転生魔術師クリプターくん ワイの担当した異聞帯が絶望すぎる   作:Uとマリーン見守りたかった隊

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七章後編とバレンタインイベントを満喫してました……
まさかORTがあんなに復活してくるなんて…
なんやかんやで偉大なるカマソッソといいマリーンの死因になったポカニキやオセロトルやイスカリも憎めきれないところのあった素晴らしいストーリーでした!
そして、オルガマリー所長……
お迎えの為の石を貯めて待ってます!



神を撃ち落とす日(中編)

 

 

「始めようかカイニス。これが、人間同士の最後の戦いだ!」

 

オリュンポスに到達したカルデアは、破神同盟の遺産を用いて神霊ディオスクロイを討伐し、異聞帯の神々である機神デメテル、アフロディーテ、異聞帯の王である全能神ゼウスの真体の破壊に成功する。

そして、宮本武蔵の活躍で呼び出されたカオスの脅威を退けたカルデアはついにクリプターのリーダー、キリシュタリア・ヴォーダイムとそのサーヴァント、神霊カイニスと相対した。

 

「私の目的は単純だ。今の人間では無理だと言うならこれを変革する。人間が種として弱いならこれを強くする。そう、これよりこの世界に生きる全ての人間は生まれ変わる」

 

キリシュタリアは語る。自身の真の目的、人理の新生を。

誰もが神に等しい存在になることで全ての不平等は解消される。ひとりひとりが世界に責任を持ち、また影響を及ぼせる生命となる。いつか正解にたどり着ける知性体を生むために。

 

「これが私の結論。私の破神計画。人類はこの日をもって神と言う概念を撃ち落とす」

 

己の全てを賭してキリシュタリアの理想魔術がカルデアへと牙を向く。

汎人類史を否定するクリプターとして。カルデアの敵として。そして、人理を守るために戦ったAチームのリーダーとして……己の冠位指定、人生に課した成すべき理想の為に立ち塞がる。

 

「こんな状態でなければ、凄い事だと思う。でも……その結論は受け入れられない!」

 

それでも、汎人類史最後のマスターとして藤丸立香はそれに抗う。キリシュタリアの計画が完遂されてしまえば、汎人類史は消滅してしまう。そんな事を認める訳にはいかない。彼女もまた人理修復を成し遂げたマスターだ。そして、彼女にもまた、決して譲れない背負うものがあった。

 

降り注ぐ惑星轟の隕石を彼女の盾であるマシュが防ぎ、キリシュタリアのサーヴァントであるカイニスをホームズと呼び出した英霊達で抑え込んだ。

 

そして、決着の時が訪れる。カルデアは、ついにキリシュタリアとの最後の決戦に勝利したのだった。

 

「借りは返したよ!キリシュタリア・ヴォーダイム!」

 

(ああ、これが貴方の育てたマスターか、ドクター。

目が潰れるようだ。

心が砕けてしまいそうだ。

私が道半ばで倒れた時。あるいは、私が道を失った時……その後の事はデイビットが正すだろうと安心していたけど、まさか、ね)

 

「ここにもうひとり、私より強い適任者がいたようだ」

 

自身を敗北へと追い込んだ人類最後のマスターの姿をキリシュタリアはどこか眩しそうに目を細めて見つめる。彼女になら次を託せる。そう考えたキリシュタリアはついに敗北を受け入れた。

その上でキリシュタリアは()()()()()自身が出来る最後の役目を果たす事を決意する。

 

「敗北を認めると?君は、空想樹アトラスを停止させるのかね?」

 

「それはできない。まことにすまないが、君たちには新しい神になってもらう。その後であれば、空想樹の使用権は君たちの自由だ」

 

(心残りがあるとすればマーレ、君に完全に勝利することができなかったことだ。君が夢を実現することができるのか、あるいはデイビットがそれを阻んで事を成すのか、その結末を私はきっと見る事は叶わないだろうからね……)

 

「君たちならきっと、いずれ『異星の神』の計画を打ち破る方法を……!」

 

しかし、キリシュタリアにとっても予想外の事態が起こる。突然、アトラスの空想樹が炎上したのだ。

 

「馬鹿な‥‥!?育ち切った空想樹を外部から燃やすことなど‥‥!」

 

炎上したアトラスの空想樹を見てキリシュタリアは動揺する。完成しているアトラスの空想樹は本来、あらゆる攻撃を受けつけず、燃える事などなり得ないはずなのだ。

 

 

