パワフル緋真さん   作:汚名卍解

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前回、「白哉も緋真もなんかチョロい」という意見が見られますが、それは単純に作者の技量不足です。
ぶっちゃけ早く2人をくっつけたくてあんな展開になりました。正直反省してます。


報告する緋真さん

 

 

はいどうも。遂にイケメンな彼氏が出来て舞い上がってる緋真さんです。

 

まさか白哉さんがあんなに褒めてくれるとは思わなかった。

 

しかも私のスタイリッシュバトルスタイルを褒めてくれたのが一番嬉しかった。

あんなの惚れるしかないでしょ!

私の彼氏世界一カッコイイ!

 

まぁそんなこんなで、私と白哉さんは現世から帰省。

 

報告書さっさと書いて提出した時、「なんか被害酷くないですか?」て言われたけど、

 

「「全て(ホロウ)の仕業(だ)です」」

 

って事でごり押した。すまんな名も知らぬ中級大虚(アジューカス)

そんで報告を終えた後は、白哉さんと別れる事となるけど

 

「次はいつ会えますか?」

 

白哉さんとはいくら個人的な付き合いが出来たけど、職場としては完全に別の部署だ。

十一番隊と六番隊の繋がりは薄い。

多分、仕事中は滅多な事が無いと出会う事は無いだろう。

 

「お前は、月に一度更木剣八とよく試合を行うのだろう?ならばその時に私が十一番隊の隊舎に行こう」

 

「そんな白哉さんに悪いですよ…」

 

貴族様の白哉さんに足を運んでもらうのは正直かなり気が引けるんですが…

 

「いいんだ…私がお前の戦う姿を見たいのだ」

 

なんだその理由照れるじゃん。口説いてんのか?いや既に口説かれてたわ

 

「緋真…お前はこのままで終わるつもりは無いのだろう?」

 

「次の更木剣八との決闘を楽しみにしている」

 

ちょっと待って…流石に照れる…

顔アッツいんだが?

 

「はい!頑張ります!」

 

そこまで言われたら仕方ねえ!

帰ったらすぐ特訓じゃぁぁぁ!!!

 

 

 

 

 

あ、忘れない内にお土産配ってこないと…なんかこの時間すら惜しいんだけど…

てか私のいない間に仕事とか溜まってないよね?

 

速く修行したい…

 

 

 

 

そんで現世からのお土産を配り終えた後は、鼻歌交じりに溜まっていた仕事をこなす。

 

普段は淡々と仕事をこなすのが普通なんだけど、白哉さんという彼氏が出来た私は上機嫌なのだ。

こうゆう時くらいは浮かれて上機嫌に仕事しても良いだろう。

 

「よう…戌吊。なんかあったのか?」

 

なんか一角さんが少し不気味がりながら聞いてくる。

何をそんな不気味がる必要がある?

こちとらちょっと浮かれてるだけだぞ

 

「実はですね…」

 

ここには一角さんと弓親さんしかいないな…

せっかくだ。一角さんや弓親さんなら言ってもいい良いだろう。

 

「私、好きな人が出来たんです!」

 

本当はちゃんとお付き合い初めてるんだけど、まだまだ付き合い始めたばかりだ。

白哉さんに配慮してこれくらいのカミングアウトで良いだろう。

 

「…………………可哀想」

 

ちょっと待てや、かつてないマジトーンで出たのがその台詞ってどういう事じゃあ⁉︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

綾瀬川弓親は緋真の事は好きでもなければ嫌いでもない。

一角の一件以来はそれなりに好感を抱いている。

良くも悪くも彼女は真性の十一番隊だと弓親は思っている。

 

「それでですね。その人がすっごくカッコイイですよ!」

 

その彼女が自身の好きな人の事を楽しげに語っているのが意外だった。

相手の名前こそ言っていないが、相手の男が自分を褒めた事や容姿がカッコイイなどとニコニコと笑いながら話す彼女は可愛いらしい普通の女の子そのものだ。

だが、その手は一角を掴み()()()()()()()()()()

一角を殴る打撃音をBGMに自分の好きな人の事を語る光景は実にシュールで弓親は苦笑いしか出来なかった。

 

正直言って弓親も一角と同じ感想だった。

 

