パワフル緋真さん 作:汚名卍解
今作は主人公最強物ではありません
今まで緋真の戦績が悪いので分かると思いますが、今の緋真さんはそこまで特別強い訳ではありません。通常だと普通の隊長レベルです。スタイリッシュをやめた刃王閻魔刀状態だと、隊長格でも上澄みの部類に入りますが、更木や山爺並みの規格外ほどでは有りません。
どんなに凄い能力があろうと霊圧が上の格上相手には普通にゴリ押しされて負ける事もあります。
ブリーチって結構シビアな所がありますし。
ただ規格外相手だと刃が当たって首を刎ねたり致命傷を負わせる事が出来ればワンチャンある。それが今の緋真の限界です。
「負けちゃった…」
「負けちゃいましたね」
現在、藍染隊長に負けて気絶した私は精神世界にある古城の一室のベッドで寝転がってた。
現実の方で睡眠したりもしくは気絶したりしたら、私の意識は精神世界に飛ばされる。
割とゲームとか漫画とか夜魔刀のヤツが謎パワーで再現させたりした物が沢山あるから常日頃からこの世界に出入りしてるせいでいつの間にかこんな仕様になっていた。
「私これからどうなるんだろう?」
「
マジかー。なんか実験体にされるの嫌だな。
私は今頃、虚化の為に色々されてるんだろうな。
待てよ…事をポジティブに考えよう。
私がもし虚化を物にしたら、デビルトリガーっぽい事が出来るという事だ。
そう思えば、多少は気楽になれる。
「アンタそこでもDMCかよ…」
やまかしいわ夜魔刀。お前なんかまんまネロ・アンジェロじゃねぇか。ある意味誰よりもDMCな容姿してるクセに何言ってやがる。
「それにしても、藍染隊長があんなに強くなってるなんて…」
なんか藍染隊長が私の想像以上に強かった気がする…
「貴女がやたらと技術を開発したせいですよ。貴女の記憶を見て原作とやらを見ましたが、そこに複神体や衝霊銃は登場していませんでした」
え、夜魔刀お前原作知ってんの?初耳
「特に複神体はその汎用性故に護廷十三隊に公表され、隊長は勿論、副隊長にも複神体を使える者が多少はいます。そういった細部に至るまで技術の詳細が浸透しているんです」
「ならば藍染隊長くらいの実力者ならば複神体を使えても何の不思議でもありません。それくらい少しは考えれば分かる筈ですが…」
私が考え無しって言いたいのか?喧嘩なら買うぞゴラ
「喧嘩は売ってませんよ。単純な事実です。これはご主人が考え無しにDMCごっこやってきたツケが回ってきただけの話です。要はご主人の自業自得です」
コイツ、ほんとズバズバ言ってきやがる…
でも確かに事実だ。
私が色々とはっちゃけた影響で原作より少し藍染隊長を強化してしまったのは事実だ。
そこばかりは私の自業自得として反省しよう。
藍染隊長に仕返ししたいけど、あの強さはヤバい。
下手をすると更木隊長も倒しちゃうかもしれない。
山本総隊長も複神体使えるけど、藍染隊長はそれを踏まえて対策してくると思う。
頭アホほど良いし用意周到で実力もあるとか、こんな化け物どうやって倒せば…
待てよ…いるじゃん。その化け物を倒した人
原作主人公【黒崎一護】だ
物語終盤になって色々と設定が判明してキメラみたいな事になってる我らが主人公様ならあの藍染隊長も倒せるかも…!
