パワフル緋真さん   作:汚名卍解

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お久しぶりです


恋次君を訓練する緋真さん

 

 

「…本当にすみませんでした!!」

 

私のアイアンクローで気絶してから覚醒した恋次君に事情を説明したら全力で土下座してきた。

 

まぁ私の顔はルキアそっくりだもんね。間違えるのもしゃーないとは思うけどさ。

 

「顔を上げてください。貴方はあの時、ルキアと一緒にいた学生さんでしたよね?」

 

本当は知ってるけど、あえて初対面を装う。

いきなり名前で呼んで怪しまれるしね。

 

「はい。そうっス。阿散井(あばらい)恋次(れんじ)って言います」

 

「私は十一番隊第四席朽木緋真と申します。貴方の事はルキアから聞いていますよ」

 

私がルキアの名前を出すと、恋次君が急に顔を上げて驚いた。

 

「ルキアが…ですか…?。じゃあ…アンタがルキアの…」

 

「はい。姉です」

 

私が姉だと告げると、恋次君は「姉…ルキアの…」とか呟いて複雑なご様子。

まぁ今までずっと一緒にいた幼馴染の家族が目の前に現れたならそりゃ複雑だわな。

 

「ルキアは…どうしてますか?」

 

恐る恐ると恋次君が聞いてきた質問はルキアの事。

ルキアがうまくやってるか心配なんだろうね。

 

「ルキアなら朽木家でも上手くやれてますよ。この間なんて使用人の者達と仲良くなっていたようですし」

 

この前なんか私の特訓でルキアがぶっ倒れた時なんて真っ先に駆け寄ってたし

 

「そうなんですか…良かった…」

 

恋次君は一安心のご様子。

というかルキアってあんなにコミュ力あったっけ?

あんなに周りと仲良くなれるなら、私もしかして無駄な事しちゃったかな?

 

「せっかくですし、貴方も私と特訓しますか?ルキアもやってますし」

 

「四席直々にですか?光栄っス!」

 

私の提案に恋次君は快く承諾してくれた。

最近ルキアを特訓に誘うと物凄く怯えた顔するからこの感覚ちょっと新鮮だわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後、他の隊士が集まる十一番隊の道場に移動した阿散井恋次は緋真によってボロ雑巾のように嬲られた。

 

斬魄刀を用いた真剣による特訓で恋次はボコボコにされた。

斬り傷は一切無く、峰打ちや白打によって全身を殴られた。

その様子を見ていた隊士は淡白に見つめていた。

緋真がいつも隊士達に行う“特訓"は、緋真が十一番隊に来てから定期的に行われている。

緋真は自分より下の者によく“特訓"を行う。

それは側から見ればイジメもしくは虐待にしか見えないが、それは緋真が実力より“精神性"に重きを置いているからだ。

 

緋真の特訓の方針は「追い詰めて内に秘めた“気合"を捻り出す」事。

 

追い詰めて、追い詰めて、追い詰めて

その内に潜む闘争心を刺激し、覚醒させる。

それが緋真のやり方だった。

問題は、その過程が容赦が無く問答無用の激痛と損傷を何度も何度も繰り返し行われ地獄のような体験をしなければいけないという事だ。

 

緋真に立ち向かう気概と気合を()()()()()()そんな地獄がずっと続く

 

十一番隊の者達は緋真の格上である隊長の更木と副隊長のやちると既に充分な実力を持っていた弓親を除き全員緋真の“特訓"を味わっている。

 

彼等は今からその地獄を味わう新人に同情しつつ恋次を見守っていた。

もしここで緋真に気合を見せれず恋次が再起不能になるようならば彼の穴を埋めるべく自分達が緋真の特訓を受けなければならないからだ。

 

戦々恐々としながら十一番隊の者達は恋次を見守る。

 

「ちく…しょう…」

 

倒れたままで、恋次は自分の不甲斐なさに悪態をつく。

五番隊に入隊してから十一番隊に転属するまで鍛錬は欠かさずに積み重ねてきた。

寝る間も惜しんで鍛えてきた。

 

(この距離は()ぇだろ…)

 

なのに遠い。

掠り傷すら与えられない。それどころか服を汚す事すら出来ない。

圧倒的な力量の差に絶望し心が折れそうになる。

 

「ルキアならまだ立ち上がっていましたよ」

 

その折れそうな心を緋真は蹴りで無理矢理保たせる。

 

「がぁ…⁉︎」

 

緋真の蹴りで恋次の体は飛び上がり、意識が飛びそうになる。

宙に浮いた恋次の襟を掴み、緋真は恋次に語りかける。

 

「強くなりたいんですよね?力に飢えてるんですよね?」

 

「ならばまずは斬魄刀を解放する事ですね。()()()()()()()()()()()()()

 

意識が混濁し緋真の言う事があまり聞き取れない。

 

「貴方は力を渇望している。その想いで貴方は鍛えてきた筈です。その想いに()()()()()()()()()()()()()

 

「斬魄刀は使用者の心を写し取るモノ。貴方が力を渇望してるなら、斬魄刀もまた力を渇望している筈です」

 

「それなりの日数を斬魄刀と過ごした今の貴方なら斬魄刀の声くらいは聞こえるでしょう。後は貴方次第です」

 

その言葉に恋次ではなく斬魄刀が反応した。

 

(この姉ちゃんの言う通りだ。情けねぇったらありゃあしねぇ)

 

(全くだ。彼女もこう言ってるならば、貴様も気概を見せるべきだ)

 

恋次の耳に()()の声が聞こえた。

 

 

 

 

 

「吼えろ!【蛇尾丸(ざびまる)】」

 