それはある意味で当然の答えだ。

普通に考えて、普段の緋真は仕事もこなし常に敬語で話し物腰も柔らかい魅力的な女性だ。

だが、彼女が男性から人気があるという話は聞いた事が無い。

 

それもその筈、なぜなら彼女はその容姿や人柄よりもその“強さ"と“凶暴性"が真っ先に出てくるからだ。

 

緋真の強さは度々行われる更木剣八との決闘で広く知れ渡っている。

その戦闘スタイルは、主に居合を使った斬術。

その剣技には弓親も美しいと思う所はある。

だが、皆が彼女を畏怖するのは一度怒らせたら相手をとことんブチのめす()()の方だ。

 

緋真は院生時代の頃から自分に難癖をつける者が現れると()()報復する。

戌吊出身という事でタチの悪い貴族のボンボンの生徒から嫌がらせを受けた事があったが、彼女はすぐさま報復に動いた。

その報復でその貴族の生徒は実家に泣きつき、緋真を排除しようと動いた事もあった。

 

だが緋真は()()()()()()()()()()()()

 

貴族の雇った兵隊やお抱えの用心棒などを刺客として差し向けられても、それら全てを返り討ちにし、その貴族の家まで単身で乗り込んだ事もあった。

その結果、その貴族は壊滅し没落したと弓親は噂で聞いた。

 

緋真は自身に喧嘩を売った者に容赦はしない。

本人曰く「殺してないからセーフ」らしいが、回道を使って死んだ方がマシなような体験を相手にさせてトラウマを植え付ける。

 

それが緋真という女性の性質だ。

 

更木や卯ノ花のような強い者なら血気盛んで大歓迎の性質だろうが、彼女に敵わない平隊員のような下の者達からすればたまったものではない。

というか弓親や一角でも彼女には逆らえない。

何故なら卍解した緋真には勝てる気がしないからだ。

一角も弓親も卍解の修練は積んでいるが、まだ実力には差がある。

だからまだ一角や弓親にとって緋真は更木剣八の次くらいに恐怖の対象でもあるのだ。

 

故に緋真に好きな人が出来たというのは、一角や弓親にとって相手に対して同情しか湧かなかった。

 

弓親はとりあえず緋真がもし自分の女だった場合を想像する。

 

自分の名前を呼びながら、たまに斬り合いを要求し、彼女と過ごす生活

 

「………こっわ

 

そこまで想像して、絶対零度の如き悪寒が弓親を襲い、弓親は強制的に思考を止めた。

 

「何か言いました?」

 

気づけば緋真は既に瀕死となっている一角を殴る事をやめていた。

もしまた失言をすれば次はおそらく自分の番だ。

 

「いや…なんでもないよ。いい出会いがあって良かったね。応援してるよ」

 

自分の美しい顔をタコ殴りにされたくない弓親は精一杯の笑顔を顔に貼り付けて、緋真の出会いを応援する。

 

 

それよりも弓親は緋真が頑なに相手の名前を言おうとしない事に違和感を抱く。

 

「ねえ、もしかして相手の人って貴族?」

 

頑なに名前を出さないのは相手に迷惑がかからないか気を使っての事だろう。

貴族が相手だと公表する前に周りに知られるだけで、それが弱味になる事もある。

 

「え…なんで分かったんですか?」

 

「そこはなんとか隠し通そうよ…」

 

どうやら弓親の想像通りだったらしい。

貴族が相手となれば、これからは彼女に相応の困難が降りかかる。

 

(いや……正確には相手の方が大変だなこれ…)

 

貴族となれば必ず反対意見が出てくる。ましてや緋真は戌吊という流魂街でも最下層に近い街の出身だ。彼女の事を拒否する者が現れるのは目に見えてる。

 

その反対する者を、緋真は絶対に握り潰すだろう。

 

(願わくば…ちゃんと相手と結ばれて子どもが生まれるなりして、少しは大人しくなってくれると助かるんだけどな…)

 

それはおそらく叶わぬ願いだろうと、弓親は半ば諦めつつも願わずにはいられなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 




一方その頃、朽木邸

銀嶺「白哉、最近調子はどうだ?息災か?」

白哉「最近好きな女が出来ました」

銀嶺「……………………え?」





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