俺と彼女は幸せに恋人生活を楽しんでいたが、俺はとあるきっかけから彼女の病気を知ってしまった。
俺は彼女の病気を治すために奔走する。

評価とか感想とかよろしくお願いします。

1 / 1
一部にAIのべりすとによって出力された文章を基にしたものが含まれます。


第1話

 完璧すぎる君と出会って、俺はやる気を無くした。でもやっぱり――恋をした。

 

「――ごめん! 待った?」

 

 そう言って彼女は俺の前に現れた。

 

 今更ながら彼女の容姿を説明しようと思う。

 

 まずは顔だ。俺がこれまでの人生で見たことがないくらいには可愛い。めっちゃ整ってる。一つ一つのパーツが特徴的な美しさだ。こんな可愛い子がこの世に存在するということが信じられない。

 

 あと髪型が俺の好みだ。肩までかかるかかからないかの黒髪ストレート。これは王道だよ王道。素晴らしい。

 

 そして制服も似合ってる。スカートから伸びる足も綺麗だし……あれ? これなんか変態っぽくないか?……まあいい、俺は変態紳士として生きる。

 

 とにかく美少女でスタイル抜群なのだ。

 

 そんな完璧な女の子がいるだろうか? 否!! いるわけがない!! つまり彼女こそが俺にとって理想の女性だったのだ。

 

 え? なんでそんなに完璧な彼女が出来たのかだって? それはね――俺がイケメンだからさ、と言えるわけもないので、ちゃんと説明していこうと思う。

 

 

 

 中学三年の時、俺には好きな人がいた。その人は隣の席の女子で、いつも本を読んでいた。無口で大人しい性格だったが、たまに見せてくれる笑顔がとても可愛かった。

 

 ある日、彼女に話しかけられた。内容は確か『私と友達になって』みたいな感じだった気がする。

 

 その時の俺は人と話すことが苦手だったということもあり、おろおろとして結局返事もしなかったのだが、それでも彼女は諦めず何度も俺に話し掛けてきた。

 

 それほど諦めずに話しかけてくれた人は彼女意外に知らない。

 

 最初は、好きな人とは言え少しだけ鬱陶しく思っていたが、段々と彼女と会話するのが楽しくなっていった。

 

 しかし、一ヶ月程経った頃、彼女は転校してしまった。俺が嫌いになったのかもしれない、と考えもした。それが俺の最後の恋になった……はずだった。

 

 高校に入学し、俺は彼女に再会した。もちろん初めは気付かなかったけど、同じクラスになり気付いた。あの時の子だと。

 

 正直嬉しかった。だが同時に怖くなった。また嫌われてしまうんじゃないかと不安になっていたからだ。

 

 それからというもの、なかなか声を掛けられずにいた。

 

 

 

 するとある日、彼女が急に抱きついてきて言ったのだ。『やっと話せたよ!』って。

 

 正直めちゃくちゃ驚いたよ。このタイミングでくるとは。

 

 しかもその後、『ずっと好きだったんだよ?』とか言ってくるし……。反則だと思うんだ、これが惚れないはずがないだろう。

 

 こうして俺たちは付き合うことになった。告白したのは俺の方だ。理由は単純明快。ずっと好きだった。

 

 

 

 それからの一年はとても楽しかった。

 

 毎日一緒に登校して、休み時間は必ずと言っていいほど話をしていた。昼ご飯を食べる時は屋上で二人で食べていた。

 

 学校にいる間はいつも一緒だった。放課後も、もちろんデートに行ったりしていた。休日は基本的に会っていた。

 

 ああ幸せだったなぁ……なんて思うことは当然あるが、今はそんなことよりもこれからどうするかを考えなければならない。

 

 彼女に残された時間は後僅かしかないということを、知ってしまった。

 

 

 

「ねぇちょっと聞いてる!?」

「うおっ!……あーごめん何の話だっけ?」

「もう!しっかりしてよね!」

 

 ……本当に申し訳ないことである。ちなみに何を聞かれたかというと、今度の週末どこに行きたいかということだ。最近話題の映画を見に行くことに決まった。

 

「じゃあそろそろ帰ろうか」

「そうだね……」

 

 ん? なんだ今の微妙な反応は……まあいいか。とりあえず帰る準備をしよう。

 

 帰っている途中で、公園に寄ることになった。まだ少し明るいため、子供たちの姿が見える。

 

「はいこれあげる!」

 

 唐突に差し出された手に握られていたのは一つの飴玉だった。

 何でここで飴玉……?

