転生魔術師クリプターくん ワイの担当した異聞帯が絶望すぎる   作:Uとマリーン見守りたかった隊

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いよいよ異聞帯のタイトル発表です!



神を撃ち落とす日(後編)

 

 

キリシュタリアが管理していた空想樹マゼランには、汎人類史の神霊アトラスが入っていたため異星の神はそれまで降臨できずにいた。

しかし、空想樹に入っていた巨神アトラスが使徒である村正によって切り裂かれたことで、ついに異星の神は降臨した。

 

 

『■■言語■■知性・■■■共有■■■』

 

『■■■■■・プレーン■■作戦■■■、生成』

 

『―――応答 セヨ』

 

『―――返答 セヨ』

 

『コれ ヨり』

 

『コウシンを カイシする』

 

その姿はとても見覚えがある姿をしていた。

 

『あ----はっはっは!ようやく私の出番か!待たせたな使徒たちよ!』

 

「「所長……」」

 

藤丸立香とマーレの呆れながらも、どこか懐かしさを含んだ声が被る。二人は一瞬「あ…」と気まずく顔を見合わせたものの、とりあえず再び仮称異星の神へと向き直った。

 

『私は虚空より降りたる神。この惑星の邪悪を廃し、正すために顕れたもの。地球をひとつの国家として手中に収め、人類をひとり残らず管理する究極の支配者。すなわち……』

 

 

『地球国家元首、U-オルガマリーである!』

 

 

「ワケがわかりません!」

 

カルデア前所長オルガマリー・アニムスフィアの容姿に酷似した外見の『異星の神』ビーストⅦの発言にカルデア側は疑問を抱き、ついつい突っ込んでしまう。

 

『さて‥‥多少の手違いがあったようだが。諸共に消え去る時だ。この惑星に存在していたもの、すべてを私は漂白する。現人類も。異聞帯も。貴様らも。英霊などという器を使っている使徒たちもこうして我が実行体が顕現した以上はみな用済みだ』

 

降臨して早々、異星の神ことUーオルガマリーは、クリプター達への用無し宣言を言い渡した。そして、全てを漂白しようと重量圏を発生させようとした時だった。

 

「なるほど。俺のクリプターとしての役目もこれで完全に終わりか。なら『異星の神』よ。せっかくこの星に降り立ったんだ。せめて最期に一つ俺からの歓迎の花火でも受け取ってくれ」

 

「ほう、流石はクリプターだ。礼儀を弁えているではないか。いいだろう、最期に慈悲をやろう。感じるぞ。貴様の畏怖と諦めの感情の思念を!……ん?貴様、本当にこの惑星の人間か?貴様のような存在をこの宇宙で観測したのは初めてだ」

 

「まあ、今はそんな事は気にしないでくれ。では出番だ。ジブリール」

 

(了解ですマスター!…惑星を統べるなどとおこがかましい。あの程度の神を名告る痴れ者など塵一つ残さず消して差し上げましょう)

 

「長期間の修復術式入りは避けたい、可能な範囲で放て。そして、アインツィヒ、機凱種達にジブリールの天撃に『偽典・天撃(ヒーメアポクリフェン)』を収束させるように伝えろ。後、地精種から奪った例の花火(髄爆)を起爆しろ」

 

「【了解】」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カルデア側にとっては予想外の展開の連続だった。キリシュタリアの異星の神への離反宣言、クリプターベリルによるキリシュタリアへの裏切り、さらに別のクリプターであるマーレの乱入、そして、異星の神の降臨、さらに、今度は異星の神とマーレの会話から、異星の神とクリプターが敵対関係になったことで敵陣営同士の潰し合いが始まる事を悟った。

 

「異星の神ビーストⅦとロンゴミニアドすらも反射したクリプター、マーレの異聞帯の戦力、両者を同時に相手せずに済むのはありがたい。(上手く両者を消耗させればあるいは…)」

 

新たな局面を迎えたことを理解したカルデア側は、事態をどう打開するか考える。

 

「でも歓迎の花火とは一体…あのマーレさんがそんなもの用意するとはとても思えないのですが…」

 

そんな時、カルデアのマスターは、ふと、空を見上げた。

 

「何…あれ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

「解析完了。『解析体(プリューファ)』より各機へ…星間都市山脈オリュンポスの全てのシステムの解析並びに掌握に成功。精霊回廊の代替(だいたい)可能と判断」

 

「『設計体(ツァイヘン)』より『指揮体(ベフェール)』へ…ヘファイストスより譲り受けたテオス・クリロノミアの模倣、再現設計成功」

 

「『観測体(ゼーア)』より『指揮体』へ…敵個体『異星の神』に未だ動きなし」

 

「『同盟者』より与えられた回収目標を完了。新目標、個体名『異星の神』…全機【偽典・天撃】典開。並びに番外個体へと天撃の収束を開始せよ。これより()()()()()()()()()()()()()()()

