マシン・マジック・マイメモリー   作:飛び回る蜂

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第二十一話「大役が過ぎる」

 

 

「───針谷の後詰?この状況で一人行かせたというのか?」

 

 

 針谷が市民ホールへと向かうほんの少し前、伊崎も特殊指示を受けていた。

 内容は『脅威(メナス)への直接対処を針谷に任命。各員は周囲を包囲、合図を確認次第脅威(メナス)を殲滅せよ』というもの。

 

 まず目を疑った。当然だ、敵はたった一度の接触で死傷者が二桁に上る怪物。

 更に言えば、この数字はML社の社員だけのカウントだ。民間人被害は今どれほどかは計り知れない。

 4部隊掛かりで足止めすら出来なかった存在に一人で立ち向かうのが自殺以外でなんだと言うのか

 まさか針谷自ら志願して自爆覚悟の特攻を仕掛ける気か?そう考えたがそれもしっくり来ない。

 針谷はそんなことをす人間ではない。やるならその時の最大効率を最速でやる男だ。

 人命を消費する前提の作戦は?その時点で効率的とは言わない。少なくとも本人に聞けばそう返すだろう。

 

 

「いくら何でも無謀が過ぎます。上は何を考えているのでしょうか」

 

「分からん。だが、何かはあるのだろう」

 

 

 赤崎と話す伊崎の元には既にいくつか追加指示が届いている。

 射撃戦用意、市民ホール周辺への移動、そしてポイントマンとなる隊員の視界共有指示。

 ML社の装備であるヘルメット、このバイアー部分は多くの情報を視界内に表示する。

 装備の残弾から魔力の充填度合い、損耗率に簡易地図と味方の位置情報。

 これらを装着した人間の意思一つで切り替えられるよう設計されている。

 同装備の視界共有ももちろん機能として存在する。視界を大幅に制限する為滅多には使われないものだ。

 

 これらの事態を鑑み、やはりあいつは何か抱えているなと伊崎は一人内心溜息を吐く。

 でなくては社長指示がこんなタイミングで来るものか。恐らくあいつにはなんとかする算段があるのだろう。

 ならば事前に相談くらいはしてほしかったものだ。もっとも、相談前に脅威(メナス)の進行が始まってしまったのなら詮無き事ではあるが。

 共有された情報から弾種を通常弾から貫通力重視に、盾は怪物相手には動きを阻害するだけなのでこちらも外す。

 黙々と作業をしていく中、赤崎は不安気に伊崎へと伺う。

 

 

「隊長、俺達は勝てるんでしょうか」

 

「さてな。だが勝つことはそこまで重要じゃない。ところで赤崎」

 

「はい!なんでしょうか」

 

 

 伊崎は最近の若い兵士達のモラルを長く問題視していた。

 どうにも安全な現場で脅威(メナス)を滅多打ちにすればすべて解決すると思っている新人達は多く、そんなことはまずないというのが伊崎の考えだ。

 ML社は脅威(メナス)ありきではない。まず人ありきの組織なのだから。

 そこで、この機会に伊崎は直接聞いてみることにした。

 

 

「もし私が針谷の考えに大きく賛同していると言ったら、お前はどう思う?」

 

「それは……あいつが掲げてる魔法少女達との積極的な協力体制の事ですよね」

 

「隊長か、せめてさんを付けろ。……そうだ、そしてお前が彼女らを快く思っていないことも知っている。単刀直入に聞くが、何故だ?」

 

「……」

 

「彼女らがまだ『巫女』と呼ばれていた頃ML社は立ち上げられ、()()()()()()()()()ための組織として生まれた筈だ。いったい何時からだ?私達が誇るべき矜持が歪んで受け止められ、彼女らを蔑む者が現れるようになったのは。国防の一助を請け負う身として、私はそれが……言葉を選ばず言うのであれば、恥だとすら思っている」

 

 

 気づけば二人は装備を整え終り、僅かな時間手を止めて向き合っていた。

 伊崎はずっと、それこそML社に入社する前からずっと感じていた。

 今の世界は歪んでいる。その歪みを戻す為の代償はどれほどのものになる?