 

「ありがとう」

 

 そう言いながら俺はそれを口に含んだ。甘い味が広がる。美味いなぁ……。

 突然彼女が近づいてきたと思ったらそのままキスされた。

 

「んむぅッ!?」

 

 びっくりした。いきなり過ぎませんかねぇ……。でも、俺としてもうれしい。そして暫くしてから唇が離れていった。

 

「今日はこれくらいにしとくね♡」

 

 そう言って彼女は先に去っていった。

 

 いや、飴玉舐めてるときにキスすんなよ危ないだろうがと理性を抑え込んだが駄目っぽい。俺の理性が限界を迎えようとしている。いや超えてるかもしれない。

 

 このままではいつか襲ってしまうのではないだろうか?

 

 でも仕方がないと思う。だってあんなことをされて我慢できる男はいないはずだ(俺調べ)。

 

 というわけで早速実行に移すことにした。いきなり襲うわけにもいかないが遠慮は取り払うことにする。

 

「えへへ〜」

 

 だいぶ進んでいた彼女に追いつくと、彼女は気づいて手を繋ぎたいと目で訴えかけてくる。可愛い。よし繋ごう。しっかりと手を握ると、ぎゅっと握り返してきた。

 

「えへへ〜」

 

 満面の笑みを浮かべている。天使ですかあなた? そんなことを考えていたらいつの間にか家に着いていた。

 

 名残惜しいがここでお別……いや、連れ込んでしまえばいいか?

 

 いやいやだめだ、さすがに遠慮してやろう。

 

 

 

 俺が家に入る直前、彼女の動きが止まった。

 

「ど、どうかしたのか?」

「ねえ……最後にもう一回だけキスしてほしいなって思ってるんだけどダメかな?」

 

 ……上目遣いでそんなこと言われたら断れるわけがないじゃないか。もちろんOKですよ。むしろお願いします。

 

 顔を近づけると目を閉じたのでこちらからも口づけをする。今度はすぐに離さなかった。長くて深い大人のキスだ。舌も入れてみた。うん気持ちいい。

 

 流石に苦しくなってきたので一旦口を離す。唾液が糸を引いているのを見て興奮したがなんとか抑えることができた。

 

 彼女は蕩けた表情をしている。

 

 とてもエロくてかわいい。もう一度したいところだがこれ以上すると止まれなくなりそうな気がしたので止めておくとしよう。

 

 別れ際に軽くハグをして別れた。ちらっと見えた彼女の表情が寂しげな空気を帯びていたように見えた。

 

 次の日、彼女からの連絡はなかった。

 

 

 

 それから一週間が経ったある日のこと、彼女からメールが来た。

 

 内容は『話があるから今日の放課後、屋上に来てほしい』というものだった。なんの話だろうと思いながらも了解の旨を返事しておく。

 

 放課後、言われた通り屋上に向かう。扉を開けるとそこには彼女がいた。

 

「来てくれないのかと思ってたよ」

 

 彼女は微笑んでいる。しかしその笑顔はどこか悲しげなものにも見えた。

 

「それで話ってなんなんだ?」

「……」

 

 やはり答えない。ただ俯いているだけだ。

 

「どうし――」

「私達もう終わりにしよう」

 

 ……はい?

 

「どういうことだ、突然」

「そのまんまの意味だよ」

「どうして急に……」

「君が悪いんだよ?他の女の子と話しちゃったりするから」

「いや、そんな記憶は……」

「どっちだっていいよ」

「じゃあ他に何か理由があるのか? もしあるなら教えてほしいんだけど」

「……から」

「え?ごめん聞こえなかったんだけど」

 

 やば、このタイミングでこのセリフは鈍感系主人公待ったなし、明らかに起こっているであろう彼女の前でこんなこと絶対だめだ……。

 

「だから! 私のこと全然構ってくれなかったじゃん! 私は君のことが好きだったの! ずっと好きだったの! なのに君はそんなこと気づいてもいないようで、寂しかった。だから決めたの! こんな関係終わらせようって! それに……いや、なんでもない……。でも邪魔なのよあんたが!」

 

 彼女は泣いていた。そして叫んだ。心の奥底にあったであろう本音を。ずっと溜め込んでいたのだろう。

 

 だが、俺はちゃんと彼女に構っていたはずだが……?

