友奈と園子は謎の白い空間にいた。
そして扉には、謎のメッセージ。

あらすじは適当

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〇〇しないと出られない部屋

「──ゆ、ゆーゆ~」

 

 聞き慣れた声、ふわふわした喋り方……そして、私をそう呼ぶ人は一人しかいない。

 

「んっ……園……ちゃん?」

 

「ゆーゆ~、ゆーゆと同じクラスで、同じ勇者部の乃木園子だよ~」

 

 そう言って園ちゃんは、いつものように柔らかい笑顔で微笑む。

 その笑顔を見ているだけで、起きようとしている私の意識がまた夢の中へ沈みそうになる。

 

「ゆーゆ、まだおねむ~?」

 

「ううん……もう起きる……」

 

 お休み状態な身体をなんとか起こそうと力を入れる。そんな時、頭を柔らかい何かが触れた。

 

「ゆーゆ、まだ寝てて良いんだよ~、私が優しく撫でてあげる~」

 

 園ちゃんの手が、ゆっくりと私の頭を撫でる。

 とっても気持ちよくて、暖かくて、なんとか持ち上げようとしていた身体からどんどん力が抜けていってしまうのがわかった。

 それほど、今の状態が心地よかったから。

 

「ゆーゆ、おやすみ~」

 

 園ちゃんによる甘い誘惑、私はそれに従おうとして、改めて目を瞑る。

 そうして少しずつ薄れていく意識の中で、私はあることを考えていた。

 

(枕、凄く柔らかくて、気持ちいい……)

 

 先程から私の頭を支えてくれていた枕、すべすべしてて、あったかくて、それでいてちょうどいい弾力があって……これって一体何だろう……?

 そんなことを考えながら、私は再び眠りについていた。

 

──────────

 

「園ちゃん、足痛くない? 大丈夫?」

 

「えへへ、ゆーゆの寝顔、しっかり堪能したから満足なんよ~」

 

 流石に二度目と言うこともあってか、私の眠気は完全に消えている。

 だからこそ、私は自分が枕にしていたものの正体に気づいた。

 私が枕にしてしまっていたものは、園ちゃんの太もも、つまり園ちゃんは私が寝ている間、ずっと同じ体制でいたということになる。

 

「本当にごめんね……」

 

「いいよいいよ~、それよりもゆーゆ、私のお膝、どうだった~? 気持ちよかった~?」

 

「うん! なんかもう……言葉じゃ表せないくらい!」

 

「お〜、そこまで言われると照れちゃうね〜。でも、喜んでくれたみたいで良かったんよ!」

 

 そう言って笑う園ちゃんを見て、私もつられて笑顔になる。

 そんな中、園ちゃんは思い出したように言った。

 

「そういえばゆーゆ……ここ、どこ?」

 

 

 

 

 

「…………え?」

 今私達がいる部屋は、見渡す限り一面ピンク、家具とかも全くないし、家って感じじゃなかった。広さも部屋一つ分くらいだと思う。

 

「私もね、気づいたらこの部屋にいたんよ」

 

「うーん、園ちゃんもわからないんだ、一体どこなんだろう?」

 

「とりあえず悩んでてもしょうがないし、あそこの扉に行ってみよ~」

 

 園ちゃんを向いてる先、そこには紫一色で染められた扉があった。

 それ以外にこの部屋に何かある。というわけでもなかったため、私は園ちゃんと一緒に扉の前まで行く。

 

「ねえ園ちゃん、これってどうやったら開くのかな?」

 

 扉には、取っ手、そしてその上に何かよくわからない機械があった。

 取っ手を持って色々してみるけど、押しても引いても音が鳴るだけで開くことは無い。

 

「どれどれ~、うーんこれはあれだね~、何か切っ掛けを作れば自動で開くタイプの扉だと思うんよ」

 

「切っ掛け?」

 

「うん、ほらそこ、何か書いてあるんよ」

 

「えっと……あ! ほんとだ、何か書いてある」

 

 扉の上部、そこには園ちゃんの言う通り、文字が書いてあった。

 

『お互いを強く抱きしめ合わないと出られない部屋』

 

「……園ちゃん、これって、どういう意味なんだろう?」

 

「言葉通りだと思うよ~? 私とゆーゆがぎゅ~ってすればいいんよ!」

 

「そっか! じゃあ、ぎゅっ!」

 

「ゆーゆあったか~い」

 

「園ちゃんもあったかいよ!」

 

 こうやって園ちゃんと抱きしめ合ってると不思議と落ち着く。

 でも、いつまでこうしてればいいんだろう?

