パワフル緋真さん 作:汚名卍解
やっほー!
現在私は四番隊にいまーす!
そこで私は四番隊隊長の卯ノ花隊長から指導を受けて四番隊にいる怪我人を治療しては経験を積んでスクスク上達して
「ねぇ、アレが噂の…」
「想像してたより全然女の子だ…」
「てっきり男みたいな見た目してるのかと…」
ませんでした。
なんかすげー怖がられてる。
まぁ確かに常日頃から更木隊長とヤリ合ってるし、一角さんと弓親さんを追いかけ回した事もあるし、悪い噂が立つのもしゃーないちゃあしゃーない。
それに怖がられるのは今回が初めてではないから、もう慣れてる。
つーか陰口だったらもっと私の聞こえない距離から言えよ。
溜め息つきながら卯ノ花隊長の所へ向かう。
まぁ回道の練習なら私が死ぬ可能性も低くなるし、何より私の鬼道スキルが磨けばもっとバージルっぽいムーブをできる。
一石二鳥だ。
「おや、戌吊四席ですね?」
お、色々考えてたら廊下で卯ノ花隊長とばったり。
「ちょうど良いです。私についてきてください。特別な特訓室で訓練しましょう」
あれ、特別な特訓室?
怪我人治療して経験積むとかじゃないの?
「今日はあまり怪我人がいませんので」
嘘だろ?さっきそこのベッドにゴロゴロいた筈だけど…
あれ?治ってる…
もしかしてさっきの一瞬で治したの?クレイジーダイヤモンドかよ
そんで連れてこられたのが四番隊の地下訓練室とかいう明らかにヤバそうな所。
「今から私が貴方を攻撃します。貴方はそれを防ぐかもしくは負った傷を治していってください」
は?
「そうすれば自然と回道の技術も上がっている筈です」
クッソ荒療治で草
あの…刀振り回しやすいように髪解かないでもらえます?
顔怖いんですけど…
次の瞬間、私の右腕が斬り落とされた。
突然の出来事に頭が追いつかない。
なんでいきなり斬られたのか、なんでいきなり戦闘が始めたのかよく分からない。
「私もちゃんと貴方を癒します。死ぬ心配はありませんのでどうぞご心配なく」
反射的に残っていた右肩を抑えようと思ったらいつの間にか斬り落とされた右腕が繋がっていた。あの一瞬でどうやら治療されていたらしい。
「では…お手並み拝見と行きましょう」
私はこの世界に生きている中で完全にこの人の事を忘れてた。
今更になってソレを漸く思い出した。
この人は、卯ノ花隊長は、初代剣八だった人だ。
その本性は根っからの戦闘狂。
曰く「尸魂界始まって以来の大悪人」
トンデモない人と戦う羽目になってしまった
私は咄嗟に卍解して、彼女を迎え討つ。
でもこの人やっぱ怖いよぉ!誰か助けてぇぇぇぇぇぇーーーーー!!!!!
卯ノ花にとって戌吊緋真は突然降って湧いた金の卵だろうか
彼女の噂を聞いた当初は卯ノ花もあまり本気にはしていなかった。
所詮は噂と切り捨てて大して興味は無かった。
だが、ある日、一角と弓親が卍解の修行から戻って緋真が激怒して卍解して彼等を追い回している時に四番隊に一角と弓親が逃げ込んだ時に彼女の実力を卯ノ花はこの目で見た時、彼女は瞠目した。
緋真の卍解はとにかく切れ味の鋭い刀だった。
単純だが故に強力な卍解だ。
だが、そのあまりにも滑らかな切れ味に卯ノ花には見覚えがあった。
それはかつて卯ノ花に斬魄刀を与えた刀匠、二枚屋王悦が失敗作と称していた斬魄刀【
その日から卯ノ花は緋真に目をつけ始めた。彼女の事を調べ、月に一度行われる更木剣八との決闘も何度か見物した。
そうしている内に卯ノ花は緋真という死神を理解していった。
緋真の戦闘スタイルは主に居合が主体だ。
居合の技術に置いてはおそらく卯ノ花本人と並ぶだろう。
卯ノ花も居合の技術は修得しているが、直接斬った方が速いという理由で使ってはいない。
そもそも居合という技術自体基本的に一撃必殺だ。
居合は暗殺や早期に決着を着けたい時に使用する技術なので卯ノ花は居合をあまり好んではいなかった。
だが緋真の居合は素晴らしい技術だった。
神速の抜刀と納刀を繰り返し行う事で繰り出される斬撃は卯ノ花の目には素晴らしい技術に映った。
殺し合いには向かない“見映“を意識した技術に見えた。
緋真の他の戦いを見たらどれも見映えを意識しているような戦い方をしているような気がした。
敵を殺すだけならばもっと色々な手段がある。
だが緋真は見映えにこだわっていた。
それがどうも卯ノ花には腑に落ちなかった。
「一つ聞いてもよろしいですか?」
「何をですか⁉︎」
