僕自身がスケベになればいいのでは? 作:PhaseShift
試験終了の翌日。
通常授業も実習も終わり、今日と週明け月曜日の終業式が終わったら夏休みだ。今日は試験結果発表のホームルームだけして解散である。格闘自習も僕主催の集まりはお休みだ。何人かは自主的にやるっぽいが、僕は流石に疲れを抜きたいしちょっとデジタルに触れたい。お馬さんの方じゃないよ。デジタルコンテンツだよ。あとお仕事もあるんだよね……。
で、今まさに試験明け最初のホームルームなんだけど……。
「ぶっちゃけ学校に残っての補習よりキツいぞ。赤点組は覚悟しておけ」
じゃあしおり配るぞー。
相澤先生の無慈悲な宣告で赤点を取った切島君、上鳴君、芦戸さん、砂藤君、瀬呂君が途端に静かになり、意気消沈した様子で着席した。林間合宿に行けるというどんでん返しからさらに落とされた事がよほど響いたのか、芦戸さんなんて半泣きである。
「では期末試験ご苦労だった。今日は解散!」
個人的には座学で赤点取らなくてよかった~と一安心だ。
みどりゃーから受け取ったしおりを手に取り、ラス1を後ろに回す。
「……ふーむ」
「どうかされましたか?」
「あぁヤオモモ。いやね、学校の泊まる系イベントにしては1週間って長いなって思ってさ」
「そう……なのでしょうか?」
結構長いよな? 公立の修学旅行は長くて4日、林間学校なら1泊2日がスタンダードだと思うんだけど。まさか1週間とは思わなかった。
「ふふ。峰田さん、お団子が弾んでますわよ?」
「えっ何それ」
「林間合宿、楽しみですわね」
「お、おお。うん」
しおりをぺらぺらと捲って予定表を確認する。おお。海で水泳したらバーベキューを予定だって。水泳……水着……バーベキュー、波飛沫、夕日に汗、追いかけっこ、誰も来ない入り江でアバンチュールするのは誰……
誰……
誰……
俺!?
俺!!
俺俺俺俺!!
Ahh痛ァッ!?
「峰田さん?」
「いやいやいやいやなんも言ってないなんも言ってない!」
「顔に締まりがありませんのよ」
ヤオモモにトンカチで正気に戻されたんだけど脳天クッソ痛いお……ちらっとヤオモモを見たらすげえジト目をしていた。すいません。ふしだらな事を考えていました。でもみんなの水着が楽しみなのは事実。女性陣はもちろんだし、ヤオモモの――ぼへ。
「峰田さん?」
「あー持ち物見よう持ち物。僕もとびっきりせくしぃなの着ちゃおうかな~」
「全く……あら?」
「どうしたの?」
ヤオモモはこちらの肩をちょんちょんしながらあるページを見せてきた。ん、何々……?
…
……
指定水着:雄英高校指定水着 ※3
私物水着:バーベキュー、自由時間向けの水着 ※4
……
…
…
……
※1:履きなれた靴を選ぶこと
※2:お菓子は常識的な量を持ち込むこと
※3:A組の峰田はサイズの合うラッシュガードを着用すること
※4:A組の峰田は上下揃いのデザインの水着を着用すること
※5:キャリーケースは原則1つまでとする。1つ以上は要申請
※6:ラゲッジタグには姓名、クラスを明記すること
……
…
名指し!?
「とにかく、先生方も扱いを覚えたということですわね」
「サイズ大きめラッシュガード+ブーメラン水着の組み合わせが封じられた」
「おやめなさい全く……!」
ヤオモモの呆れ交じりの視線を感じながら、一応マーカーで目印をつけておく。これお小遣いで買った方がいいのかな。それとも師匠が出してくれるかな。
「あーあ。でも遊ぶ用の水着持ってないんだよね」
「そうなんですか? 職業柄一つは持ってるものかと」
「こう、TPOを弁えたものがさ、ほら……」
「TPッ……なるほど」
海水浴場で僕がトップレスで居たり上半身の布面積が狭い水着を着ているとあっという間にライフセーバーさんたちに囲まれちゃうんだよね。で、現場を騒然とさせちゃうわけだ。これはあんまりよろしくない。あんまり自覚出来なかったんだけど、小学校高学年から中学生の時は道を踏み外させちゃう方向*1に色気があったらしいからな……。
「あの。では峰田さん」
「うん?」
「よっ……よければ一緒に水――」
バン、とヤオモモの机を叩きながらはーちゃんが現れた! びっくりして手からこぼれたヤオモモのしおりをキャッチしてお返しする。どしたん話聞こか?