恋次の斬魄刀が解放された。

解放され変化した斬魄刀は幅広の剣。

刃と刃をワイヤーで繋がれた蛇腹剣。

それが恋次の斬魄刀【蛇尾丸】だった。

恋次の見せた気合の“成果"に周りにいた十一番隊の者達は驚きながらも「これで“特訓"を受けずに済む…」と安堵する。

 

「うおおおおおおお!」

 

蛇尾丸を振るい自身を掴んでいた緋真を振り払う。

緋真と距離を取り、蛇尾丸を伸ばして斬りつける。

 

「弱い」

 

それを緋真は()()()()()()()()()()アッサリと防ぐ。

 

「なッ⁉︎」

 

自分の渾身の一撃を刀すら使わずに防がれて恋次は唖然とする。

 

「貴方の斬魄刀は見た所、直接攻撃系の斬魄刀のようですね」

 

唖然とする恋次に緋真は語りかける。

 

「直接攻撃系の斬魄刀の利点を知っていますか?」

 

直接攻撃系。大体の斬魄刀は鬼道系の斬魄刀が多い。その中でも特に何の能力も持たず形態のみが変化するタイプの斬魄刀。

 

「それは()()()()()()()()()()()()です」

 

緋真は抜刀し、恋次の蛇尾丸を伸ばされていた刃を斬らずに峰打ちで恋次へと打ち返す。

 

「斬魄刀戦術の基本は霊圧を斬魄刀に込め、それで斬る事。それが基本であり奥義(全て)です」

 

それは恋次も知っている。

霊術院で既に習っている。

斬魄刀に霊圧を流す事で刀の強度や切れ味を増す。

それは霊術院でも習う基礎中の基礎だ。

 

「直接攻撃系の利点は訓練すれば大抵は数日で使いこなせる事」

 

「直接攻撃系のもう一つの利点は共通して斬魄刀に霊圧が通し易い事にあります。霊圧が通った斬魄刀が生む破壊力は貴方もご存知でしょう」

 

「もっともそれは通常状態の斬魄刀でも変わりませんが、直接攻撃系の斬魄刀を解放した場合に限り()()()()()()()()()()()()()()()()

 

恋次は思い出す。

霊術院の教科書に載っていた更木剣八の項目だ。

更木剣八は、膨大な霊圧の持ち主でありその霊圧は刀を振るうだけで鬼道すら凌駕する威力になると載っていた。

 

「さあ、もう一度」

 

緋真に次の攻撃を促される。

 

「おおおおおおおお!!」

 

ならば、自分もと恋次は斬魄刀にありったけの霊圧を込めて、もう一度蛇尾丸を振るう。

 

伸ばされた蛇尾丸の勢いは先程と段違いの速度と破壊力を秘めていた。

 

「それ」

 

音速に迫る勢いの蛇尾丸の刃を緋真は素早い居合で撃ち落とす。

 

「もう一度」

 

その言葉の通りに恋次は再度斬りつける。がそれも防がれる。

 

「もう一度」

 

再度斬りつけるがまた防がれる。

恋次がもう一度斬りつけようとするが、操作が上手くいかず、蛇尾丸は複雑な軌道を描き最終的にその刃は恋次の方に向いてきた。

 

「のわッ⁉︎」

 

自身に向かってきた蛇尾丸の刃を緋真が神速の居合で斬り刻み、バラバラする。

なんとか無傷で済んだ恋次だったが、いきなり自分の斬魄刀に襲われた衝撃で尻もちをついてしまう。

 

「伸ばし続けて攻撃できるのは最大三回ですね。それが貴方の斬魄刀の弱点です。よく覚えておきなさい」

 

バラバラにされた蛇尾丸を見て硬まる恋次に緋真は微笑みかけた。

 

「初めて斬魄刀を解放したにしてはひとまず合格といった所でしょう。やはり貴方は見所があります」

 

バラバラになった蛇尾丸は元の刀の形状に戻っていた。

解放された斬魄刀が元の通常状態に戻るのは斬魄刀が解放状態を維持できないという事。

そしてそれだけ持ち主が弱っている事を意味する。

 

「今日の所はこれで終わりにしましょうか」

 

初めて斬魄刀を解放したにしては大したものだ。

まだまだこの時の恋次は一般隊士。

四席である緋真に充分健闘した方だろう。

 

「いいや、まだです。引き続きお願いします!」

 

恋次のその言葉に十一番隊の者達は驚愕する。

なぜ自分から地獄の道に突き進むような真似を理解出来なかった。

 

「俺はもっと強くなりてえんだ!目標にしてる人達もいる!」

 

「アンタと()り合う事で、その近道が出来るなら願ったり叶ったりだ!」

 

既に解放された蛇尾丸は折れ、しばらくは解放出来ない。

今は通常状態の斬魄刀しか使えない。

そのような状態で緋真の特訓に再度挑むなど無謀にも程がある。

 

「おい新人!それ以上はやめと…⁉︎」

 

隊士の1人が恋次を止めようとするが、それを緋真の神速の居合で放たれた峰打が隊士を襲い、その隊士は気絶した。

 

「いいですね、気に入りましたよ。恋次君」

 

緋真は満面の笑みを浮かべて“特訓"を続行した。

 

「おおおおおおおおおおおおお!!!」

 

雄叫びを上げながら恋次は緋真に斬りかかる。

 

次の瞬間、恋次の両腕と両脚が斬り落とされた。

 

 

その日、恋次は真の意味で『過酷』を経験した。

 

後日、その気合が十一番隊の全員に恋次は認められ十一番隊の第六席に座るのはその一年後の話だった。

 




覚醒の仕方と展開がワンパターン?ご安心ください…自覚してます。多分この覚醒展開はもうやらない。

崩玉関係はまた次回で
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