 

「園ちゃん、本当にこれで開くのかな?」

 

「多分そろそろ開くと思うよ~」

 

 そうしていると、ガチャ、という音が聞こえてきた。

 

「開いたみたいだよ~」

 

「よかった〜、それじゃあ帰ろっか」

 

「うん!」

 

「帰ったら東郷さんのぼた餅が食べたいなぁ」

 

「……そうだね……ゆーゆ、せっかくだし、手つなご~」

 

「いいよ! はいっ!」

 

「ありがと、ゆーゆ……帰ったらわっしーに謝らないとだね~」

 

「そっか、もしかすると心配してるかもしれないもんね」

 

 私達がここに閉じ込められてからどれくらいの時間がたったのかはわからないけど、アプリが使えない以上勇者部の皆と連絡がとれない。もしかしたら心配してるかもしれないし、園ちゃんの言う通り帰ったら謝らないといけなかった。

 

「あ……れ?」

 

 そんな事を考えながら扉を抜ける。だけどそこは先程と全く同じ部屋があった。

 

「えっと……園ちゃん、これってどういうことだろ?」

 

「さっきと同じ部屋だね、扉の見た目も同じだ~」

 

 私達から見て正面、そこには、先程と全く同じ見た目の扉があった。

 

「また文字があるんよ」

 

『お互いの好きなところを三個言わないと出られない部屋』

 

「えっと……園ちゃんの好きなところを言えばいいんだよね? 多分」

 

「そうだね、それで開くはずなんよ」

 

 さっきと同じように、何でもないものだった。なんでこれで扉が開くのかわからないけど、難しいわけじゃないから深くは考えなかった。

 

「よーし! まず私から行くね!」

 

 園ちゃんの好きなところ、たくさんあってどれから言うか迷っていた。

 

「えっとね、まず性格! 園ちゃんと一緒にいると毎日楽しいの! あとね、物知りだから色々と助けてもらってるし、私が慌てても冷静に判断してくれるでしょ? 今だって私一人だと進めなかったと思うし、あとねあとね――」

 

「ゆ、ゆーゆストップ! やっぱり私から話してもいい?」

 

「え? いいよ?」

 

 どうしたんだろう?

 慌てる園ちゃんの顔は気のせいか赤く感じる。何かいけないことを言ってしまったのかもしれないと、少しだけ不安になった。

 

「ゆーゆの好きなところはね、いつも明るくて、周りを照らしているところ、ゆーゆといるとすっごく元気になっちゃうんだよ」

 

「そ、そっかぁ、えへへ、なんだか嬉しいな! 次は私からかな?」

 

「それでもいいんだけど~、まず私から3つ言っちゃうね。

 

「うん!」

 

「ゆーゆの手が好き。ゆーゆに触られてると凄く身体がぽかぽかして、心地いいんよ、流石ゴッドハンド友奈って言われるだけあるね~」

 

「ありが……え!? 私ってそんな風に呼ばれてるの!?」

 

「たまにそう呼ばれてるよ~」

 

 私はここで、初めて自分の通称について知った。確かにマッサージとかはよくしてたし、その度に皆とっても気持ちよさそうな声を出してくれてたけど……

 そんなことを考えてる中で、園ちゃんの話は続いていた。

 

「じゃあ最後だね、ゆーゆの付けてくれたあだ名が好き。結城友奈っていう女の子が、唯一あだ名で呼ぶ存在、それが私であることがすごく嬉しい」

 

「そ、園ちゃん、そんなに私がつけたあだ名、気に入ってくれてたんだね。なんだか照れるなぁ」

 

「これからも私のことをあだ名で呼んでね、ゆーゆ」

 

「うん! 園ちゃん! じゃあ私も、残り二つ言うね!」

 

「よしきた~」

 

「園ちゃんの髪、綺麗で好き! 私と違って長くて、すっごく丁寧に手入れされてるってわかるの。私じゃ絶対髪を痛めちゃうもん。それにね、シャンプーも多分いいの使ってるからかな、いい匂いがするの」