「ヤオモモとみーくんも行こうよ!!」
うお声デカ。
「いやーさっき廊下でさ! みんなでお買い物行かん?って話してたんだよね! 明日休みだしさ!」
おお、渡りに船じゃん。でもクラスメイトでお買い物したことないからちょっと緊張するかもな。服装とかどうしようか。むむむ……。服を買いに行く服、あるか? 家帰ってもパーカーとジーンズと作務衣くらいしかないんだよね。着物はちょっとなぁ。
「
「ほんと? あんなんでいいの?」
「ええ。モールに行くなら流石に浴衣や着物は向かないかもしれませんわね」
「なら変装も必要か」
アロハにしとこうかな。短パンとアロハとビーサンとグラサンと野球帽とバレッタでまあ気づかれることは無いだろ! ガハハ!
……。
……?
えっ何?
「二人ともどしたの?」
「なんでもありません」
「なんでもないよ!」
廊下に居たクラスメイトもある程度戻ってきて、行先は木椰区のモールに行くことになった。集合場所と時間は……まあなんとかなりそうだ。遅刻しないようにしなくちゃね。とりあえずデカめの伊達眼鏡と野球帽でも買って帰るか。はーちゃんは相澤先生たちと自習するらしいし、一人で行くかな。あー……やっぱLAの青いヤツがいいかなぁ。
わいわいがやがやするクラスメイト達を傍目に、今日は退散することにする。
「じゃあ、僕はこの辺で。また明日ね~!」
「また明日!」
「寝坊すんなよ~!」
リュックを片手に教室のバカでかいドアを開けて少し、後ろから早歩きで誰かが追いかけてきた。はーちゃんかな?……あれっ、珍しい。追いかけてきてたのはヤオモモだった。
「峰田さん、よかったらこの後……」
「うん?」
「……いえ、呼び止めてしまって申し訳ありません」
静かに首を振ってから、ヤオモモが微笑みながら呟いた。何かあったんだろうか。あんまり踏み込んでほしくも無さそうだ。
「そっ……か?」
「ええ。明日はくれぐれも遅刻しないように」
「わかってるってば」
踵を返し、廊下を歩く。
でもどうしよう。なんかあるよな。心配だ。んー……どうしよう。いや、正解じゃなくてもいいか。コミュニケーションは真心が大事、ってはーちゃんも言ってたしな。
僕はほんの少しだけ進んだ廊下を引き返す。ヤオモモがびっくりした顔をしていた。
ええと。
えーと。
「その。ヤオモモ、間違ってたらごめん。なんか悩んでる……様に見える」
「へっ?」
「僕なんかでよかったらいつでも相談乗るからね」
「えっあっ。はい……」
ヤオモモは友達だから! と気合を入れれば、ヤオモモはぽかんとした後に「ええ、頼りにしてますね!」ってクスクス笑ってくれたので、多分これで大丈夫だと思う。ご実家のあれこれとかめっちゃ大変そうだからな。男友達の僕だからこそ言えることもあるだろう。うん。
「じゃあ……また明日」
「ええ。また明日」
じゃあね~と手を振れば小さく手を振り返してくれた。
……帰るか。
「あれさぁ……」
「芦戸ちゃん、シャラップ」
「いやだって麗日あれは」
「シャラップ!」
「葉隠は前からあからさまだけどヤオモモはいつから?」*2
「耳郎ちゃんまで……!」
「ヤオモモは自習皆勤だし片付けもたまに二人でやってるよ」
「ヤバくない?」
「ヤバい」
「まだ当人たちの問題よ。首を突っ込んじゃいけないと思うわ」
「うちも梅雨ちゃんと同じかな……」
「葉隠はどこ?」
「まだ教室」
「……帰ろうよ」
「うん……」
翌日。
僕たちA組の姿は予定通り木椰区のショッピングモールにあった。
「「「……」」」
「お、おはよー……」
桐下駄に真っ黒の作務衣、こげ茶のグラサンにバッチバチのイヤリング、そしてピンク色1Dayカラーで染めた髪を適当にかんざしでまとめてから野球帽を被ることで私の変装は完成する……!