 

見上げた先にあったのは、キリシュタリアの理想魔術とはまた異なる四千機の機凱種達によって宙を埋め尽くすように描かれた幾何学的な模様……四千発分の典開された『偽典・天撃』の魔法陣だった。

更にその中心に渦巻くのは膨大な理外の力。『偽典』とは桁違いの天翼種が誇る最強の(それ)は、揺らめく不定形な『槍』のように空間を軋ませていた。

 

「さて、カルデアのマスター、まもなくオリュンポスは消滅する。君達も早くここを離れるといい」

 

「オリュンポスが消滅!?一体どういう……」

 

『!?今すぐそこを離れるんだ!オリュンポス上空で膨大なエネルギーを感知した。予測規模は…()()()()()()!?』

 

「これが歓迎の花火か!いいだろう、派手に私を祝うがいい!」

 

「まあ、結構派手な(俺の異聞帯で悠久の大戦が生み出した、星を殺戮する汚い)花火だ」

 

オリュンポスのシステムをハッキングして蓄えられていた魔力を利用した機凱種達によってオリュンポスの空に莫大な力の奔流が渦巻く。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……その全てがジブリールの下に収束する。

 

「…機凱種ごときにしては、まあ及第点でございます♪」

 

そのエネルギーを、ジブリールはその身に神代の魔力炉心を宿す規格外の魔力供給が可能なマスターであるマーレから膨大な魔力を吸い上げることで消耗する精霊の代替えにして可能な限り抑えると、自身の天撃と融合させて増幅させ、その破壊のエネルギーを束ねて収束させた神殺しの一撃を異星の神へと狙いを定めた。

 

「…やはり、アルトシュ様には遠く及びませんが、まあいいでしょう」

 

 

『天撃』

 

 

ジブリールによって束ねられた擬似神撃とも言える無双の一撃は、燦然と輝く神々しい翼のようにオリュンポスごと異星の神を覆い、そして、天地を殺戮する神殺しの一撃を異星の神へと齎した。

 

さらに…

 

「転送完了。『髄爆(ずいばく)』起爆します」

 

地精種(ドワーフ)からパクってきた甲斐があったな。追加で受け取ってくれ」

 

神霊種の神髄を起爆するという、異聞帯の地精種(ドワーフ)が生んだ大陸を消滅させる超兵器が同時に起爆する。二つの大陸規模の破壊を齎すエネルギーがぶつかり、収束し、この異聞帯の終焉を告げる光となる。

 

「な!!バカな!?」

 

「悪いな所長。生憎と人類を侮っている強者共の相手は、俺の異聞帯で何度も経験済みなんだ。その余裕。その油断。その慢心。悪いが付け込ませてもらったよ」

 

「貴様、よくも騙し…」

 

「別に嘘はついてないだろう。抱いた感情も感じ取った通りのものだ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

天からの一撃と、大戦が生んだ超兵器による異星の神にとって想定外の出力の攻撃が、神の防御をを突き破る。そして尚も止まる気配すらない破壊の一撃はそのまま異星の神を飲み込んだ。

 

「…やってくれたものだマーレ・ドーラ。よもや、異星の神の霊基にこれ程のダメージを与えるとは…」

 

「いや、いくら何でもあれは異星の神が油断しすぎだ。それにアンタも異星の神に学ばせる為にワザと忠告しなかっただろ。……にしても相変わらずだな所長は…本来の出力には程遠いんだからもう少し用心しろよ…」

 

「……どうやら気づかれてしまったようだ。しかし、君も見事なものだ。『異星の神』の能力を利用し感情を完全にコントロールして油断させ、その真意を悟らせなかった。人類という存在を侮っていた『異星の神』にはよい学習の機会になっただろう」

 

「しっかり人間というものを学んでくれるといいけどな。『人理の防人』として」

 

「…………」

 

まさか攻撃されると思っていなかったのか、重力圏すら発生させずにあっさり破壊の破壊の渦に飲み込まれてしまった異星の神を少し呆れたように見つめたマーレは、言峰と言葉を交わした後、気を取り直してキリシュタリアの方へと向かった。

 

「さて、それじゃあキリシュタリア、君には俺の異聞帯に来てもらおう。安心してほしい。ペペロンチーノは既にこの異聞帯を離れ、カドックとオフェリアはこちらで回収した。全員無事だよ。という訳で、これから敗れたクリプターは全員異星の神ではなく俺の目的のために働いてもらおう」

 

「私の敗北か…いいだろう。約束通り、君の目的に力を貸そう。すまないゼウス…貴方との約束を果たす事ができなかった私をどうか許してほしい」

 