 

「あはは~、髪をそんなに褒められたの初めてかも〜。自分では匂いとかわからないんよ」

 

「そうなの? 私は園ちゃんの香り好きだよ! 優しくて甘い香り」

 

「あ、ありがとう、ゆーゆ。なんか恥ずかしいな〜」

 

 そうして恥ずかしがってる園ちゃんは、すごく新鮮で、すごく可愛かった。

 そんな中、今の発言に今更恥ずかしくなっている自分がいた。

 

「あはは……さ、最後だね、うーん、悩んじゃうね」

 

「ちょっと期待しちゃうんよ」

 

園ちゃんの好きなところ、いっぱいある。

 

「えっと……じゃあね、園ちゃんの寝てる時の表情かな」

 

「すやすや〜ってしてる時の表情?」

 

「うん! すごく幸せそうに寝てて、見てるだけで和むというか、私まで眠くなっちゃうんだぁ」

 

「そっかそっか、ならこれから眠れない夜は私が一緒に寝てあげるよ〜、そうすればゆーゆは快眠間違い無しなんよ!」

 

「えぇ!?  それはちょっと悪いよ……」

 

 それは園ちゃんがわざわざ家から来てくれるということ、確かに園ちゃんならすぐ来れるかもしれないけど、そこまでしてもらうのは申し訳ない。

 だけどその言葉を言った瞬間、園ちゃんの顔が少しずつ曇っていった。

 

「ゆーゆにいらない子扱いされた〜、しくしく」

 

「わああ!? ご、ごめん園ちゃん! えっとえっと……じゃ、じゃあ本当に眠れない夜はお願いしよう……かな?」

 

「やった! 約束だよ!」

 

 そうして園ちゃんは、いつもの笑顔に戻ってくれた。

 でも、どうして一緒に寝てくれようとするんだろう?

 

「うーん…………まあいっか!」

 

「どうしたの? ゆーゆ」

 

「何でもない! 行こ、園ちゃん!」

 

 私が考えても答えは出ない、それよりも今は、ここから園ちゃんと一緒に出ることが大事だ。

 さっきと同じように私達は手を繋いだ。

 

「ねぇ……ゆーゆ」

 

「なに? 園ちゃん」

 

「出られるといいね、ここから」

 

「うん!」

 

 こうして、私と園ちゃんはまた歩き出した。

 

──────────

 

 あれから、私達は何個かのお題をやった。

 それはなんでもないのや、おかしなものとか色々だった。

 

「いつまで続くんだろうね、このお題」

「うーん、どうだろうね~、だいぶ進んだはずではあるんだけど」

 

そんな話を園ちゃんとしながら、次のお題を見る。

 

『キスしないと出られない部屋』

 

「ききき、キス!?」

 

思わず大きな声で叫んでしまう。

キスなんてしたこともなかったし、今までのお題の流れで、まさかこんなお題が来るなんて思わなかった。

 

「ゆーゆ」

 

「は、はい!!」

 

園ちゃんの声を聞いた瞬間、身体がビクリと反応してしまう。

 

園ちゃんは真剣な眼差しをこちらに向けている。

なんだか恥ずかしくなって、つい目を瞑ってしまう。

 

「そのまま目を閉じていてね」

「う、うん」

 

 一体何をされるんだろう。いや、そんなの決まってる。

 今から園ちゃんにされるんだ、私。

 

「ゆーゆ、可愛いよ~」

 

 園ちゃんの声が、すぐ目の前で聞こえた。

 もう数センチのところまできてるのか、それとももうちょっと離れてるのかわからない。

 目を瞑る力が強まり、園ちゃんの息遣いだけがはっきりと聞こえる。

 

(恥ずかしい……心臓の音、園ちゃんに聞こえてない……かな)

 

 自分でもはっきりと聞こえるくらい、私の心臓の鼓動は早く、大きくなっていた。

 もしかしたら園ちゃんに聞こえてるかも、そう思うと余計にドキドキした。

 

「じゃあゆーゆ、目、開けないでね~、いくよ?」

「うん……き、きて」

 

 園ちゃんの左手が頬に触れ、園ちゃんの吐息が唇に触れた。

 そして──

 

「チュッ」

 

 その声と同時に、私の唇に柔らかい感触が触れた。

 くすぐったくて、だけどなんだか心地よくて……

 