「あー……ああ!! 峰田か!!」
「切島君正解~!」
「うわ、今日峰田着物じゃないんだ! てかわたしと髪色お揃いじゃん!」
「染めた~」
「てか作務衣に野球帽ってどうなん?」
「誰かわかんなけりゃいいんだぜ」
後から合流してきた皆ときゃいきゃいはしゃぎながら続々と待ち合わせ場所にやってくるA組の皆と合流する。先日ヤオモモの家でやった勉強会に参加してない奴らは僕の着物が見たかったようだ。まああんだけ気合入れたのはなかなか見れないんじゃないかなぁヤオモモんちに合わせたしと答えればブーブーとヤジが飛んでくるのでうるせえと黙らせた。
「さあ皆さんそろそろ参りましょう! 県内最多店舗数を誇るナウでヤングの最先端! 腕が6本の貴方にも! ふくらはぎ激ゴツの貴方にも! きっと見つかるぜオンリー……ワン!」
「イエーイ!」
はしゃぐみんなと一緒におー行くべ行くべと追従する。
「俺アウトドア系の靴ねえから買いてえんだけど」
「私も私もー!」
「上鳴君葉隠君! 靴は履きなれたものとしおりに書いて……いや……用途に合ったものを選んだ方がいいのか……?」
今日もA組は賑やかである。僕は真人間に擬態するタイプ陰キャなので自分が喋らなくても盛り上がってくれるのは結構助かってるんだよな。
「みんな買うもん違うし、時間決めて自由行動にしようぜ!」
ナイス切島君。どうすっかな僕。水着も買いたいけど靴も欲しいし……ちょっと悩んでると上鳴君が僕の足元を見ながら呟いた。
「峰田はまず靴じゃね?」
「下駄以外持ってないわけじゃないですぅ~! でも確かに靴欲しかったかも」
「じゃあ行くべ! おーい! 峰田も靴だって!」
「峰田君! 一応言っておくが下駄や足袋は靴じゃないからな!」
「わかっとるわ!!」
はーちゃん、芦戸さん、上鳴君、飯田君と一緒にモールの靴屋さんへ向かう。からんころん。からんころん。からんころん。からんころん。僕の足元からからころと音が鳴るたび道中の会話が徐々に減り、次第に僕の下駄の音だけが目立つようになってきた。
からんころん。からんころん。
「……」
「……」
「……」
……。
からん、ころ……。から……。
「死にてえ」
「え!?」
「峰田!?」
「だっ大丈夫! 夏の風情をばっちり感じられるぞ!」
飯田君ありがとう。ちょっとチョイスミスったかもしれない。
「実家は寺社仏閣なのかい?」
「日本家屋じゃなかったっけか?」
飯田君の声に上鳴君が応えた。そうそう。クソ広日本家屋である。まあ完全に師匠の趣味だよねぇ。めっちゃ広いから小さい頃はよく迷子になったし……。
「めっちゃ急な階段もあるよ」
「あるの!?」
「めっ……めっちゃ急な階段!?」
「あのおばあちゃんちにしかないあの!?」
そう。ある。
はーちゃん、上鳴君、芦戸さんは思わず叫んだあと思わず足元のエスカレーターを見つめていた。そう。こんなちんけなエスカレーターよりも急な、登れはするけど降ろす気ゼロのあの階段が我が家には存在するのだ。
「ジブリの世界観にしか存在しないと思ってたけど実在するんだあれ……」
ちなみに。
遠い昔、姉さんたちと一緒にとなりのトトロを見た後「うちにないの?」って騒いだ姉さん達に師匠は無慈悲にも「無いよ」と宣告して主にSicilia姉さんがドタバタと無言で駄々をこね始めたのを覚えている。
それからあんまり日が経たないうちにその扉と階段が見つかってみんなで大はしゃぎしていた。でも階段を上った先は当時の師匠の仕事場だったもんでまっくろくろすけが居るはずもなく、まっくろくろすけを期待していた当時の姉さん達が滅茶苦茶文句言ってたっけ。
「おっ。ここか」
気が付けば靴屋さんである。
しばらくおお……結構デカいなと靴屋を眺めた後、上鳴君と一緒に行くべ行くべと中へ入店。「さっきからそのノリは何?」と不思議がるはーちゃんと芦戸さんと飯田君を置いてけぼりにしつつ入店する。
「峰田はどんなんがいい?」
「林間合宿だから……山でしょ? やっぱトレッキングシューズじゃない?」
ハイキングレベルなら正直トレッキングシューズじゃなくてもスニーカーっぽいやつならなんでもよさそうだけど。
……あ!