 

「わかったよ……ごめんな気付いてあげられなくて」

「わかればいいの……さよなら」

「ああ……本当にごめんな」

 

 そうして俺はフェンスを乗り越え、下を見た。結構高い。落ちたら間違いなく死ぬ。

 

 この高さに彼女は気づいていない。ここがどのくらいの高さか、わかっていないだろう。

 

「じゃあな」

 

 俺は飛び降りた。彼女には俺がフェンスを飛び越えて帰ったように見えるだろう。

 

 

 

 たっ

 

 俺は軽快な音を立てて着地した。

 

 落ちたら死は必至、といった高さから落ちた俺が無事だったのは、実は俺にはすごい能力があったからだ。

 

 完璧すぎる彼女と出会って、何か彼女に勝てるものを探した。勉強もダメ、容姿もダメ。スポーツもダメ。性格もダメ。

 

 そうして見つかったのがこの超人的な身体能力だ。スポーツのように試合のルールを気にすることなくかつ役に立つ。

 

 スポーツをしようと思ったら面倒な人間関係がまとわりついてくるだろうが、身体能力を鍛えるだけなら一人でもできるしいつでもどこでもできる。

 

 

 

「ふぅ……これで、良かったんだよね……」

 

 彼女は自らの手のひらを見つめて、そして振り返って屋上から屋内へ戻っていった。

 

 

 

 俺の名前は佐藤優斗。彼女と比べてしまったら、どこにでもいる普通の高校生だ。今日もいつもと同じように登校しているが、胸の奥に隠した寂しさが抑えきれない。

 

 昨日別れた彼女は、実は余命が半年くらいしかない。彼女は俺を信じていなかったのか、俺にそれを伝えてくれず、そして別れを告げた。

 

 本当は、全部気づいていた。

 

 彼女が俺を本当に心の底から好きなこと。もうすぐ死んでしまう自分と、大好きな俺と板挟みになって葛藤して、本当は俺と別れたくなかったけど、俺を悲しませたくないがゆえに俺に別れを告げ――おそらくはまた転校するつもりだろう。

 

 俺が彼女の病気に気づいたのは、身体能力の訓練をしていた時。

 

 

 

 町で、体を鍛えるようなパルクールをしていて病院の上を通りかかったとき、そこに入る彼女の姿を見かけた。

 

 気になって後を追ってみる。気配を消して柱の陰に潜んでいると、彼女の名前がアナウンスされた。

 

『星宮さん、星宮春菜さん、1番診察室までいらっしゃいませ』

 

 病室にまで入るわけにはいかないが、俺が鍛えに鍛えた身体能力は聴力も含まれる。

 

 病室の外、待合室からでも医者の声が聞こえるし聞き分けられる。その点では聖徳太子よりも高い能力の持ち主である。

 

 

「星宮さん。あなたはもう長くは生きられないと思います。日常生活に支障はないでしょうが、半年持たないかと」

「そん、な……」

 

 絶望に項垂れるような声色の彼女の声を聴き、俺は泣きそうになったが、何とか涙をこらえて次の言葉を待つ。

 

「治せない、ってことですよね……」

「はい、希望は薄いです。一応薬があることにはあるのですが、必要な材料は非常に希少で、生息地が限られていて危険地帯なんです。取りに行くとなると命がけ……。一般人ではまず無理ですし、人間の身体能力では何とも」

「車とか、使えないんですか……?」

「試みたこともあるようですが、何分未知の生物が……いえ、これは機密情報です」

 

 その機密情報を手に入れている医者は一体何者なのか。

 

「私が医者になるきっかけが、この病気でした。星宮さんと同じ病気です」

「では治ったってことじゃ!」

「当時は意外と探せば見つかるような植物だったんですが、外国でその病気が大流行して、ほとんどその国での治療に使われ……日本での反発もすごかったもんですから、その病気は排除されたということに、強引に。実際減りはしたのですが、極稀、それこそ10億人に一人とか、そのレベルで見つかることがあり――」

「私は、凄く運が悪かった、そういうことですか……?」

「端的に申し上げれば、その通りです」

 

