パワフル緋真さん   作:汚名卍解

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今回の話は外伝的な話で本編と関わりの無い話です。ちょっとオリキャラとオリジナル武器が出てきます。

単にこういう話が書きたかっただけなので深い意味はありません


武器を作る緋真さん

 

「私もネロのロールプレイしたいです」

 

仕事が早く終わったので、早々に帰宅し自室で刃禅して精神世界に入った私は、夜魔刀が再現したDMC3を久々に遊んでいた。

 

「あの…聞いてます?」

 

邪魔すんな。今バージル相手に戦ってんだ。SSS途切れるだろうが

 

「……」

 

あー⁉︎コンセント抜きやがったな夜魔刀テメェ⁉︎

 

「コンセント返してほしくば私の意見を聞いてください」

 

もう…仕方ないな…

で、なんだっけ?

 

「私もネロのロールプレイをしたいって話ですよ」

 

あーその話か…

でもなぁネロの戦法は大剣とか銃とか使うし、再現するのは難しいよ。

 

「また幻影剣とかの応用でなんとかなるでしょ」

 

大剣はな。でも銃は流石に無理だろ。

 

「じゃあ、4の魔人化した時のアクションとかでいいですから」

 

必死だなお前。

確かにショウダウンとかそういう大技とかなら出来るとは思うけど…

 

「それでいいですよ。今度私もスタンドみたいにご主人の真似した動きで斬りつけたりしますから」

 

それもネロの魔人化ロールプレじゃん。

 

「本音を言えばチャージショットとかやりたいですが…」

 

それやろうにも尸魂界には銃が無いしな…

瀞霊廷じゃあ銃の知識は火縄銃で止まってるし…

特に銃の知識とか無い私には開発とか無理でしょ?

私が知ってるのなんてオートマかリボルバーくらいな物だ。

 

「……そうですよ!作れないなら持ってくればいいんですよ!」

 

どうした急に?

言っておくけど、現世の物を瀞霊廷に持ち込むにはちゃんと現世のお金で買った物じゃないと規則違反で処罰されちゃうよ?

 

「なら買ってしまえばいいんですよ。モデルガンを」

 

え、本物の銃じゃなくてモデルガン買うの?

 

「少々手間がかかりますが、そのモデルガンを本物の銃のように改造出来るかもしれません」

 

マジで⁉︎

もしかしたらDMC3の銃二つ使った『Jack Pot』みたいな事出来る⁉︎

 

「その時はお付き合いしますよ」

 

よし!その話乗った!

 

「よし計画通り…」

 

なにニヤついてんだオメェ

さっきコンセント抜いた恨みは忘れてねぇからな?

 

歯ぁ食いしばれ

 

「…え?」

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで、私はちょうど現世への出張任務があったので現世に行ってとっとと任務終わらせたついでにモデルガンを買ってきた。

 

人気の少ない場所に移動し買った中身を出す。

 

そこにはM1911通称ガバメントの黒のモデルガンだ。

 

(なぜガバメントを買ったんです?)

 

ダンテの銃はガバメントをベースにしてるみたいだしさ。

せっかくなんで買ってみた。

 

(そうですか…どうせならリボルバーが良かったな…)

 

文句言うなし。

んで、これからどうすんの?

 

(じゃあちょっと私の指示通りに霊力を込めながら文字を刻んで貰えます?)

 

あいよ

何を刻めばいいの?

 

(破道の一 (しょう)の詠唱ですよ。その詠唱をその銃に刻んで欲しいんです)

 

なんじゃそれ?