先程から卯ノ花は緋真を斬り続けていた。
緋真の腕を落とし、足を斬り落とし、酷い時は胴体も切断した。
そのどれもを卯ノ花が即座に治療した。
何度も何度も斬られ、激痛だけを繰り返す無限地獄に流石の緋真も根を上げかけていた。
「貴方は何故“見映え“にばかりにこだわるのですか?」
「え?」
その質問に緋真は驚いていた。
「貴方ならば“見映え“にこだわらずとも、より効率的に敵を殺す手段がある筈です」
「なのに貴方は“見映え“にこだわり、
「貴方は更木剣八との決闘の時、手を抜いていますね?」
緋真の卍解【
一角と弓親の逃走劇の一部始終を見ていた卯ノ花だけは気づいていた。
剣八との決闘で見せた卍解を見て、卯ノ花だけは気づいていた。
彼女が卍解をしている時、
彼女が一角達との逃走劇をしている時に見せた卍解は鞘伏並みの切れ味があった。
だが剣八との決闘で見せた閻魔刀の切れ味は更木の斬魄刀と打ち合えるレベルにまで落ちていた。
卯ノ花が見た閻魔刀の鞘伏レベルの切れ味ならば
だが緋真は更木剣八と決闘の際に必ず卍解の
その理由が卯ノ花には分からない。
“戦い“で手を抜く理由が卯ノ花には分からない。
「そこまでして“見映え“にこだわる理由はなんですか?」
そして、緋真は少しの躊躇もなくそう答えた。
「だってその方がカッコイイじゃないですか」
想定外の答えに流石の卯ノ花も頭を抱えた。
「なるほど。卯ノ花隊長は切れ味全開の閻魔刀と戦いたいワケですか…」
「そ、そんな所です」
と緋真はどういう解釈をしたのか卯ノ花の本音を当ててみせた。
確かに卯ノ花は全力の彼女と戦ってみたいと思ったのは紛れもない事実だ。
「分かりました。ではそのご希望に応えましょう」
そもそも卯ノ花が緋真を呼んだのは最初からそういうつもりだったからだ。
最初は徐々に痛ぶって追い詰められてから本気を出すだろうと思っていたのであっさり承諾してくれたのは少し意外だった。
「閻魔刀。
閻魔刀の切れ味全開にした閻魔刀は雰囲気がガラリと変わった。
刃王というのは別に閻魔刀の真の名前という訳でもない。「刃の王とかカッコイイじゃん」と思い緋真が勝手にそう呼んでるだけだ。
だがそれでもそう思うだけのプレッシャーがあった。
「
それを卯ノ花は待っていた。
王悦の持っている鞘伏と同等の切れ味と、それを納める鞘から放たれる居合。
一体どのような技を放つのだろう?
一体どのような威力になるのだろう?
それを考えるだけで卯ノ花は興奮しそうだった。
「行きますよ」
瞬間、居合が放たれた。
放たれた神速の斬撃は卯ノ花の右腕を斬り落とした。
痛みは無かった。あまりに滑らかに斬られた為斬られる感覚すら無かった。
「ッ⁉︎」
その事実に卯ノ花は喜悦を露わにしながら斬り落とされた腕を瞬時に回道で治療して繋げる。
「まだです」
緋真は更に抜刀を続ける。
連続で放たれた神速の斬撃は、次元を斬り裂き距離という概念すら超えて斬撃を卯ノ花に浴びせていく。
腕はおろか脚も、胴体も斬られる。
が、そのどれも痛みすらない。
まるで風を浴びるような感覚で、体が斬られていく。
「そう…
久しぶりの戦いの興奮に卯ノ花は身を任せ始めた。
斬られた箇所を全て回道で治療して繋ぐ。
バラバラだった卯ノ花は瞬時に元に戻っていた。
無論、そのまま放っておく緋真ではない。
神速の斬撃を連打する。
だがそれを卯ノ花はあえて避けずそのまま受ける。
また卯ノ花は再びバラバラに斬られるが瞬時に治療して繋げば問題無く動ける。
瞬歩で緋真の周囲を撹乱し、緋真に斬りかかる。
それを緋真は再び神速の居合で迎え撃つ。
が、卯ノ花はその神速の斬撃を紙一重で避けて、緋真に蹴りを入れて居合の姿勢を崩す。
姿勢を崩した緋真に待つのは無数の斬撃だ。
腕・脚・胴体も斬り裂かれるがそれを卯ノ花は瞬時に癒す。
死ぬ感覚を味わいながらも緋真は瞬時に居合の姿勢を整えて再度居合を放つ。
その斬撃は卯ノ花の胴体を斬断した。
だが、それに怯む卯ノ花ではない。
「え?」
「今日の所はこのくらいにしましょうか」
卯ノ花隊長は私にそう告げた。
首を斬られて意識を失っていた私が「ハッ!」と覚醒すると、身体は元通りになってた。
「切れ味を全開にした貴女の卍解は中々強力でしたよ。ですが
そうだよ。
この人全く全力出してないじゃん。こっちは不本意にもスタイリッシュ捨てて戦ってたのに…
つーかなんなのアンタ?ホントに人類?
