パワフル緋真さん   作:汚名卍解

9 / 25
戦闘andイチャイチャ回
想像以上に長くなってしまった…

一応注意書き。
今作では「こんなの白哉じゃねぇ!」と言わんばかりにちょっと白哉らしくないバグった思考や行動ばかりしていますが、それは緋真と出会ってバグッただけなので緋真以外の所だと、通常の白哉に戻ってます。
「そんな白哉見たくない!」という方はご注意ください。


後の夫とチャンバラする緋真さん

 

 

 

はい。つい先程、「お前に興味がある」と言われてドキッとした緋真さんです。

しょーがないじゃん。あんなイケメンフェイスとイケボに言われたら誰だってドキドキするじゃん。

 

どうしよう…ちょっと好きになってきた…

 

まぁとりあえず任務は終わったし、私は現在、街に下りて買い物してます。

 

義骸はちゃんと調達しました。

 

何処からだって?現世には死神の活動をサポートするお店が幾つかあるのだ。

原作では浦原商店しか登場してなかったけど、浦原商店以外にもああいうお店は各所にある。

原作で浦原商店しか登場しないのは、単純にアレ一つで充分だからだ。

 

そんで私はそのお店で義骸を購入して現世の街を渡り歩いてる。

ちなみに義骸購入する時、私がお金出そうとした時、朽木白哉が「私が払う」とか言って奢ってくれた。

 

「安物だったな」

 

それが義骸を購入した後の朽木白哉の感想だった。

いや普通に高かったけど?

まぁ貴族様だし、その辺の金銭感覚がアレなんだろう。

 

そしてなんやかんやで、現世のお店を回ってお土産を買い漁った後、私達は先ほど虚と戦った場所に戻ってます。戦うなら人気が少ない方が良いしね。

 

買い物してる間は朽木白哉と一緒にいたせいなのか何度か「恋人ですか?」とか聞かれたりしてなんか凄い恥ずかしかった…

 

朽木白哉は相変わらず無表情だし…ちったぁ恥ずかしがるなり反応しろや

 

「始めよう」

 

「はい」

 

とか色々考えてたらいつの間にか目的地に着いたみたいだ。

 

そして朽木白哉と私の卍解の修練が始まった。

とりあえずさっさと意識を戦闘に切り替えよう。

 

「最初から卍解するんですか?」

 

「いいや、実戦形式で行う。そなたの実力も見せてもらいたい。構わぬか?」

 

おや、実戦形式とは私好みな。

そうだ。せっかく千本桜を味わう機会だ。

前々からやりたかったバージルの技をやってみよう。

 

「構いませんよ。では…行きますよ?」

 

「うむ…」

 

互いの斬魄刀に手をかける。

 

「加減は要らぬぞ」

 

「では遠慮なく」

 

瞬歩を使って朽木白哉の背後に回り込み抜刀する。

背後からの斬撃を朽木白哉は瞬時に斬魄刀を抜いて防いでくる。大した反応だ。

流石は強キャラ。一時期「済まぬ」さんとか呼ばれてた時期もあった気がするけど。

 

「疾いな」

 

「お褒めに預かり光栄です」

 

そこからはしばらく剣戟を演じる。

朽木白哉の斬術は死神のお手本のような斬術だった。基礎をこれでもかと鍛えた様な剣術。

そういえばどっかのWikiとかで見たっけ。朽木白哉は斬拳走鬼全てが優秀な万能型だとかなんとか。

 

だったら私は斬術特化型だ。

万能型という事は一点に特化した者には及ばないという欠点がある。

私は瞬歩も鬼道もそれなりだけど、斬術だけは他の死神より特化してる自覚はある。

主に居合術だけで、通常の剣術はまだ十一番隊でも上の下止まりだけど…

 

「では、コレなんかどうです?」

 

私は一度距離を取り、夜魔刀を()()()()()()()()()()()次元斬を放つ。

 