 

 

「いつしか魔法少女達は人と深く関わることを止め、マナ・フロンティアという籠の中に閉じ籠ることを決めた。彼女達を忌避する人間が我々から現れ始めたからだ。針谷はそれを変えたいと言う。大した男だよ、間違っているのは社会の方だと譲らんのだからな」

 

「……」

 

「死ぬかもしれない任務だ。だからこそ今、お前の本音を聞いておきたい。赤崎、彼女達の何が気に食わない?」

 

 

 伊崎が入社当初から長い間悩み続け、しかし答えの出なかった問題。その一つがこれだ。

 今か百年以上も前の歴史書を、ML社に残っている古くカビの生えた紙書籍を漁って見つかったのはこの会社の成り立ちと経緯を知り、この会社があるべき姿を見据えた伊崎からすれば、今のML社はあまりに歪んで見える。

 

 赤崎もまた、魔法少女に協力的な針谷隊に非常に否定的な者の一人だ。

 だが伊崎はそれこそ不審に思っていた。赤崎が繊細で丁寧な人間だと知っているからだ。

 普段の生活からもそれは見て取れる。家に常備している調味料を絶対に切らさない程度には几帳面で真面目であり、食事の所作も魚の骨はキッチリ一本ずつ取り除くほど丁寧である。

 子供嫌いでもない。職場体験で訪れた子供達への親身な対応がそれを物語っている。

 何より彼が伊崎へ向けているのは崇拝ではなく純粋な敬意だ、ならば自分の考えにも理解が出来る筈。

 だというのに、赤崎は日々彼らに否定的な意見を発している。

 そしてその答えは、思わぬ形で伊崎を惑わせる。

 

 

「……分かりません」

 

「何?」

 

()()()()()()()()。合理的に考えれば彼女達と協力を拒む理由がない。なのに、彼女達の事を考えると頭が否定的になってしまうんです。今も……彼女らが敗北したことをどこかで喜んでしまっているんです」

 

「お前が子供の不幸を喜ぶ人間でないことは知っているつもりだ。何があった?」

 

「分からない、分からないんです。あれ?なんで、どうして俺は……」

 

 

 赤崎の顔はヘルメットに覆われていて見えないが、強い感情を滲ませているのが分かる。

 後悔のような、怒りにも似た苦しみの声が喉の奥から溢れ出ている。そんな印象を伊崎は受けた。

 そして、それに伴って()()()()()()に伊崎は驚愕し、その背を冷や汗が奔った。

 

 

(……どうやら、思わぬ形で深入りしてしまったようだ)

 

「隊長、俺は、俺はどうしたら」

 

「……赤崎、話はまた後日しよう。いくつか確認したいことが出来た。そろそろ作戦が始まる頃だ、移動しつつ視界共有といこう。心配無用だ、今は私の背中だけ見ていればいい」

 

「は、はい!了解しましたッ!」

 

 

 この件については後程社長か、あるいは針谷を通して伝えなくてはならない。

 この事実に気が付いてしまった、漏れれば大きな波紋を呼ぶことは想像に難くない。

 だが今は何より、目の前の事態に収拾を着けねばならない。

 一度思考を隅に追いやり、針谷の視界を起動した。

 

 

「───もう接敵しているのか!これは……ッ!」

 

 

 共有を開始してすぐ、爆音と共に視界に飛び込んできたのは猪型脅威(メナス)

 そしてそれと真っ向からぶつかり合い受け止める、異質なスーツを纏った針谷の姿であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ボロボロになった市民ホール、その大きな天幕の下で睨み合う脅威(メナス)と人間。

 どちらも目立った傷はなく、ここまで一進一退の攻防を繰り広げていた。

 

 

「ヴゥ……───!」

 

 