「ゆーゆ、私とのキス、気持ちいい?」

 

 キスをしてる最中、園ちゃんは私にそう聞いてきた。

 だけど私はキスに夢中で、答えたいけど、離したくなかった。

 

(気持ちいい、もっとこうしてたい)

 

 そんな思いで頭が一杯になる。

 産まれて初めてするキスに、私の心は完全に奪われていた。

 

──────────

 

「ゆーゆ、そろそろ終わろっか」

 

 園ちゃんのその言葉に、私は名残惜しさを感じていた。

 

(もっとしてたかったけど、仕方ないよね……)

そう思って顔を離し、ゆっくりと瞼を持ち上げる。

 

「ゆーゆ、気持ちよかった?」

「う、うん……なんだかね、頭の中がぼーっとして、ふわぁってなったの」

 

 そんな私を見て、園ちゃんは微笑んでいた。

 それだけで私は嬉しくなって、幸せな気分になった。

 

「じゃあ園ちゃん、行こっか! って、あれ……あ、開いて、ない」

 

 扉が開かなかった。確かにキスはしたし、今まで通りなら普通に開けるはずの扉は、うんともすんとも言わなかった。

 

「そ、園ちゃん、どうしてだろう……?」

 

 今までとは違う展開、私は少しだけ不安になっていた。

 そんな中、園ちゃんは私と違い全く動じてなく、それを見た瞬間私は安心した。

 

(やっぱり園ちゃんは頼りになるなぁ)

 

 そんなことを考えつつ、園ちゃんの返事を待った。

 

「だってゆーゆ、私達、まだキスしてないもん」

 

「………………え?」

 

 この時私は、鳩が豆鉄砲をくらった。そんな表情をしていたと思う。

 

(で、でもさっき、私は園ちゃんとキスして、気持ちよくて、それに、それに……)

 

 私が取り乱してる中、私は一つだけ、ある違和感を思い出す。

 

「あ、あれ……そ、そういえば園ちゃん」

 

「なーに?」

 

「た、確かさっき、キスしてる最中、園ちゃん喋ってなかった?」

 

 そう、私が園ちゃんのキスに夢中になってた時、確か園ちゃんは私に話しかけてた。

 あの時は意識してなかったけど、今ならはっきり思い出せる。

 すると園ちゃんは、悪戯っぽい笑みを浮かべた。

 

「ゆーゆ、ちょっと唇に触るね」

 

 園ちゃんが指を真横に向け、私の唇に指の腹を触れさせた。

 

(あれ……この感触)

 

 それは、私がキスした時にずっと感じていた、柔らかさだった。

 

「ゆーゆ、気づい「ああああああああー!!」わわ、びっくりした~」

 

 園ちゃんの言葉を遮るように、大声を出してしまう。

 園ちゃんはびっくりしてたけど、私はそれどころではなかった。

 

(恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい!!)

 

 私は両手で顔を隠して、そのまま床にしゃがみこんだ。

 沸騰しそうなくらい暑くて、さっきまでの幸せが全部吹き飛んでしまう。

 

「ゆーゆ、すごく可愛かったよ~」

 

「うぅ、そ、園ちゃんのばかぁあ……」

 

「ごめんね、ゆーゆ。ちょっと意地悪しちゃった」

 

 そう言って自分の唇に人差し指を当てる園ちゃんは、なんだか色っぽくて、私は指の先にある唇に、吸い込まれるように視線を向けてしまった。

 

「じゃあゆーゆ、今度こそ、しよっか」

 

「……あ、え、えっと……何を?」

 

 唇に向けていた視線を慌てて外し、園ちゃんに聞き返す。

 

「だからキスだよ〜。ゆーゆ、ここから出るためにはちゃんとキスをしないとだからね~」

 

(ど、どうしよう……また緊張してきたよぉ)

 

 そんな気持ちのまま床から立ち上がると、園ちゃんの顔が一気に近づいてきた。

 

「ま、まって、まだ心の準備が──」

 

 園ちゃんの視線が私と少しずれ、それと同時に、頬に柔らかい感触が触れた。

 

「え? え?」

 

(ほ、頬にキスされた? 唇じゃなくて……?)