「ああ。だから内部から燃やしたんだよ。他の空想樹を根元から燃やして、枝を通して山火をそっちにお裾分けってな」

 

「…!キリシュ…!後ろ!」

 

「…!」

 

背後から襲いかかったベリルを、咄嗟に反応したキリシュタリアはどうにか防いだ。

 

「マジかよ!後ろに目でも付いてんのかヴォーダイム!?」

 

「君が裏切る理由はない。なぜ私の計画の邪魔をする?神になるのは君もだベリル。そうなれば異星の神からも解放されるんだぞ?」

 

「あー……やっぱ分かんないか。そうだよなぁ。アンタにはわからないよなぁ。それよりさ、アンタ、なんでブリテン異聞帯を敵視していたんだ?ブリテン異聞帯に来た事はなかったよな?なんで、『放っておいたらヤバい』って知ってたんだ?」

 

「…君の世界で考察したからだ。『異星の神』とは異なる災害。ブリテン異聞帯が現れるとしたら、それは星を道連れにして滅ぶ『呪い』だろうと」

 

「うお、マジか!やっぱマジもんの爆弾ってコトだなアイツら!それでこそ乗った甲斐がある!お礼にこっちも教えてやるよ。どうしてオレがアンタの異聞帯に来たのか。まあ、ほら?オレゃあ妖精達を裏切った身ですし?ぶっちゃけいつでも狙われているわけ。ちょっと声高に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「…!今すぐここから離れろ!」

 

「んじゃまあお別れだ。ヴォーダイム」

 

ベリルがそう言った瞬間、オリュンポスの星空を黄金に輝く光が煌めく。それは膨大な熱量を伴う光の槍となってオリュンポスへと降り注いだ。

 

「あれは、ロンゴミニアドの光!?」

 

「他の異聞帯からの攻撃なんて…!」

 

対『異星の神』用にブリテン異聞帯の女王モルガンによって編まれた『最果てにて輝ける槍(ロンゴミニアド)』。かつてカルデアが第六特異点で出会った獅子王が放ったそれと酷似した異聞帯から放たれた脅威がオリュンポスへと牙を向く。

 

「諸君、緊急離脱だ!いや、しかしあの熱量では…!」

 

カルデア側はキリシュタリアとの戦いで満身創痍、加えて全てを貫くロンゴミニアドの光を前に防ぐ手段も離脱手段もありはしない。まさしく詰みと言う状況にホームズですら諦めようとした。

 

それでも……

 

「いや、まだだ…!」

 

もうだめだと思われたその時、キリシュタリアの惑星轟がロンゴミニアドと激突する。

 

「そうはいかない…!彼らの旅をここで終わらせる訳には……」

 

「そうかい。じゃあ、やっぱり死ぬのはあんただ」

 

なんとかロンゴミニアドの光を受け止めることに成功したものの、キリシュタリアはロンゴミニアドを防ぐので精一杯だ。そんな隙だらけのキリシュタリアをベリルが見逃すはずがなくその命を奪うべく魔の手が迫る。

 

 

 

「止まれ、ベリル・ガット。その駒をお前に取られては困る」

 

しかし、ベリルがキリシュタリアを仕留める事はできなかった。

突如現れた人物によって防がれたため、キリシュタリアに魔の手を届かせる事ができなかったのだ。

 

「おいおい…邪魔するなよ、()()()

 

キリシュタリアの前に立ち塞がる人物を見てベリルは残念そうに睨みつけて言い放った。

 

「キリシュタリアの力はまだ必要だ。ここで終わらせるには惜しい」

 

「相変わらず仲良いな。でもよマーレ。お前さんはこっち側だろ。『神になるなんて死んでもごめんだ』お前さんなら間違いなくそう考える筈だ」

 

「それは否定しない。確かに俺はクソッタレな神になるなんて考えたくもないし、全ての人間を神にするキリシュタリアの理想には賛同できない。とはいえベリル、俺には俺の目的がある。その目的のためにも、キリシュタリアをここで殺させはしないぞ」

 

「そうかい…なら、ここでキリシュタリアと心中するといいぜマーレ。追加で受け取りな!」

 

ベリルが叫ぶと、再びオリュンポスの上空にブリテン異聞帯から放たれたロンゴミニアドの光が輝く。

 

「そんな…」

 

「二発目のロンの槍か…」

 

「大サービスだぜマーレ!うちの女王様はお前のサーヴァント(セファール)も警戒していたからな。ここでキリシュタリア共々…」

 

「問題ない。カルデアもキリシュタリアもそこで見ているだけでいい」

 

