転生魔術師クリプターくん ワイの担当した異聞帯が絶望すぎる   作:Uとマリーン見守りたかった隊

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転生者魔術師くんの名前はマーレくんにします。
イタリア語で海という意味です。陸→空→海
きっとリクやソラより強い、されど、『リクとシュヴィ』よりも『』よりも弱い、そんな感じの主人公です。


プロローグ

 

 

 

生命に競争があるように、歴史にも勝敗がある。

 

“現在”とは正しい選択、正しい繁栄による勝者の歴史。

 

これを汎人類史と呼び。

 

過った選択、過った繁栄による敗者の歴史。

 

“不要なもの”として中断され、並行世界論にすら切り捨てられた“行き止まりの人類史”——

 

これを、異聞帯【ロストベルト】と呼ぶ。

 

 

人理修復を成し遂げたカルデアだったが、監査に来ていた新所長を利用していた、NFFサービスの女秘書と聖堂教会の神父の手引きと思われる兵隊と謎のサーヴァントによる襲撃に見舞われ、瞬く間に制圧されてしまった。

 

窮地の中、人理修復を達成した若きマスターとそのパートナーの少女は、伏兵として秘匿された名探偵の助力で、僅かばかりのスタッフと共にコンテナに偽装した「虚数潜航艇シャドウ・ボーダー」によって脱出に成功する。

 

その直後、シャドウ・ボーダーに1つの強制通信が舞い込んでくる。

それはレイシフトAチームのリーダーだったキリシュタリア・ヴォーダイムからの勝利宣言と、「汎人類史」への叛逆を告げる宣戦布告であった。彼らは自らを『クリプター』と名乗り、これまでの人類史の終焉をカルデアの一同に突き付けるのだった。

 

 

『我々は全人類に通達する。

この惑星はこれより、古く新しい世界に生まれ変わる。

人類の文明は正しくなかった。我々の成長は正解ではなかった。

よって、私は決断した。これまでの人類史————汎人類史に反逆すると。

その為に遠いソラから神は降臨した。8つの種子を以て、新たな指導者を選抜した。

指導者達はこの惑星を作り替える。もっとも優れた『異聞帯の指導者』が世界を更新する。

その競争に汎人類史の生命は参加できず、また、観戦の席もない。

空想の根は落ちた。創造の樹は地に満ちた。

これより、旧人類が行っていた全事業は凍結される。

君たちの罪科は、この処遇をもって精算するものとする。

汎人類史は2017年を以て終了した。

私の名はヴォーダイム。キリシュタリア・ヴォーダイム。

8人のクリプターを代表して、君たちカルデアの生き残りに————いや。

今や旧人類、最後の数名になった君たちに通達する。————この惑星の歴史は、我々が引き続ごう』

 

そのクリプターのリーダー、キリシュタリア・ヴォーダイムの凡人類史への宣言を、第八の異聞帯、太平洋異聞帯の担当になった転生者魔術師くんことマーレは、キリシュタリアの担当するオリュンポスの城の円卓に座って聞いていた。

異聞帯に降り立って早々に命の危機を迎えたものの、なんとか危機を脱した彼は、異聞帯で一悶着あった後にキリシュタリアに文句を言うために遥々この異聞帯を訪れていたのだ。

 

「素晴らしい演説だったよキリシュタリア…さて、聞かせて貰おうか。なぜ俺をあのイカれた異聞帯の担当にしたんだ?」

 

「その件はすまないと思っている。しかし、太平洋異聞帯を任せるに足る存在が君しかいなかったんだ。私が最も信頼している君の実力なら、例えどれほど過酷な異聞帯であろうと問題ないだろうと信じていたからね」

 

(な、なんかやたらと信頼されてるな。俺、キリシュタリアになんかしたっけ。転生者としての自覚を持つ前の記憶だと、カルデアのキリシュタリアの部屋にゲーム機片手に遊びに行ってるようなどうでもよさそうな記憶しかないんだけどな…?)

「……そこまで信頼されているなら仕方ない。とはいえ、これは貸しにしておいてやる。いつか絶対に貸しておいた分は返して貰うぞ」

 

一発ガツンと言ってやろうと思っていたマーレだったが、キリシュタリアの言葉や態度から感じる自身への深い信頼に困惑しつつもむず痒くなって、ついつい文句を引っ込めてしまった。しかし、それでも自身の目的のためにキリシュタリアに貸しを作っておくことだけは忘れなかった。

 

「それじゃあ、俺はカドックの様子でも見に行ってくるよ」

 

(オリュンポスの神が来る前に一旦退散するか。そろそろ連れが我慢するのも限界そうだしな)

 

そして、最初は興味深そうにしていたものの、早くも連れて来た存在が我慢の限界を迎えたようなので、これ以上刺激しないように足早にキリシュタリアの下を去ることにした。

 

「じゃあなキリシュタリア、また今度な」

 

「ふふ…なら今度は迎えのためにカイニスを君の異聞帯へ向かわせよう」

 