 

 私が混乱していると、園ちゃんは説明するように口を開いた。

 

「どこにキスするか、は指定されてないからね~、頬でも……ほら、鍵開いたよ~」

 

 園ちゃんの言うとおり、鍵の開く音、そして扉を園ちゃんが開いてる姿が見えた。

 

「え、ま、まって園ちゃん、き、キス……」

 

「どうしたの? ゆーゆ」

 

「な、なんでも……ない」

 

 本当は、なんでもなくない、だけど園ちゃんに迷惑がかかるような気がして、何も言えなかった。

 

(唇じゃなくても出られるんだ……でも、でも……唇に………)

 

 そこまで考えて、私は今、とてつもなく恥ずかしいことを言おうとしていることを理解して、思いとどまる。

 園ちゃんとここから無事出ること、それが何よりも大事なんだと自分を納得させて、園ちゃんの手を握った。

 そんな時だった──

 

「ゆーゆ、大好きだよ」

 

「園ちゃん? 急にどうし──」

 

 突然の言葉に私が戸惑っていると、急に園ちゃんの顔が目の前に現れ、次の瞬間、私は園ちゃんにキスされていた。

 

(園ちゃんとのキス、気持ちいい……)

 

 どうして急に、とか、思うことは色々ある。だけど、今は、そんなことを全部忘れていた。

 今はただ、この幸せな一時を味わいたい。考えるのはまた後でいい。そんな風に思っていた。

 

(園ちゃん、私も大好きだよ…………)

 

──────────

 

「じゃあゆーゆ、行こっか」

 

「う、うん、そうだね」

 

 園ちゃんと手を繋いで次の部屋へと向かう。だけど私は、先程のキスのことで頭がいっぱいになっていた。

 唇にはまだ、園ちゃんの感触が残っている。そんな気がした。

 それがなんだかとても恥ずかしくて、だけど嬉しくて、幸せで、時折自分の指を唇に触れさせると、さっきのキスを思い出して、さらに恥ずかしくなる。

 

(うぅ……私、どうしちゃったんだろう)

 

 そんなことを考えているうちに、私達は次のお題へとたどり着いた。

 

「ゆーゆ、多分これが最後のお題だよ」

 

「わかるの?」

 

「なんとなくね~、経験則ってやつなんよ」

 

 目の前に立つのは、今までの何も変わらない、相変わらず紫一色の扉、私にはわからないけど、園ちゃんの言う通りならこれが最後のお題。

 

(これをクリアできれば、外に……)

 

 私はそう思いながら、書かれているお題に目を向ける。

 だけどそのお題を見た瞬間、私の頭には疑問符が浮かんでしまった。

 

『お互いを強く抱きしめ合わないと出られない部屋』

 

「こ、これって……最初の部屋でやったこと……だよね?」

 

「うん、そうだね~」

 

 どうしてまたこれが?

 もしかしてループしてるの?

 そんな不安が頭をよぎる中、私は思い出す。

 

『ゆーゆ、多分これが最後のお題だよ』

 

 園ちゃんが言ってくれた、あの言葉。

 それを信じて、私は不安を頭から振り払った。

 

「ゆーゆ」

 

「うん」

 

 園ちゃんが広げた両腕の中に、私は入り込む。

 お互いの心臓の音が聞こえるくらい、強く、強く抱きしめ合う。

 

「ねぇ……ゆーゆ」

 

「なーに? 園ちゃん」

 

「大好きだよ」

 

 そう言って、園ちゃんの力が強まる。

 私もそれに答えるように、園ちゃんを力一杯抱き締めた。

 

「私も……私も好き……好きだよ」

 

 ありったけの気持ちを込めて、何度も、何度も園ちゃんに伝える。

 だけどそれでも言い足りない。もっと伝えたい。そんな思いが溢れ出す。

 

(そっか……私、園ちゃんのこと……)

 

 心の中がポカポカする。園ちゃんと抱き合うこの時間がとても幸せで、多分もう扉は開いてるのに、私は離れることができなかった。

 

「あの……ね……園ちゃん、目を瞑っててくれないかな……」

 

「……うん、いいよ~」

 

 園ちゃんの首に手を回す。とても恥ずかしい、だけど、言葉だけだと、今にも溢れてしまいそうなこの気持ちを伝えきれないから。

 

 

 

 

「園ちゃん、大好き」


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