藍染隊長に仕返しするには黒崎一護に頼るしかない。
だったら私のやる事は一つ。
幸い、私の存在以外そこまで影響は無い筈。あんま根拠無いけど…
「方針は決まりましたか?ご主人」
「うん。決まった。私はこの世界を原作通りに進める」
「それがご主人の意思なら私はそれに従いますよ」
急にどうしたお前。何ちょっとカッコイイ事言ってんだ
「それで、これからご主人はどうするんですか?脱出して何処かに身を隠します?」
確かに…それが一番の問題だ。
今後の身の振り方次第ではもしかしたら白哉さんに愛想尽かされるかもしれない。
何にもせずに、ただ隠れて過ごしてたら私らしくないし、絶対我慢出来ない自信がある。
かといって表舞台に出る訳にもいかない。下手な事するとまた藍染隊長みたいに私の思わぬ所で強化されたりするかもしれない。
うーん…
「そうだ。あえて藍染隊長側に身を寄せるのはどうかな?」
私は今、藍染隊長に虚化を施されてる。つまり客観的に見れば拉致られて洗脳されてる状況に近い。
ならば、あえて藍染隊長の所に身を寄せて事の成り行きを見守ろう。
そんで、なんか原作と違うような事があれば私が介入すれば良い。
「良い案だと思いますけど、それ護廷十三隊への裏切りでは?」
夜魔刀の指摘はごもっともだ。
確かに私が自分の意思で藍染隊長側にいたら、裏切り者扱いになってしまう。
「私じゃない“私"を用意すればいい」
「何ですか…それ?」
夜魔刀が怪訝な顔して見てくるけど、そんな難しい話じゃない。
「これから生まれてくる“内なる虚"にやらせるの。体の主導権を明け渡す感じでさ」
「あ〜なるほど」
夜魔刀は察してくれたみたいだ。
内なる虚に私の代わりに藍染隊長の部下になれば、私は何にも悪くないし罪は軽い筈だ。
しかも虚化の実験体にされて、その犯人の部下をやらされているという悲劇エピソードの完成というワケだ。
第三者から見れば情状酌量の余地は充分にある。
よって「私、悪くない。全部虚がやりました」と主張出来るという事
しかも虚が活動してる間、私は自分の精神世界でゲームしたり漫画見たり優雅で平和な時を満喫出来る。
「我ながら完璧な作戦じゃね?」
「いや私の平和が犯されてるんですが…」
気にすんな。ちょっと原作開始するまでのんびりするだけだからいいじゃんか
何年かかるか分かんないけど…
「第一、一回敵対しておいてどの面下げて死神側に戻るんです?普通に考えたら朽木家や十一番隊の方々はともかく他の人達には受け入れてもらえませんよ…」
そこは私の演技力の見せ所よ。
流れとしては…
1.私は虚に乗っ取られてるんですー。だから藍染隊長の元で働きまーす
2.原作開始しました。なので破面編で隊長達が乗り込んでくるまで待機しまーす
3.乗り込んできた妹と夫とちょっと戦って悲劇のヒロインを演じます。妹と夫が私に必死に呼びかける
4.そんな妹や夫の呼びかけで私は覚醒。そんで黒崎一護が藍染隊長を倒したか見届ける。そして私はそれを指差して「ざまぁみろ」と笑う
5.中央四十六室「虚化させられて洗脳させられたんなら仕方ないね!無罪!」
6.私、朽木家に帰還。そして十一番隊に復帰。万事解決!
ちょっと大雑把だけどこんな感じかな?
「アンタの面の皮どんだけ分厚いんですか…」
ほっとけ
「志波海燕はどうするんですか?一応助けようとはしてましたよね?」
そんな余裕は無い。心苦しいけど、ここは原作通りに進んでもらう為に彼にはルキアのトラウマになってもらう。
志波海燕の死は、ルキアの心に深い影を落とす。
じゃないと崩玉の影響でルキアが黒崎一護と出会って、ルキアが深手を負って、ルキアが一度力を失う展開が無くなるかもしれない。
そうなったら原作すら開始しない。それだけは避けないといけない。
「アンタって人は…」
オイこら呆れるな。こっちも苦渋の決断なんだよ。下手に介入するとまたどんな変化があるか分かったもんじゃない。
「それより、その虚にどうやってご主人の代わりをやらせるんです?普通に頼み込んでも聞き入れてくれる訳が」
チャキ
「……なるほど。いつものですね。分かりました…もういいです…」