「ッ⁉︎」

 

距離を飛び越えて放たれる斬撃に朽木白哉は瞬歩で回避する。

どうやら驚いてくれてるようだ。

夜魔刀状態で次元斬出来る様に頑張った甲斐があった。

 

「まだまだ行きますよ」

 

そのまま連続で次元斬を放つ。

朽木白哉も瞬歩で避けるが、瞬歩で回避する先に次元斬を設置したりして、徐々に追い詰めていく。

 

「逃げるだけでは修練になりませんよ?」

 

「案ずるな。既に反撃している」

 

気がつくと桜の花弁が目の前を通った。

すぐに理解したコレは朽木白哉の千本桜だ。

そうだった。朽木白哉は卍解の修練って言ってたんだった。

卍解を修得してるからには解号無しで始解が出来るんだった。

私は急いで瞬歩で千本桜の刃から逃げる。

 

「逃さん」

 

朽木白哉は千本桜を操り私へ向けて刃を集中させる。

 

ここだ!

 

コレを待ってたんだ!

始解を解除し、得物をただの斬魄刀に戻す。

私は斬魄刀を高速回転させて、向かってきた千本桜の刃を防御する。あ、びゃっくん驚いてる。

そして()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

それを刀で弾き朽木白哉へと返す。

 

「何ッ⁉︎」

 

よっしゃああ!出来たぁぁ!!

 

まさかそんな方法で、反撃されるとは思ってなかったのか、めっちゃ良いリアクションしてくれてる。

密かに刀を回転させる練習しといて良かった…

今やった技はDMC3でバージルがやっていた技だ。

これはゲームの技じゃない。ダンテとの戦いのムービー中でバージルがやっていた技だ。

クッソスタイリッシュでカッコよかったからずっとやってみたかったんだ。

だから漸くこの技を現実でやれた事に私は今もの凄く感動してる…

 

「今日はよく千本桜を操られるな…」

 

あれ、無傷だ。

鬼道で吹き飛ばすのかと思ったけど、どうやら違ったみたい。何やったんだろ?

 

「そなたの幻影剣という鬼道を見た時、幻影剣(コレ)は白雷や衝の様な一番台の鬼道に類する鬼道と判断した」

 

ならば私でも使用出来る

 

そうだ。私の作る幻影剣は難易度で言えば、白雷みたいな簡単な鬼道。つまりクラスと言えば一番台の鬼道だ。

だって霊圧を固めて剣を作るだけだし、やろうと思えば一般死神でも出来る。

でも、それは一本の幻影剣を作る場合の話。

何本も一気に精製したりする場合や様々なバリエーションの幻影剣を使うとなると一気に難易度が跳ね上がる。

沢山の幻影剣を作って射出するのが六十番台。

円陣・烈風・急襲・五月雨の幻影剣は七十番台に相当するかな?

 

「その幻影剣を少々応用させてもらった」

 

どうやら朽木白哉の使った幻影剣は私の普段使ってる幻影剣と少し違うらしい。

注意深く観察してみると朽木白哉の周りに青白い桜が舞っているのが見えた。

 

「まさか…幻影剣で()()()()()()()()()()()()⁉︎」

 

嘘だろ…いくら千本桜の持ち主とはいえそれを鬼道のみで再現して防御するなんて離れ業にもほどがある。

何よりそれを()()()()()()()()()()()()()()()

鬼道で千本桜作っちゃうとかアンタの千本桜さん泣いてない?