 『猪』の脅威(メナス)。全長およそ7m強。これは貨物列車に乗せる20フィートコンテナとほぼ同等のサイズ。

 そしてその脚力は従来の猪のそれとは比較にならない。

 脅威(メナス)は標的者の主観的な情報を基にその身体を構成している。

 本来猪の走る速度は時速40~50キロ程度とされているが、この脅威(メナス)は目にも止まらぬ速度で走り回る。

 つまりこの個体は暴れ出せば、列車と変わらない破壊力をもって突っ込んで来るということだ。

 今も前足でザリザリと地面を引っかき、目の前の小動物一匹を跳ね飛ばそうとしている。

 

 それに対し沈黙して迎え討つのは魔装戦線(マシナリーライン)所属、対脅威(メナス)即応部隊隊長、針谷大和。

 ヘルメットの左上部が破損し、僅かに出血も見える。その内側からは脅威(メナス)を睨む左目が覗く。

 そしてその姿は以前までのML社謹製戦闘用スーツとは意匠が異なっている。

 元々濃紺であった多機能コンバットスーツは色彩を変えており、紺よりも黒に近い。

 魔力を帯びているからか、腕部脚部の側面が赤いラインを描き頭部まで伸び力を帯びているように輝く。黒い装甲を血のように魔力が奔る姿は些か不気味に映る。

 そしてその変化は針谷の身体にも起きていた。その瞳の色は魔力を用いて全力を行使している証、黒から藤色へと変化している。

 

 

(速度を付けられてからでは抑えが利かない。初動を捉えなくてはならない……だが!)

 

 

 脅威(メナス)が膝を折り僅かに前傾の姿勢を取るのと同時、針谷も僅かに屈み跳びの体勢を取る。

 すぐさま脅威(メナス)の突進が始まる。バキッと地面が砕かれる音がしたのと同時に加速、針谷目掛けて飛び掛かる。

 二歩目が地面に着き次に離れる時、既にその速度は通常なら咄嗟に反応できない所まで達している。

 三歩目からはもはや止まることはない、立ち塞がるあらゆるものを破砕する。

 その直線的な機動を読み、突進に合わせて針谷は大きく横に躱す。

 避けた横脇を凄まじい速さで貫く脅威(メナス)の横腹にめがけて結晶ナイフで切りつけるも、キンッという音が響く。

 硬質化した体毛に弾かれている。その皮膚は生半可な火力を通さないのが伺える。

 そのまま背後へと走り去る脅威(メナス)を尻目に、欠けたナイフを見て針谷は嘆息する。

 

 

(あまりに早い、今の速度では追いつけそうもない。仮に追いつけて潜り込もうにもあの脚の短さでは懐に入るのも難しい)

 

(やはり力づくか。……また悠君に怒られそうだ)

 

 

 脅威(メナス)へ立ち向かうことよりも、無茶をして家族に怒られる方が怖い。

 そんなことを考える余裕がある自分に、内心針谷は驚いていた。

 けど何もせずじっと見ていて、そのせいで多くの命が失われる。その方が何よりも恐ろしかった。

 背後を振り向き、既にこちらを見据えて再度突進の構えを取る脅威(メナス)に、針谷は腰を落とし両手を広げて構えた。

 

 

「───来いッ!」

 

「ヴオオォォォ───ッ!」

 

 

 低く響く唸り声が大気を揺らし、強烈な威圧感が破壊を伴って針谷へと押し寄せる。

 怖かった、上手くいくことを保証するものなどない。

 読みを外せばもう二度と家族には、仲間には会えなくなるというのに。

 不思議と、そんな不安は湧かなかった。

 

 

(白い髪の君。あなたが僕に託したものがなんなのかは知らない。きっと今の僕には分からないことなのだろう)

 

 

 眼前の標的を見据えて正面から突撃する脅威(メナス)の視界に、先程までなかった見慣れぬものが映る。

 白く光る影、光の鱗粉、そうとしか表現できないもの。

 それらが針谷の周囲を覆い、彼を護る膜となる。

 

 

(けれどもし、君がこの力を僕に与えたことが、何か目的あっての事ならば。魔法が願いを叶える為の手段であるというならば。君が託したモノがそれならば!)