「あー、必要ないよ。移動手段については既に手を打ってある。それに、うちの異聞帯ではカイニスの無事を保障できないから向かわせるのはやめておいた方がいいぞ。それでも来るなら、なんとか保護するから早めに連絡よろしくな」

 

そう言って去って行くマーレの後ろ姿に、キリシュタリアは笑みを浮かべると、期待と信頼の眼差しを向けてポツリと言葉を零した。

 

「さすがだよマーレ…。共に人理修復を成し遂げた君の叡智と力は本当に頼りになった。ぜひこれからも頼りにさせてもらいたいものだ」

 

 

 

 

 

 

「もう偽装は解いていいぞ、()()()()()

 

辺りに人影が見当たらないことを確認すると、マーレは自身の連れて来た存在へと言葉を掛けた。すると、それまで存在を隠していたジブリールと呼ばれた少女が姿を現した。その姿は頭上に幾何学模様を描き回る光輪を掲げ、腰部より一対の翼を生やした、まさしく「天使」という容姿をしている。

 

「よろしかったのですかマスター?ご命令があればすぐにでもあの人間を機凱種擬(スクラップもどき)の神々共々塵に変えて差し上げましたのに♪」

 

「あまり物騒なことを言わないでくれよ。そもそもキリシュタリアは敵じゃない」

 

「申し訳ございません。ですが、あのようなガラクタが神を名乗るなんて烏滸がましいと思いまして」

 

「…ジブリール、対神という点では有利なのは認めるけど、精霊回廊が存在しないこの異聞帯では本来の性能ではなく水爆級程度まで弱体化しているのだから、あまりオリュンポスの神々は刺激するなよ」

 

「…仕方ありませんね。そういえば一緒に来ていたあの機凱種(スクラップ)はどちらに?もっとも、機凱種の力などなくても私がいれば充分でございますし、いっそ首にしてはどうでしょう♪」

 

「ちょっと用事に行って貰っているだけだよ。それに俺達と目的は一致してるんだから少しは仲良くしろよジブリール。全ては異聞帯の王、

神霊種・戦神(オールドデウス・アルトシュ)を打倒する。そのために」

 

「…不服ですがまあいいでしょう。『最弱(天敵)は現れなかった』そう言葉を零してからアルトシュ様は変わられましたから…それにしても、アルトシュ様が待ち望んでいた存在…一体どのような存在だったのでしょう!」

 

(…そうだったな、この世界のお前は出会えなかったんだったな)

 

未知への興味に興奮しだしたジブリールを放置しつつも複雑な思いをマーレは抱いた。しかし、突然何かを察知したのかジブリールは興奮状態から顔の表情を消すと、凍てつくような視線を前方へと向けた。

 

 

「【肯定】……我々が協力しているのは目的が一致しているからにすぎない」

 

二人の目の前に、今度は人間のような姿をしているが、尻尾のようなケーブルを生やした少女のような姿をした存在が現れた。ジブリールは少女に対してどこか蔑んだような視線を向けるが、少女は意に解することなく淡々と言葉を紡いだ。

 

「なんだ、戻っていたのか。それで、コヤンスカヤの異聞帯間の移動方法の解析模倣はどうだった?」

 

「わた…当機より報告、『偽典・単独顕現』を行った機体はそれぞれ全ての異聞帯への単独顕現に成功」

 

「そうか、これで俺達は全ての異聞帯への侵入が可能になった訳だ。後はシャドウボーダーの虚数潜航の解析で完璧だな」

 

機凱種(エクスマキナ)。それが彼女達の種族の名前である。

見た目こそ普通の少女の姿をしているが、彼女達機凱種は、敵の攻撃を解析し、それを使うことができるというデタラメな種族である。 その特性を利用して、コヤンスカヤの異聞帯間の移動方法を解析し、完全でないものの模倣する事に成功していたのだった。

 

「例え異聞帯間の戦争が起きたとしても、他の異聞帯の戦力ではうちの異聞帯の連中相手にどうすることもできないだろう。(どうにかできるやつが来たとしても、『最強の戦神』であるアルトシュには絶対に勝てない。そもそも、現在(いま)のアルトシュとまともに殺りあえる存在が来たら、確実に先に星の方が終わるだろうしな。)ゆえに俺達は俺達のやるべき事に集中しよう。」

 

「マスターのお望みのままに」

 

「…遺志を果たすために」

 

「まず、カルデアにはできる限り充実した戦力を持ってうちの太平洋異聞帯へ来てもらわないと困る。その上で、信頼できるクリプターも全員生存させてうちの異聞帯を手伝ってもらうとしよう」

 

(さっさと異聞帯のイカれた大戦を終わらせてやる。全てはまともな異聞帯のために!そのためにも、カルデアの力は利用させて貰おうか)

 

 

 





異聞帯のジブリール…大戦が終わってないせいで物騒なまま。たぶん単独で神霊殺しを成し遂げてる位にはヤバくなっている。
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