これが天才か…

 

「お前のお陰で私はどうやら少し成長できたらしい」

 

「感謝するぞ。戌吊緋真」

 

千本桜を元の刀に戻しながら朽木白哉は私に笑いかけた。

顔がクッソイケメンだからめっちゃカッコイイ…

やっばいな…惚れそう

 

「では…座興はこれくらいで良いでしょう?」

 

「そうだな」

 

ちょっと照れちゃったけど、とりあえず本番の卍解の修練に移ろう。

このままだとマジで口説かれそう。

 

卍解

 

朽木白哉は刀を地面に落とし、刀は地面に吸い込まれ地面から無数の巨大な剣が生えてくる。

 

千本桜景巌(せんぼんざくらかげよし)

 

その卍解の名を言った直後に地面から生えた剣が千本桜のように散った。

これで朽木白哉は大体約数億の刃を操る事が出来るようになった。

 

それじゃあ私も

 

卍解

 

刀を鞘に納めて、静かに抜きながら卍解を解放する。

 

閻魔刀(やまと)

 

どうしよう…自分でもどうにもならないくらいこの戦いが愉しいと感じてしまう。

 

やっぱ…貴方が相手だからなのかな?

 

 

まぁ今はこの一時を愉しもう。バージルごっこも添えて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戌吊緋真の卍解は護廷十三隊では有名な卍解だ。

 

度々行われた剣八との決闘でその卍解の内容が知れ渡っている。

 

その卍解の内容は「刃の切れ味を上げる」だけ。

 

何も知らない者が聞けば、本当に卍解か?と疑う者を多いだろう。

事実、白哉がその話を聞いた時は本気にしていなかった。

「そんな矮小な卍解などある訳がない」と切り捨てた。

 

だが、緋真と出会い、緋真の事を調べる過程で白哉は剣八と緋真の決闘を一度観戦した時、その認識は崩された。

 

その切れ味で空間を斬り裂き、距離という概念を超えて相手に斬撃を浴びせる。

恐るべき能力だった。

アレは使用者の腕が高いからこそやってのけた技だった。

他の凡百の死神が握っても大した脅威にはならないが、緋真が握っているならば話は別だ。

間違いなく隊長格の死神となんら遜色ない実力に白哉は戦慄した記憶がある。

 

「それ」

 

緋真が次元斬を放つ。

だがその勢いは始解時に行っていた時と比べて物にならない。

白哉はそれを瞬歩で避けるが、避けた先にも次元斬を撃たれどうも避けきれない。

 

斬撃を千本桜で防御しようにも距離という概念を飛び越えて撃たれる斬撃は発生が速くて防御が間に合わない。

 

白哉の卍解は緋真の卍解と相性が悪い。

 

白哉の千本桜景巌には無傷圏という弱点がある。

白哉の周囲、約半径85㎝は千本桜が寄りつかない領域。

緋真の次元斬はその無傷圏を白哉に近づく事なく離れてても突く事ができる。

こればかりは相性が悪いと言わざるを得ない。

 

それに飛び道具としての次元斬は正に破格の性能をしている。

緋真の場合はそれに幻影剣が加わる。

 

次元斬を放つ傍らで幻影剣をちょくちょく飛ばしている。

 

その幻影剣が回避を阻害し、次元斬を上手く避ける事が出来ない。

 

徐々に白哉は追い詰められ、どんどん切り傷が増えていく。

 

だかやられてばかりの朽木白哉ではない。

 

回避する間も幻影剣と次元斬を観察し、弱点を探る。

 

()()()()()

 

そして互いが卍解して数分で白哉が反撃に動く。

緋真が次元斬を放つと同時に千本桜を手掌で操り大量の刃を緋真に向けて突撃させる。

 

「うわッ⁉︎」

 

次元斬を放った直後だったので防御が出来ず、咄嗟の瞬歩で緋真はどうにか回避する。

 

「お前の次元斬とやらは攻撃の手段としては凄まじい性能をしているが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

そう、緋真は攻撃手段こそ凄まじい性能だが防御出来る手段が皆無と言っていいほど少ないのが弱点なのだ。

つまり一度防御を崩されると緋真が反撃できるまで、相手の好き放題にされてしまう。

正に攻撃に全振りした様な性能の卍解だ。

 

「悪いが押し切るぞ」

 