 つまり治る見込みはほぼないというところに帰結するわけか。

 

「一応、こちら側でもその植物はお探しします。患者様の命にも関わりますから、総力を挙げて。しかし、希望は持たない方がよいかと」

「そう、ですよね。わかりました。わざわざありがとうございます」

「私も医師の端くれとして当然のことをしているだけです。何かあればいつでも頼ってきてください」

「はい……ありがとう、ござました……」

 

 待合室から何とか聞き取っているので姿は見えないが、彼女の震えた声に、俺は胸が締め付けられる思いだった。

 

 その声を聴くのに必死で、近寄ってきている受付の人に気づかなかった。

 

「何か、御用でしょうか? 受け付けはあちらになりますが……」

「いや、連れを待っているだけなので……」

 

 強引に会話を打ち切ると、春菜が診察室から出てくる前に病院から出た。そしてその足で近くの公園に向かい、ベンチに座って頭を抱える。

 彼女の死期は遠くない。でも彼女のために何もできない自分が不甲斐なかった。

 

 

 

 というわけだ。

 

 春菜が転校を考えているというのは憶測でしかないけれど、中学校での出来事からしても、彼女の性格からしても、春菜は恐らく転校を考えているだろう。

 

 俺はあの医師から薬の材料の所在地を聞き出し、取りに行こうと決意した。

 

 

 

「おい、医者」

「な、あなたは!? どうしてここに!?」

 

 あの後、病院の営業が終わって医者が車で帰るのを、下道だったので何とか追いつく程度の速度だった。

 

 そうして医師の自宅を突き止め、医師が眠りにつく直前で、家から持ってきた包丁を医師に向けた。

 

「そんなことはどうでもいい。……星宮春奈が罹った病気、それに効く薬の材料がある場所を教えろ」

「星宮春奈……今日やってきた彼女か。教えられん、不用意には。患者のプライバシーが――」

「お前が死んだら、助かるかもしれない多くの人が命を落とすだろう」

「わかった……。でも取りに行って死んでも文句は言わないでくださいよ、責任は取れません」

 

 そうして俺は、春菜の薬の材料を探しに行く準備をしていた。それで、先ほど俺は彼女に突き放され、彼女と突然会わなくなっても不自然にはならない。

 

 早く材料を見つけ、これまでの春奈との生活を取り戻したい。春菜のいない生活なんて考えられない。春菜がいなくなったら、俺の心はもう壊れてしまうんじゃないかと思うくらいだ。

 

「さて、行くか」

 

 春菜がいなくなることを想像すると、まだ心臓が張り裂けそうなくらい痛い。だが春菜のためにも頑張らないと。

 

「待っていてくれ、春菜……」

 

 

 

 俺は、とある山の麓にいた。

 

 医者の話によると、この山の奥にある洞窟に生えている植物が、春菜が罹っている病気に効果があるとのこと。

 

「この奥に行けば、春菜は……」

 

 俺は覚悟を決め、森の中へと入っていく。

 

 

 

 俺が森に入ってから数時間。日は既に沈んでいるが、俺は今だ洞窟を目指せず、森を彷徨っていた。

 

「どこだよここ……」

 

 迷子になった。

 いや、薄々感づいてはいたけど……。まさかこんなことになるとは……。

 

「本当に参ったな……」

 

 自分の方向感覚に自信があったわけではないのだが、まさかここまでとは思わなかった。

 

 これではいつまで経っても目的地に着くことができない。下手すれば遭難してしまう可能性もあるし、これは一旦引き返すべきか……。

 

「あれ、なんであんなところに木が生えてるんだ?」

 

 来た道を戻ろうとして振り返ると、そこには一本の木が立っていた。周りの木々に比べて異様に目立つそれは、まるでそこだけ空間を切り取ったかのように存在していた。

 

 それは休むのにはちょうどいい感じの大木だった。

 

「まぁいいか。ちょうど良かったし、木陰で休んでいくか」

 

 特に考えずにその木の根元に座り込み、目を瞑る。

 

「ふぅ~。なんか疲れた……」

 

 ここまでの道のりで、俺の溢れる体力を使い果たしたのか、すぐに眠気が襲ってきた。

 

 春菜の薬を早く作るためにも、寝たらダメだと思いながらも、睡魔に勝てず、俺はそのまま意識を落としてしまった。

 

「…………っ!」

 

 どのくらい時間が経っただろうか、物音に目が覚めると、目の前に熊がいた。

 

「え……?」

 

 なぜここに熊がいる? ここは北海道か? っていうか北海道の森の中には熊がうろうろしているのか? いやいや、現実逃避してる場合じゃない。とにかく逃げないと!

