愛を感じるのは俺だけだろうか。

しかも、メモ帳まで取り出してるし。

 

「別に取り立てて言うようなことはないな。普通に友達作って遊んでんじゃね?クラス違うからあんまり知らないけど」

 

「そうですか」

 

トホホ、問いう感じで無念にもメモ帳をカバンにしまう。

そんなに知りたいなら潜入とかすればいいのに。

 

「それじゃだめなんですよ。私はあくまでシャドウ様の日頃の様子が知りたいんです。学園に入ったら崇高なシャドウ様の計画の邪魔になるかもしれないじゃないですか」

 

崇高な計画、と聞いてなんのことだろうかと頭をひねらせるも例の謎な行動たちのことだと頭の中で解釈する。

そうか、彼女たちはずっと勘違いしてるんだよな。

それが勘違いだと知ったらこの組織終わるから何も言えないけど、うん、まぁ、大変だな。

頑張れアルファ。

この組織はお前が頼りだ。

 

フフン、という自慢げなアルファの顔をありありと想像してしまい、すぐにそんな表情を思い出せてしまう自分に対して少しおかしくて笑ってしまう。

そんな微細な方の揺れを見逃さなかったベータは重ねて俺に聞いてきた。

 

「それくらいですかね」

 

「まあ、そんなもん──」

 

だな。

と言いかけたところで、思いがけずシドについて思い出してしまった。

コレは果たして彼女に伝えるべきなのかどうか。

 

 

──シドがアレクシアと付き合っているという事実についてっ!!

 

確かにシドの日常について、大きく変わったところであり普通に考えれば言うべきことだろう。

これからのシドの生活にも関わるわけだし、むしろ知らせておいたほうが良い部類である。

これがアルファだったりガンマだったりしたら戸惑いなく報告することができる。

けれど目の前にいるのはベータ。

シャドウ様戦記とかいう半分くらい嘘とでまかせで書かれた英雄譚を書いている少女である。

往々にして英雄譚とは誇張されるものであるが、それにしてもひどい。

それほどまでにシャドウを崇拝している彼女にそんな俗っぽい話ができるだろうか。

 

断じて否。

 

殺される。

俺は悪くないのにオーラだけで殺される。

先程の机の末路を知れば、それは火を見るよりも明らかである。

だから、言えない。

 

「なにかあるんですか?それなら言ってくれると嬉しいのですが」

 

けれど、ベータはなおも問い詰める。

隠し事はやめてほしいと静かにも力強く語りかける。

やはり、シドのこととなると気合の入れようが違うようだ。

 

だとするならばやはり言えない。

たとえいつか知ることになろうとも、俺の前で知ることはやめてほしい。

 

コレが単なる時間稼ぎに過ぎないことは分かっている。

必ずアレクシアのことは彼女の耳に入る日が来る。

それに、かなり出回っている噂なのでいつから付き合っていたかなど直ぐにバレてしまうことだ。

時系列的に判断して俺が知っていたのは考えればわかるはずだし、その時俺に一言言うのは絶対と言っていい。

それが一言ならいいのだが。

 

まあ、彼女はそんな短絡的な性格ではないか。

あとはついでに、先程埋められた些細な反撃だ、とでも思って結局口にしないことに決める。

 

「いや、やっぱりなんでもない」

 

「そうですよね。まあ、シャドウ様が完璧な変装をなされている学園生活の最中にで目立つようなことはありませんよね」

 

胸をなでおろした様子で彼女は言う。

と、同時に新しい客が入ってきたのか気持ちのいいコロンコロンと扉につけられた鐘がなった。

結構この店人気なのかな、とか思いながらカフェオレに再び口をつけようとすると、またしてもベータが話しかけてくる。

 

だが、今までと決定的に違う点として──

 

「あの女、誰ですか」

 

と、どす黒い雰囲気を隠す気もなく放っていた。

彼女が指を指す方向を追ってみるとそこには

 

 

アレクシアとシドがいた。

 

あ、俺死んだわ。




語彙力が足りんなぁ。
あと、文のテンポが悪い。
努力します。
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