そのまま緋真が納刀させないように千本桜景巌の大量の刃で緋真の周囲を包み込む。

 

吭景(ごうけい)・千本桜景巌」

 

緋真の周囲を包み込んだ膨大の刃を緋真を押し潰さんと一斉攻撃を開始する。

 

だが、その膨大な刃が緋真に攻撃するまで僅かにタイムラグがある。

緋真はその僅かな隙に()()()()()()()()()()()

もはや白哉の吭景を斬り払う事は出来ない。それをやるには集中力が足りない。

だが、()()()()()()()()()

 

緋真は自身の記憶にあるバージルの技を思い出し、ぶっつけ本番でそれを実行する。

 

目の前の空間を十字に斬り裂き、そこに飛び込む。

 

すると緋真は白哉の隣に移動していた。

 

「何ッ⁉︎」

 

先程まで吭景に包み込まれていた緋真が突然隣に現れたので、流石の白哉も驚愕する。

 

緋真は隣から再度居合を放つ。

それを白哉は咄嗟に千本桜型の幻影剣を精製し、その斬撃を防ぐ。

 

「どうやって脱出した?」

 

「次元斬の応用ですよ。何も空間を越えられるのは斬撃だけじゃありません」

 

先程使った緋真の移動法は、要は次元斬とそう変わらない。

次元斬と同じ要領で空間を斬り裂き、その斬り裂いた空間に飛び込めば斬り裂いた距離まで転移出来る。

長距離は無理だが、緋真の次元斬が届く範囲内であれば緋真は瞬時に移動できる。

 

「そうか」

 

どうやらとことん緋真の卍解は白哉の千本桜景巌と相性が悪いらしい。

これで白哉は幾ら膨大な刃で包み込もうとすぐに回避されてしまう。

この時点ならば白哉の敗北は確定している。

 

もっとも通常の千本桜景巌ならばの話だが

 

「では戦い方を変えるとしよう」

 

すると白哉は千本桜を刀の形に固めた刀を精製する。

それも一本だけではない。

十本、百本と次々と桜の刀を精製していく。

やがて緋真と白哉の周囲は膨大な桜の刀が包み込んでいた。

 

殲景(せんけい)・千本桜景厳」

 

「この技を使ったのは()()()()()()()

 

殲景・千本桜景厳とは白哉がその技を考えてから相手を必ずこの手で斬ると思った者にのみ見せると誓っていた。

白哉の周りには殲景を使う程の者はいなかった。

 

だが白哉は緋真には殲景を使わなければ勝てないと思った。

それは緋真を紛れもない強者と認めたという事。

 

「それは光栄ですね」

 

そして白哉は桜の刀を握り、緋真は己の剣を納刀する。

ここからは先程のような飛び道具の応酬ではなく、単純な斬り合いとなる。

 

そして、緋真の居合が放たれるが、白哉はその斬撃を受け止める。

が、受け止めた白哉の刀はアッサリと斬られる。

斬られた刀は霧散し花弁の状態に戻る。

すぐに上空に浮かぶ一本の桜の刀が白哉の手に下りてくる。

白哉には無数の刀がある。よって幾ら得物を斬られようと関係は無い。

だが、それの繰り返しでは白哉に勝ち目は無い。

 

「では、こうしよう」

 

すると緋真が居合を放つと同時に数本の刀が上空から飛んできて緋真に刺さる。

すると放たれた斬撃は勢いを失い白哉の剣によって弾かれる。

 

「ッ⁉︎」

 

緋真は死角から剣が降ってくるとは思ってなかったのか少々動揺しているようだった。

それは当然の事。何せ周囲は無数の刃に囲まれている。

先程の花弁の刃ではなくある程度の硬度がある刀ならば防ぐのは難しい。

 

「案ずるな。この千本の戦列が一度にお前を襲う事は無い。私はまだ未熟故に操れる刀には限界がある」

 