 

 しかし、足が動かない。恐怖で体が固まっているのだ。ここまで訓練をしても、身体を鍛えても、心は鍛えられていなかったというオチか。

 

「グォオオオッ!!」

「ひぃッ!?」

 

 そして、熊はその巨体からは信じられないようなスピードで突っ込んできた。……あ、死んだ。

 

「グフゥウウッ……」

「……は?」

 

 死ぬ。そう思った瞬間、なぜか俺の横を通り過ぎていった。

 

「いったい何が……」

「お兄さん大丈夫ですか?」

 

 振り向くと、そこに小学生くらいの少女が立っていた。なんでこんなところにそんな少女が?

 

「君は、誰? ていうか、助けてくれたの?」

「うん。お兄さんの悲鳴が聞こえたから」

「そっか、ありがとう。おかげで助かったよ」

 

 小学生くらいの子が俺のことを助けてくれると思うことはなかっただろう。

 

「いえ、当然のことをしただけです」

「当然のことって、熊に襲われそうになった人を助けたんだよ? そんなに簡単にできることじゃ……」

 

 俺だったら絶対無理だ。というか、熊を恐れずおびき寄せるとか、一般人では無理だ。

 

「私なら当然できますよ」

「なるほど……すごいね。え? それってどういうこと……?」

「私は人間ではないんです。だからできるんですよ」

 

 は?

 

「……君、頭大丈夫……?」

「信じてもらえないかもしれませんが本当なのです」

 

 ここまで必死に言うのであれば、確かに本当なのかもしれない。

 俺の超身体能力の例もあるし……。

 

「……わかった。信じるよ」

「信じてくれるのですね」

「ああ。だって君のおかげで助かったのは事実だし」

「そう言ってもらえるとありがたいです」

 

「そういえば、名前を聞いてなかったよね。俺は佐藤優斗。高校一年生」

「私は雪女郎と言います。歳は……内緒です」

 

 雪女郎というように、雪女なのだろうか? 医者が春菜に言いかけていた未知の生物、というのが雪女郎ちゃんの種族である可能性がある。

 

「よろしく、雪女郎ちゃん」

「はい、こちらこそ、よろしくお願いします」

 

 それでほかにも気になることがあり。

 

「ところで、どうしてあんなところにいたの? 危なくないの?」

「はい。普段は吹雪の中に住んでいますが、今は夏が近いので外に出ています。今日はたまたまあの辺りを散歩していたのですが……」

「それで熊に襲われた俺を見つけたわけか……」

 

 本当に幸運だ。俺が助かったのは雪女郎ちゃんがたまたま外を歩いていたからか。

 

「はい、優斗さんは?」

「ちょっと事情があって、ホシノキっていう植物の葉が必要なんだ」

「事情というのは?」

「俺には彼女がいたんだけど、その彼女の余命が原因で別れることを宣告されちゃってね。でも俺は彼女を助けたいから、この山に入って、彼女の病気に効く薬の材料になる、ホシノキを探しに来たんだ」

 

 俺はここに来た経緯を話した。

 すると彼女は表情を一変させ、目を光らせた。

 

「そこに生えてる大木です!」

「それが、ホシノキ?」

「いえ、そこに生えている大木には空洞があるんですが――」

 

 雪女郎ちゃんが大木の周りを歩き回り、俺がそれについて回ると、半周位したところで大きな空洞を見つけた。

 この中に何かあるのだろうか。

 

「その中にホシノキの栽培施設があります。私がたまにここに来て、栽培しているんです」

 

 俺が雪女郎ちゃんに続いて空洞に入ると、下に続く階段が見えた。ほの暗いその先に進む雪女郎ちゃんの姿を追い、俺もその階段を下っていく。

 

 少し進むと、そこには広い空間が広がっていた。天井を見上げると、そこには太陽のような光が輝いていた。そしてその空間の中心にある、ガラスでできたドーム状の建物の中に、一本の木があった。