と、思いつつも夜魔刀の思惑は大体察した。

 

私はちょっとやり辛いけど斬魄刀でモデルガンのグリップに霊力を込めながら詠唱を刻む。

 

かなり不恰好だけど、なんとか刻む事が出来た。

後は、卍解して刃王閻魔刀でそのモデルガンを斬りつける。

 

モデルガンを斬るのではない。

モデルガンの持ってる“器子(きし)"という()()()()()。まだ私は概念を斬るのは慣れてないけどこれくらいならまだイケる。

 

今更だが、BLEACHの世界には霊子の他に現世が構成する“器子"が存在する。

私が斬ったのはその器子という概念そのもの。

器子と霊子の境界を曖昧にして、このモデルガンは通常の人には見えない存在となっているだろう。

 

卍解をしまい、モデルガンを手に取り、更にそのモデルガンに霊力を込める。

 

すると刻まれた“衝"の文字が輝き、その銃に少しだけ霊圧を吸われる。

試しに引き金を引くとモデルガンの銃口から霊圧の弾が発射された。

 

「一応成功かな?」

 

(まあ及第点と言った所でしょう)

 

今の私のやった一連の動作は銃そのものに鬼道の詠唱を刻み、器子と霊子の境界を取っ払って、モデルガンを霊子の世界でも有効な武器に仕立て上げただけだ。

 

ちなみになんで『衝』なのかというとそれがこの鬼道が一番銃との相性が良いと思ったからだろう。

 

他の鬼道だと銃そのものが耐えられないと思ったからだ。

銃は脆い。多分白雷でも反動で壊れちゃう可能性がある。だからこその『衝』なんだ。

『衝』は手から霊圧の衝撃波を放つ鬼道。

最も弱い鬼道だけど、衝撃波という最も銃に負担が小さい鬼道だ。

 

ちなみに衝の詠唱を刻んだのは、込められた霊圧を自動で放つ機構を銃そのものに組み込む為だ。

込められた霊圧は衝によって圧縮され銃弾となり、トリガーにもかけられた衝で弾が発射され当たると込められた鬼道が炸裂するという仕組みだ。

 

あ、ちょうどいい所に虚発見。実験体にしよ

 

「破道の三十三 蒼火墜」

 

試しに蒼火墜を放つと、先程と同じように霊圧の弾が発射され虚に当たると蒼い炎が炸裂した。

 

「破道の四 白雷」

 

続いて白雷を撃つ。

すると銃口から霊圧の弾が出て、当たると白雷が発動し、虚の体を貫いた。

 

これ光線とか放つ鬼道とは相性悪いな…

 

でも、これで霊体にダメージを与える銃の完成だ。

 

これでもしかしたら『Jack Pod』出来るかもしれない。

 

よーし、さっさと帰ろ!

 

あ、虚倒し切れてなかった。次元斬放っとこ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「コレを武器として使うならあんま現実的じゃあねぇなァ」

 

「は?」

 

帰った私は、ウキウキで白哉さんに銃見せてみたら、「面白い発明だと思うが、良ければ鬼道衆の者を紹介しよう。もしかしたら威力不足を改善出来るかもしれん」とか言って朽木家のツテを使って鬼道衆の人を紹介してもらった。

 

紹介された人は現鬼道衆総帥の大鬼道長【宇餓鬼(うがき) 吟一郎(ぎんいちろう)

 

綺麗な黒髪を腰まで届くくらいに長い長髪に人相は悪いが端正な顔立ちをした男性だ。タバコ吸ってるけど。

なんでも先代の鬼道長の弟子だった人らしい。

先代が罪を犯して尸魂界を脱走し、その後釜に収まったのが彼らしい。

 

鬼道の腕は誰もが認めるほどの技術がある人だけど、欠点として誰に対しても口が悪い所があげられる。

貴族だろうが目上の人であろうがお構いなしに罵倒したりするから彼を嫌う人も少なくないらしい。

 

そんな大鬼道長が私の作った銃を見て

 

「プッ……ハハハハハハハハ!ウケるぜ!頭おかしいんじゃねぇのあんた⁉︎ハハハハハハハハ!」

 

て言われた。

スゲェなコイツ。人をイラつかせる天才か何か?

そんでひとしきり笑った後に「武器として使うなんて現実的じゃない」って駄目だしだよ。

マジでぶった斬ってやろうかな?