「しまった。靴の事ならみどりゃー呼べばよかった」
「あ~……緑谷下手したら日替わりな時期あるよな」
メッセージアプリで聞いてみるねと声をかけ、あとから来た3人とすれ違うようにお店から出る。メッセージだと気づかんかもしれないし通話掛けてみるか。みどりゃーみどりゃー……出ろ~!
……よし。
「あっ、みどりゃー? もしもし峰田だけど」
『あっうん。大丈夫、聞こえてるよ』
「急にごめんね? 今靴屋さんに居るんだけどさ、みどりゃーの意見が聞きたくて。そっちの用事が済んでからでいいから、こっちに合流してくれないかな?」
『ちょ……ちょっと……今その、忙しくて』
「ありゃ。そうなの?」
『むっ、むかっむかしの知り合いと会ったんだ! だから少し時間がかかりそうかな!』
「……誰と居るの?」
『え? あっ……知り合いだって!』
「……」
……?
「みどりゃー?」
おん? あ、切れてる。
……。
……、……。
「みっ……」
「みどりゃーが寝取られる!!」
僕は同人誌でめっちゃ学んだから詳しいんだ!! これ導入だ! 絶対そうだ!! ていうか心の中でみどりゃーは絶対総受けかヘタレ攻めだと思ったけどやっぱり受けじゃないか!! バカ!! どうしてくれるんだよこれジャンル潰れるし僕の脳内ヘタレ攻め派閥は虫の息だよ!!
……あっ、あー見えますよ社会人パロでヒーローから引退して教師になったみどりゃー(28歳)と教え子の年の差いちゃらぶな光景が見えます絶対みどりゃーは最後の一線を自宅に引いてるだろうし逆に家に二人で上がり込めさえすれば完全にチェックメイトだよねうんでもいざ相手が成人して致すのが合法になってもなんだかんだ半年くらいは手出さない感じがするよねなので如何にしてみどりゃーの守備範囲に入るかじゃなくて異性として意識させるかを教え子の関係中に積ませておいて最初の1回でどりゃあああああああああと罪悪感と義務感から解放された合法という名前のカタルシスでチェックメイトしつつコンドームに穴を開ければ永久就――
見聞色!
「かわいそうなのはぬけない……!」
探せ!……探せ……ッ!
居た! 中央広場!
テナントが見渡せる吹き抜けを飛び降りてふわりと着地し、中央広場を目指して早歩きをすれば、咳き込んで動けないみどりゃーと通報している麗日さんが見えた。
「みどりゃー? どうしたの?」
「し……死柄木……ッ!」
「……」
は?