 

 これが、ホシノキか。

 

 俺は雪女郎ちゃんに話しかける。

 

「雪女郎ちゃん、この木の葉っぱ――」

「どうぞ、ぜひもらっていってください!」

「親切にありがとう……。なんか俺にできることある?」

 

 そう聞くと、雪女郎ちゃんは少し考えてこう言った。

 

「たまにここに来て、私の話し相手になってくれるとありがたいです!」

 

 そう話す雪女郎ちゃんは、とても嬉しそうだった。

 

 

 

 俺が町へ戻ってくると、出発から3日が経っていた。森で迷っていたのが1日くらい経っていたようだ。

 

 あの後、雪女郎ちゃんに水を飲ませてもらった。そのころには水が尽きていたので非常に助かった。その後、雪女郎ちゃんは、また会う約束をして、去っていった。

 

 

 

 そして今、自宅に戻って思う存分親に心配させてから食料を補給したのち、俺は、春菜の家にいる。

 

「それで優斗君、話って何? 私に話すことなんかある?」

「春菜の病気に効く薬の材料、取ってきたよ」

「はあ? 病気? 何のこと……」

 

 あくまでとぼける気のようだ。この期に及んでも俺に迷惑をかけたくない、と。もしくは隠していたことがバレて嫌われたくない、か。

 

「話、全部聞いてたよ。余命半年だろ」

 

 俺がそう言うと、春菜の顔は青ざめていき、震えだした。ここまで怯えられるとは思わなかった。俺のことが嫌いになったのか?まあいいや。とにかく話を聞かないことには何も始まらない。

 

 俺は春菜に説明を求める。

 

「なんで、命にかかわる病気を隠してたんだよ……?」

「優斗君に迷惑をかけたくなかったから……」

 

 なんだそりゃ。迷惑をかけあうのが恋人じゃないのか? 俺は春菜になら迷惑をかけられても構わないし、報告してくれればもっと早くに解決できた。

 

「じゃ、今度からは報告しろよな」

「でも優斗君は知ってるでしょ!? 私に今度なんてないこと!」

「だから、薬の材料を取ってきたって言ってるだろ? 医者に処方箋を貰って、薬局でこの材料を渡して作ってもらえよ、薬」

 

 春菜は、俺が嘘をついていると思っているらしく、怪しげに俺を見る。

 

「本当にとって来たの……? あの医者は、取ってくるのは不可能に近い、って」

「ああ、ほら」

 

 俺はポケットに手を入れ、あるものを取り出す。

 それは、雪女郎ちゃんと出会った時に渡された、薬包紙に包まれたホシノキの葉っぱ。この薬包紙は雪女郎ちゃんが持っていたものだ。

 

 なんで人間界のものを持っていたのだろうと思って聞いてみたら、この間医者が話していた、『車で乗り込んだ時に未知の生物に……』ということで、端的に言えばホシノキの葉を取りに来た人間の車を吹雪をぶち当てて破壊したのちに改宗したもののようだ。

 

 それで、ホシノキの葉っぱをテーブルの上に置く。

 

「不安なら薬局で見てもらえばいいんじゃない?」

「優斗君が取ってきてくれたんだから、今度は信じるよ」

「春菜の病気が治ったら、俺たちやり直さないか?」

 

 勇気を出して聞いてみる。これで、多分春菜が俺と別れる理由はない。だからこそ、もう一度聞いてみた。

 

「私、もう転校が決まってるの」

「そうだと思った。春菜はすーぐ転校する。中学の時だってそうだったじゃないか」

「あの時は――」

「俺は、あの時とは違う。あの時は追いかけられなかったけど、今回は追いかけるよ。転校先、どこ?」

 

 春菜はすぐに答えてくれた。

 

 俺がそこにも追いかける、というと、春菜はすぐに笑顔になり、俺に抱き着いた。俺の胸に顔を埋めながら、泣いていた。

 

 俺は、そんな彼女の頭を撫でていた。

 

 

 しばらくすると泣き止み、彼女は言った。俺は、彼女のその言葉を聞き逃さなかった。




我ながらカオスだと思ました。超身体能力設定とかどう考えてもいらないじゃん。君の膵臓を食べたいみたいな感じで気づかせればよかったし、おい。
あと要望が多ければ続編は検討します。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。