 

「おっと、悪い意味で捉えないでくれ。勿論好意的な意味での“頭おかしい"だよ」

 

「物体に詠唱刻んで術を行使しようって試みは良い着眼点だ。だがそれを現世の器子に刻んで霊体に有効な武器にしちまうってのは頭おかしいとしか言いようがねェだろ」

 

「一体どんな手を使ったんだ?」

 

そりゃあ私の卍解で概念ブッタ斬って…

 

「概念ぶった斬る⁉︎かぁー!ますます意味不明だなアンタ!アハハハハハハハハハ!」

 

卍解使って概念斬った事伝えたら爆笑された。

どうしよう…もう斬っていいかな?

斬るのは駄目でもせめて殴ってもいいよね?

殴るのならセーフだよね?

 

「おっと落ち着いてくれ。拳を構えるな。剣を抜くなァ」

 

「褒めてんだよこう見えてもアンタをさァ…」

 

いい加減に詳細を話せや

 

「はいはいっと…そんな今にも殺そうとする眼で見なさんな」

 

「とりあえずこの銃をオレにくれねェか?場合によっちゃあ量産出来るぜ?」

 

マジで?ならあげよ

 

「それならどうぞ。私の分の他にもう一つください。妹に贈りたいので」

 

まだまだルキアは弱い。ちょっと原作とは違うがルキアにプレゼントして武装を一つ増やすのもアリだろう。

 

「あいよ。感謝しとくぜ。朽木四席」

 

よし、これでコイツと会話しなくて済む。

なんかムカつくんだよなコイツ…

 

私はこの腐れ鬼道長の執務室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宇餓鬼 吟一郎は己を天才だと自負している。

 

斬術はさっぱりだが、他の分野は正に天才。

どれも隊長に匹敵し、鬼道のみで卍解した隊長とすら渡り合う実力者だ。

 

その天才でも銃を鬼道を放つ補助武器にしようなんて発想は無かった。

 

「どんな頭してたらこんな事思いつくのかねェ…」

 

緋真が改造したモデルガンを眺めて宇餓鬼は呟いた。

 

「もうちょい丁寧に詠唱書けっての…」

 

まるで子どもの落書きのように刻まれた衝の詠唱を見て宇餓鬼は笑うしかなかった。

 

「さて、技術開発局にちょいと協力を要請するか…」

 

緋真のやった鬼道の詠唱の刻印は歴史上でもよくある技術だ。

だが、それで器子と霊子の境界を曖昧にして霊子でも器子でも無い存在へと変えるというのは聞いた事が無い。おそらく緋真が初めてだろう。

 

自分でも出来ない事は無いが、量産する為には技術開発局の協力が不可欠だ。

何より銃の知識など尸魂界では火縄銃の段階で止まっている。

ここいらで少しは向上させておくべきだ。

 

「銃はオレも好きだからな。それに鬼道の補助が出来るって点が良い」

 

実は宇餓鬼は銃が好きだった。

秘密裏に現世からモデルガンを購入し密かに鑑賞するのが彼の趣味だった。

 

「現世の銃はちょいとナンセンス過ぎらァ…」

 

だが彼は本物の銃はあまり好きではなかった。

現世の本物の銃は些か強すぎる。アレでは誰でも力を手に入れて暴走を引き起こす事もある。

 

緋真の考えたこの銃は持ち主の霊圧を撃つ際に取り込みそれを弾として放つ機構を組み込んでいる。

つまり持ち主によって威力が変わるのだ。

これでたとえただの一般隊士が撃っても豆鉄砲以下にしかならないだろう。

逆に言えば、使い手が宇餓鬼のように優秀な者ならばどれほどの威力になるのか興味深くもあった。

 

「にしてもこのままつーのも味気ねェな…」

 

「ちょいと装飾(おめかし)してやるか」

 

緋真に渡された銃はそのままでも充分に美しいが、宇餓鬼としては少し物足りなかった。

 

そして宇餓鬼はその銃を手を加えて改造し始めた。

緋真の銃を宇餓鬼が趣味で集めたモデルガンを分解してパーツを組み合わせカスタムしていく。

 