 

 

 その背後には、あの少女が浮かんでいた。

 

 

「力を、貸してくれ───ッ!」

 

 

 激突の衝撃が周囲の全てを破壊する。

 超高密度の魔力同士がバチバチと干渉し合い、耐性を持たない全てのものを微塵へと崩壊させる。

 同様に高密度の魔力で防護された針谷の装甲すらも貫通し、既に装甲の内側では少なくない傷を作っている。

 だが針谷は突き出された両牙を全力で握りしめ、脅威(メナス)はその針谷を空に打ち上げる為に掬い上げようと試みる。

 

 

「この手は死んでも、離さない……ッ!」

 

「───!!」

 

 

 それに対抗して針谷も巧みに重心を移動させ、脅威(メナス)の動きを封じる。

 組み合っている周囲の地面がビキビキと罅割れていき、被害が甚大なものとなっていく。

 渾身の一撃を止められた脅威(メナス)は、頭をぐぐっと下に食い込ませようと力んでいる。

 針谷もさせまいと牙ごと重心を下にやるも、今度はそのまま前進しようと動き始める。

 その有り余る体重で圧し潰すか、あるいはもう一度前進としているのだ。

 

 

(これはマズ、いや、ここだッ!ここしかないッ!)

 

 

 アーマーの駆動系をフル回転させ腰を落とし、車のハンドルを切るように横倒しに捩じる。

 全身の関節と装甲がミシミシと悲鳴を挙げても一切手を緩めない。

 足首や膝、手指が焼け切れそうな程熱を帯び、今にも身体がバラバラになりそうな衝撃を受け止め続ける。

 命と引き換えにここで脅威(メナス)を捩じ伏せる、その覚悟で脅威(メナス)の顎を抑える。

 

 

「ぐぅっ、おおおおおぉぉぉぉっ!!」

 

 

 片足が浮き、次第に後ろ足が浮く

 仕掛けるならばここしかない、そう確信した。

 

 

(これ以上の被害はホールまで響く!その前に始末を───!?)

 

 

 周囲の隊員に合図を、そう思い残った機能から通信を起動しようとする。

 が、繋がらない。ヘルメットの損傷により通常通信機能が破損、更に周囲に強い魔力の力場が発生したことで魔力通信も極めて不安定となってしまったのだ。

 これでは合図を出せない。しかし照明弾や銃器類は先の戦闘の余波で破壊されてしまった。

 今の自分に魔力切れは無くとも、体力と命が先に尽きる。そうなれば常に標的者から力を補給し続ける脅威(メナス)が圧倒的に有利だ。

 空いた穴から覗く左目が、まるで大自然の怒りに満ちているかのような脅威(メナス)を直視してしまう。

 

 

(ならば絶好のタイミングまで、この状況を維持し続けるだけだッ!)

 

 

 それがどうした。人間はそれ以上にお前達に怒っているんだ。

 お前を討つ為なら何時間でも、何日でも耐えてやる。

 いっそこのまま横転させてやる。一瞬でも隙を作れば声で合図が出せる。

 そう力を込めた瞬間。

 

 

 

 

 

 ドス、という音が腹から響く。

 

 

「───ぁ、そん、な」

 

 

 見下ろした針谷の視界に、じわりと赤い染みが広がっていく。

 両手で押さえつけている牙ではない。

 その下から生えたもう一対、生物では有り得ない構造で生えた牙が急速に伸び、針谷の腹部を貫いた。

 それは身体を護る魔力障壁に干渉する為に、禍々しく光り魔力で構成されているのが見て取れる。

 

 

(あり得ない。脅威が、状況対応を。ま、まさか。野生動物が、()()()()()()()()()()模倣を)

 

 

 生物としての常識。脅威にはそういった概念が存在しない。

 その代わり状況に合わせて姿形を変え対応するということもない。

 脅威は人々の恐怖を読み取り、それを誇張して再現するだけなのだ。

 だがその概念が覆された。学習することが恐怖の一つであるならば、脅威はそれを模倣することが明らかとなった。

 ならばこそ、ここでこの脅威を討ち滅ぼさなくてはならない。

 