みどりゃーが指さした方角に集中し慌てて捜索を始めるが、一瞬だけ感じ取れた死柄木のような気配はこの人ごみに飲まれてしまい見つからなかった。流石に一度だけ対面したヴィランの気配をこの人ごみの中で迅速に探し出すのは流石の僕でも無理だ。
麗日さんの通報で駆け付けた警察の皆さんと異常を察知したA組の皆が大集合し、結局この日はお流れに。モールは一時閉鎖。みどりゃーは警察に保護され、僕と麗日さんも少しの事情聴取のために警察署へ同行する形となった。
仕方ない。なんせ敵連合の首魁のお出ましだ。できればみどりゃーに何を話したのか聞きたかったけど彼の事情聴取は終わる気配を見せない。
僕はこの後お仕事もあるし、いざとなったら買い物は師匠にお願いしないとな。
『それではこちらのVTRをご覧ください!』
《私が勝ったらコーチング、貴方が勝ったら名誉ね!》
《うううう~~うわあああああああああああ!!》
《こっこごこごろざないでくださいいいいい……!!》
《ひっ……ひひっ……ひひゅッ》
「――……これが名誉かぁ」
『……』
「……はい。ユリカさんこんばんは! フルーツバスケットの葡萄担当、雄英高校1年A組の峰田実こと、スケベ忍者で~す! お久しぶり~!」
『今回天の声を担当させていただくフルーツバスケットのメロン担当、KissMePassことキミパでーす! ユリカちゃん、おひさー!』
「ユリカさん! 活動開始5周年、おめでとうございま~す!」
『おめでとうございまーす!』
「あはは~……はは……は……」
『どしたの?』
「えっ、これ本当に喜んでもらえる?……あなたのほうが良いんじゃない?」
『いやいやいやいや。絶対君のほうが良いから! ドリームスタジオさんとマネージャーさんからのご依頼だから!』*3
「そう? では気を取り直しまして……ユリカさん、お久しぶりです。フルーツバスケットの葡萄担当兼雄英高校1年A組の峰田実こと、スケベ忍者です」
『うんうん。その調子その調子!』
「去年イベントでご一緒させていただいた時以来となりますが、僕と戦ったしばらく後に、なんだか……僕の……」
『結構コアなファンというかヤバい寄りの夢女子になってしまったと伺いました!』*4
「……」
『……』
「どういうこと!? 蛇蝎のごとく嫌われてる認識だったよ!?」
『いやー、忘れられない思い出になったらしいねぇ』*5
「あんだけやっちゃったのに!?」
『だからこそじゃない? やっぱ当時は怒ってたの?』
「あーまあちょっとだけね。最初は懲らしめてやろうと思ったんだけど、3戦目過ぎたころからユリカさんの悲鳴《カット!》」
『あのー! これ他箱さま宛てのビデオレターですよー! ライン越えでーす!』
「……なんすか」
『なんすかじゃねーよ!』
『兎に角ね、推し方はともかく前回共演した時以来、君の事を推してくれてるんだってさ。ユリカちゃんも最近勇気出して声掛けようとしたけど、君、雄英体育祭の後のルーターズの企画欠席したでしょ? あれがあんたがユリカちゃんNGだからかもってだいぶショック受けてたんだって』
「えぇ?」
『あれなんでキャンセルしたの?』
「これは豆知識なんですが……雄英体育祭優勝したら週単位で臨まないといけない企画をやってる時間がないんですよ。すぐに別の学校行事もありましたし」
『だよねぇ!?』
「自分はノイズ完全シャットアウトしてるんでどこで何言われてるのかわかりませんが、ユリカさんの勘違いですね」
『ドリスタの運営さんもそう思ってるよ。向こうからビデオレターの打診の理由の一つじゃない?』
「なーほーね」
「じゃあもう一つは?」
『そりゃ、推しからビデオレター来たら嬉しくない? しかも箱の強み……フルバスだったらフルバス特有の天の声とか画面の構図とかで収録されてたら嬉しいと思うよ?』*6
「そんなもん……?」
『うんうん。推しの火はいつ来るかわからんもんだ』
「まあ10回もぶち殺したの人生でユリカさんくらいだしな。ある意味特別だね」
『おい。悪い夢女子にそういう餌を与えるな』
「餌?」
『悪い奴だこいつぅ』
「で、なんだっけ。なんかまた会う機会があるとかないとか」
『あっ。そうなんです! 次回のAuroraViewで開催されるストリームファイター2天下一武闘会にて、ユリカさんが出場予定ですよ~!』
「僕も世界一可愛い配信者として展示されるので、もしかしたら楽屋か僕のショーケース前でお会いする機会があるかもしれませんね」
『ちなみにユリカさん、今アルマスですよ』
「アルマス!?」*7
『あの日の悔しさをバネに頑張られてるみたいです!』
「ちょ、AuroraViewいつだっけ……カレンダーカレンダー……」
『おいバトルジャンキー。急に食いつくな!』
「エキスポのプレオープン前か! 獲物は!?」
『両手斧らしいです!』
「ユリカさーん! 本番頑張ってくださいね! 強い女の子は大好きですよ~!」
『次回のAuroraViewは以下の日程で開催されますのでぜひ! お越しくださーい!』
「……だいぶフルバス流にやったけどこれ怒られない?」
『一応チェック入るから大丈夫!』
「ではユリカさん、次回は I アイランドでお会いしましょう!」
『またね~!』
感想、高評価お待ちしております。
作者の燃料になりますので…!