「それで私の回道はどうでしたか?参考になりました?」
「………微妙です」
精一杯の答えを返す。
そういえば回道の上達が目的だったわ。
戦いに集中してて忘れてた。
上達するわけねぇだろ。参考もクソもあるか!
そんな事を意識するヒマすら無かったんだけど⁉︎
「そういえば、どうして更木隊長との決闘ではいつも切れ味を落としているのですか?」
「
そもそもあんな切れ味だとスタイリッシュな動き出来ないじゃん。
「抜刀してハイ終わり」ばかりじゃノンスタイリッシュにも程がある。
バージルだったらもっと華麗にやって見せるだろうけど、私じゃあずっと棒立ちで居合ばっかやってるから全然スタイリッシュじゃない。
「………まぁ良いでしょう。とりあえず私相手の時は切れ味を落とす必要は無いので、これからはそうしてください」
………これから?
「ええ。まだまだ私の指導は終わっていませんよ?」
……………どうしよう…キャンセル出来ないかな?
「すいませんがお断りします」と言いかけたら目が笑ってないめっちゃ怖い笑顔で返してきた……
拒否権無しッスか………
(…久々に愉しめましたね…)
ひとまず十一番隊隊舎に戻る緋真を見送った自室に戻り卯ノ花はお茶を飲む。
(彼女は気づいているでしょうか?あれほどの切れ味の刀身を納める事の出来ている鞘の存在が
緋真の卍解【
鞘もまた卍解の一部であり、卯ノ花の推測だが、おそらく鞘こそが卍解の本質なのだろう。
あの鞘が刀身の切れ味を調整する役割と全開にしても壊れる事の無い頑強さを併せ持っている。
そしてこれも卯ノ花の推測だが恐らく
それがどんな物なのかはまだ卯ノ花には分からない。
(貴女と戦っていれば次第に分かるでしょうか?緋真さん?)
緋真まだまだ成長途中。まだまだ化ける可能性がある。
それが卯ノ花は愉しみで仕方がなかった。
その時の卯ノ花はかつての初代剣八だった頃のような恐ろしい笑みを浮かべていた。
同時刻、緋真は妙な悪寒に襲われていた。
「それにしても…」
そして隊長に至っては…
「
もはや見事な舐めプ集団と化している十一番隊の面々に卯ノ花は深い溜め息をつかずにはいられなかった。
ちなみにその後
十一番隊隊舎にて
卯ノ花「また来ちゃいました。また回道の特訓をしましょうね」
緋真「いやああああ!!!」
緋真はそれから月一で卯ノ花の個人指導を受ける事になり、回道の腕自体は順調に伸びていった。
その代償に緋真は卯ノ花がトラウマレベルに苦手になった。でもなんだかんだでちゃんと戦ってる。
次回は 緋真さん、漸くあの人と出会う
オマケ
卯ノ花についての設定等
今作の卯ノ花は一角や弓親の秘密にも気づいてる設定。
卯ノ花の回道はヤバいくらいに治るけど痛みだけは無くならない。
激痛が伴う仕様なので卯ノ花との試合は激痛だけを繰り返す無限地獄になってしまうので、常人ならほぼ間違いなく発狂してしまう。
【刃王閻魔刀】
閻魔刀の切れ味を全開にして鞘伏レベルの切れ味を発揮させる形態。
別に真の名前という訳ではなく緋真が名付けた名前。
普段の状態はリミッターをかけて切れ味を落としてる。
その状態でも次元斬ったり出来るレベルに切れ味が鋭い。
切れ味の調整は鞘が行ってる。
切れ味全開の状態で居合と組み合わせれば、距離はおろか概念すら斬れる事も可能だが、現在の緋真ではまだそこまで出来ない。