 その意思とは裏腹に、針谷の手からは力が抜けかけている。

 腹に空いた穴の隙間から絶え間なく出血し、魔力を帯びた牙が体内を侵食している。

 確かに焼き鏝を当てられたような痛みが襲う。それだけならいい。痛いだけならいくらでも耐えられる。

 しかしそれ以上に、未だかつて味わったことのない甚大な不快感が腹の中に渦巻いていた。

 細胞の一つ一つが他人に作り替えられるような、自分の身体の中に脳が認識できない異物が混ざった嫌悪感。

 それが針谷の正気を奪い、冷静さを失わせる。

 目の前の脅威が今の自分を見て、脆弱だとせせら笑っているように幻視した。

 

 

(自惚れていた。ようやく、誰かの為の何かになれる、と)

 

(残念、だ……)

 

 

 目の焦点がブレ、意識が遠のく。

 それを察した脅威が再度力を込め、針谷を踏み潰そうとしたその時であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『───ここからは俺が相手をしよう』

 

 

 上空より巨大な鉄塊が飛来、脅威(メナス)の真上へと降りかかり踏み潰す。

 その余波で貫いた牙が折れて突き刺さったまま、針谷は大きく後方へと吹き飛ばされる。

 辛うじて両手を支えに膝をついたまま耐えた針谷は、その全貌を目の当たりにする。

 

 

『この規模の脅威(メナス)を相手に単騎で耐久とは。素晴らしい活躍だ、同志。君もそう思うだろう?』

 

 

 巨大な影は脅威(メナス)を強烈に踏みつけ、針谷の前へと軽々跳ぶ。

 デカい。それはあまりにデカいロボットである。

 全長5mはある。肩にはML社のエンブレムをあしらい赤い塗装で覆われた、モノアイから緑の眼光が覗くロボットだ。

 人型というよりはずんぐりとしていて、装甲の圧倒的な存在感を見せつけるようなボディをしている。

 右手には巨大な物理ブレード、左手にはバズーカが握られ、背部のウェポンラックには更なる武装が詰め込まれていることだろう。

 針谷は朧げな意識の中、自分の目の前か隣に誰かが佇んでいる気配を感じた。

 

 

「これは……ここでは治療が出来ません。牙は刺さったままですし、魔力汚染もあり、体内を魔力が駆け巡っているなんて」

 

『人類史上初となる、正真正銘男の魔法使いか。夢があるな』

 

「そんな簡単な話ではありませんよ、タケ。この人は……」

 

『心配無用だ。彼もまた我々の同士。その力は正しき事の為に使われるだろう』

 

「貴方達は……?」

 

 

 針谷はそのロボットに見覚えがある。

 5年前、街一つを滅ぼしかけた脅威(メナス)に対抗するために出動した『決戦兵器』。

 正式名称『第四号決戦兵器 真道丸(しんどうまる)』。魔装戦線における最強の切り札。

 躍動する最終防衛ライン。全てを粉砕する守護者。

 

 

『よくぞ聞いてくれた。私は魔装戦線(マシナリーライン)所属、対脅威(メナス)()()()()岩山(がんざん)武喜(たけよし)

 

魔法少女連盟(マナ・フロンティア)所属、1級討伐官の『未来(みらい) (あかり)』」

 

 

 二人は針谷を背に脅威(メナス)の前に立ちはだかり、堂々と宣言した。

 

 

「『君を助けに来た』」

 

「……後は頼み、ます」

 

 

 そう言い残し、針谷は意識を失った

 

 

『未来、彼を安全なところへ』

 

「分かりました」

 

『さて……獣を模した難敵。相手にとって不足無し』

 

 

 蹴り飛ばされたことで距離を取った脅威が態勢を立て直し、真道丸へと向き合った。

 体格ではやや劣るとはいえ、その風貌から敗北の気配は全く見られない。

 掲げるのは必勝の二文字だけである。

 

 

『切っ先を務めた彼に敬意を表し、全力で叩き潰すとしよう』

 







次回 第22話「追憶、過去から今へ」





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