どうでもいいけど伝説の遺灰って6人中ルーテル、ティシー、フィンレイの3人が女性なのすごいですね。
「どうですか?」
「……美味い、確かに美味い。しかし……何をしているんだ?」
ベルディア殿との決闘中に爆殺(死因:落下死)されてから2日後、最後に見た彼の表情は怒り心頭とでもいうようですぐにこの街に攻め込んでくるものだと思っていた。友情に熱い男だったが彼は騎士だ、何よりその主君の命令を重視しているのだろう。そういう意味ではやはりベルディア殿は尊敬に値する。
……決して、ミラとウィズ殿に聞いたあの下着覗きの件を思い出しているわけではない。
そして私は今ミラに料理を振る舞われている。
「何って、料理に決まっているではありませんか。これでも一時期、定食屋の看板娘をしてたんですよ?」
「本当に何をしているんだ……」
「暇つぶしですよ。店主の寿命で廃業しましたが……まあ、これも休憩です。48時間以上の作業は効率を悪くさせますから」
「……数日前は3日以上続けていなかったか?」
「興が乗ったら別腹です」
そんな話をしながらも私は手を止めない。『はんばーぐ』という料理らしい、話を聞く限り以前この世界にやってきた勇者が伝えた料理らしいがおそらくニホンジンだろう。
「そういえば今日は街が騒がしいですね」
「そうなのか?」
「ええ、冒険者は全員集合との連絡がはいっていましたよ」
「……は?」
「ああ、この家は街の中でも郊外にありますし気づかないのも無理はないですよ。ミラは竜なので人よりも五感が優れているので聞こえました」
「早く言ってくれ!!すぐ行かねば」
こういう部分があるから長命種には苦労させられる。私は急いで食事を終えて装備を纏う。それにしても全くもって放送に気づかなかった、最近……私は気が緩んでいるらしい。
「ミラも行くべきですかね」
「行かない方がいい。おそらくベルディア殿が来ているだろうからな」
「……ベルディア
ミラが疑わしげな視線を送ってきた。
「最近、近くの廃城に魔王軍幹部が住み着いているという情報があってな。興味本位で突撃したんだが……気に入られた」
「魔王軍関係者に好かれる体質でもあるんですか?ミラ、ウィズ、ベルディア……コンプリートでも目指してるんですか?」
「そんなわけないだろう。ベルディア殿と殺し合いになる直前に爆裂魔法が飛んできてな……2人まとめて吹っ飛ばされた」
「先日、祝福で帰ってきたのはそういうことですか……ええ、分かりました。大人しくしておきます」
ミラの了承が得られたので私は1人で正門近くの祝福へと飛ぶ。冒険者達が集められていると言っても彼らは所詮弱者、戦いになるはずがないのだ。
「すまない遅れた!!一体どういうじょうきょ……う……だ?」
「汝に死の宣告を!!貴様は1週間後に死ぬだろう!!」
案の定ベルディア殿が居たが様子がおかしい。何かしらの能力を使用しているのは見てわかるが、言葉を聞く限り死の呪いかそれに準ずるもの。そしてその標的は……めぐみん殿だ。
それはいくらなんでも違うだろう、ベルディア殿。
「な、ダクネス!?」
「いや、私に任せておけ」
間一髪、ダクネス殿がめぐみんを庇って呪いを受けようとしている。
しかし私の方が早い。さらにその正面に私が着地し彼女達を庇う。
「ぐぅっ!?………む?」
「褪せ人さん!?」
「……生きていたのか心の友よ!!流石だ、俺が見込んだ男なだけはあるようだな!!」
後ろで冒険者達が声を上げているが、あまり聞き取れない。
そんなことよりも、呪いを受けたはずだが体にはなんの異常も感じられない。一瞬衝撃を感じたがそれだけだ。ならば問題ないだろう。
「ベルディア殿、本日は何用かね」
「俺達の決闘を邪魔したそこの紅魔族の始末に決まっているだろう。貴様が生きていて安心したさ……やり直せるからな」
「……そうか、ではお帰りいただこう」
「つれないこと言ってくれるな……アセビト、そこの紅魔族に変わって貴様が受けたのは死の宣告!!解呪出来るとは思うなよ?期限は1週間……それまでに我が城へ来るといい!!今度こそ死合おうではないか!!そして俺が勝利した暁には……貴様を俺の右腕、新たなデュラハンとして蘇らせる」