異星の神を、そして、オリュンポスを飲み込んでいく大陸すら容易く消滅するのではないかと思わせる破壊の渦が迫る中、マーレはキリシュタリアに手を差し出し、敗北を認めたキリシュタリアは彼の手を取った。

 

「さらばだ、カルデア。次はブリテン異聞帯に行くといい。そこで君達に必要なものがきっと手に入る。これからの君達の旅路は、きっと星の命運を担うことになるだろうからね」

 

「星の命運?一体どういう事ですか!?」

 

「そのうちわかるさ。少なくとも、これからの脅威を倒す為にはブリテン異聞帯に存在する、()()()()()が必要不可欠だという事は伝えておこう」

(星と人類の脅威ばかりの俺の異聞帯に来る前に、絶対に星の聖剣のエッセンスは手に入れておくんだぞ)

 

「【典開】偽典・単独顕現」

 

 

 

 

 

 

 

「それで、まんまと『異星の神』は、そのクリプターに出し抜かれたって訳か」

 

破壊の渦に巻き込まれ、霊基を損傷し黒焦げになった『異星の神』とその使徒達はどうにか撤退に成功し、まもなく消滅するであろうアトランティスの工房へと退避していた。

 

「この惑星にはこの惑星のルールがある。それを学んで貰う為に私はあえて何も言わなかった。だが、マーレ・ドーラは小賢しくも感情を色として見ることができる『異星の神』を手玉にとりその霊基を傷つけた。それも私の予想を遥かに上回る傷をだ。嘘をつかず、感情をコントロールする事で『異星の神』を騙し通すとは、厄介な男が敵にまわったものだ。(何より、あの男はあまりにもこちらの事を知りすぎている。一体どこで知ったのか……)」

 

「なるほどな。それで、引きこもった神サンは、虫ケラ扱いしていた地球人にまんまと騙されて傷つけられて日和っちまったのか?」

 

「そう言うな。ただそこにあるものと認識していたものに騙されて傷つけられたのだ。傷を癒す時間も必要だ。そのおかげで『異星の神』は使徒の存在をお許しになった。そして、君には異星の神が知った脅威の一つ、『空想樹すら焼きかねなかった光の槍』の調査と現地の破壊工作に向かってもらおう」

 

「そうか。で、テメェは神サンの護衛かい?」

 

「いや、私もすぐに発つ。異星の神はより強固な器をお望みだ。その調達に向かうのだよ」

.

「?今でも充分に強いじゃねえか。地球上ではあれより強い霊基は作れないんだろ?なら、これ以上の器なんざどこにもねえぞ」

 

「それが、あるのだよ。太古の昔に、この惑星に飛来した外来の種はアトランティスの機神だけではない。アラヤが安定した世界では眠りにつき、ガイアが出現する世界では蠢動するオールトの雲より飛来した極限の単独種がね」

 

 

 

 

『人理再編』は新たな局面を迎えた。

異星の神が降臨したことで役目を終えたクリプター達はそれぞれブリテン異聞帯のベリル、南米異聞帯のデイビットと共に異星の神と袂を分かった。そして、同じく異星の神と袂を分かったマーレもまた、自身の異聞帯でついに目的のために本格的に動き始める。

 

「ここが君の異聞帯か…」

 

「ああ、ようこそ!唯一神の座を争う神々によって悠久の大戦が続く終末の世界、()()()()()()へ!」

 

カドック、オフェリア、そして、キリシュタリア。太平洋異聞帯に降り立った彼らが見渡した先にあるのは、星が流す悲鳴と流血の末に至った絶望の景色だった。ここは、汎人類史においてはムー大陸と呼称され、ドーラ王(転生者)が興した古代エルキアにおいてはルーシア大陸と呼ばれた、この異聞帯世界の惑星で()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「さあ、星杯大戦を始めよう(ゲームを始めよう)。俺達クリプター、そして、カルデア。用意できる全ての駒がまもなく出揃う。悪いが協力してもらうぞキリシュタリア。そして、みんなで仲良く世界を救おう!」

 

 

 

これは、果たされなかった最も古き神話を引き継ぐ物語。

 

星の叫びが届かず、『最強』は討たれず、今も尚終わり無き破壊と死を振り撒く悠久の大戦が続く異聞帯(ifの世界)

 

 

Lostbelt No.0 星を手にする者

??.????? 悠久星杯大戦ディスボード

 

 

 

星の命運を賭けた星杯戦争がついに幕を開ける。

 

 

 





と言う訳でようやくタイトルでましたね。感想欄で速攻当てられた時は、考察鋭すぎて焦りました笑 

次に一個、幕間挟んで異聞帯編やる予定です。
次回は、「『異星の神』が『最強』に挑むそうですよ!」と、「オベロン先生のセファール使ってブリテン崩壊大作戦」のプロローグの二本立てで行きます。プロローグ以降はそのうち幕間で気ままに更新するのでお楽しみに!



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