殲景・千本桜景厳は白哉の切り札だが、まだ白哉は未熟故に殲景の刃を操られる数に限界があった。

だから殲景の刃全てを相手にぶつけるなどの技はまだ白哉には使えなかった。

だがそれでも充分な脅威だ。

斬り合いにおいて相手を自由に死角から攻撃出来る事は白哉にとてつもなく有利な事である。

斬り合いの最中に相手を死角から刺し、その隙に斬ればいいだけなのだから。

 

「卑怯と思うか?お前が不服と思うならばやめよう」

 

白哉自身はあまりこの戦法を好んでいない。

純粋な斬り合いに於いて卑怯とも言えるこの戦法は白哉自身の誇りに反する事だった。

 

「まさか…続行です」

 

じゃないとやり甲斐が無いと言わんばかりに緋真は不敵に笑った。

 

「そうか。ではお前との死合(しあい)の間だけ、私は誇りを忘れるとしよう」

 

1人の戦士ではなく、1人の男として、目の前の存在を喰らう。

貴族とはかけ離れた心持ちになりながら、白哉は緋真に斬りかかる。

 

それから2人の剣戟は続いていく。

 

もはや2人は当初の目的だった「白哉の卍解の修練」という目的を忘れて、いつの間にか純粋に死合っていた。

 

緋真が居合を構えると同時に数本の刀で緋真を串刺しにし、その隙に白哉が斬りかかり、刺されても一切怯む事なく抜刀し、白哉に斬撃を浴びせる緋真。

 

互いに致命傷を負いながらも、この一時に身を任せる。

 

緋真も白哉も赤い血に染まりながらも、剣を振るい続ける。

 

緋真も白哉も、お互いに不思議に思っていた。

2人共、普段はそこまで闘争が好きという訳ではない。

だが、この時ばかりは互いに「負けたくない」という思いで戦っていた。

 

それと同時に愉しんでいた。

 

両者共、頭の中では「もうやめた方が良い」と理性が叫んでいたが、それを無視し続ける。

まるで麻薬のように、互いを求め続ける。

 

斬り合っている内に2人はその答えに辿り着く

 

「どうやら…私は貴方の事が好きみたいです

 

「奇遇だな…私もだ

 

自然と2人は相手の事を好いている事を口にした。

 

恥ずかしさは無かった。むしろスッキリした気持ちだった。

 

斬り合いながら2人は微笑みを浮かべて笑い合う。

 

この死合の中で、2人は至福の時間を過ごす。

 

ただただ純粋に相手を求める。男女の営みにも似た戦いをしながら2人はこの時間を愉しみ合う。

 

だがその時間にも終わりが来る。

 

長い剣戟に両者共に足にガタが来る。

痛みで身体が動き辛い。意識が点滅し、視界がボヤけてきた。

互いに瀕死になりながらも2人は笑い合っていた。

 

「残念ですが…次で最後でしょうか?」

 

「名残惜しいが…そのようだな…」

 

震えながら立っているが両者とも全くダメージを気にしてる様子は無い。

むしろ「この程度の時間で終わってしまって申し訳ない」とすら思ってしまえる余裕すら伺える。

 

「最後にちょっと見せてあげますよ。私の奥義を」

 

緋真が納刀すると、凄まじい霊圧を放ちながら抜刀する。

緋真の姿が消え、斬撃だけが見えた。

その斬撃は文字通り空間そのものを斬り裂いていた。

再び緋真が白哉の目の前に現れる。

チンッ!という納刀の音と共に白哉の周囲の空間がガラス細工のように崩れた。

正に空間崩壊とも言える現象が白哉の目の前で起きた。

 

次元斬・(ぜつ)

 

それは広範囲に次元斬を放つ技。

緋真が尊敬して止まないバージルの奥義。

緋真の頭の中でずっと思い描いていた奥義を漸く実践出来て、緋真は感動に身を震わせる。

 

「美しいな…」

 