現実世界の緋真は今、虚化を施され仮面が生まれていた。
それに合わせて緋真の精神世界に変化が起きた。
精神世界全体が震動しながら“ソレ"は生まれた。
“ソレ"は【内なる虚】
容姿は緋真と瓜二つだが、純白の肌と白い目。白い死覇装を身に着けた「白い緋真」だった。
彼女はまだ生まれたばかり。なので、彼女は自身の“王"の記憶を読み取った。
緋真の今までの記憶。
緋真が今まで経験した事の全てを知り、“彼女"は漸く自我が目覚めた
“彼女"は自分が虚である事を自覚した。
ならば、であるならば“彼女"は虚としての在り方を全うしようと決める。
虚としてこの世界の“王"を食い尽くそう
そう決めて、目を開けて目の前の景色を見る。
「「いらっしゃ〜い!」」
そこには武器を構えて満面の笑みを浮かべた緋真と夜魔刀がいた
そして、緋真と夜魔刀の“歓迎"を受けた内なる虚は思った。
“生まれてくるんじゃなかった"と
生まれて早々に内なる虚は生まれた事を後悔した。
虚圏の虚夜宮のとある一室で、十数名の破面達に囲まれる中で緋真の虚化は行われた。
死神の虚化は本来ならば虚化された死神が暴れまわり周囲に甚大な被害をもたらすものだ。
だが、緋真の虚化は順調に進み、緋真は一切暴れる事なく虚化した。
その稀有な反応に藍染は興味深く緋真を観察する。
仮面が完成し、緋真はゆっくりと起き上がり自らの手で仮面を剥がす。
周囲の破面達は警戒し腰の刀に手をかけた。
それを藍染は静止し彼女へと話しかける。
「君は朽木緋真かい?」
藍染は今の彼女の意識が緋真本人なのかあるいは虚のモノなのか確認したかった。
「
彼女は否定した。それが意味する事は即ち彼女は“虚"だという事。
「君に何か望みはあるかい?」
藍染がそう尋ねると彼女は少し考え始めた。
「そうですね…」
彼女がそう言って顔に手をかざして瞬時に虚の仮面を作り腰の斬魄刀に手をかけた。
それを見た周囲の破面達は彼女を“敵"と判断し襲いかかる。
が、次の瞬間には周囲の破面達は全て彼女が放った“次元斬・絶"によって全滅した。
「ほう…」
その腕前に藍染は感嘆する。
次元斬・絶は“溜め"無しでは放つ事が出来ない技だった。
それを彼女は全くの“溜め"を無しで放った。
それは彼女が以前より強くなっている事の証拠。
先程彼女が斬った破面達は、元は下級大虚や中級大虚だったモノばかりだったが、それでも破面化により相当な実力を持っていた。
中には十刃に属する者もいた。
だというのに彼女はそれを瞬殺した
「“もっと力を"…それが私の望みです」
そのまだまだ強さを求める姿勢に藍染は笑みを浮かべる。
「いいだろう。歓迎しようじゃないか。今日から君は我々の新たな同胞だ」
藍染も緋真が大人しく虚に意識を乗っ取られたとは考えていない。
あまりにもスムーズに虚化が進み、意識を虚に明け渡すなど、いつも反骨精神を秘めている緋真らしくない。
彼女は何か狙いがあるんだと藍染は睨んだ。
いずれ彼女がどのような方法で自分を縊り殺しにくるのかに興味を惹かれながら、藍染は彼女を同胞として迎え入れた。
その予想は当たっているが、ただ藍染は少し思い違いをしている
彼女
緋真は藍染を倒すのは自分ではなく完全に他人任せである事。
そして、目の前にいる虚の彼女が力を求めているのは単純に『自分を虐め屈服させた
些細なすれ違いだが、それがある意味で致命的だった。
何であれ、これで"彼女"は上手く藍染の元へと潜入が成功した。
「君の事は何と呼べばいい?」
虚の彼女は少し考えて、“歓迎"された後に緋真から与えられた名を名乗る事にした。
「では、ギルバと」
彼女…ギルバはそう答えた。
メゾン・ド・緋真に新たな住人ギルバちゃんが増えました
前回の一部の感想で「ぐだぐだ展開」と言われましたが、これはそう言われても仕方がないでしょう。
今まで普通に日常を送ってるだけだったので、物語を動かす為には緋真が藍染に攫われる事は必要な事でした。
じゃないと原作開始できないので
という訳で、次回は時間が一気に飛んで原作第一話に行きます。