「そうか。丁重にお断りさせていただこう」
なんだ、エインセルのカエルどもよりはマシだな。違うところは、一定量で死に至るか、日数程度の期限で死に至るか……余裕だな。どうせ生き返る。
「話は済んだな。ではさらばだ」
「何を言って……ッ!?!?」
そして私は、自らの胴体に『ダガー』を突き刺した。ふっ……貴公は騎士であるのに、表情がコロコロ変わって面白いな。
『切腹』だ。バフ用なのだがな。
【YOU DIED】
…
……
………
…………
「さてと……祈祷と魔術の準備をするか」
◆
カズマ視点
あ……ありのまま今起こったことを話すぜ……何を言っているのかわからねーと思うが、俺も褪せ人さんの行動は分からなかった。いや、分かりたくなかった。
ごめんなさい、ふざけました。
「ちょ、ちょっとカズマさん!!褪せ人死んじゃったわよ、いくら自前で生き返れるとはいえこんな大勢の前で……大丈夫なの!?」
「大丈夫なわけないだろ!?ただでさえめぐみんとダクネスは知らないってのに!!……ん、待てよ?」
その時、俺に稲妻が走った。褪せ人さんは実質不死身とは言え【死ぬ】ことができる。でも死ぬ時は血痕は残るけど死体は煙に消えてしまう。理屈はさっぱりだが死体が残らないのであればまだフォローはできる!!
「な、なぁ……!!アセビト、豪胆な人間だと思っていたが……まさか魔王軍の手駒になる前に自ら命を絶ったというのか!!なんたる騎士道精神……!!」
元凶の魔王軍幹部は何故か感動してるし、なんでアイツ褪せ人さんの評価あんなに高いんだろ?
「そんなっ、アセビト!!私とダクネスを庇って、しかも自殺なんて……!!」
「クルセイダーである私を差し置いて、なんという被虐精神!!私も見習わなければ、彼に報いることすら……!!」
ダクネスゥ……それは騎士として、なんだよな?決して、率先して呪いを受けたかったとかそんなオチじゃないよな?いくら褪せ人さんが復活できるとは言えそれは流石にあんまりだと思うぞ?
めぐみんは目の前で知人が死ぬのを見るのが初めてなのか膝をついて震えてしまって動けそうにない、ダクネスも拳を震わせて地面を叩いている。俺ら以外の冒険者達も、涙を流しながら褪せ人さんの死を悼んでいる。
いや、でも……そのうち褪せ人さん、ここに来るだろうしほっといてよくね?わざわざ最弱職の冒険者な俺が出張っていくような場面でもないし今なら感動に打ち震えてるベルディアって奴もそのまま帰ってくんねぇかな?
アクア?使えるわけないだろ、何言ってんだ。
「…………アセビトは素晴らしい人間だった。それに免じてこの場は引いてやろう」
「「「「「「ッ!!」」」」」」
やった、第一部完!!不死身の褪せ人さんを知らないなアイツ!!
「だが……汝に死の宣告を!!貴様は1週間後、自ら命を断つだろう!!」
「う、うわぁぁぁぁ!!………ん?何も変わっていないようだが?」
「テメェ、言ってることが違うじゃねえか!!」
「アセビトの献身、その原因である貴様にはアセビトと同じく自殺の権利をくれてやる……まあ射線にいたそこのクルセイダーの娘に命中したようだがな。では失礼する!!」
勝手なことを言って、ベルディアは走り去っていった。クソッ……なんてことしてくれてるんだ……てか、そんなあっさり帰っちゃったら俺が考えた作戦台無しだろ!!
何はともあれ、街の危機は去ったんだよな。残る問題は……
「私、ちょっと城に行ってあのデュラハンに爆裂魔法ぶち込んできます。今回の責任は全て私にありますから」
「待て、私も行こう。奴なら呪いを解く方法を知っているはずだ……共にアセビトの敵討だ!!」
「馬鹿野郎俺らも混ぜろよ!!」
「アセビトに世話になったのはお前らだけじゃねぇ!!」
あっれぇぇぇ、いつのまにかすんごい空気感になってるぅ………
あとはやけにやる気になってるバカどもを抑えればオッケーだったはずなのに、アクアの言う通り人目のつくとこで死んでくれるなよ……!!正直俺も怖かったし!!