「実に見事な神業(ワザ)だ。そして(ワザ)を行使する緋真もまた美しい」

 

その技を見た白哉はその技の美しさに見惚れていた。

空間そのものが崩壊して、殲景・千本桜景厳の全ての刃は斬られ、元の花弁の刃に戻ってしまった。

そんな事は些細な事と全く気にせずに白哉は緋真の技に魅入られた。

斬る前の過程から緋真が納刀する瞬間までの時間は一種の芸術のような素晴らしい物だった。

その見事な神業に白哉は魅力された。

 

「そんな風に褒められたのは初めてです…」

 

顔を少し赤くしながら緋真は照れていた。

白哉は「なんと見る目が無い…」と嘆く。

 

「お前の戦い方の全てに気品と美しさがある。他の誰が認めなかろうと私だけは認めよう」

 

「緋真、()()()()()()()()()()。お前は美しい」

 

その言葉は緋真の戦いの在り方を肯定していた。

白哉も緋真が意図的に美しく魅せる為に戦っている事は気づいていた。

その戦い方を今日までずっと鍛え続け、これからももっと進化するだろう。

白哉はいつの間にか緋真の見映えばかりの戦い方に魅入られていた。

卯ノ花はそれを「手抜き」と断じていたが、白哉はそれを「美しい」と肯定した。

 

「……ありがとうございます」

 

緋真は自分のスタイリッシュな戦い方を初めて肯定されて涙を浮かべながら歓喜した。

 

「ではお前の奥義の返礼に私も見せよう。私の切り札を」

 

そして、白哉は良い物を見せてもらった礼をすべく、自身の最終奥義を見せる。

 

終景・白帝剣

 

千本桜景巌の全ての刃を結集させて一本の剣を作りだす。

千本桜の全ての刃を集約させた剣の威力は計り知れない。

正に最後の切り札であり最終奥義。

白哉の発想にこそあった技だが、実際に使用するのは初めての技だった。

 

「貴方の技も美しいじゃないですか」

 

緋真はポツリと呟きながら、納刀する。

 

「申し訳ありませんが、()()私では先程の技(次元斬・絶)以上の技はありません」

 

「ですので、この一刀のみでお相手します」

 

居合の構えを取り、卍解の切れ味を全開にする。

 

「これからもよろしく頼む。緋真」

 

「ええ、白哉様」

 

すると唐突な緋真の様付けが少し気になったのか、白哉は少し微妙な顔をする。

 

「もっと気安くて良い」

 

「では白哉さんと」

 

緋真としてはイケメンでお金持ちの貴族様なのだから様付けの方が良いかと思って呼んだのが、どうやら緋真の想像以上に白哉は緋真に惹かれているらしい。

 

そして2人は微笑みを浮かべながら2人の最後の一刀が激突する。

 

その衝突は激しい霊圧と衝撃波を巻き起こす。

 

だがリミッターを解除し【刃王閻魔刀】となった緋真の刃はその衝撃波はおろか霊圧すらも斬断し、終景・白帝剣すらも斬り裂いた。

 

2人の死合の決着は、緋真の勝利で幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 




後日談として
この後、普通に緋真は自分で治療して回復して、白哉も緋真に治療されて両者とも全快する。
二回戦をヤろうとしたけど周囲の被害がヤバかったので流石に自重して踏みとどまった。

ちなみに2人が戦ってた場所は森。
2人の戦った影響で草も木も斬られ、地面も抉れているので現世では「鎌鼬が起きた場所」としてちょっとした噂になった。





ベタ惚れになったのは白哉の方でした。けど緋真の方も戦闘スタイル褒められて結構白哉にベタ惚れ。

白哉も緋真も戦い自体は特別好きではないのですが、お互いに「この人と戦うのめっちゃ愉しい!」と思っていて、あんな展開になった。

多分、夫婦になったら定期的に幻影剣で弾幕勝負したりたまに斬り合う夫婦生活が待ってる。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。