最果ての槍の光を見上げながらもマーレは動じない。そして、カルデアが、キリシュタリアが最果ての槍を何とか防ぐため動こうとしたが、そんな彼らをマーレは手で制して止めさせた。

 

「なあ、ベリル…()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「…!おいおいまさか!?」

 

「対応しろ、全連結指揮体(アインツィヒ)

 

「【了解(ヤヴォール)】」

 

 

 

偽典・天移(シュラポクリフェン)

 

オリュンポス上空、降り注ぐロンゴミニアドの光の前方に次々と機凱種達がロンゴミニアドの光の前に次々と現れて集結する。その数およそ()()()。機凱種が他の異聞帯に対して投入可能な『複合連結体(ミッテル・クラスタ)』の全戦力だ。

マーレもまた、ベリル同様万が一の場合オリュンポスの異聞帯ごと空想樹を破壊するつもりだったのだ。

 

『やはり生命反応を検知できない……間違いない、あれは機械…いやロボットだ!それもあんなにいるなんて!』

 

「「「「「「『通行規制(アイン・ヴィーク)』」」」」」」

 

通信越しに見ていたダヴィンチが興奮している間に、ロンゴミニアドの極光は四千機の機凱種達よって展開された【通行規制】による指向歪曲によりオリュンポスから逸らされ彼方へと消え去った。

 

()()()()()()()()()。【典開(レーゼン)】『偽典・最果てにて輝ける槍』をブリテン異聞帯へと照準固定」

 

「出力こそ落ちるが、これで

最果てにて輝ける槍(ロンゴミニアド)』の力も得られた……さて、ケジメをつけてもらおうかベリル」

 

「転移だコヤンスカヤ!女王様(モルガン)の魔術を防がれた以上マーレとは戦いにならねえ!」

 

ロンゴミニアドを退けられ、打つ手がない事を悟ったベリルの判断は早かった。すぐさま契約していたコヤンスカヤと共にブリテン異聞帯へと撤退する事を選んだ。

 

「……アインツィヒ。ブリテン異聞帯への攻撃は後回しだ。今は『異星の神』の降臨に備えろ」

 

ブリテン異聞帯に『偽典・最果ての槍』の雨を降らせてブリテン異聞帯ごとベリルを始末しようか迷ったが、まもなく異星の神が降臨することもあり、マーレはベリルの始末は後回しにして戦力の温存に努める事を選んだ。

 

「そこまでだ。空想樹をめぐる戦いはカルデアの勝利で終わった。これ以上無益な血を流す必要はあるまい。とはいえ、キリシュタリアは叛逆者である事を明かした。マーレ・ドーラ。キリシュタリアを庇った君は我々の敵と見ていいのかね?」

 

「まあ、そういう事だ。最初から俺は『異星』の敵側だよ。ただ、俺もやりたい事があったから計画に乗っただけだ」

 

「そうか、残念だ。では出番だ千子村正。存分にその刀を振るうといい。君はこの瞬間の為に『異星の神』に選ばれたのだから」

 

そして、空想樹の中のアトラスの霊基は斬り裂かれ、ついに異星の神は降臨した。

 

 

 

 





断章 リンボ…死す

キリシュタリアのいない隙に情報を集めていたカドックとそれをたまたま発見して止めようとしたオフェリア。そんな二人にアルターエゴリンボの魔の手が迫る。

「いけませんねえ。いけません。いけません。ンンンンンンいけません!」.

カドックは契約していたアナスタシアのおかげで対応できたが、オフェリアには契約しているサーヴァントはいない。最早これまでかと思われたその時だった。

???「オフェリアァァァァァ!!」

「んな!なんで貴様がここに!?北欧で討たれたはずでは…」

「嘘よ…どうして……」

「ククク…助けに来たぞオフェリアァ!そして貴様ぁ、よくもオフェリアに手を出したな…!『災禍なる太陽が如き剣』」

「ンンンンンン!」

突如現れた赤い目をしたサーヴァントは怒りの炎をもってリンボの式神を焼き尽くした。

そして…

???「帰ってきたぞ、オフェリアァァァァ!」

オフェリア「…」

カドック「おい、しっかりしろ!気を確かにもて!」

アナスタシア「暑いわ、カドック」

「【報告】クリプター二名の保護を完了。尚、うち一名が意識を失っている模様」

「きっと嬉しくて気絶したんだろ。ご苦労様、そのまま異聞帯に送ってやってくれ」

二人は無事に保護されました。

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