衝の詠唱を銃の内側に刻み込み、緋真の銃と比べるとより格好の良い銃が出来上がった。

宇餓鬼によってカスタムされた銃は緋真が理想としていたダンテの持っていた黒い銃【エボニー】によく似ていた。

 

「そういや、名前どうすっかなァ?」

 

緋真はこの銃に特に名前など付けていなかった。ならば自分が名付けても良いだろう。

出来上がった銃を見つめて、ふと思いついた名を言う。

 

「【衝霊銃(しょうれいじゅう)】でいっか…」

 

【衝】で動く銃だからという安直な理由だが、たった今、尸魂界に新たな武器が生まれた。

 

 

一年後、技術開発局の協力の下、衝霊銃の量産に成功した鬼道衆は、その性能を認められて衝霊銃を鬼道衆の基本武装とした。

 

護廷十三隊でも申請を出せば一般隊士でも衝霊銃の使用が許可される為、護廷十三隊の一部の者には人気の武器となった。

 

 

 

そしてそのプロトタイプを作った張本人である緋真は

 

(なんでリボルバーじゃないんですか…)

 

「ごめんってば…」

 

量産された衝霊銃の見た目が完全にオートマなので、リボルバー派だった夜魔刀に愚痴を言われ続け、しばらく口を利いてもらえなかった。

 




次回は恋次君、緋真に挨拶する







オマケの武器and人物紹介

衝霊銃

見た目はダンテの銃【エボニー&アイボリー】に似てる大型拳銃。銀と黒のパターンがある。
M1911のモデルガンに衝の詠唱を刻み込む事で、使用者の霊圧を弾として放つ死神専用の銃。
プロトタイプは使用者の霊圧が強すぎると壊れるので耐久性に難あったので、宇餓鬼と技術開発局の改良によって硬いパーツに置き換えた結果、エボニー&アイボリー並みにゴツい銃になった。
パーツを置き換え過ぎて元のモデルガンから完全な別物になった。
ちなみにあくまでも霊圧を撃つ銃なので本物の銃弾を撃つ事は出来ない。

弾の威力は使用者の霊圧によって異なる。
平隊員が撃つと豆鉄砲。席官クラスでも威力不足。
副隊長クラスで漸く実用レベルになる。
チャージショットも出来るよ。
本質は鬼道の補助で、宇餓鬼の改良の結果、鬼道の威力を倍増させる機能も追加されてる。
というかそれが本命の機能。
鬼道を込めて撃つとその鬼道が弾となって発射され着弾すると鬼道が発動する。
攻撃の破道より、むしろ敵の身動きを封じたり防御したりする縛道の方が相性が良い。

多分、あんま活躍しない。





宇餓鬼 吟一郎

オリキャラ。
イメージは黒髪長髪でギザ歯のイケメン。よくタバコを吸ってる。
優秀だけど口が悪い。公然と悪口を言う。
貴族だろうがお構いなしに罵倒する。
自分を天才だと自負してるタイプの天才。
浦原商店の握菱鉄裁の鬼道長時代の弟子。
握菱鉄裁が尸魂界を出て現世に逃亡した後は彼が後釜に座ったので何も知らない一部から「コイツが握菱鉄裁を陥れたのでは?」とか噂されてる。
実は密かに浦原商店と繋がってて尸魂界の物を浦原商店に横流ししてる悪い人。
握菱鉄裁の事は師匠という事もあって「先生」と呼んでかなり慕ってる。
鉄裁の前でだけ良い子ちゃんになる。
銃が好きで、モデルガン収集・鑑賞が趣味。

鬼道だけで隊長と渡り合える実力の持ち主で九十番台詠唱破棄も可能で、鬼道だけなら藍染すら上回る。
鬼道長なので時間停止や空間転移も使える。禁術なので普段は使えないけど、「バレないように使えばいいじゃん」ってこっそり使ったりしてる。


多分、もう殆ど出番無い。

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