「待て!!」
やっべ、思わず声出しちゃった。あーもうほら、皆俺のこと見てんじゃん!!
「褪せ人さんは死んじゃいねぇよ」
「「「「「「なんだって……!!」」」」」」
よしやっぱバカばっかだ。褪せ人さんの人の良さもあるけどこいつらバカで助かった!!
「よく考えてみろ、人が死んだら普通死体が残る。だけど褪せ人さんは煙になって消えてっただろ?分身かなんか飛ばしてたんじゃねえか?あのデュラハン、知り合いらしいし様子を見て対応を決めようとしてたんだろうよ」
「「「「「「!!!!」」」」」」
「そんなに疑うような目をすんなって。あの人マジで強いんだから」
「私の話か?」
「「「「「「本当にでたぁぁぁ!?!?!?」」」」」」
俺が皆になんとか突撃を止めるように説得していると、背後から1番頼りになる声が聞こえてきた。褪せ人さんだ。全くの無傷で、大剣を鎧ごと突き刺したとは思えないような元気っぷり……うん、改めて考えてもやべぇ。流石のアクアでも苦笑いしてる。
「ショッキングな場面を見せてすまない。実は私はいk「さっすが褪せ人さん、分身まで出来るなんてすごいなぁ!!」……分身?」
褪せ人さんは、実力、知性、性格全てが完璧だ。しかし、何個か欠点もある。度を超えた収集癖と天然が特にそうだと思う。今回はその天然を発揮させずになんとか話を合わせてくれ!!
「デュラハンの様子を見るためにわざと本体で行かなかったんだよなぁ。いやぁ、俺たちも騙されてたぜ!!敵を騙すにはまず味方からなんてよくやるなぁ」ウンウン
「ふむ…………?」
全然わかってくれてねー!?なんとか、なんとか……伝わってぇ!!
「…………なるほど。カズマ殿の言う通りだ、あの血飛沫はなかなかうまく再現できただろう?」
「「「「「「うぉおおおおおおおおおおお!!!!」」」」
褪せ人さんの言葉に自分達まで騙されていたと気づいた冒険者達が沸いた。まあ今この瞬間も騙されているのだけども……
あ、あっぶねぇ……
その後褪せ人さんが死んでからの一連の流れを説明すると、いつも通り「ふむ……」と呟いて語り始めた。
「私は分身が呪いを肩代わりしたので問題ない。説明通りならば私が呪いを解いたことにベルディア殿は気づいていなかったようだ。ならばプリーストに解呪して貰えばいいのではないか?」
「ああ、それなんだけど……」
「無理です!!デュラハンなんて高位のモンスターの呪い……」
この街は駆け出しから中堅どころの冒険者しかいない。まあ一部例外は居るが魔王軍幹部とは文字通りレベルが違うんだよなぁ……仕方ない。
「アクアー」
「はいはーい、『セイクリッドブレイクスペル』!!!!」
例外とは、アクアのことだ。レベル最大のアークプリーストで知力以外大体のステータスをカンストしている本物の女神様ならアンデッドの呪い程度造作もないはずだ……本当にできると思ってなかったけど。
まっ、何はともあれダクネスも褪せ人さんもこれでなんの憂いなく生活できるってものよ。はー、さっさと帰って酒飲も。
「カズマ殿……貴公、なかなかやるな」
「ん?なんか言ったか褪せ人さん」
「……いや、気にしないでくれ」
ちなみに言うと俺は鈍感系主人公ではない。よってばっちりと褪せ人さんの褒め言葉が聞こえている。ふふふ……ようやく褪せ人さんも俺の凄さが分かったらしいな……俺の凄さってなんだろ。はぁ……褪せ人さんじゃ比較対象が悪いのは分かってるんだけどな。
『死の宣告』
高位アンデッドであるデュラハンが用いる死の秘術
死の刻印を植え付け
宣言した期限の後
対象を死に至らせる
死して尚騎士の誇りは忘れていない
首無し騎士にとって秘術は最後の手段であり
誇りだけでは成せぬのなら躊躇なく
己が力を振るうだろう
『余談だがベルディアはこの世界ではまともな感性をしている方である。騎士だから』